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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0622 細長い敷地

 相談概要 [氏名] Y.H
[居住住所] 愛知県海部郡
[相談建物予定地] 愛知県海部郡
[職業] パート
[年齢] 40
[女性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] 建設会社の建築士
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 122
[延べ面積坪] 37
[工事請負金額] 3200
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 東に4メートルの道があり間口8.3メートル東西36メートル92坪という細長い土地を勧められました。子供が3人おりますので出来れば、予算にあった広い土地を購入したいと思っておりました。広さと値段は問題ないのですが、現在南は畑なので日当たりもよいでしょうが将来家が建つかもしれないことを考えると迷っております。南1.5〜2メートル空くぐらいと思います。

日当たり 圧迫感 プライバシーがどうなのか想像がつきません。西は現在たんぼです。南半分には、家が建っています。車も止めることが、出来るし、主人は、土地が広くこの値段ならいいといいますが、家にいる時間の長い私にとっては目の前によその家の壁が見えると考えてしまいます。

日当たりというのも毎日電気が必要になる家はいやですが直射日光以外の光でも明るさ十分とれるものですか。ご意見を聞かせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 yorozuの感想 一人でずっと悩んでいましたので、このHPをみてうれしくなっ てしまいました。
アドバイザー 
星 裕之 相談員のほしです。

公共の緑地でもないかぎり南面に家が建つことを想定して設計及建築したほうがよいと思います。前に2階建てがたってしまえば,2〜3m程度の庭では1階リビングに充分な光など入ってきません。

隣地に建築可能な建物や自分の家の模型を作り、影の落ち方をシュミレートすれば、光が入るか視線の妨げにならないかすぐわかることです。例え建築に充分な予算がなくとも高窓からの採光を期待するような設計にしたり、リビングを中庭的空間に面して配置したり、さらには内部に外部的な要素をもつ内部完結型の空間を造ることで細長い敷地の良さを生かした建築が可能になると思います。

このような発想は、専業の設計事務所でもなかなかまとめられるものではありません。設計施工の建設会社ではなおさらです。まずは、なにかを期待できるような設計者をみつけてください。設計対象としては非常に面白みのある土地ですよ。
藤井 修 相談員の藤井です。

東西に細長い土地ですね。
まず、海部郡の都市計画は調整区域がほとんどで、住居系が一部で、商業及び工業系はごく限られた区域です。ご検討の土地の地域は何でしょうか。それにより将来南に建つ建物の高さなどが予測できます。

もし南に2階建ての住宅が敷地一杯に建つと仮定しますと(36m幅一杯に建つとは考えられませんが)1階部分は約半年、日影になります。しかし、直射日光が当たらずとも設計次第では明るく快適な住宅は出来ると思います。

土地は100%満足して手に入れることは不可能に近いと思われますので、ご自身の希望をいくつか羅列し、それに優先順序をつけて上位幾つかを満足すればよし、と考えられると良いでしょう。
又、建築家などに土地を見てもらうをお勧めします。
 山口 雅克 相談員の山口と申します。

 全く同じような東に4.3m道路、間口6m、東西32mの敷地に2階建ての設計をしたことがあります。眺めは確保できませんが、通風も採光も十分に採れていて建主さんから喜ばれています。中庭的な空間を確保すると、外部からの視線も気になりませんし、それなりに良いのではないでしょうか。現在着工している住宅も東に2.0m道路、間口10m、東西60mの敷地に平家です。将来的に隣地に建物ができても(境界に高い塀が出来ても)いいようなプランを心掛けています。

 日射と採光は少し意味が違いますので、創意工夫のできる専業の設計事務所に依頼して、計画をしたらいかがでしょうか。
 日射は南からだけとは限りませんし、採光は北からも採れます。北からの光は落ち着いた明るさが確保できます。
 建設会社の建築士にそのあたりのアイデアがあればいいのですが。 
 コメンテーター 
小松原 敬 コメンテーターの小松原です。

採光する光は直射日光と天空光にわけられます。天空光とは、太陽光が空全体に反射する光です。曇りでも明るいのは天空光の光です。(ちなみに空気のない月では天空光はありません。空は太陽が出ていても真っ暗です)

かなり曇っていても、そのときの明るさは外では5万ルクスくらいはあります。家の中で必要な明るさは500〜1000ルクスです。(大雑把な言い方ですが)

明るい家は天空光をうまく取り入れることでできます。ですので必ずしも南側だけが良いということもありません。いろいろ採光の工夫をすれば南側が建て込んだ場所でも明るい家になります。

直射日光は冬は良いのですが、あまり入りすぎても夏は家が暑くなるし家具などが傷む原因になります。意外な話ですが、東、西面と南面の壁で比べると直射日光がいちばんあたらないのは南側です。
これは太陽高度との関係です。西と東は地平線からの太陽の日射光が直撃します。特に夏、気温が上がった状態で西日が入ると蒸し風呂になりますね。

南は庇などがあると、夏は高い太陽からの直射日光を遮られ冬は傾いた太陽の光がさしこんできます。ある意味、「日射が入らないので南が良い」という逆説も成り立つわけです。

西側でも落葉樹を植えると同じ効果が期待できます。昔は柿などがよく植わっていました。(実も成って一石二鳥)現在では熱線反射ガラスなども使われます。

昔から「家は夏を旨とせよ」と言われたりもします。こうした知識と知恵をもったプロフェッショナルに依頼されることをお奨めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 将来の環境を想定して購入を検討することは大切です。ご相談は大切な内容だと思います。
よく、住宅やマンションを購入する方で購入後、隣地に大きな建物が建ちプライバシーや採光通風の大きな妨げになり、資産価値も半減する場合も多いと思います。資産価値よりもそこに長く住むことの心の重さの方が苦痛になりますね。その点でのご心配なる相談は有意義だと思います。計画は将来の近隣の環境の変化を意識して計画しなければいけません。30年40年先を見越して現在の建物を計画すべきです。その場合の設計者の心がけは「自分のことのように真摯にこの土地の愛着を持って設計できるか?」にかかっています。

こころを感じる設計者を探して設計を依頼してみてください。通常普通の設計者であれば上記のような解説をするものと思います。それが建築的には正解だからです。しかし、大切なことは正解がこころある正解か否かです。これを見る目を養うのが建築主の将来を左右します。友人と同じようにあなたと相性が合うか否か?それを感じ取ってください。なぜなら、相性が合わなければあなたの気持ちが伝わらないからです。正解は誰でもだせます。しかし、あなたの深いこころのなかの正解はあなたと合う設計者でないと設計できないと考えます。

そんなあなたと相性の合う設計者を見つけてください。めぐり合いをお祈り申し上げます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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