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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0612 ハウスメーカーか建築家か?

 相談概要 [氏名] YE
[居住住所] 香川県坂出市
[相談建物予定地] 香川県坂出市
[職業] 団体職員
[年齢] 36
[男性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 45
[工事請負金額] 2800
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 次の2点についてご相談させてください。

1.現在床暖房を考えていますがその方法としてOMソーラー、温水式、電気式のどれかと考えています。この3つの方法の長所短所をご教示願えませんか。また、この方法意外にもよいのがあればご教示ください。

2.設計をお願いするのに、ハウスメーカーにするか建築家にするか、悩んでいます。それぞれの長所短所(特に家の自由度と金銭面について)をご教示ください。どうかよろしくお願いします。
 yorozuの感想 家は生活するうえで絶対的なものであるし、そう何度も建てたり購入するものではないので失敗は許されません。しかし素人にはわからない点がたくさんあり、戸惑ってばかりです。そんな時に貴HPのようにご指導いただけて本当に助かります。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

このごろは深夜電力を使った蓄熱式の床暖房をよく採用しています。オール電化の住宅も増えてきたことですし。

> 次の2点についてご相談させてください。
> 1.現在床暖房を考えていますがその方法としてOMソーラー、温水式、電気式 のどれかと考えています。この3つの方法の長所短所をご教示願えませんか。ま た、この方法意外にもよいのがあればご教示ください。

OMソーラー:プランに制約があると聞きます。総2階に近いプランになるよ うです。特定の建築業者の設計施工になります。
温水式:昔からあるオーソドックスな方法で、24時間暖房に向いています。
      配管の継ぎ手部分の破損が心配ですが、継ぎ手のない方法もあります。
      ランニングコストが安い。
電気式:おおまかに3通りの方法があります。24時間暖房するのか、局所暖房するのか、又、シート状、パネル状、蓄熱式などがあります。

ここでお話するには限度がありますので、M電工の床暖房カタログを参照してみてください。7種類の商品がありますが方式としては5種類です。
温水式か電気の蓄熱式がランニングコストでみるといいのでは。

温水式の場合は熱源をガスにするか、灯油にするか検討が必要です。使い方にもよりますので、住宅に詳しい専業の設計事務所に相談するとよいでしょう。

> 2.設計をお願いするのに、ハウスメーカーにするか建築家にするか、悩んでいます。それぞれの長所短所(特に家の自由度と金銭面について)をご教示くださ い。どうかよろしくお願いします。

長所の裏返しは短所で、短所の裏返しは長所です。その人の価値観で変わってきますが、特徴を少しお話します。

ハウスメーカー:あまり手を取らずに家ができる。メーカー選びに労力が必要。
 モデルハウスがあるので自分の家に近いタイプを見る事ができるが、展示場の家がかなりグレードがいい。設計施工なので工事中の監理が会社寄りになる。

建築家:選び間違えなければ、貴方の生活スタイルに合った家ができる。設計監理料を含めて総予算を考えると、金銭的にはどちらも大差ない(予算の範囲内で何処までやるかですが、この予算であれば建築家に依頼しても大丈夫だと考えます。
 手前味噌ですが、御相談2に関しては私のHPに載せていますので覗いてみてください。
野呂田 洋 名古屋の野呂田です。

まず、OMソーラーは方式としては空気式と呼べるかとも思いますが、そういう意味では、空気式はOM以外にもいろいろあります。そして正確には、OMは空気を利用した蓄熱式ということになります。

ところで、それ以前にOMと通常の温水式や電気式とでは、大げさにいえば住まい手に求める思想が違うといえます。前者はいわゆる自然エネルギーを有効利用したパッシブシステムです。 自然エネルギーを利用することの利点はここでは細かくは申しませんが、逆に自然が相手だけに完璧な制御は出来ないということは理解しておく必要があります。 それに対して通常の温水式や電気式は工業製品としてあるレベルの制御が出来ることが前提になります。
少々粗っぽい表現ですが、OMはその仕組みや思想を理解して共鳴できたなら大いに住まい手にとっていいものになるでしょう。使いながらも自然エネルギーのことや制御について学びながら楽しむことが出来る人にお勧めします。そんなことごちゃごちゃ考えずにスイッチポンで快適にしたい!という方は普通の床暖房がいいでしょう。

温水式と電気式の比較ですが、電気式はとてもシンプルでその部屋以外には特別な設備を必要としませんが温水式は温水を作るためのボイラーが屋外に必要になります。(ボイラーといっても普通の湯沸器ですが) ただ電気式は温水式にくらべて例えば長時間座っていた場所などが他よりも温度が上がりすぎてしまいやすくなります。温水式は温水が循環しているためそのようなことは起きず、低温やけどのような心配はほとんどありません。

ランニングコストについては電気式が高いと思われている方が多いかもしれませんがガスの温水式の方が高い例も多くあります(地域によってガス料金は大きく違う)。また温水式には灯油利用のものもありますが、これは当然ランニングコストはかなり低くなります。ただし、灯油の補充は面倒くさいですが。。。

OMの特徴として強調しておきたいのは、換気量が非常に大きいということです。そのため、ぜんそくのお子さんなどがいるところにはとてもいいと云われていますが、冬場の換気量が多いということは室内がとても乾燥しやすくなります。これは一概に長所とも短所ともいえませんが、加湿器を別途使っているお宅も多いようです。

2番目の質問に関連しますが、OMソーラーは基本的にハウスメーカーでは採用できないと考えてください。(機器だけでなく蓄熱体の構造が違うので)

以上、長くなりましたが。。。。家造りはなかなか大変なものですがとても楽しいものです。
めんどくさがりーなら、深く考えずにハウスメーカーに普通の床暖もいいですがなんだかせっかくの楽しみを失っているようで、つまらないですよね。。。
 気に入って納得して造ったものは意外と自分の許容範囲も広がるし、愛着もより出ると思いますが如何ですか?
 善養寺 幸子 善養寺です。

 OMが良いのかどの様な設備にしようか悩んでいるようであれば、ハウスメーカーと言う選択はやめた方が宜しいのでは?
 ハウスメーカーの場合は、工法構造、設備、仕様が限定されていますのでその範囲でしか自由度はありません。他のものを特別に入れたいなどと言うわがままを通そうとすれば、オプションではなく特殊対応などと言う高額な費用を請求されたりもしますので、理解した上で業者選定が重要です。

 OMの話ですが、OMとはハウスメーカーとは違うのですが、OMに加入した業者でなければ出来ないので、施工業者が限定されたりします。
 問題点とすればその部分が特に上げられます。OM技術はあっても意匠面や建築本体の技術面が必ずしも良いところとは限らないので、地域によっては気に入らない業者に限定されると言う問題があります。

 機能的な話をするとすれば、上昇しようとする熱気を6mは越える小屋裏から基礎までに吹き下げるのにそれなりの動力がかかります。あまり効率が良くないと私は思っています。躯体に高温の熱を流すことは出来ないのでダクトに通される温度がある程度抑えられています。その為、集熱パネルの集熱効率は温水のものより集熱力が下げられているため、同じカロリーを獲るのに高額なガラスパネルの数が倍必要になっています。全換気型なので、外気を全て受け入れてしまうため、外気の空気の良いところでは良いのですが、そうでない場合は考えものです。
 エアフィルターを設ける場合は、設置位置やメンテナンスの問題があります。
 夜は停止しますので、夜用、夏用と、実際には他に換気設備が必要です。

 夏は夜間換気が出来ると言っていますが、都市部では夏の夜の冷え込みが大きくないので、深夜3時過ぎにでもならないと屋根の温度が下がらない現実、あまり効果がないと言います。
 最近は高気密高断熱のOM物件も出てきましたが、もともと中気密化と言うことで建物の性能面では基礎気密を作っているだけで、全体の高気密高断熱の高性能建築というのは少なかった様に思います。建築的な性能を上げれば、そんな高額な設備をつけなくてもランニングコストの抑えた温熱環境は作れるように思います。 (OMを悪く言っている訳ではありません。)
 自然エネルギー利用での暖房給湯は他にも色々あります。工事費の補助金もありますので、省エネルギー設備に興味があるのでしたら(財)NEDOに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 床暖房については、我が事務所では施主が何と言おうが今はフローリングに電熱線の入った床暖房は使いません。ランニングコストが悪く、体感温度も悪いと言う反省からです。温水式も蓄熱型でないのは同様です。
 短時間だけの利用と割り切る方もいますが、別荘でもない限り意味が無いというのが私の見解です。高断熱高気密住宅を作るのであれば、低ランニングコストでの24時間暖房が将来の高齢化対応としても当然であり、その様な作りでなければ折角の性能が勿体ない気がしています。蓄熱型も色々あり、それはそれぞれの癖もあり価格も色々ですが、床暖房の採用の際は必ずこの蓄熱タイプにしています。
 初期投資は少々ありますが、低ランニングで24時間暖かい環境は住んでみて良い体感を味わう事ができます。

 設備を何にするかは、建築的な全てのトータルの計画の中で、よりベターなものを選定するもので、ただ寄せ集めてどうにかするのはあまり利口とは言えないように思います。よく解った方に色々相談して設計したらいかがでしょうか。
 うちでは最近、OMの様な基礎空調暖房を太陽温水を利用してやってみたりしています。送風ファンの動力を15W程度でまかなえます。色々あります。 
 コメンテーター 
堀住 勝雄 コメンテーターの堀住です。

 各解説委員の詳しい説明、ご理解いただけると思います。床暖房は大変快適で私もお奨めする方式ですが、蓄熱方式が良いか、立ち上がりの早い電気式の方が良いか、一番快適と思われる温水式か、生活が人それぞれに違いますのでご検討下さい。

 蓄熱式の場合、暖かい地域ではこんな声もあります、「昼間は家事をしている時に少し暑すぎるけれど夜の為には熱を捨てる訳にはいきませんので我慢している。」

 何れにしても冷房をする為には別の機器が必要になりますので、ヒートポンプエアコンが一般的になっている現在では二重の投資になります。
また方式に関わらず建物の基本性能(気密、断熱、日照の制御)を上げておかないと快適性が損なわれますし維持費にも影響があります。
 事務局から 
  荻原 幸雄 床暖房の選定は解説委員の見解を含め、総合的にご判断ください。
メリットもデメリットも存在します。メリットのどれがいいか?ということだけではなく
デメリットのどれが我慢できるか?ということも選定には大切です。
ハウスメーカーか建築家か?の選定も同じように何がいいのか?ということと何を我慢できるか?
が選択の基準になるかと思います。
ご自分の嗜好を知ることから始めてください。
簡単にメリット・デメリットよりも合うタイプの人柄を記載します。

ハウスメーカーを選択した方がいいと思えるタイプ
1.自分で間取りを書きたい人
2.全て自分で決定したい人
3.既製品が安心できる人
4.他人と同じじゃないと不安な人
5.めんどうくさいのが嫌な人

建築家を選んだほうがいいと思えるタイプ
1.空間を味わいたい人
2.会話が好きな人
3.自然を愛する人
4.他人と同じじゃ嫌だと思える人
5.家造りを楽しみたい人

どちらも選択しない方がいい思えるタイプ
1.全ての責任を他人の理由にしたい人
2.クレームをつけて利益のみに固執する人
3.家を車と同じ完全なものと考えている人
以上ご参考ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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