相談概要 | [氏名] Y.Sさん [居住住所] 三重県松阪市 [相談建物予定地] 三重県松阪市 [職業] 公務員 [年齢] 38 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。 [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 65 [工事請負金額] 4000 [様態] 注文建築 [施工業者はどちらに依頼しますか?] 大工(工務店) |
相談内容 | 地元の大工さんに在来工法でお願いしているのですが、大工さんは土壁、土葺きの和瓦で、と考えてみえるようです。 そこで相談なのですが、このような工法で行っても、構造(軸組み)がしっかりしていれば地震に対して大丈夫なのでしょうか。東海地震、南海・東南海地震が注目されている最中、非常に心配です。和瓦の趣を大切にと思っていますので、最低限、どのように改善提案(大工さんに)すればよいのでしょうか。 間取りがわからない状態では、解答しにくいかと思いますがよろしくお願いします。 |
yorozuの感想 | 人生最大の買い物をするとき、その不安は素人が考えていても増すばかりです。そのとき、このようなHPがあると、非常に助かります。よろしくお願いします。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 解説員の山口です。 現在、土壁瓦葺きの木造在来工法での2階建て住宅の設計が終わろうとしています。 土壁の地震や台風に対する耐力は筋交に較べると小さいのですが、工夫をすれば丈夫な建築は可能です。通常の土壁の3倍の強さを持つ土壁などもあります。丁寧な設計と工事監理を建築士にお願いすれば良いでしょう。 設計耐力も法律の1.2〜1.5倍くらいでお願いしたらいかがですか。壁配置のバランスのとれた間取りを造るのも重要です。 大工さんが土壁瓦葺きを考えているようだとのことですが、貴方自身はどのような家をお考えなのでしょうか。どなたか専業の設計事務所で住宅に慣れた方と話をしてみることをお薦めします。 |
関口 啓介 | 名古屋の関口と申します。 先頃発表された、東南海地震、南海地震の予測は私達設計者の身を引き締めるものであります。 静岡県などに比べ、愛知・三重は地震対策が遅れているとの感を受けます。 そのような意味では、行政指導の通り進めていれば安心かどうかもわかりません。 まず、在来工法は日本の伝統工法とは異なります。仕口も伝統工法に比べ簡易で金物接合に多くを頼っております。 そのような工法では、金物をしっかりと計算値に基づいて入れる必要があります。 また、逆に伝統工法には、金物に頼らなくても技術でまかなう多くの知恵があります。 ただ、これらをきちんと学び、実践している大工さんが少なくなっている事も事実であり、技術をもっていても、グローバルスタン ダード化の波にさらされ、大資本との安く・早くの競争に、打ち勝つ事ができないのが実情です。 これらを併せて考えますと、知恵と経験に基づいた素晴らしい技術を、科学的に検証し、確認しながら進める事ができたら、より良い建物ができると信じております。むやみやたらに木に穴をあけ、釘やビスを打ちつけるのでなく、大事に上手に補強してあげる事ができたら、きっと丈夫で素晴らしい家が建つのではないでしょうか。 大工さんだけでは、このような作業を進めていく事は難しいと思われます。なかにはできる大工さんもみえますが。 設計事務所に依頼される事がより確かな道と思われます。お近くで、住宅設計や木造建物に、真面目に取り組む設計者を探して見て下さい。 |
コメンテーター | |
氏原 毅士 | 工法や構造強度は、両解説委員の意見の通りであると思います。ところで疑問があるのですが、建築しようとする家はY・Sさんの家ですよね。 ご自身では家に対するイメージを持っておられないのでしょうか? イメージに沿って建築を計画し、これを成り立たせる為の構造計画であるべきと思うのですが。 少し辛口になりましたが、しっかりとした意見をもって大工さんと共にすばらしい家を建ててください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 土壁、土葺きの和瓦であろうと、それを考慮して設計すれば、なんらご心配はいりません。 ここで重要なのは「考慮して設計」することはどのようなことか?ということです。 地震時の水平力は建物の重さに応じて重いものは大きくなります。その力に耐えうる構造壁を配置し適時に配置します。構造設計は力学です。感覚ではなくこの力学の根拠を提示してもらうためには構造の詳しい建築士に依頼して設計や構造計算をしていただき、腕のいい大工さんに施工していただければ安心した家づくりが楽しめますよ。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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