本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0610 床と壁の隙間

 相談概要 [氏名] I.N
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[居住住所] 東京都 多摩市
[相談建物所在地] 東京都 稲城市
[職業] 会社員
[年齢] 29
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(その他)
[築何年ですか?] 築 1年以内
[何階建て] 8
[お住まいの階] 6
[延べ面積m2] 94
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 4700
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[お手持ちの図面は何枚?] 3枚
[打ち合わせ何回] 1回
[マンションの総戸数] 400戸以下
 相談内容 現在、内覧会の最中です。(今週で再内覧会が終了しました。)
その中で、床面と壁の間の隙間について問題となっています。
まず床は、クッションフロア(等級:L-45)で床のコンクリート面に直接敷くタイプだそうです。
コンクリートにあたる面(床材の下側)はウレタンが5mm〜7mm程度接着されています。

壁は、通常の石膏ボードにクロスが張ってあり、床との接地面には巾木があります。
今回問題視しているのは、床面と壁のところを踏むと、ウレタンの厚さと同等の5〜7mm程度の隙間ができることです。
また、これらはフローリングの部屋すべてに該当します。
写真を添付いたします。

[業者の見解]
<内覧会>
業者の対応は、床材の性能を実物を使ってよく説明して下さいましたが、こちらで、デジカメで撮った画像を見せるとそこまで隙間ができるのはおかしい とのことでした。

<再内覧会>
前回の内覧会でも指摘していたので一部直っていました。
しかし、その個所の左右はそのままでした。担当者に床材の性能上隙間ができると、伺っていたので直るのが不思議でした。どのように直したのか伺うと、担当者も解らなく業者に問い合わせるとのことでした。(私は、全体的に直して欲しいのですが、業者サイドでは仕様ですので一軒だけ直すことは出来ないと、部分的に直しているにも関わらずよくわからない対応もしたりします。)

[相談内容]
本当に仕様であればそれでいいと思っています。
第三者の専門家から見て、どう思うのか教えてください。
また、同じ構造のマンションで同様の現象があるのかも教えてください。

それと、すべて直った時の心配なのですが、壁際が硬くなっても壁から離れたところは沈みます。本棚など重いものがフロアの内側に傾くことが予想されますが、大丈夫でしょうか?この辺りを考慮すると全体的に沈んだ方が良いような気がします。

それではよろしくお願いいたします。





 yorozuの感想
アドバイザー 
木津田秀雄 木津田です。

 基本的に最近のマンションでは、階下への音の問題を重視しているためこのようなフワフワのクッションを合板の裏に張ったフローリングを使用しています。コンクリートに直接張る場合は、フワフワの差は多少ありますが、このような建材が使用されるのが普通ということになります。

 巾木部分を固定すると、その部分から壁に振動が伝わり所定の遮音性能を発揮することができません。ですからこのように巾木と床は離れるようにするのが正しい施工だと思われます。(正確にはそのメーカーの施工要領書を見なければいけませんが)

 最後の写真のように接着剤で床と固定することによって、床の音が伝わりやすくなりクレームになった場合は、施工要領書通りの施工をしていないことが問題になります。

 当然重たい物を置けば、廻りは凹みます。

 現在殆どのマンションではこのような複合フローリングにクッションをつけた物をコンクリートの床に直に貼っています。踏み心地は非常に悪い物だと思います。
きちんと床を15cmくらいコンクリートから上げてそれなりの処置をすればこのようなクッション付きのフローリングを使用することなく遮音性能も確保でき、また踏みここちも良いものがつくれます。またその場合には無垢材を使用することも可能です。しかしその15cmを10階分確保すると、それぞれの階高が高くなって11階建てが10階建てになる場合もあります。それでは儲けがでません。

 どこのマンションデベロッパーもこのようなきちんとした床組をすれば、まともな床ができるのですが、残念ながらどのマンションデベロッパーも直接コンクリートに張る複合フローリングで施工しているのが現実です。またそのマンションが売れているので、それでよいと思っているのだと思います。カーペットの床仕上げが一斉に無くなったのと同時に、このようにきちんとした床組をつくることが業界の常識になれば良かったのですが、残念ながらクッションをつけた複合フローリングが主流になっています。カーペットが無くなったのは、ダニなどの問題が指摘されたからですが、このフワフワのフローリングについても、健康上の問題などが指摘されれば一斉に変わるのかもしれません。(健康上の問題の有無については、私は判断できませんが)
山口 雅克 解説員の山口です。

 ウレタンクッション付きの木製床材は珍しいものではありません。この材料は下の階への防音対策として使われています。工法と仕様は高級なグレードではありませんが、今の処、一般的なのかもしれません。

 確かに御指摘のように脚が載っている部分は下がります。その下がり方は表面の板材の厚みにもより変わってきます。隙間が大きいところはたまたまコンクリートの高さが少し低かった所だと思います。その部分の修正漏れではないでしょうか。

 重たい家具などを載せても、家具全体で重量を床に伝えますのでので凹みなどは想像ほどではありません。(四つ足などのものは別です)壁廻りを固めるのはお薦めではありません。傾きや音の伝わり方に影響があるからです。
 清水 煬二  こんにちは。解説委員の清水です。

マンションの防音フローリングは、ご指摘のようにふわふわ沈みます。遮音等級が良くなればなるほどそうなるのです。

それを防ぐ為に、沈むと具合の悪いところには、下地を入れます。壁際や、ジョイント部分、ピアノなどの重量のあるものを置く場合です。その部分に下地を入れませんと、床材が割れてくることもあるからです。しかし、これを入れれば入れる程、遮音効果は減っていきます。

ご指摘の壁際は、通常は裏のクッション材を3センチほど剥がして、合板などをその部分に入れて沈まないようにします。これが、ここで言う下地です。合板でなければ、そのために作られた押しピンを入れることも多々あります。

お話からすると、この入れ方が足りなかったのではないでしょうか?
少し直ったというのは、想像ですが、フローリングに1ミリ程の穴をあけ、エポキシ樹脂でも注入して固めてみたかも知れません。フローリングの穴は、後から見ても全く分からないように補修はできます。
しかし、これで多くの部分を補修していくのは大変でしょう。
他に、剥がして補修すればもちろん直すことができます。

あなたの対抗手段としては、床材のメーカーのコメントか見解を直接頂くという約束を取り付けることです。通常は合板などの下地を壁際には沈まないように入れることが多いのが普通です。その施工指導を合板メーカーがしているならば、施工不良と言えるはずですし、施工業者も認めざるを得ないでしょう。

メーカーに、それは必要ないと直接言われれば、対抗は難しくなるかも知れません。しかし、通常の使用で不都合(沈むという現象ではなく、それによって割れてきたり床なりがするなどの不具合)が生じてきたら、業者なりメーカーに責任を問うことはできるはずです。
 コメンテーター 
野呂田 洋 コメンテーターの野呂田です。

解説員の方々のコメントにありますように現状の材料ではある程度沈み込むのはやむを得ない、ということになります。 あとは程度問題の話になりますが、全部を改善するように要求するよりも、どうしても妥協できない部分(実用上支障がある部分)に絞って交渉する方が現実的かと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 仕様がどうなのかを図面から把握する必要があります。
また、現場を見ませんと的確な解説はできませんが、通常のフローリングのイメージがありますから違和感があるのは仕方ありません。また、家具が歩行時に揺れるという欠点はあります。

壁際では仕様に寄っては固めたりする場合もあるでしょう。しかし、それはそのようなグレード(仕様)ということです。

施工者にその仕様を再度確認ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107