相談概要 | [氏名] S.T. [居住住所] 神奈川県川崎市中原区 [相談建物予定地] 埼玉県狭山市 [職業] 会社員 [年齢] 32 [男性] on [構造] わからない [設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。 [何階建て] 2+地下室 [延べ面積坪] 30 [工事請負金額] 約4000 [様態] 注文建築 [施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。 |
相談内容 | 皆様こんにちわ。 いつも興味深く拝見させていただいております。 私はまだ結婚したばかりで社宅住まいなのですが、数年以内に実家の隣に一戸建て住宅を建てることを希望しています(土地は未取得)。今のうちから勉強だけはしておこうと思い色々文献などを漁っておりますが、夫婦の希望が“地下室のある家”なのでネット上になかなか希望に近い建設具体例が見つかりません。そこで、こちらの識者の皆様方にご教授願おうと思い立った次第です。 具体的な相談内容としては「防音地下室はそんなに高コストなのか!?」と言う事です。 私の趣味が音楽演奏および映画鑑賞なので、地下に大きな防音スタジオを作って音響設備を整えるのが夢なのですが、普通の2階建てのコストにどれだけの上積みが必要なのか想像もつきません。 想定している地下室の規模は、建坪(約15坪?)の9割を占める地下防音室と最低2つの2重防音扉、そこに繋がる調整室(1〜2坪でOK)です。防音室の性能としては「夜中でも大音量のバンド演奏が屋外でかすかに聞こえ、よその家の室内では分からない」程度を目論んでいます。 防音室の内装的な予算は当然抜きにして、基礎工事と防音・防湿設備の設置を含めたコストアップ分を大体の数字でよいので知りたいと思っております。自分の感覚では1,000万円もあれば十分だと思っているのですが、もっと安く済むのかとんでもない勘違いで桁が一つ違うのか、少し怖い思いです。 以上、どなたかご教示下さいますようお願いいたします。 |
yorozuの感想 | こんなサイトがあるなんて!! 家を持つ前に知っておいて本当に良かったと思います。 ここで多くの勉強をして良い家を立てることが皆様への恩返しだと思っています。 (もちろんここで依頼できれば最高です) 今後もよろしくお願いいたします。 |
アドバイザー | |
小松原 敬 | 相談員の小松原です。 大雑把にはまあまあの感じの数字だと思います。地下室はもともと地中に埋まっているので特別な防音設備はいらないでしょう。 ドライエリアなどを設けなければ、1階に繋がる階段を防音ドアにすればこと足りると思います。 換気設備が必要になりますが、そこからの音漏れには注意したほうが良いでしょう。 ユニット工事式の地下室だと坪50万くらいからのものがあります。 地下が15坪くらいでも予算内で納まるでしょう。ただ、通常のやり方だと坪75〜80万くらいにはなるのでぎりぎりかややオーバー気味です。 建てる時は設計事務所にその辺の事をしっかり考えてもらうのが良いと思います。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 構造的にはその予算と上手な設計者がいれば問題はないでしょう。ただ、敷地の大きさと建物の大きさが工法に関係して仮設にお金がかかる場合があります。 状況にもよりますが、地下室の深さが3m位になるとすると、地下室の廻りには3m位の余裕がないと隣地に迷惑をかけ易いので注意して下さい。コストに跳ね返ってきます。15坪は7m×7m位ですが13m×13m=50坪、細長い土地だともっと広さを要します。 敷地条件が許せば、鉄筋コンクリートで地上に造っても音の心配はいりません。専業の設計者で防音や音響に理解のある方と巡り会えるように願います。 |
清水 煬二 | 解説員の清水です。 地下室の坪単価は、状況によって本当に様々です。 敷地の状況、道路の状況、高低差、地盤状況、隣接する建物、工事方法などなど。 ご希望の大きさや仕様から1000万円というのは、可能な状況もあるでしょうが、金額的には十分とは言えない状況の方が多いと私は思います。 私が10年程前に行った地下室は、NHKでも放映され使っているご本人も非常に喜ばれていますが、私は工事費用が掛かりすぎて不満でした。 既存の庭に穴を掘って作ったものなので価格も参考にはなりませんが、半地下で済めば安く出来ますし、業者によっても大きく異なります。 現在は、地下室をセールスポイントにしている業者も増えてきています。 土地も業者もそういう目で焦らず探していけば良いでしょう。 |
コメンテーター | |
善養寺 幸子 | コメンテーターの善養寺です。 私のところで扱う住宅は東京近郊なので、土地の有効利用として地下、半地下などよくつくります。わが家も半地下付き。隣との空地50センチ位の物件ばかり。 費用としては、ご推定くらいかかります。仕上げと設備、防水工法の違いで多少の増減はあります。地下のことだけではなく、不安や拘りがあるのでしたら、気の合う建築士を見つけて、相談しながら夢の実現を手伝ってもらったらいかがでしょうか。 家づくり楽しめますよ。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 地下室をどの程度快適に造るかがポイントです。 たまに建築家が造った地下室の写真をみますが、コンクリート打ち放し、なんかは5年もしたら湿気でどうしようもない状態になります。 コンクリートで造られますから建物も重くなりますので、地盤にお金が大幅にかかる場合もあります。また、地盤や地下水の道などに影響され施工の仮設材も大掛かりになりますのでその費用により地下は大きくコストが左右されます。 地下室が地上の部屋と同じような快適な状態にするならコストは予定の倍は必要だと考えています。そこそこであれば予算程度で納まるかもしれません。(しかし、地盤にも左右されます。) 仕様、地盤、施工方法、設計者の能力、施工者能力の選定が大切です。 わたしが以前設計した地下室には音楽室があり外部よりのトップライトで自然光を取り入れました。それでも音がほとんど聞こえない地下室になりました。2重壁の2重スラブです。機械換気も設置し、大変快適な地下室です。先日もお邪魔して快適に暮らしていました。 竣工当時に多くの建築家の施工を請け負っている監督が「地下室でこんなに湿気の感じない家ははじめてです。」と言っていたのが印象的です。 わたしはあまり地下室の設計はしたくはありません。ものすごい設計時間と工事監理、地下に対するエネルギーは半端では在りませんでした。そのお陰で快適な地下室がお施主さんは手に入れたわけですが、費用や地下室のリスク、我々のエネルギーを莫大に掛けなければできないと思っています。地下室だけは安易に考えてはいけません。 その立証としてハウスメーカーのどれくらいが地下室を施工していると思いますか? 施工としてのリスク、設計能力、いろいろなリスクがあるからです。 実行する場合はあなたにある程度の資金の余裕があり、確りした、本物の建築家に依頼してみてください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 地下室の設計について相談させていただいた、Sです。 この度は相談を受けていただき深く感謝しております。 やはり予算は1,000万円ほどかかるんですね。 湿気対策も耳にはしますが、これほどだとは思いませんでした。 設計・施工時の参考にさせていただきたいと思います。 それにしても、識者の方々によってたかってコメントを付けていただけるなんて他では考えられません。 これからも建築業界の良心が集う場所として貴サイトのご発展を願ってやみません。 重ね重ねの御礼になりますが、どうもありがとうございました。 それでは。 |
その後 |
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