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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No.0636 マンションの構造は?

 相談概要 [氏名] U.A.
[居住住所] 愛知県稲沢市
[相談建物予定地] 愛知県名古屋市西区
[職業] 講師
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 14
[延べ面積m2] 7920
[工事請負金額] 約3000
[様態] 分譲マンション
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 建設会社
[お名前] T工務店
 相談内容 M不動産の大規模物件(3つの建物で全257戸)新築マンションの購入で迷っています。(まもなく決定せねばならないため、かなりあせっております)以下の点を不安に感じ、相談させていただきます。

(1)14階建ですが、RC構造である点。
  どの本を読んでもRCは7〜8階まで、それ以上はSRCが普通で鉄骨が入らないと強度は落ちる、とあります。
  本物件は、高強度コンクリート(1階部は42N、最上階は30N)、鉄筋はSD490〜295を使用。溶接閉鎖型の帯筋(スパイラルではない)。床、壁はダブル配筋です。本件と同時に、ほぼ同じ大規模マンションを近隣に、もうひとつ展開しているが、そちらはSRC構造。しかし同時新聞広告上には両方とも構造がうたってないのです。

(2)以前決壊した川沿いにある点。
  1メートル水がついたそうです。1階部も高めにしてあるので、その点はまあ安心なのですが、地盤はゆるくはないのでしょうか。地下36、5メートルのN値50〜60の砂礫地盤に、直径2メートルのコンクリート拡底杭で支持してます。たとえ液状化してもこのような対策がとられていれば大丈夫なのでしょうか。

(3)等価土地交換の為、賃貸の方が25パーセントほど入る点。
  人により、賃貸の方とは温度差があり管理が難しい、という意見と、元の土地所有者は、その土地に愛着がありしっかり賃貸の人をまとめてくれるものだ、という意見があり、そのあたりご経験があれば教えていただきたいです。

営業の方もいい方で、上記以外の点は自分にとって申し分ない物件です。しかし愛知県には近い将来大きな地震がくるといわれており、不安です。本物件は1、25倍と同等の地震力をもつそうです。”同等”という意味が不明ですが。
ぜひご意見お聞かせください。よろしくお願いいたします。 
 yorozuの感想 生で最大の買い物をするにあたり、実物を見ることもかなわず購入を決めなければならない、と死ぬほど(大げさではなく)悩んでいたところ、このような専門の方に直接相談できる場があるとは、驚きとともにすがるような気持ちで今回お願いしました。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 構造の形式に関しては一般的には言われる通りですが、大手のゼネコンでは独自に研究を行って一般的ではない工法を開発しているところもあります。それなりの根拠と注意をはらって設計されているはずですから心配はいりません。
基礎に関しても通常に注意をはらって設計してあれば問題はありません。
分譲でも購入者が入居するとは限りませんので温度差はあまりかわらないのではないでしょうか。

 大きな地震などの天災はどのくらいの物がくるのかは確率的なものです。100年に1回なのか200年に1回なのか。それも明日くるのかもしれません。どのような地震にも大丈夫なものを造るには経済的に無理があるので、今までに日本であった地震よりもやや上回るものがあってもいいように、法律で地震に対する強さを定めてあります。その1.25倍程度で設計したということです。
古賀 保彦 埼玉の古賀です。

RC造でも14階建は可能です。HFW工法という、扁平な柱+戸境壁梁の形式のものは実例が多数ありますし、その他の認定工法もあります。
通常の構造計算の他に、構造評価や評定というものを受けているはずです。
コンクリート・鉄筋強度等はそれらの計算に基づくものであれば特に心配する事もないと思います。

1.25倍というのは建築基準法に規定されている耐力と比較してそれ位の外力に耐えるという事だと思いますが、コストとも絡みますので何倍が妥当と言えるものではありません。
また、コスト的にはHFW<SRCになるのが通例ですが、耐力的にも必ずそうなるとは限りません。

強度については、供給者側の姿勢に頼るところが大きい部分ですので判断が難しいところです。
強度に絡む問題として、1Fの駐車場確保の為に耐力壁が少なくなっていないか、建物形状が変わるところで建物を分割しているか(エキスパンション)等、プラン上の配慮が欠かせませんのでそちらの方もチェックされた方が良いでしょう。

強度とは別の話になりますが、HFWの場合は柱が室内に入ってくると狭い空間になりやすいので注意が必要です。室内面積は壁芯で計算しますので柱の面積が含まれてしまうケースがほとんどです。柱が外部に出ているプランであれば心配ないでしょう。
HFWでしたらプランをよくみてくださいね。

杭の件については場所打ち杭で支持層に到達していれば問題ないと思いますが、液状化についての検討は別に考えないといけませんので供給者に確認された方が良いと思います。

等価交換による賃貸の件は、所有資産であるかどうかで建物共用部の使い方に差異が生じたり、管理組合での決議に無関心であったりするのではないかとご心配の事と思いますが、入居者全員が所有者であったとしても同じような事が起こりえますので、賃借入居者との混在が×とは言い切れません。入居者のモラルに関わることですので、戸数にも関係なさそうです。
これだけは入居してからでないと分からないものですので、しっかりした管理形態がとれますよう、ご自身も参加して良い組合を結成してくださいね。
 清水 煬二 解説員の清水です。

構造計算上は、RC造でもSRC造でも安全という前提で行っていますので、その点の心配はありません。問題となるのは、施工品質の問題ですが、これは個人でチェックするのは、難しいでしょうし、施工業者や販売業者からすると、他のマンションより劣るということはないように思えます。
感覚的には、この高さなら確かにSRC造の方が安心感はあります。

地震時の液状化に関しては、どの専門家でも安全性の断定はできないというのが本音だと思います。これは、恐らく何十年かたった先でも変らないのではないかと思います。
現在の知識と基準では問題ないということしか言えないわけで地震に安全とも言えないでしょう。
但し、これはすべての建物について言えることです。

様々な意見があるようですが、賃貸と分譲との比較では、一般的にはおっしゃる通り、温度差があるというのが定説で私も実感はしています。もちろん、一概には言えません。
分譲であれ賃貸であれ、その人それぞれだからです。
オーナーがどの程度の基準で募集されるか、将来はどうかでも若干変ると思います。

不動産屋さんの「営業の方がいい方」というのは、あまり判断基準の参考にはならないとは思います。 
大内 彰  解説員の大内です。

 RC造でも14階建ては可能です。SRCの場合は建築確認申請が簡易に済みますがRC造の場合は手間暇が掛かりますが構造設計と施工の内容に関して通常の確認申請での審査よりも(基礎に関しても同時に)厳しいチェックを受けるので安全性に関しては問題ありません。ご安心ください。 
 コメンテーター 
善養寺 幸子 コメンテーターの善養寺です。

 皆さんの解説通り、高層RC(鉄筋コンクリート造)も工法上の問題はないでしょう。
それよりもご心配のように、集合住宅は色々と共同歩調を合わせなければならない部分があり、一戸建てのような身軽さはありません。それを理解の上、自分に合うものを選ぶことが重要です。冷静に判断下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 RCかSRCかの選択はスパン(柱と柱の距離)や階高、階数、面積、地盤、コスト、施工性と様々な要因で決定されます。全く同じ形状の建物では無いはずです。
また、高強度コンクリート造は通常のコンクリート造とは別物です。一般の書物には通常のコンクリート造しかでていないと思います。専門書店にはありますので、心配ならお求めください。大手ゼネコンしかこの施工技術はありません。

阪神淡路大震災でも沿岸に建つ超高層は無傷でした。ここでも液状化は起こりましたが建物には被害を与えませんでした。通常、杭の頭部(杭頭という)には杭下部の配筋より多く鉄筋が入っています。これはこのような状態を想定して杭頭が破壊されないためです。
適切に施工されていればご心配はいらないでしょう。

分譲でも転勤や転売で賃貸になったりするケースは通常です。賃貸があるからといって心配する必要はありません。大切なのは管理組合で規約や細則を作成し、適切に運営されるならばそれは賃貸人にも影響することですので、ご心配はいりません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  どこに相談してよいのか途方にくれていた時、お助けいただき、本当に感謝しております。結局、相談のマンションを購入いたしました。来年、入居予定です。皆さんのお言葉がなければ、おそらく心配性の私は決断できなかったのではないか、とおもいます。今まで苦労を重ねてきた年老いた母を、最後にきれいな住まいに暮らさせてやりたいとの気持ちから、今回のマンション購入を考えました。その私の背中を押していただき、感謝しております。家族で新しい住まいへの夢が膨らんで、今、とても素敵な気分です。

あまりパソコンを扱うのが得意ではないので、お礼のメールを送るのに失敗してしまったのかもしれません。あれほど多くの方にご回答頂いたにもかかわらず、本当に失礼いたしました。どうか、解説者の皆さんにお詫びとお礼をお伝えください。ありがとうございました。
 その後  
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