相談概要 | [氏名] N.S [居住住所] 宮城県仙台市青葉区 [相談建物予定地] 宮城県仙台市青葉区 [職業] 主婦 [年齢] 43 [女性] on [構造] 鉄骨造(ラーメン構造) [設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士 [何階建て] 3 [延べ面積m2] 200 [延べ面積坪] [工事請負金額] 4500 [様態] 注文建築 |
相談内容 | 屋根の勾配と外壁のことについて教えて下さい。 市内に鉄骨造の3階建を計画中です。屋根はガルバリウム鋼板で、形状は片流れ、勾配100分の5となっています。それほど雪が降る場所ではありませんが、去年は何年ぶりかで市街地でも10センチ以上の積雪が何度かありました。この程度の勾配で大丈夫でしょうか。一応、雪止め金具はついています。 外壁は、ガルスパン(防火仕様のガルバリウム鋼板だと思います)と、窯業系サイディングの組み合わせになっています。ガルスパンについては、メンテナンスが大変楽で、塗り替えなども10年以上必要ないと聞いています。一方、窯業系サイディングは5〜7年で塗り替えなどの必要がでてくると聞いています。北側部分でそれほど目立たない部分なので、もう少し長く我慢できるでしょうと建築士はいうのですが、見た目だけの問題でなく、内側に水が入ったりということになると厄介ですし、メンテナンス時期の違う材料の組み合わせということに関して、ご意見をお聞かせいただければと思います。 |
yorozuの感想 | 分野を分けて相談を受け付けているのが、とてもわかりやすくてよいと思います。 家は大変大きな買い物で、完成までには様々な決断を下さなければなりません。自分がお願いしている建築士の方とご相談しながら進めていても、別の専門家の意見も伺ってみたいということはあると思います。建築士はまだまだ身近な存在とはいえません。 こういう形でボランティアでご回答くださる先生方には、心から感謝します。どうぞ宜しくお願いいたします。 |
アドバイザー | |
三浦 惠翁 | 千葉の三浦です 一概に屋根はガルバリウム鋼板、外壁は窯業系サイディングと言われても、その種類品名により耐久性能では2.3倍の開きがあります。亜鉛合金メッキ鋼板、カラーGL鋼鈑、フッ素鋼鈑、等呼び方は違いますが、みなガルバリウム鋼板を原板に加工を施したものです。保証期間も異なります。メーカー名、品名、型番は何を使うのかはっきりさせて貰いましょう。窯業系サイディングに付いても同じことがいえます。 メーカー側建築士は素人が聞きなれない材料名を故意に使い、如何にも高級品を使うように施工価格を誤魔化すのは常等手段です。注意してください。お尋ねの屋根勾配ですが、雪止め金具を付けるのであれば積雪対策としては問題ありませんが、特に昼 夜の温度差の大きい所では、ツララの落下箇所も考えに入れて、屋根形状には注意が必要です。メンテナンス時期の違う材料の組み合わせについては、外壁塗装には足場仮設費用がかかります。メンテナンス時期は揃えましょう。 参考 通称 亜鉛合金めっき鋼板 アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板 Mシリーズ 商品名 ガルバリウム鋼板 一般名称 55%アルミニウム ・亜鉛合金めっき鋼板 原板 冷延鋼板 耐食性 塩水噴霧試験 JIS Z 2371による 赤錆発生までの時間 めっき付着量;AZ150 2,500〜3,000時間 保証制度 なし わが国では1982年に大同鋼板が最初に製造販売を開始した。 海外では30年以上の実績があり、亜鉛鉄板の3〜6倍の耐久性がある。 当該JIS (JIS G 3321) 防火認定(建設大臣) 不燃(個)第1727号 通称 カラーGL鋼鈑 Cシリーズ 商品名 耐汚染性カラーグリップGL 一般名称 塗装ガルバリウム鋼板 原板 ガルバリウム鋼板 塗料樹脂系 ポリエステル樹脂 耐食性 塩水噴霧試験 2,000時間 異常なし 初回メンテナンス 塗替え時期の目安 一般地域 11〜15年 保証制度 年数 (10年) 内容 赤錆 特長 新塗膜架橋方式の採用により雨筋汚染(シーリング材複合汚染)の拭取除去が可能になる。 当該JIS (JIS G 3322) 防火認定(建設大臣) 不燃(通)第1728号 通称 フッ素鋼鈑 商品名 エバーフロンGL 一般名称 フッ素 塗装ガルバリウム鋼板 原板 ガルバリウム鋼板 塗料樹脂系 フッ素樹脂 耐食性 塩水噴霧試験 10,000時間異常なし 初回メンテナンス 塗替え時期の目安 一般地域 20〜30年 保証制度 年数 20年 内容 塗膜のひび、はがれ、 変褪色 最高級のフッ素樹脂塗料を使用。ガルバリウム鋼板を原板に使用することにより耐食性が飛躍的に向上。 当該JIS (JIS G 3322) 防火認定(建設大臣) 不燃(個)第11671号 |
中川 雅実 | 中川です。 ガルバリウム鋼板について。 ガルバリウム鋼板は、通称トタン板(亜鉛メッキ)とかブリキ板(錫メッキ)とは違います。 新素材の「アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板」です。 アルミニウムの特質(耐食性、加工性、耐熱性、熱反射性)と、亜鉛の特質(鉄に対するガルバニックアクション効果)による新素材です。 従来の亜鉛メッキ鋼板の3〜6倍の寿命で、通常地域で20年の素材保証があります。 |
星 裕之 | 屋根がガルバリウム鋼板葺とのことですが、これは材料の名前で施工方法を示したものではありません。勾配から察すると「VVVVV」このような形をした折板葺(ルーフデッキ)ではないかと思います。メーカー施工推奨勾配は3/100〜5/100ですのでそのもの自体は雨雪等には充分対応できると思います。 勾配よりもパラペット部などの他部位との取り合いに注意し,雪解け水などがさしていかないように設計施工に配慮してください。また屋根の強度は折板を支える材の間隔で決まりますので、製品仕様・構造図を確認の上、実施設計段階でご確認ください。 外壁ですが、他の材に比べかなり耐久性が高いのが特徴です。また断熱材を挟み込んでありますので、外壁に他の材料を併用するのはちょっと不思議な感じがします。サイディング部分の断熱はどうするのでしょう? サイディングやヘーベル等は、多少の防水性能はあるでしょうが、メーカーでは表面塗装や下地の防水シートで防水を行うことを推奨しています。初期コスト重視なのか、メンテナンス費用重視なのか、それとも異種材料使用による表情の豊かさを求めるのか、もういちど設計者とご相談してください。 |
コメンテーター | |
宮坂 英司 | わたくしの住む地域(岐阜担当ですが、愛知県在住です)では豪雪地域ではないので経験的には不足ですが、ガルバリウム鋼板で100分の5の勾配というのは、大きな問題とはならないと思います。御安心下さい。 ガルバリウム鋼板はメンテナンスが非常に楽な素材です。耐久性も高いと言われています。外壁に用いる材料が異なればそのメンテナンス時期も異なります。その時期その時期でしっかりメンテナンスをしてあげて下さい。建物も喜びます。 また、外壁の材料が異なる場合も、それに対応した設計を施す事によって、水の侵入も回避できるでしょう。 御担当の設計士さんと十分打ち合わせをして、すばらしいお住いができるようにがんばって下さい。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 感想に「建築士はまだまだ身近な存在とはいえません。」とありますが、建築士はほとんどの家造りにいなければならない独占業務です。実際に必ず関わっているはずです。 しかし、残念ながら「建築士が裏に隠れて出てこないケースがあまりに多い」ということです。建築主と会わないで設計などできるのでしょうか?不思議です。 家造りに「建築士の顔を知らない」家造りは「心の入らない家造り」と同義語です。 悲しい現実ですね。(^^;)ゞ わたしもガルバリウムが好きでよく使います。使い方によれば自然ともマッチしますし、優れた素材だと考えています。家づくり楽しんでください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | お忙しいなか、早速のお返事ありがとうございました。 同時に複数の専門家のご意見を伺えるのは、わたしたちにとっては本当にありがたいことです。 担当の建築家からひととおりの説明を聞いていても、何となく納得していなかったことが、今回他の方からご説明いただいて「そういうことだったのか」と合点がいったり、やはりこの疑問はもう一度ぶつけてみようと再確認したり、考えもしていなかったことを気づかされたり、とても参考になりました。 本当にありがとうございました。 |
その後 |
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