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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0585 基礎杭の芯ズレ

 相談概要 [氏名] H.Yさん
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 岐阜県本巣郡穂積町
[相談建物所在地] 岐阜県本巣郡穂積町
[職業] 自営業
[年齢] 33
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ブレース構造)
[築何年ですか?] −
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 約100
[工事請負金額] 6000
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[お手持ちの図面は何枚?] 10枚以下
[打ち合わせ何回] 15回以下
[施工者名] 有限会社 F工務店
[販売会社名]
[設計者名] 某企画
[監理者名] ML
 相談内容 [現象]
今、現在、鉄骨の2階建て、2世帯&作業場を建築中です 今は基礎工事の段階です。

基礎はパイル(12m、450)を8ヶ所、16本打ち終り捨てコンを打った状態です。
そのうちの1ヵ所のパイルがずれてしまってます。図面では捨てコンから杭頭が10cm出てるはずなのに捨てコンと杭頭が同じ高さになってます。(現場の写真、送ります)

[業者の見解]
パイルのズレは墨だしした後、構造計算してそれに値する補強をするとの事でした。
杭頭が捨てコンより10cm出てない事に関してはベースパックの都合で問題ないとの事でした両方とも設計士の回答です。

[相談内容]
パイル打ち工事の1ヶ所をいい加減に施工したのは工事業者も認めてます。このような工事に対しては減額請求してもいいのでしょうか?

杭頭が捨てコンより10cm出ていない事が気になり知人に聞きました 知人にはそれは非常にマズイと言われ不安です。
本当にマズイ状態なんでしょうか?今後どのような対処、工事するべきなんでしょうか?



 yorozuの感想 設計士、施工業者は素人だと思いよくいい加減な対処すると思います。
そんななかこのようなHPがあると嬉しいです。
アドバイザー 
田所 雄太郎 田所です。よろしく。

杭頭のレベルが下がったとのことですがそのまま原設計のとおりに施工してはまずいです。
しかし、構造計算の見なおしをして補強あるいは基礎を下げたり、形状を変更したりして是正すれば特に問題はありません。
特定行政庁に是正の方針を是正前に相談をした方が良いでしょう。
恐らく軽微な設計変更(基準法12条3項による報告)になります。
役所の解釈によっては変更確認になり既存の許可番号に枝番が追加されます。

今回のケースは軽微な方だと予想できます。
いずれにしてもこのような運びで設計者が手続きすれば
済むことで大騒ぎするようなことではありません。

変更確認になった場合、 融資先に確認番号が変わった場合なにか弊害があるかどうか、確認した方が良いかもしれません。
善養寺 幸子 このところ、些細な施工不良やミスですぐ欠陥欠陥と騒ぎ立て、金銭解決をしようとする方が目立ちます。手抜きの場合も稀にはあるかと思いますが、多くの場合、人間による施工ですから精度にもばらつきがありますし、気がつかなかったミスや不良などはあります。その事をあらげて、何かと金銭要求をしていたら、現場の空気はどうなるでしょうか。その様な施主の為に良い仕事が続けられるのでしょうか。職人それぞれプライドとハートを持っています。プライドを持たせることは大事でしょうが、誠実にやっていたのにミスしたことで是正しようとしているのに責めたら、傷つくと思いませんか?逆の立場だったらどうでしょう。申し訳ないと思っているのに、自分たちの負担で是正しようとしているのに、そこまで要求されるなら直したくないねって気持ちになりませんか?自分の財産を作るのだから、しっかりやって欲しいのは当然です。だからこそ、クレーマーではなく、一緒に作っているんだと言う施主の姿勢で「この人の家だからちゃんと作ってあげたい。」と思わせないとならないのでは?

 信頼して自分で選んだ設計者をもっと信用したらいかがでしょうか。
今回の件も、すぐに金銭要求と言う発想は方向が違っているのではないでしょうか?
 まず、不良箇所があるならそれを是正し、強度に問題のないように補強する事を確実に行わせるのが第一じゃないでしょうか。それで、本来の設計強度が補われれば工事としては誠実な対応なのではないでしょうか。

 基礎工事の様な見えない土の中で工事をする場合、いくら気を使って丁寧に施工をしたとしてもどうにもならない事も起こります。その為に、杭工事など施工精度に余裕を持たせ10センチ程度ずれても強度に支障ないような設計をします。それ以上ずれた場合でも基礎などで補強することで、安全を補う対策を用意します。
 今回の件はそれ程、一大事の内容ではないと思います。そのままでも平気なのではないでしょうか。杭の芯ズレに関しては、大きなズレはフーチングで配筋を増やすなど補強すれば良いと思います。気になるようでは、その部分のフーチング底を下げれば良いと思います。

 建物は設計も施工も人間の手作りなんです。工場で作ってくる鉄骨だって基本的には人間の手作りなんです。ですから、施工ミスの起こらないように検査したり、試験したりして途中段階で確認しながら、問題が起これば是正し設計も対応して、完成度を上げていくのです。地中に石があったり、堅さにムラがあると杭工事はやりにくいものです。その辺は理解してあげた方がよろしいのではないでしょうか。
 コメンテーター 
氏原 毅士 ベースパックとは鉄骨柱の足元と基礎とを繋ぐ金物の事ですから杭とは何の関連性もありません。
しかし、建築主の質問や疑問に応えるべき建築士が、ご質問のような回答をしたとすれば問題でしょう。
田所解説委員が記したように、構造変更は問題なく出来るはずです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 氏原解説委員のとおりベースパックと杭とはなんら関係はありません。その建築士の回答は適切ではないようです。

杭頭の10cmの出は大切です。建物全体の水平力を杭にも伝えて抵抗させるものです。
設計図にそのようになっているのは意味があるからです。

感覚的に「そのままでも平気なのではないでしょうか。」という見解がありますが、適切ではありません。構造は力学です。感覚ではありません。杭芯がずれていればその部分に曲げモーメントが生じ、それを相殺するためには何らかの補強が必要になります。

大切なのは以上の点を力学的に考察して現場に対応することが大切です。
構造計算等を配慮し、その上で補強をしなくても原状の配筋で問題なし、とするか、補強が必要とでるかはその後の話です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 お忙しい中、丁寧にご回答ありがとうございました。

ちょと自分の説明不足だったようですが、杭頭が10cm出てなかったのはパイル打ちのミスではなく、施工業者がわかってて捨コンと揃えたようです、
ですからすべてベース個所の杭頭と捨コンの面は揃ってました。
パイルのレベルはだいたい合ってましたが、捨てコンの厚みが違ったのですね。
確かに設計図面とも違ってました。

その後、施工業者、設計士と話合い、最終的には捨てコンをはつりましてパイルの杭頭10cm出るようにしていただきました。
パイルのズレの件は構造計算していただき、それなりの補強していただきました。
 
金銭的な事は、「信用してるから」と、そのような請求等はもちろんいたしませんでした。
 
自分の建築関係の仕事をする人間ですから、やはりお客様の満足のいくような仕事、その仕事にもプライドをもってやってます。 それでも多少のミスはしますしそのあたりは理解するべきだと自分も思います。

自分の携わる工事等は見てすぐわかりますが他の工事等は全く素人なのです。相手が素人だと思っていい加減な説明や工事は許せません。

家はみんなで作りあげていくものだとあらためて感じさせられました。
 
自分みたいな素人に丁寧なメールいただき本当にありがとうございました。
 その後  
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