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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0618 基礎と設備について

 相談概要 [氏名] Y.Y
[居住住所] 茨城県潮来市
[相談建物予定地] 茨城県稲敷郡
[職業] 公務員
[年齢] 28
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 147.80
[延べ面積坪] 45
[工事請負金額] 1300
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] ハウスメーカー
[お名前] Sホーム
 相談内容 基礎の工法についての質問です。 私がこれから契約先として考えているハウスメーカーでは、通常のベタ基礎ではなく「スキルビス工法」というベタ基礎を反対にした(例えが悪いかもしれませんが、コタツをひっくり返した状態、つまり、コタツを支える足を天井へ向けた状態が通常のベタ基礎ならば、スキルビス工法はコタツを普通に置いた状態でその足と足の間に”EPS”という発泡スチロールよりも気泡の密度が濃いもの挟み込むのだそうです。)基礎を採用しており、基礎完成形は平らな四角形になり、その上に基礎パッキンを置くため土台との隙間が基礎パッキンの厚さとなるとの説明を受け、そのため床下の点検口がないとのことでした。

 そこで心配なのは、基礎の中に収まる水回りの配管工事です。もしも不良施工があった場合や後日の修繕時に対応できるか心配です。ハウスメーカー側では、『不良工事など起こさないようにしっかりやっています』との説明でしたが配管の不良施工があった場合、基礎内で水漏れイコール基礎の大規模修繕が想定され、この工法で問題ないのか疑問です。この工法が理に適ったものなのか(心配ないものか)、あわせて床下点検口の必要性と点検口がない場合のデメリットについてご回答いただければ幸いです。
 yorozuの感想 質問事例がまだ100問前後しかなかったときから拝見させていただいておりました。数多くの質問の一つ一つに親切丁寧にご回答され、その労力と姿勢には敬服いたしております。これまでの質問事例の中で私自身の疑問と重なる部分が多く大変参考となります。これからもこのHPを活用させていただきます。
今後ともこのHPの発展と先生方のご活躍を祈念しております。
アドバイザー 
久米 能子  久米と申します。

 ご心配になっている配管のメンテナンスのことですが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物の基礎はコンクリートで、床下のスペースなど無いものも沢山あります。ですから、本来はおっしゃるようにすべて配管のメンテナンスができるような状態が望ましいのですが、現実にはそこまで考慮できない建築物は、やはりコンクリートの下に配管されています。

 そのようなとき、私はプランニングの段階で、メンテナンス不可能となるような、コンクリートの下に潜ってしまう配管の距離ができるだけ短くなるように計画します。水周りは概ね外壁に面して設けられるので、配管をすぐに床下から外へ出してしまうようにします。

 また、配管の施工が完了した時点では、強い圧力をかけてジョイントなどから漏水が起こることが無いか確認するのが通常です。ですから、ご心配ならば、その検査に立ち会ったり、検査結果報告を求めたりされてみては如何かと思います。

 お考えのように例え点検口を設けたとしても、配管がみな、EPSのなかに埋もれているとしたら、人がもぐりこんで配管をチェックすることが出来ないのですから、点検口の意味はなくなってしまいます。

 万が一、漏水などの問題が起きた場合、床下がコンクリートで木造の部分がなければ腐食するということもありませんし、生活空間に水等が入り込むということもありません。もちろん、漏れ続けるのは問題ですから、各種メーターの使用量が急に異常に大きくなるようなことがあれば対策が必要でしょう。しかし、そのときは床下の配管を捨てて、露出であらたに繋ぎなおすなどのことになるのかもしれません。老朽化によって漏れが起こることは少ないと思います。むしろ、地震などの大きな力が加わったときが問題となると思います。地震対策用の配管ジョイントもあるようですが、例え配管がそのジョイントの採用で助かったとしても、配管が痛むほどの地震ということは、その他の部分も痛んでいると予想され、現実にはそのときになってみないと、地震対策用の配管をしていて意味があったかどうかわからないということになるでしょう。

 おっしゃるようなスキルビス工法というものを採用した現場を見たことがありませんので、基礎の構造についてはなんともいえませんが、注意すべきは配管の問題より、湿気の問題ではないかと思います。地盤から床高がどの程度上がっているのかわかりませんが、コンクリートの床でも、敷地の排水の状況や地下水位の高さによっては、湿気がかなり上がってくる場合も予想されます。そちらについての確認もされてみたほうがいいのではないかと思います。

 建物も完全、ということがありません。
 色々な状況を予想して大切な資産ができるだけ痛まないよう、また、人命にかかわることが無いよう、設計を行いますが、全てのケースにおいて対策が完璧ということは不可能です。
 何十年かに一度の大きな自然災害に対してどこまで対策をたてるか、またどの程度建物のメンテナンスを行うか、ということとコストを合わせて検討して限界ラインを決めて設計しているようなものなのです。いいもの、さらにいいもの、を求めたくなるのは人情ですが、一生全く問題の起こらない家など無いとお考えいただいて、どこまで手当てをされた家を造られるか、検討されるといいのではと思います。
氏原 毅士 氏原です。

 私自身の体験ですが、一般に排水管に利用される硬質塩ビ管は熱に弱く、給湯器から出湯する約60〜80度の湯で変形し吊金具を支点にして弓なりになっているのを見た事があります。
 最近では混合栓を用い、高温の出湯が直接排水となる事は少なくなってはいるようですが。
 それでも調理中、煮えた湯を流しに捨てるような事例は幾らでも有ると思います。こういった事例を踏まえ、私なら排水管を屋内のしかも基礎内に埋設するような設計はしません。
 
 給水や給湯管も同様に、最低でも床下収納装置を取り外して目視できるようまた、事故が起こっても点検、交換が可能となる様配慮します。
 電気配管などは呼線や既存の配線を使っての交換が可能ですから、ここまでの配慮は必要ないと思いますが。

 住宅は大変高価な買い物です。悔いの無いような設計施工をするべきです。また、基礎はいくらベタ基礎であっても地中埋設部分の働きは重要です。
 基礎によって排出される土量とその重量が上部構造とバランスし地震時の水平力に抵抗するのですから地表に乗せただけのコンクリート版は基礎とはいえないのではないでしょうか。
古賀 保彦  埼玉の古賀と申します。

一般的に考えますと、ベタ基礎下部に設置される配管(給水・給湯・追焚、ガス・排水)にはメンテナンス(目視確認や管の取替え)の可否や建物荷重の管への影響が懸念されます。給排水管から漏れ続けた水は地盤沈下を生じさせる事もあります。管が隠蔽されてしまうので後の確認ができないご不安はごもっともな事だと思います。床下点検口を設けても配管の全容は確認できません。

給水・給湯・追焚にはサヤ管ヘッダー工法など、後のメンテナンスが可能な配管方法がありますが、セットで採用されているのでしょうか?この場合でも配管曲がりや消音対策など気をつけなければなりませんが、正しく施工されれば在来工法よりはメンテナンス上の安心感があります。排水管はべた基礎下に設置せざるを得ないところでしょうが、ルート長によっては前記の懸念は残ります。キッチン流し台やバス・トイレなどの設備排水が最短ルートで外部に出るようなプラン的配慮が必要かと思います。そうすることで、改修しなければいけない場合でも手のかかる部分が最小限で済むと思います。

全体コストとの兼合い、施工の省力化、立上り解消による基礎強度の確保?などを考えての採用かもしれません。
実績・実験などで支障ないとの判断もあると思いますが、上記のような事前配慮を施工者にご要望されてはいかがでしょうか。
また、それでもご心配が解消されない場合は、他の基礎形式採用の可否などについてもご相談されたらいかがかと思います。
基礎形式の変更はコストアップになると思いますが、リスクとの兼合いで検討される価値はあると思います。

コストを考慮した上での検討になると思いますが、後々の事を考えて対処できるのは今ですので、施工者と良き相談ができますよう応援しています。 
 コメンテーター 
中川 雅実 コメンテーターの中川です。

 新工法と称して、構造耐力や設備に不安を残す工法が出てきていますが、建築センターの評定等の認めているか確認されて方が宜しいでしょう。

単純に考えて、こたつの中の地盤の地耐力(強度)はどの様に考えているのでしょうか?地表部分は盛土になり、十分な転圧を行って良好な地盤を構成しなければいけませんが、外周部のこたつの足に相当する部分に付いては、施工の配慮がなければ転圧は難しいです。

 親身に相談できる、構造に強い建築士を探されることをお勧めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 基礎コンクリートや1階床下と設備配管の関係は大変、重要です。
メンテナンスの心配があるからです。

下記の点にご注意ください。
1)全てをメンテナンスができるようにするのは窮めて難しい、故に設備の検査が必要です。
2)なるべくメンテナンスができるようにルートを配慮する。(床下収納の位置に集めるとか)
3)ルートを短くする。
4)基礎下若しくは基礎の中に打ち込まない。

と他にも細かいことではいろいろありますが、設計者とお打合せしてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早速のご回答、ありがとうございます。大変参考になりました。
Sホームと契約するにしてもしないにしても今後の建築計画に役立てたいと思います。
お忙しい中、誠にありがとうございました。
 その後  
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