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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0572 大きな石の上にレストラン?

 相談概要 [氏名] M.U
[居住住所] 埼玉県川越市
[相談建物予定地] 鹿児島県熊毛郡
[職業] 会社員
[年齢] 28
[女性] on
[構造] わからない
[設計者はどなたに依頼しますか?] 特に決めていない。
[何階建て] 1階または2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 100
[工事請負金額] 2000
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 特に決めていない。
 相談内容 現在、鹿児島県屋久島に323坪の未造成の土地の購入を考えています。今は杉林になっていて、県道に面し、海と山に挟まれています。(海と山はそんなに迫ってはいません。)そこで、6テーブルくらいの小さなレスランと自分たちの住む家を建てようと思っています。

ただ、問題なのは、323坪の土地の真中に50坪程度を占める大きな石が埋まっているのです。表面から顔をだしているのが50坪程度なので、地下にどのくらいの大きさが埋まっているのかはわかりません。高さは、2〜3メートルあります。その石を取り除くには石に目を生やして砕き、屋久島で一番大きな公共事業用の重機で取り除くしかないと不動産屋(屋久島パイン?から言われました。

その費用に480万円かかるそうです。私としては、石を砕くことに気持ち的に抵抗があり、できれば石はそのままにして、周りに土を盛って高さを揃えて、その上に家を建てることができないかと思っています。

私はまったくの建築の素人ですので、そのような建て方ができるかどうかもわからないので、ご相談差し上げました。いかがでしょうか?もしできるとして、その費用は通常土の上に立てるのに比べてどの程度高くなるのでしょうか?また、その場合に向く建築方法や注意しなければならないことを教えてください。尚、屋久島は台風の勢力が強いため、それに耐えうる構造にしなければならないそうです。

どうぞ、よろしくお願いします。
 yorozuの感想 真剣に家を購入しようと考えている人にとって、本当に為になるHPですね。
また、無料で相談にのって頂けるのが、本当に嬉しいです。
家を建てるって一生の問題なので、すごく悩みます。
これからも活用できる情報を提供してください。頑張ってくださいね。
アドバイザー 
善養寺 幸子  大きな石ですね。取り除くのは容易なことではありませんね。
 お考えの様に、石の上に建築したらいかがでしょうか。

 岩盤だと思えば良い地盤なのでは?心配なら載荷試験でもしていただいたらいかがでしょうか。その石の上にどのくらいの重さが載せれられるのか試験してみるのです。
 木造が載るくらい(いやコンクリート建物も平気かも)の重さに耐えれれば、それを地盤に(基礎に?)してしまえば良いではないですか。
 下手に大きな石を取り除いて大きな穴が空いて、それを埋め戻してしまったら、入れたばかりの土、軟弱な地盤になってしまうのではないでしょうか。

 建築計画も含めて、しっかりした建築士に工法構造、設計監理も含めて相談したらいかがでしょうか。取り除く費用をかけるより、そちらに費用をかけた方が得るものが大きいのでは?
 フランクロイドライトと言う著名な建築家の作品で、建て主の希望で建物の中にそこにあった岩を残して建てた『落水荘』という有名な別荘があります。

 そこにいた自然という先住者と仲良く暮らすのも、良いことがあるかもしれませんよ。『大きな石の上の小さなレストラン』なんて有名になったりして。
 建築も大変ですし、経営も大変ですから、良いパートナーを得て、楽しい仕事になることを期待しています。頑張ってください。

 出来上がったらお知らせください。屋久島にも行ってみたいものです。
山口 雅克 九州の山口解説委員です。

 屋久島には行ったことがありませんが、素敵なところ見たいですね。

敷地の広さや石(岩)の範囲と建物の規模を考えると、お考えのように、その石はそのままにして計画をした方が良いと思います。できるだけ自然と対話しながら計画を進めてくれる設計者と出会えるような努力をしてみましょう。土を盛り上げることもなく解決する案があると思います。又、杉の撤去跡の処理も結構大変かなと思いますので、色々なアイデアを出してくれる人が良いでしょう。

 特殊なケースの費用や工法は一概には言えませんので、現地を確認できる専業の設計事務所の方に相談することから始めたらいかがでしょう。排水のことなども念頭において計画していきましょう。念のために:法的に飲食店や住宅等の建築が可能な場所かは確認してくださいね。
 田所 雄太郎 こんにちは田所です。私も川越市民です。毎日東上線に揺られて池袋まで通っています。

川越にお住まいで屋久島にレストラン付ハウスですか。
小説に出てきそうなロマンチックな感じですね。

下部の岩盤は壊さずに共存を考えるべきだとわたしも思います。まず、撤去するコストと穴が空いたあとの埋め戻しのコストがけっこう馬鹿になりません。私たちが設計するのに考える一つのローコスト化は土をいかに動かさないかということです。
ただ、その上に建物を建てるときに薄く土で盛り土をしただけでは雨で流れてしまうこともあるので注意してください。
ラップルコンクリートで調整するなどの処理が必要です。

地質調査をして岩盤の状態を調査してから構造設計者に現場を確認してもらって設計することをお勧めいたします。台風のこともあるでしょうから建物を乗せるというよりアンカーするような処理が必要でしょう。

川越の一市民として心からご成功をお祈りします。 
 星 裕之 ハウスメーカーのような決まった形の家をたてるのであれば、分譲地のような平坦で四角形の土地が一番です。しかし、その平凡な土地では想像力はかきたてられません。

たとえば、敷地に樹齢百年をこえる大きな木があったとき。その木の近くにガラスの部屋をつくります。夏は木の葉が繁り光をさえぎります。冬は木の葉が落ち、たくさんの光がガラスの部屋にはいってきます。
そこでは自然と一体となったきもち良い空間が想像されます。

今回の石も同じです。こんな良い敷地ないですよ。石を積極的に取り入れよい空間をつくることをおすすすめします。 
 今井 優子 敷地の真中に大きな石。素敵ではないですか!!
想像力を掻き立てられます。

屋久島は、ご存知のとうり世界遺産に指定されているところです。
そこを訪れる人は、屋久島の自然に魅せられ、それを愛し、大切にしなければ・・と思っている人達が多いはずです。(なかには、単なる観光の人もいるようですが・・・)

その人たちは、そこにあった大きな石を砕き、敷地を切り盛りして建てた、何処にでもあるようなレストランに足を運ぶでしょうか?

それよりも、もともとそこにあった自然を最大限に生かし、そこにしか出来ない建物を作ったほうが、彼らは喜び、きっと沢山の人たちが訪れてくれると思います。

話題性も高いですから、建物そのものが大きな宣伝効果をもたらすということも考えられます。
そこにあるものをネガティブに捉えずにポジティブなものにしていきましょうよ。
わざわざそのような土地(地域)を選んで、移り住むのですから、都市に生活していたときのような利便優先の考え方は持ち込まないほうが、より豊かな生活ができると思います。

石を砕くことより、そんな想像力を発揮してくれる建築家に設計を依頼したほうが、価値のあるお金の使い方だと思います。
屋久島にそんなレストランが出来たなら、私もぜひ行ってみたいと思います。 
 コメンテーター 
長谷川 明弘 私もみなさんと同じく石を残すことをお薦めします。
敷地の形状が解らないのであまり多くはアドバイス出来ませんが、善養寺解説委員の言うとおり、石の上にたてる方法もありますし、石のまわりに建てると言う選択肢もあります。

その石は今までそこに住んでいたわけですし、わざわざ邪魔だからどいてくださいって言うのもちょっと勝手な気がしますね。
せっかくですので石を生かした個性のあるレストランをつくってください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 屋久島の不動産屋も都会の不動産屋も同じ感覚なんだなぁ。と少しがっかりしましたが、 きることなら自然の恵みと捉えて、楽しい家づくりになりそうです。

石の上にも3年。なんてありますが、この石の場合は何百年何千年も前からここに存在しています。
この規模からしてここにこの石の荷重(重さ)が安定して存在しているのは、偉いものとお考えください。
この石の重さはお考えの建物の重さの比ではありません。あなたの体に小鳥がとまるようなものです。

この石を利用して(多少は細工しますが、なるべく最小に)デッキにするとか、テーブルにするとか中二階の見晴らし台にするとか、いろいろ考えられると思います。自然と同化することも人の本能であるし、慶びでもあります。あなたが「石を砕くことに気持ち的に抵抗があり」と考えられるのが私にも嬉しく感じます。

尚、この石の上で載荷試験は意味がありません。十分耐力がでるのは予測できるからです。
自然を愛する心の持ち主のあなたにこの解説を捧げます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 こんにちは。
「解説-住まいづくり-572(埼玉・鹿児島)大きな石の上に?」
で、ご相談に乗って頂いたM.Uです。

大変ご親切に、そして希望の持てる解説を頂き、本当にありがとうございます。
どの解説委員の方も、石をそのまま生かし、家を建てる方法をご推奨してくださり、ご相談さしあげて本当に良かったと思っています。屋久島の不動産、造成業者と現場検証しているときは、石を生かすためにどうしたらよいかという前向きな意見はありませんでした。今回のアドバイスで勇気付けられた気がします。

私も、できるだけそこにあるものを壊さずに、切らなければならない木も材として使うなどして生かして、家を建てたいと思っています。木を伐採して家を建てるのも、自然破壊のひとつなので、ある部分は仕方ないとしても、できるだけ影響のない形でできたらと思うのです。そして、それが屋久島の風土に溶け合った魅力的な建築物になったら、本当に嬉しいです。

ただし、予算が限られていますので、あまりに費用がかかりすぎる場合、その土地は諦めようと思っています。また、屋久島には石を生かして設計できるような洗練された建築士がいないと聞きます。まずは、信頼できる建築士を見つけることが、第一関門ですね。尚、今回ご相談に乗って頂いた方に、お願いすることは可能なのでしょうか?建てるときには、設計士に入って頂こうと思っています。

自分自身でも、建築のことを勉強してみます。どうもありがとうございました。
以上、各解説委員のみなさまへお礼の言葉です。
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