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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0597 「10年保証住宅」と記載されている

 相談概要 [氏名] T.S
[居住住所] 兵庫県尼崎市
[相談建物所在地] 兵庫県尼崎市
[職業] パート
[年齢] 29
[女性] on
[構造] 混構造
[築何年ですか?] 工事中
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 87.94
[工事請負金額] 3380
[様態] 建売り住宅
[施工者] 建設会社
[検査済証は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 5枚
[打ち合わせ何回] 打合していない。
[床面積] 90m2以下
[施工者名] E建設
[販売会社名] Cハウジング
 相談内容 今、工事中の建売住宅を購入予定していますが、広告に物件が載ったとき「10年保証住宅」と記載されていて、安心し、作りも1階が鉄骨(後は木造)で和風な仕上がりになると言うことで気に入りました。
手付の段階で気付いたのですが、「10年保証」とは、瑕疵の部分のことで、財団の検査済みの10年保証では、ないのことでした。

[業者の見解]
 こちらが、工事中ということなので、任意で検査を受けたいと申し出たところ、半分以上出来上がっているので、出来ませんと、言われました。10年間利子が返ってくる制度などをご存知の上での無検査ですかと、尋ねると、「ここは(市名)基準が緩い地域なので、どこも同じですよ、かなり大きい家でないと検査は受けません」といわれました。

自信がないから検査を受けないのではないのですか?と言っても、建築会社からの10年保証があるから大丈夫だともいわれました。
それに、この市は、56平米以上あれば、市からの利子控除が3年間うけれます。
市の検査も受けていなく、「市の検査は細かいところまで、検査しませんよ。それならば、メーカーの10年保証で充分」と、いわれました。

[相談内容]
こういう、制度を知っておきながら検査を受けない業者に疑問を感じす。
まだ、手付の段階なので、不安が残るようだったら、損をしても、契約破棄したいと思います。
 yorozuの感想 手付を打ってから色々と疑問が沸いてきて、ここのHPを知りました。
もっと早くに見ておけば良かったと、後悔するものの、見つけれて良かったと、思いました。 解説も親切なので、安心しています。
アドバイザー 
久米 能子 ご相談の内容からはどこまで工事が進んでいるのか分かりませんが、何れにしろ、市の検査も受ける予定がないということは、検査済み証をとれない建物ということではないのでしょうか。
市の検査は建築基準法に抵触していないという、建物の検査としては最低ラインのものです。それすらも受けないという状態では、建物の内容そのものに不安をおぼえます。違反でなければ、検査済み証の取得は当たり前のことです。
(1階が木造ではない3階建てなので、尼崎市の中間検査は義務付けられてはいませんから、対象となる検査は完了検査だけです。)

もっとも、竣工した建物そのものが違反になるような内容ではなく、当初の届出の内容と些細な部分で工事中に変更がでて、それで申請の取り直しなどになることを面倒がって、検査を受けることを嫌っているケースも稀にあります。どういう理由で受け られないということなのか、もう一度説明を求めてみてください。

業者のいう10年補償とは、建設業界で通常の契約書にうたわれる、瑕疵に対する補償のことでしょう。品確法により平成12年4月以降の契約については、住宅の基本構造部分についてその期間が10年となったのはご存知のとおりです。
住宅保証機構の10年補償というのはこの品確法の制定の以前からあり、財団が独自に行ってきたものです。この財団に登録している業者でなおかつ、初めに財団の保証の対象にしたい住宅を事前に申請しなければなりませんから、今からその財団の検査
を依頼することは、工事業者のいうとおり、出来ないのではないかと思います。

直接、工事業者にたずねてもらちがあかなければ、確認申請書の工事監理者となっている設計事務所に問い合わせをしてみられるのもいいでしょうし、別の信頼できる建築士にご相談になってもいいでしょう。市役所の建築審査課に行ってみて、どのよう な申請状況になっているのかを確認してみるのもひとつの方法です。

一生住まわれる家ですから、疑問を残さず、納得してことを進めてください。
余談ですが、異種構造の組み合わせの建物は構造的な注意がとくに必要です。むやみに不安をあおるつもりはありませんが、どうしてもその物件を希望されるならば、その件のチェックもあわせて建築士にご相談されることをお勧めします。
長谷川 明弘 私もこの業者が、行政の検査を受けないことに、非常に疑問を感じます。行政の検査を受けない場合、かなりの確率で違法建築になっているのが現状です。そして欠陥を呼び起こすようなこともあり得ると思われます。まずその業者に検査済み証を取ることは絶対条件にすることをお薦めします。

あと10年保証と言う言葉も単純にそこの会社が10年保証と言ってるだけと保証会社(性能保証住宅登録機構など)で行っている10年保証とはまったく別物と御考え下さい。その会社が言ってる10年保証はその会社が倒産したらおしまいです。その点、保証会社はある意味保険なので、例え建設会社が倒産したとしても保証会社が保証してくれます。

最近はそのような保証会社に登録されている業者さんに依頼するケースが増えているのも事実です。じっくり御考えになり、そのまま契約するのか、解約するのか御判断してください。

久米さんがしっかり説明されてますので、短くしました。
 善養寺 幸子  市の利子補助を受けたいとお考えでしたら、どの様な内容の物が受けられるのか、今手付けをうっている物件がどうすればその対象になるかを、役所の担当課に行って直接具体的に聞いてみてください。その上で、その内容に適合し利子補助を受けられるよう手続きをとることを指示してみてください。それに従わないようであれば、物件に問題があるものとみなされても仕方ない事だと思います

 10年保証は義務化されましたので、保証協会などの保険に加入しているかいなかは各業者のリスク回避の経営上のそれぞれであって、保険に加入していなくても保証しなければなりません。うがった見方をすれば、『保険金がでるからそれで出来損ないは直してやる。基準法に適合させるには自腹だから嫌だ。』と言う風にも感じます。

 必ずしも保険イコールそれが安心とは言えないと思います。
 瑕疵保証については制限がありますし設備などは3年ですから、何もかも10年保証してくれると思われがちですのでお気を付けください。
 それより、建築基準法上の検査を受けると言うことは、簡単ではありますが第三者が検査をする最低の部分ですから重要に思います。
 構造上の瑕疵は10年保証するとなっていますが、その10年間に震災などなく10年過ぎて地震に見舞われ耐震性がなかったことが判っても遅すぎるのではないでしょうか。
 最低限の建築基準法を役所は検査しますから、耐震性に問題があれば指摘するでしょう。
 それより工事が半分終わっているから検査は受けられないと言うのもおかしな話です。
 もう少し強く言って、役所からも買い主が検査を受けたいと言っているのにどう言う事だと指導してもらって、それでも対応に誠実さがないようでは考え直した方が良いかもしれませんね。

 利子補助を受けたいのであればその旨、伝えてそれに適合する住宅を設計事務所に設計していただいた方が良いのではないでしょうか。
 私もマイホームを東京都から10年利子補助を受けています。総額にすると結構な金額になりますからそれを受けないのは勿体ない気がします。
 ですから、私などはこちらから奨めて、国、都、区、財団など受けれる補助金は全て受けれるようにしています。このところは少なくとも60万円、多い方は500万円近く補助を頂いております。建築基準法を守って合法的に建てれば、ちょっとしたお得もあるから真面目に建てましょうと言っています。
 高い買い物をするわけですから、そう言うお得は受けたいですよね。 
 コメンテーター 
関口 啓介 解説にもあるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による「瑕疵担保期間の10年」(義務化)と、(財)住宅保証機構が以前から実施運営している「住宅性能保証制度」はまったく違うものであります。業者が広告でうたった「10年保証住宅」は、現実には、 法律で義務化されたものであり、紛らわしい表現でありますね。(財)住宅保証機構の検査は基礎配筋から始まりますので、これから検査を受けるのは無理でしょう。
 しかし、役所の検査は慣例で受けないなどの説明は、受け入れられるものではありません。

市の利子補給の件も、有るとの事ですから、受ける事をお勧めします。
また、受けれないのであれば、施工や、監理に問題があると思われても仕方がないと思われます。
その場合は、引き返す事も、重要であります。
諸解説委員の、解説を参考に、よくお考え頂けると良いかと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 10年保証制度にはいろいろあります。
畔上解説委員の資料を参考にして今後の判断としてください。

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はじめに、
 平成11年6月23日に公布された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」は平成12年4月1日に施行され,「住宅性能表示制度」は平成12年10月3日からスタートしました。この法律は「住宅性能表示制度」(任意)と「瑕疵担保期間の10年」(義務化)の二つの大きな柱があり、これに、住宅に係る紛争処理機関や支援センターの整備ということで構成されています。

この法律の目的は,住宅の品質確保と消費者保護です。「瑕疵担保期間の10年義務化」は住宅の欠陥に対する保証を充実させ、「住宅性能表示制度」は住宅の性能を明らかにし,きちんとその性能が達成された住宅を引き渡す仕組みです。
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●「建築基準法」と「住宅の品質確保の促進等に関する法律」は別の法律です。
「建築基準法の性能規定化」という表現から,建築基準法の改正と「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度を混同されている場合があるようですが、この二つは全く別のものです。

●他の法律や制度との関係で建築基準法の改正及び「住宅の品質確保の促進等に関す法律」の制定により,「○○保証」「性能○○」など,類似した語感の用語が出てきて混同される場合があります。また,(財)住宅保証機構が以前から実施運営している「住宅性能保証制度」や「住宅完成保証制度」もあり、混同される場合があります。

●住宅性能保証制度及び住宅完成保証制度は,(財)住宅保証機構が実施運営している制度で,「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく制度ではありません。
様々な誤解は,これらの用語を正しく理解する必要がありますね。
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建築基準法に関連する用語      ・性能規定化
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住宅の品質確保の促進等に関する法律に関連する用語
・性能評価,性能表示(住宅性能表示制度)
・瑕疵保証(瑕疵担保期間の10年義務化)
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建築基準法や品質確保促進法などの法律に基づかない制度に関連する用語
・性能保証(住宅性能保証制度)
・完成保証(住宅完成保証制度)
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10年間の瑕疵担保責任(品確法)は、と言うことでお話しすると、

 住宅品質確保促進法によって、住宅供給者(工務店、住宅メーカー、分譲会社など)に対して、全新築住宅の瑕疵(かし)保証を10年間にわたって行うことが「義務づけ」られています。保証内容は次の通りです。

1.保証対象は基本構造部分。具体的には木造軸組工法の場合、基礎、土台・柱・梁などの軸組躯体部分、床、壁、小屋組および屋根など。
2.欠陥があった場合に建主等が請求できる内容は補修請求又は賠償請求が可能であり、売買契約で修補不能な場合に限り解除できる。なお、契約書等で請求等に関して建主に不利になるような特約は設定できない。
3.瑕疵担保期間(欠陥等に関して建主が施工業者に請求できる期間)は、完成し引き渡ししてから10年間。また、任意で特約を結べば、基本構造部分以外も含めた瑕疵担保責任が20年までの伸長可能。
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 いくら基本的構造部分に関して10年保証が施工業者に対して「義務づけ」られていても、業者が不誠実だったり倒産してしまった場合、保証が受けられなくなる場合も出てきます。そのような時、(財)住宅保証機構等の性能保証制度と完成保証制度の必要性が出てきます。
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次に、
●住宅性能保証制度は,昭和55年から(財)住宅保証機構が実施運営している制度で,
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が整備される以前から存在する仕組みで,
 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく仕組みではありません。

●住宅性能保証制度は,施工段階の検査を実施した上で,(財)住宅保証機構の作成した住宅性能保証書を住宅供給業者等から住宅取得者に対 して発行し,その保証書に基づく長期の性能保証と不具合が発生した場合の補修費用に係る保険制度による担保措置がセットとなった仕組みであり、

1.施工業者が、保証をバックアップする機関である「(財)住宅保証機構」など、住宅 保証機関に登録しているかどうかを確認。登録業者であれば、10年間の保証期間中に倒産したとしても、保証の対象となる箇所の補修費用から免責金額を除いた額の80%が保険金等として支払われます。
2. 登録業者であることを確認し、業者に対して住宅保証機構の10年保証住宅とする旨を依頼すると、後の手続きはすべて業者が対応してくれます。
3. 業者は10年保証住宅の依頼があれば、その住宅を住宅保証機関に登録しなければならず、 建主は登録業者が建てる住宅の登録申請を行ったかを確認する事になります。
4. 設計が住宅保証機構の設計施工基準を満たしているか確認、基準を満たしていれば着工し、基準にそって施工されているかを確認のため、住宅保証機構の専門検査員による「現場審査」が実施されます。検査は基礎工事の鉄筋配筋工事完了時期と屋根工事完了時の2回が行われています。建主もその審査に立ち会う事もできます。
5.現場審査に合格し、住宅登録も完了の後、 住宅引き渡し時に建主に対して10年保証住宅としての保証書が渡される事になります。(保証者が住宅取得者に渡します。)

 上記は注文建築等の場合ですが、分譲住宅は販売会社か施工業者どちらかが申請を行い、申請者が住宅の保証者となります。
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●住宅性能表示制度と住宅完成保証制度とは,直接の関係はありません。
 住宅完成保証とは,住宅建設工事を請け負った業者が工事の完成前に倒産した場合であ っても,施主ができる限り当初の契約金額のみの負担で住宅建設工事を完成できるよう にする仕組みで,住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく仕組みではありません。

●(財)住宅保証機構の住宅完成保証制度では,住宅建設工事請負業者の倒産等で工事 が中断した場合,(財)住宅保証機構が,代替履行に向けて工事を引き継ぐ業者を斡旋し,増嵩(割高になった)工事費用を保証し,前金払いの損害保証も行う仕組みです。
この (財)住宅保証機構の住宅完成保証制度を利用した場合,住宅金融公庫の中間資金の早期交付のメリット等もあります。

● 「建築基準法の性能規定化」とは,建築基準法の国際化に伴い,建築物の基準を従前の仕様規定(どんな材料をどういった寸法で使うかといった基準)中心の体系に, 性能規定(建築物に対する要求事項として,例えば構造性能や耐火性能がどの程度の性能をもっているかという基準)も追加する改正を建築基準法について行うことをいいます。

  住宅性能表示制度は,建築基準法以上の性能を表現するものです。建築基準法は,建築物の最低限の基準を定めて,この基準への適合を義務付ける法律であり,建築物の構造の強さや火災時の安全性などについての規制を行っています。
 建築基準法は義務であり強制ですが,住宅性能表示制度は任意の制度です。

 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能表示制度において表示すべき事項は,こうした建築基準法の規制の対象となる項目と重複するものだけでなく,省 エネルギーやバリアフリーなど独自に定める項目もあります。

   建築基準法の規制対象となる項目と重複する表示項目については,建築基準法で定める基準に適合した上で,さらにどの程度これを上回り高い性能を有するかといった観点 から評価するものです。

  従って,建築基準法に適合しない住宅については,住宅性能表示制度における建設住宅性能評価書は交付されません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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