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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0581 隣家の窓

 相談概要 [氏名] F.Mさん
[相談内容:] 近隣のトラブル
[居住住所] 愛知県豊明市
[相談建物所在地] 愛知県豊明市
[職業] 公務員
[年齢] 30
[女性] on
[構造] 木造(その他)
[築何年ですか?] 工事中
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 35
 [工事請負金額] 5000
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] −
[お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下
[打ち合わせ何回] 15回以下
[床面積] 120m2以下
[施工者名]
[販売会社名] M株式会社
 相談内容 [現象]
条件付きの土地が2戸分売りに出され、その1つを購入しました。ほぼ同じ時期に、我が家と隣の家も工事が始まりました。徐々に家の外観が見えてくるに従って、隣家の窓が気になっています。

我が家と接する側に当然窓がいくつかありますが、ちょうど我が家の中まで見える位置にある窓が、1階も2階も透明ガラスを使用 しているということです。隣家はハウスメーカーの「蔵」という中2階のある家を採用しているため、2階建てではあっても、2階の窓は我が家よりも高いところについています。実際に生活した時のことを考えると、特に2階の窓などは、少し上から覗かれている感覚を持ってしまいます。

せめて2階だけでも、かすみガラスにかえていただけないだろうか思います。

[業者の見解]
隣家の我が家に接する窓は、ほとんどかすみガラスを使っているのに、ちょうどその部分だけ透明ガラスを使うことになったいきさつを業者に尋ねました。打ち合わせの時に我が家の間取り図を見て、あえてその部分だけ透明ガラスにしたとしか考えられないからです。

我が家は打ち合わせの段階で、隣家のことを考えて、隣家と接する部分は、かすみガラスにした方がいいと勧められました。同じ業者ですが、コーディネーターが違うということで、このようなことがおきてしまったこ とが許せません。我が家の間取りを知っているのならば、その部分の窓はかすみガラ スを勧めるべきだったと思います。しかし、隣の方のコーディネーターはそこまで気づいていなかったようです。

業者には私たちの意見を伝えました。そして、隣の方に頼んでもらうようにお願いしました。実際に業者が隣の方に伝えました。初めはいい 返事をいただいたようですが、最近になって、拒否されているようです。

[相談内容]
結局、窓はこのままの状態で、家の受け渡しになってしまうかもしれません。1階の窓は外構を工夫することで、隣の方と視線が合うことを避けられると思いますが、2階は難しいと思います。私たちも打ち合わせの段階で、隣家の間取り図 をしっかりと見て、チェックするべきだったと後悔しています。ただ、実際に目にするまで、気が付かなかったことかもしれないとも思います。私は、同じ業者が、同じ時期に建てる家の建設を任せられていて、どうして気づいてくれなかったのだろう、 と思います。まして、我が家の中が見える位置の窓が、あえて透明ガラスになっているという点は納得ができません。信頼を寄せていただけに残念です。

家を建てる場合、隣家に接する窓はどのように考えていったらいいのでしょうか。又、私たちの場合、これからどのようにしていったらよいのでしょうか、業者には責任はないのでしょうか、教えてください。お願いします。
 yorozuの感想 今回、初めてHPを開きました。内容を読んでいて、相談してみようと思いました。そんなHPだと思います。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

 隣家がどのくらい境界線から離れているのかわかりませんので、法的な問題はさておいて(多分、問題がないのでそのようにしていると思います)。

 家を建てる場合、隣にどのような建物が建てられてもよいようなプランを計画することが肝心です。仮に、霞ガラスにしてもらっても、竣工後に隣の住人の方が入れ替えれば何もいいようがなく、仲がしっくりいかなくなりはしませんか?窓をあければガラスが何であろうと関係なくなってしまいます。

 方法としては、覗かれないようなサッシとガラスの組合せを採用して通風を確保する方法もありますが(ルーバーサッシ等)、すでにサッシは付いてしまっていますので、取替ができなければ、こちらのガラスを霞みにするしかないでしょう。
 業者に責任はないと思います。又、隣家の間取りをチェックするということはプライバシーの問題も含みますのでするべきではないと考えます。私の場合、了承を頂いたお客さま以外の方の間取りを他のお客さまにお見せすることはありません。雑誌に載せる時も同じに気を使っています。

 家は色々な外敵(雨、風、紫外線、騒音、視線などなど)から自分達を守るために建てることを考えると、自衛策を採るのが懸命だと思います。
関口 啓介 F.Mさん、こんにちは。名古屋の関口と申します。

 結論から申し上げますと、建築基準法その他、建築関連法規に照らして、ガラスの変更を求める事は、できないと思われます。
 また、F.Mさんの家族のプライバシーを著しく侵害するものであるかどうかもわかりませんので、その他法令による、拘束力もわかりません。
 しかし、建物(住宅)は敷地内で自己完結できるものではなく、隣地・隣家及び地域社会と密接な関係をもって存在する事を考えると、双方が配慮される事が望ましいですね。

 以前建てた建物の隣家が建替えられた時の話ですが、近接している窓を透明ガラスにされたので、施主にではなく、隣家の施工業者さんに、「住宅建設のプロとして、ご配慮下さると助かります」とお願いしました。その時は、施工業者さんの責任において、替えて下さったものだと思います。
これは、一般例ではないと思いますが、そのようなケースもございます。
替えるのが当たり前ではなく、お互いの生活のための提案として、お願いしてみましょう。
また、ガラスは、替えるばかりではなく、フィルムを貼って遮蔽する事も可能ですよ。

 聞き入れて頂けない場合は、山口解説委員の記述のとおり、自己防衛の手段を探る事になりますが、よりよい解決をもう一度探って見て下さい。
 コメンテーター 
氏原 毅士 氏原です。

 向かい合う窓の扱いは常に問題をはらんでいます。解説員のなかでも議論がありました。
 ひとつには、プライバシーは見ようと思えば見えるものであるが、見ない。
二つには、パブリックスペースにはプライバシーは無い。
 です。

以前、南面の窓ガラスに高性能熱線反射ガラスを用いたところ、向かいのお宅から「まぶしいのでやめてほしい」とクレームがついたことがあります。
 外からは見えず、内からは見えるという理由だけでの採用でした、施主さんには、効果は夜間には完全に逆転しますよ!と意見したのですが。

 F.Mさんの窓がどのようなものかは不明ですし、透明ガラスで、自分は見えるけれど、お向かいからは見えなくしてほしいとう理屈は成り立たないと思います。
 少なくとも野中の一軒家でないのですから、お互い様ではないかと思います。
先に自ら型板ガラスに交換し、相手の目線をさえぎる事が先決と思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 視線の問題は常に複雑な問題を孕んでいます。
今回はたまたま、業者が同じでしたので、何らかの配慮ができた可能性はありますね。しかし、もともと専用住宅は別な建物ですから視線配慮は敷地内で処理できる設計にすべきです。
人の視線は住まう人によって感覚が違います。

わたしは東京の下町に生まれましたので、路地の多い密集したところに住んでおりました。路地に家の玄関や窓が接してそこから採光や通風していますが、格子やすだれ等でプライバシーを確保していますが、共通の認識は「見る人=覗き」なので「見ても見ないふり」をするのが鉄則です。

お宅でも隣地の人が「ちらっと」みるでしょうが。それは「覗いている」のではありません。この感覚は人によって違いますが、住んでみて「自分たちは覗かれている」と感じるならば、ご自分の家を不透明ガラスに変えることがいいでしょう。その程度が低く、「今日の天気や季節」を楽しむのがそれより大切ならそのままでいいでしょう。

本来は両方ともほしいところですが、「こころを入れた設計」なら敷地内でそれを手に入れるのは簡単ですが、現実としてそこまで出来ていますので、選択する比率を考えることになるでしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 私の質問に対する、いくつかのご意見ありがとうございました。
私のメールの内容だけでは十分な情報がなく、返答にも気を使われたのではないかと思います。

隣家に対しては、
「こんなところにこんな窓をつけるなんて、非常識だわ。」と思っていましたし、
Mホームに対しては、
「なんて配慮のない設計だろう」と憤っていました。

客観的なご意見を頂き、少し目が覚めた思いです。

しかし、実は、10月初旬予定の引き渡しがまだ済んでいない状態です。
窓の他に、隣家との関係で、隣家のバルコニーのことも問題になっていました。

隣家のバルコニーが、我が家の屋根にさわれる(飛び乗れる)ことが出来るほど近いということでです。

Mホームは、
窓のことやバルコニーのこと合わせて、設計段階で配慮がなさ過ぎた。
と認めてくれています。

家を建てるということは本当に大変です。
次から次へと問題が出てきました。
私たちは、せっかく建てた家に住むことをあきらめようと思うぐらいまで、精神的に追いつめられました。

それでも、自分たちが納得がいくまで話し合ってきてよかったと思っています。
もうすぐ引き渡しが出来そうです。
これからも、いくつか問題が出てくると思いますが、
自分たちが選んだ家に愛着を持って住んでいきたいと思っています。

ボランティアとのこと、お忙しい中ありがとうございました。
もっと身近に、こういう存在の方がいてくれたらいいのにな、と思いました。
最近朝晩はとても冷えています。
お風邪などひかないようお気をつけてください。
 その後  
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