相談概要 | [氏名] S.N. [相談内容:] 近隣のトラブル [居住住所] 宮城県仙台市青葉区 [相談建物所在地] 宮城県仙台市青葉区 [職業] 主婦 [年齢] 43 [女性] on [構造] 鉄骨造(ラーメン構造) [築何年ですか?] − [何階建て] 3 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 約65 [工事請負金額] 4500 [様態] 注文建築 [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] - [検査済証は有りますか?] − [お手持ちの図面は何枚?] 50枚以下 [打ち合わせ何回] 15回以下 [床面積] 250m2以下 [施工者名] [販売会社名] [設計者名] H総合計画 [監理者名] H総合計画 |
相談内容 | [現象] 近隣商業地域に3階建てを計画、実施設計も終わり、施工業者を決めるための見積り中です。 当該地域では、3階建ての住宅も、建築計画の告知看板を立てた後1か月経過しなければ確認申請を出すことができない決まりになっているらしいのですが、建築士がそのことを知らなくて、確認申請に出かけたときにそのことを聞いて、あわてて看板をかかげ、近隣に計画概要のポスティングをしたところ、北側隣地の住人から、日照権の件で苦情がきて、計画を変更せよといってきました。 一度は、建築士と一緒に話し合いに行きましたが、交渉は決裂し、相手方弁護士から、計画変更しなければ、建築中止の仮処分の可能性もあるという内容証明が届きました。 土地は西側7M公道に10M面し、奥行約15Mです。南隣は、土地売主の自宅で、奥行12Mくらいまで境界ギリギリに2階建が建っています。北隣もやはり、境界からギリギリ(50センチくらい)のところまで、奥行いっぱいに2階建が建っています。わたしたちは、南側からの日照を得るため、北側に建物を配置し(境界より65センチ)3階建を計画しました。南側は、ガレージと玄関、小さな庭になっています。 道路をはさんで向かい側はすべて3階建、3軒くらい隣からは、3階建て以上の建物(マンション)が並んでおり、わたしたちは、将来のことも考え、3階建てに決めました。北側隣地の方は、6年くらい前に売家を購入したそうですが、そのときすでに奥行の東寄り1/3は、全く日照がない状態で購入されており、その分相場より格安でもあったそうです。北側隣地の住人は、ガレージを北側に移動せよ、建物の配置を変えよなどの要望をしています。 [業者の見解] 弁護士に相談。 [相談内容] 自分の家の日照を犠牲にしてまで、他人の日照を確保しなければならないとは思いません。しかし、今後の長い近隣関係を思うと、できるだけ穏便にすませたいのは当然のことです。 この問題が起きたため、施工業者との契約もできずに、着工も大幅に遅れそうです。 やはりここまで来たら、弁護士を通した話し合い、それもダメなら裁判というような ことになってしまうのでしょうか。仲裁をしてくれるような公的な機関はないのでしょうか。 また、建築プランの変更が必要になったとき、その費用はどうなるのでしょうか。建築士にとっては、二度手間になるわけですが…。 |
yorozuの感想 | 家を建てることになったとき、こちらのHPを見て、ハウスメーカーではなく、建築士にお願いしようと思いました。何かあったときには、頼りになるページと思い、お気に入りに登録していましたが、まさかこんなことでご相談することになるとは…。 |
アドバイザー | |
善養寺 幸子 | 逆の被害者の立場で、調停になったことがありますが、北側の訴えは聞いてもらえないと言うのが最近の情勢です。 ましてや、近隣商業地域ですので裁判にしても全く北側の人に勝ち目はありません。 なぜかと言えば、一昨年*でしたか建築基準法で日照の確保は法律からなくなりました。(*解説当時) 採光(直射日光ではなく、部屋が照明をつけなくても見える。)の確保だけすれば良いことになり、それも自分の家の採光は自分の敷地や建物の作り、自己責任で行う事としています。ですから、他力本願な言い分は通らないと言うのが今の法律と言えるかも。 近隣商業地域の3階ですから、最高高さ10mを越えなければ中高層予防条例に引っかからなかったと思いますが、建物のボリュームで超えてしまったのですね。 内容の変更は考慮する必要もありませんが、北側の空地はもう少し(例えば1m)空けてあげれば良かったのではないでしょうか? 日影図も出したのでしょうか?3階も2階も日影時間の範囲はあまり変わりがなく、2階建てだったとしても北側住宅の日影の影響は同じようなものです。 その事を表現して、意味のない主張だと返答したらどうでしょうか。 ましてや10mを越えていたとしても数十センチと言うところでしょう。それを下げれば近隣対応しなくて良いのなら、そうして決別してしまっても良いのでは? 今後の近所づきあいという事もあるでしょうが、出来ないものは出来ないで通りますので煩わしいですが、心配されることはないと思います。 |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 仮処分の可能性がでてきて着工がのびるかもしれませんが、法律にしたがって設計していれば大丈夫だと思います。建物の形は先に建てたものが優先ではありませんし、日照や通風は自分の敷地内で工夫して解決するのが前提です。 御心配でしょうが、北隣のことも考慮はしたのですが、家の方も狭い中で努力してこのようなプランにしかなりませんでしたので・・・などとお話をしてみましょう。 設計者も協力してくれると思いますし、話し方で感情も治まると思います。 私の場合、2階建て住宅ばかりのところに5階建てマンションを設計して完成したところですが、北隣の方にもやんわりとお話を続けてスムーズに着工できましたよ。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | 解説員の方々の述べられたとおり、法律に従って設計しておれば問題ないと思います。 ただ、付近に低層の住宅が多く、低層が一般的であると判断される地域では北側の日照を認めた判例があります。早急に弁護士さんに相談されるのがよいのではないでしょうか。 また仲裁をおこなう機関としては建築紛争審査会があります。これにかけるかどうかも弁護士さんに相談してください。 それと、いわれもない理由で建築工事を遅らされたりした場合には損害賠償の請求も可能でしょう。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 北側隣地の家は「境界から50cmくらい」から想像すると、建ぺい率に適合している建物でしょうか?結構、苦情をいう人でも、ご自分の家のことは合法と信じ込んでいる人がおります。建築士に聞いてみてください。(何も書いていないところを見ると他の場所が 空いていて、合法かもしれませんが) 原則は山口解説委員のとおり「自分の敷地で採光をとる」です。しかし、地域的な環境もありますので(都市計画法がこれです。)全体的なバランス感覚で対処してみてください。 設計変更が出た場合は当然、建築士の労働が発生するのですから、支払うのはいうまでもありません。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 今日、お返事をいただきました。 内容証明が届いて以来、ここのところ体調を崩していた主人はますます具合が悪くなるし、竣工を楽しみにしている子どもたちのことも考えると、何とかしなければと気持ちばかりあせって、大変苦しい精神状態にありましたが、荻原様を含め4人もの方のご意見を伺えて、少し気持ちも落ち着きました。 わたしたちの建築プランは高さも10M以内になっており、建築基準法上は、全く問題はありません。ただ、S市では3階建て以上の場合は、10M以内でも看板を立てたりしなくてはいけないということだそうです。 建築士の方に日影図をつくっていただきましたが、善養寺様のおっしゃるよう に3階を2階に変更しても、ほとんど変わりはなく、北側にガレージを移動させても、やはりほとんど変わりませんでした。その他の資料を持って、今週中に弁護士のところに相談に行くつもりです。 本当にありがとうございました。 どんな結果になるかはわかりませんが、またご報告させてください。 |
その後 |
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