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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0578 坪単価での説明に不安

 相談概要 [氏名] N.S.
[居住住所] 兵庫県姫路市
[職業] 主婦
[年齢] 29
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 50
[工事請負金額] 2500
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 来年の春、二世帯住宅を建てる予定です。今現在はどの業者にお願いするか探している段階です。そこでご相談なのです。工務店と建設会社の設計士とハウスメーカーにプランを立ててもらってますが大体坪単価で説明されます。その中で建設会社の設計の方はおおよその金額を聞いてその範囲内のプランを立てますといわれました。

どんな事でも出来ますと自信を持たれていますが私としては他と比べようがないし、材木や大事なところで値段を落としていかれるのではと少し心配です。実際設計士の方は予算の範囲内で収めるためにどのような工夫をされるのでしょうか?

それと、そこの工事概要の中で外周部モルタル刷毛引き フルベース基礎(50KN)とありました。他ではベタ基礎と聞きましたがどう違うのでしょうか。

あと一つお聞きしたいのですが、断熱材のグラスウールとロックウールとはどう違うのですか。回答お願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
小松原 敬 横浜の相談員の小松原といいます。

家を建てる時は、頼む先の選択に迷うことと思います。
ただ、頼む時にはご自身がどのような家を建てたいか、その為にはどのようなスタンスの業者が良いのか整理して考えてください。
その辺の整理がつかない状態で複数に声をかけても混乱するばかりで何も良いことはありません。

選択の基準をご自身ではっきりつかむことが重要です。
その為の基準をちょっと書きます。

・ハウスメーカー
  ハウスメーカーにも様々な所があっていろいろな「売り」を打ち出してます。
  ただ、ハウスメーカーは「メーカー」です。必ず、なんらかのモデルをもっていて、そのモデルを大きく変えることはできません。なぜなら、すでにモデルとしての設計は終わっているからです。
  ハウスメーカーは莫大な宣伝費、展示場、営業マン、社屋をかけています。
  その費用は間接経費として見積もりには現れない金額として乗せられています。それは数百万のオーダーになります。それでもやっていく為には、既に決まった部分を大きく変更することは不可能なのです。もし、それをやるとオプションといわれて高くつくことになります。
  フリープランといっても、ある範囲内での変更、というにすぎません。
  ただ、すでに設計が終わっているに等しいので何ができあがるかはわかり易いでしょうし、面倒がありません。
  お仕着せでも、ある程度気に入って、面倒がなければそれで構わないという場合は良いでしょう。

・工務店(建設会社)
  ここは、ほんとに玉石混合で様々な会社があります。
  設計をやるといっても、外注だったり、ほとんど間取り程度しかできない所もあれば、きっちりした設計者がいるところもあります。
  設計内容は、その会社でモデルを設定していなければなんでもできるでしょう。ただ、傾向としてはちゃんとした設計者が、「設計」としている場合は少なく、設計そのものも多少、外壁などでデザインされていても内容としてはごく一般的なものになる傾向があります。
  施工の良否は抱えている大工と現場監督次第です。
  また、設計は別で工事だけでも受けます。

  それから、間違っても設計図も詳細見積りもない状態で坪単価で契約してはいけません。そんなのは、自らトラブルに首をつっこむようなものです。
  ここに相談されるかたは、そのような不用意な行為をしてしまった方が多いのです。

・設計事務所
  私達は設計事務所という選択肢も是非考えてくださいと訴えています。
  設計事務所はそれこそ設計が本業です。
  設計事務所に依頼するのは家を建てる様々な仕事の代理人を選定するという側面があります。
  また施主にあわせてた一品生産品としてゼロから打ち合わせをして設計をしていきます。
  そして、施主のかわりに確認申請を出し、工務店の選定もします。
  見積もりの調整をして予算の管理をします。
  また、工務店の仕事を第3者の立場で監理して必要な指示を出します。
  設計料はそれなりにかかりますが、これは工務店でも同じ仕事をすれば同じだけかかるはずですし(安ければそこまでしないという事です)
  メーカーの間接経費に比べれば安いくらいです。
  工事も含めた全体の金額は同じ仕様ならば高くなることはなく、安い場合も多いです。
  メーカーのようなパックでお任せ、という簡便さはありませんが、何回も打ち合わせを繰り返して納得がいくものをつくり上げていきます。
  奇をてらうのが設計デザインではなく、その家族の要望にフルオーダーするのが設計です。納得のいく家づくりをしたいなら設計事務所です。

ご自身のお考えがどのやり方に近いのかを、よく考えれば選択する基準がはっきりすると思います。
基礎の仕様や断熱のやりかたなど、ちゃんと解説するには紙面がたりません。
また、断片的な解説をしても選択には役にたたないと思います。
なぜなら、布基礎やベタ基礎、ロックウール・グラスウールはどれが上でどれが下という格付けできるものではないからです。
家の構成要素はいろんなストーリー(ある考えにもとづく構成、技術)があって選択されるものなのです。
それは設計した人間でなければ、どのような考えでそのような設計をしたかわかりません。
それをちゃんと説明できる所が良い頼み先ともいえます。
久米 能子 こんにちは。久米と申します。
 ご質問の予算内に納めるための工夫はさまざまな方法があり、とても一言ではいえませんが、そのために一番大切なのは、建築主であるNSさんが、これから創りたい家に対して、何を一番求めているかということです。

 建築主の中には構造をどうしても鉄筋コンクリート、または木造にしたいという方もおられるし、しっかりした構造であれば、種類はとわないから、家族のためにこういうスペースだけはどうしても欲しい、こういう設備はどうしてもとりいれたい、など欠かせない設計の希望をもっておられるかたもあります。あるいはもっと、漠然とした雰囲気のような要望のときもあります。いずれにしろ、設計の立場から申し上げれば、予算内で納めるための工夫は、建築主の要望の優先順位をみせてもらうことから、スタートするといえるでしょう。限られた予算の中で、何もかもそろえることは無理なのはお分かりですね。

ですから、まず、NSさんがどうしても譲れない条件はなにか、その優先順位を書き出すことから始められればいいと思います。
 そうはいってもその優先順位もひとりで考えていては明確にしにくいときがあります。
ですから、私達設計事務所は、いろいろなお話を一緒にしながら、建築主のかたの要望をはっきりしたものにしていって、それで設計を行っていくのです。人に話をしているうちに見えてくるものもあるでしょう。そして、その要望を予算内で取り入れるために、とき
には、ほかの設計内容を思い切ってけずる必要があるときもあります。それが、「工夫」といえば「工夫」です。ローコストと銘打って、大変思い切ったつくりの家をご覧になったこともあるかもしれません。それは、往々にして一般からみれば特異な家かもしれませ
んが、そこにお住まいのかたにとっては、大変お気に入りの家になります。それは、お話したような家に対する要望の「一番」をしっかりみたしているからです。そしてそれが、その家のいい意味での「スタイル」となります。

 もちろんそれ以前に、如何に合理的に無駄をなくしていくかというのが本来の工夫の大きなポイントであるのはいうまでもありません。予算にあわせるための設計とは、単純に安い材料を採用することではなく、工法やプラン全体に対する考え方を整理していくことなのです。ローコストは、本来大変技術的知識の要することです。だからこそ、安易なコスト削減の工事に問題がでたりするのです。

  ですから、どのような要望をお持ちであれ、構造についてはむやみに削ってしまってはいけません。それにはきちんとした設計と、工事中はその設計どおりにできているかどうかというチェックをいれることが必要です。
 疑ってかかるわけではありませんが、今の建設会社の担当者が、構造はちゃんと設計しています、工事もちゃんとやります、といわれても、それを信頼する根拠がありませんね。(ただ、やみくもに信じるだけしか。<笑>)最終的には、設計図をよく見せて貰って説明を聞かなくては分からないでしょう。

 設計と工事監理のために、専業設計事務所に依頼するところから始められてはいかがですか。設計だけを工事とは別に行えば、全く同じ内容の設計で、工事だけを数社に見積もり依頼して、金額だけの比較検討が可能です。 ハウスメーカーや工務店への設計と工事両方についての比較は、工法もプランもそれぞれ違っていて、同じ条件下での比較ができないため、大変わかりにくく、判断に迷われるかたが多いのが現状と思います。

 尚、フルベース基礎(50KN)というのは、通常のベタ基礎と同じことです。また、グラスウールは、ガラス繊維を綿状にしたもので、木造の住宅には以前から使われているものです。ロックウールは鉄鉱石から鉄を取り出したあとのスラグを繊維にしたもので、性能はグラスウールとほぼ同じと考えていただいていいと思います。これもよく以前から使われています。どちらも保温性はいいのですが、内に保水するとなかなか放出しにくいので、最近はそのことに対する配慮が必要だと言われています。

家づくりは殆どの場合、一生に一度のことです。じっくりと納得のいく、大好きな家が完成することを応援しています。
 コメンテーター 
木津田 秀雄 坪単価での表現や比較は分かりやすいので良く使われますが、何をどう作るのかによってその価値は異なります。またハウスメーカー、工務店、建築設計事務所などそれぞれの違いは各解説員の内容を参考にしてください。

 実際は工務店の社長の考え方や施工能力などは異なります。本来は同じ図面であれば同じ仕上がりになるはずですが、図面だけで建物が建つわけではありません。

私は工務店を選ぶときに、候補にあがっている工務店の現場をそこの社長に案内してもらいます。3時間か4時間くらいかかりますが、案内してもらっている間の会話やこちらからの技術的な質問などにどのように答えれもらっているかを感じ取ってもらいます。そうすると建て主がこの工務店に頼みたい(頼みたくない)などの判断材料になり、短に見積の金額だけに左右されないようにしています。そんな工夫も設計事務所でないとできませんので、工務店選びも含めて相談さてはいかがでしょうか?
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計事務所がお金持ちの家しか設計しないというのは迷信です。
そのような方もおりますが、建築工事費2000万円くらいでも対応してくれます。
設計事務所はあなたの見方です。難解な建築のことで身近にアドバイスをしてくれる人です。先ずはその事務所を探し、信頼関係を築いてから家づくりに頑張りましょう。
そうすれば、コストも明細のある明快な見積となりますし、工事を第三者として監理してくれますし、何よりライフスタイルの合う家づくりをしてくれます。

そのほうが、後の人生、楽しくなりますよ。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 たくさんの方のご意見ありがとうございまいました。
身近で家を建てている人の話を聞いても、自分の家の事なのにあまり知らないとか大手なら安心というように決めてしまうのが嫌で、自分の目で見て納得して進んでいきたいという気持ちが強く、手当たり次第話を聞いたりしているうちに何がなんだか分からなくなっていました。

皆さんのご意見を読んでいくうちに、自分がどういう家造りをしたいのか何となく分かってきて今は、胸のつっかえが和らぎました。
参考にさせて頂きながら決めていきたいと思います。本当にありがとうございました 。
 その後  
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