本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0620 住宅性能保証だったが

 相談概要 [氏名] I.Y
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 京都府宇治市
[相談建物所在地] 京都府京都市
[職業] 会社員
[年齢] 31
[男性] on
[構造] その他の構造
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 73.95
[工事請負金額] 2980
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大工(工務店)
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[お手持ちの図面は何枚?] 4枚
[打ち合わせ何回] 3回
[施工者名] 株式会社 L○○
[販売会社名] 株式会社O.H(仲介)
 相談内容 [現象]
南北の基礎と土台がずれている。(基礎幅120,土台幅120,長さ9m)
南側のボルトがぎりぎり又は土台から見えている。
基礎パッキンの中にボルトが通っていない。柱の下にパッキンがない部分がある。
2階の通し柱にすきまがある。
筋交いにすきまがある。
2階天井の柱にひび?がある。

[業者の見解]
基礎と土台のずれ→住宅性能保証の金物検査が1月10日にあるので、その検査員に相談をしている。土台が乗っていない部分については、新たにコンクリートを流す。
ボルトのずれ→やり直すとのこと。
基礎パッキン→やり直すとのこと。
通し柱のすきま→原因については調べないとわからないが補修するとのこと。
筋交いのすきま→やり直すとのこと。
天井柱のひび→原因については調べないとわからないが補修するとのこと。


[相談内容]
初めて相談させていただきます。建売住宅を契約(更地の時に)して、現在建築中で棟上げも終わっています。
お正月に現場を見に行って、何カ所か気になるところがありました。そのため、仲介業者と建築業者を1月6日に現場にきてもらい説明をうけたのですが、欠陥住宅なのではと思い相談をさせていただきます。
写真が何枚かありますので、郵送させていただきます。

基礎と土台のずれ→原因 南側境界線にあるブロックのためずれた。(南北両方 北側へ約2センチ)ボルトのずれ、これについては、基礎ができたときにブロックにぴったりついていたので業者に大丈夫なのかと連絡をいれたがその時は大丈夫と言っていた。

 補修 土台の乗っていない部分には鉄筋入りのコンクリートをもう一度流す。
     ボルトについては、もう一度打ち直す。
     始めの基礎と補修の基礎とは引っ付くのでしょうか。
     ボルトを打ち直すとしても土台の上から打ち直しても大丈夫なのでしょ
     うか。
     また基礎にひびはいかないのでしょうか。
     上記のような補修で建物の構造上本当に大丈夫なのでしょうか。
     できることならもう一度基礎からやり直してほしいのですが・・・
基礎パッキン →補修 やり直すと言われたが、ボルトが通っているのにどう直すのか?
通し柱    →補修 調査してみないとわからないが補修すると言われたが、補修
           のしようがないのでは?
           根本的な長さ間違い? 
天井柱    →補修 これも補修できるのでしょうか?

とりあえず、業者側は1月10日の住宅性能保証の金物検査(こんなので検査通るのですか?)が終わってから補修をして、1月20日に現場にて補修した箇所を確認してほしいと言われました。住宅性能保証の10年保証もつくので大丈夫だと強調されても私には欠陥住宅ではないか心配です。また、建物の構造上重要な部分ですので、補修ばかりされてとても心配です。工事やり直しなんてできるのですか。また補修箇所を確認してと言われても素人の私には、その補修で本当に大丈夫なのかわからないためアドバイスを宜しくお願いします。
 yorozuの感想 とても心強いです。私にとっては安い買い物ではない
ので、今は不安の毎日です。今後もこのようなHPは続けてほしいです。
アドバイザー 
津村 泰夫 大阪の津村と申します。

まず、建売住宅でも第三者の設計監理者を選出すべきだったと思います。

1、基礎と土台のずれ
 写真でどの程度かわかりませんが、構造耐力を受けることのできる基礎を新設するのであれば問題ないでしょう。基礎の状況によりますが、既存基礎と一体化できるように施工した方が良いでしょう。

2、ボルトのズレ
 写真を見ますとボルトの穴が土台からはみ出しているのもあり、きわめてずさんな施工ですね、ここまでずれているとやり直しは当然ですが、それでも穴を開けた大工の神経が理解できません。アンカーボルトのやり替えにはケミカルアンカーという方法と、基礎に横方向に穴を開け、金物で土台等を固定する方法などがあります。

3、基礎パッキン
 当然やり直しです、方法はいろいろあり、基礎パッキンを欠いて取り付ける方法もあります。

4、通し柱の隙間
 現場を見ないとわかりません。適切な補強が必要かもしれません。

5、筋交いのすきま
 筋交いと軸部の間に隙間があっても筋交い金物に所定通りの釘が打ってあれば構造上問題ないという考え方がありますが、写真を見る限り1センチ近く空いているようですので施工不良として取り替えてもらいましょう。

6、天井柱
 柱ではなく梁ではないでしょうか?いずれにせよ適切な補修が必要でしょう。

 工事の状況を見ますと、きわめてずさんな施工だと思います。住宅性能保証の検査では指摘をしても、補修した状況は見に来てくれません。またこのような施工ではほかにも不良箇所がたくさんあるのではないでしょうか、またこの先もたくさん起こりそうな状況が目に見えています。

 家は現場での作業が多く、補修がつきものです。私どもの設計監理する家でも多かれ少なかれありますので、気にはなりますが、適切な補修により解決できますのでご心配されないように望みます。ただしそれには今からでも第三者の監理者を選定して、設計の不備を検討され、良い方向にもって行かれることでしょう。上記で指摘した事柄は監理者が検討しなければならないことばかりです。
 10年保証の住宅性能保証制度は、建ってすぐに起こった欠陥については適用してくれません。建物の基本的な基礎や柱などの保証は3年目からです。

 住宅性能保障制度は、10年までの補修費用を保証するものです。初めの2年は保証機構から工務店に補修費用などはでません。その間は施工した工務店の費用で補修することになります。3年目以降は通常補修費用の8割分が保証機構から工務店に支払われます。
畔上 廣司 解説員 野田市の畔上です。

ご相談内容並びに状況写真を拝見した範囲内で回答いたします。

 基礎アンカーボルト・ホールダウン金物及び筋交いの緊結等、土台、柱の接合状況は修補できる状態に見えません。指摘された部分やその他問題部分が通常の施工改修される可能性は難しいでしょうし、隠蔽部となった後、いつ何時、手抜き工事や不具合工事となって発現するか全く不安な部分が残りますね。小生が工事監理者や検査員であった場合は、即刻に、基礎土台について究明調査及びやり直しを提言指摘することになるでしょう。

 この工事施工状況は(財)住宅保証機構の「住宅性能保証制度の基本構造部分10年間瑕疵担保責任義務」適用以前の問題であり、業者には、即時、基礎土台・木造軸組工事のやり直し(手直しはダメ)を提示交渉すべきであると考えます。ことの対処方法としては、木構造を理解し、監理技術がしっかりした第三者の建築士に調査を依頼されては如何でしょうか?

 住宅保証機構検査員は業者の工事施工状況と設計図書を含む自主工事関係書類が異なる場合は、登録業者に変更後の関係書類の提出又は訂正等の指示を行うことができます。また、去年より、現場審査の結果、是正に応じない場合は住宅登録が認められない等、審査が厳格になっています。(登録業者宛に戸建木造住宅用の「指摘内容通知書」を提示し、是正状況を確認することになっています。)

 なお、検査員は手直しの指示を行うと共に、直接現場において確認するほか、業者に記録写真等を提出させて再審査も行っていると思いますので、業者が現場審査依頼された事務機関にお問い合わせしたら如何でしょうか?
「失敗しない家造り」を目指して頑張って下さい。
 コメンテーター 
中川 雅実 コメンテーターの中川です。

写真を見せていただきました。
相談項目以外にも多くの問題があるように感じられます。(鉄筋のかぶり、筋違いに対応するアンカーボルトの位置等)これから長く住まわれる家ですので、構造に詳しい第三者の建築士に調査を依頼されては如何でしょうか?
(私が工事監理者立場であれば、この建物の基礎は再構築を指示します。)
 事務局から 
  荻原 幸雄 保障というものを過信するのみ危険です。
よく考えてみてください。昨今、「10年保障」が多く謳われていますが、この意味をよく理解してください。本来、この業界に問題が無ければ保障などいりません。しかし、人間のケアレスミスはつき物ですのでそのための保障は必要でしょう。この場合は電気製品のように「1年保証」で済むでしょうが、建築は手造りなのでまあ、2年程度が妥当だと私見ですが考えています。しかし、何故10年という瑕疵担保という法律ができたのでしょうか?

それほど、この業界は問題が多いということを意味しています。では、10年保障があっても11年で家が壊れた場合は逆に免罪符になってしまっているということもいえます。最近ではいろいろなところで「営業的な主張で」「20年保障」「30年保障」を謳っている業者も増えています。

昔からの民家は100年も200年も建っています。20、30年唱えたところで「こころを入れて建築されたものはそんな数字は何の意味も持たない。」唱えなくても30年40年もって当たり前だと考えます。逆にいえば「数字を多く出さないと信用されない」といくことかもしれません。30年以下のどんな保障でもそれ以上持たせるには信頼できる第三者の建築士に工事監理を依頼してみてもらうことが大切だと考えます。

検査員も人によっては「駄目工事再確認」にこない人もいると聞いています。
検査員に「いつ駄目工事にこられるのですか?」と聞いておいてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 先日は早速にお返事を頂きまして有難うございました。
大阪の津村様、解説員 野田市の畔上様、コメンテーターの中川様、事務局のおぎはら様、
皆様に相談にのって頂き、又よいアドバイスを頂きまして大変参考になりました。
早速工務店へ連絡を取り、今後のことについて今度話合いをすることになりました。
初めての住宅の購入で、自分がとても勉強不足だったことが今は悔やまれます。
又、欠陥住宅でこんなにたくさんの人が悩んでいるとは知りませんでした。
建築よろず相談は、本当によいHPだと思います。

今後も大変だと思いますが、皆様お体に気を付けて頑張って下さい。
お返事が大変遅くなり申し訳ございませんでした。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107