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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0566 公庫融資住宅の長所・短所を知りたい

 相談概要 [氏名] T.M.
[居住住所] 神奈川県相模原市
[相談建物予定地] 相模原市
[職業] 会社員
[年齢] 33
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[設計者はどなたに依頼しますか] 建設会社の建築士
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 100
[工事請負金額] 2000
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 大工(工務店)
[お名前] Pホーム
 相談内容 ようやく土地の購入の目処が立ち、さらに「ここに作ってもらいたい」という工務店が見つかりました。Pホームです。 最近は住宅関係の雑誌にその施工例が紹介されているので、相談員の方もご存知かと思います。ここは「設計士+施工」で、建築デザインだけを請け負うわけでなく、かといって施工だけでなく、1社で全て手作りするような工務店さんです。住宅あんしん協会に加盟されているようなので、10年保証や倒産時の工事請負の保険もついているようです。

さて、ここの社長の発言で「公庫*を使うか使わないかで建作りの過程が変わってくる」とおっしゃいました。 公庫は事前に書類を通すため、現場で「やっぱりここはこうしよう」みたいなことは出来なくなりますよ、と言うことでした。(公庫仕様物件を請け負わない、という意味ではないです。ただ、公庫融資を受ける場合はその検査料数回に費用がかさむので注意してください、と言っていました)

折角、設計士&工務店と手作りで家を建てようとしているので、公庫にはデメリットが・・・?と少し不安です。 
公庫を使うと融通が利かないのでしょうか?(設計変更にものすごくエネルギー&費用が要ることなのでしょうか)公庫を使う利点って何なのでしょうか?(金利? 建物への保証? )第三者的な立場での「公庫の長所・短所」を知りたいと思い、調べましたがそういうことが書かれているものは見当たりません。 
是非、教えていただきたいのです

*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
 yorozuの感想 こちらのトピックス「公庫を利用する際は必ず手に入れて!」は真剣に読みました。もし公庫を利用することになったら、公庫本店の相談窓口に一度出向いて、販売書コーナーには必ず行ってみようと思いました。
アドバイザー 
山口 雅克 工事着工後の変更の内容にもよります。軽微な変更であれば何も問題はありませ 。間取りや建物の高さなどは設計段階でしっかりと打合せをして、工事着工後の変更はないようにしましょう。今年の10月以降の申し込みであれば中間検査と竣工検査を受けることになりますが、(それ以前は中間検査のみ)建築確認に伴う完了検査は公庫融資に関係なく受けますので同じだと思います。  公庫融資の場合の検査料数回はないと思いますが・・・住宅性能表示のことではないでしょうか。

  公庫融資だときっちりとした工事仕様書や契約書が用意されていますので良いと思います。私の場合、公庫を使わずに共済などの融資を利用される時も工事仕様書や契約書は公庫のものを利用しています。建主にとっては公庫を使う上での短所はないと思っていいですよ。
善養寺 幸子 公庫の利用ですが、当事務所としてはよく使う融資です。 敷地100平方メートルを越えて、返済に問題のない方にはお薦めしています。この低金利時期の契約ですと10年という長期低金利を利用できますし、木造でも中間に役所の検査が入るので、監理はしっかりしていますが施工業者の緊張はより高まりますので、良い効果だと思っています。 頭金がしっかりあって、納税を正しく行っていて、違法建築をする気がないのなら、公庫にする事に抵抗を感じる必要はないかと思います。 

業者としてはいい加減な施工は出来なくなる。支払時期が制約され、棟上支払が検査後1ヶ月時や完了翌月など入金時が遅れるなど業者にとっては少々のリスクはありますが施主にとってのデメリットは少ないと思います。

 欠陥を防ぐ方法として、建築士に監理を依頼することも当然ですが、検査と言う客観的な眼を多くいれる事により、問題の発見につながります。 建物は人間が一つ一つ手作りするものですから、手抜きをしようと言う意識がなくてもミスが起きたり、技術的な知識不足から間違いがあったりします。職人は職人の立場で、現場監督は監督の立場で、建築士は監理者の立場で、役所は役所の立場で、重ねてチェックを入れることでミスは改善され、より良い物に出来上がって行く事になるでしょう。

 本来なら、現場で変更したり物事を決めていく方法で建築することは、施主としてリスキーな方法です。当然、金額に食い違いが生じたり、予算オーバーにつながります。大幅な変更をすれば行程も遅れますし、構造上安全性を損なう場合も起こります。公庫を利用しなくても確認申請は出します。これに準じて建築しなくてはなりません。大幅に仕様変更したり、形体や間取りを変える場合は、変更届を出したり、確認申請の出し直しをしなくてはなりません。そうしなければ、検査済を受けることが出来ません。完了検査には検査費用がかかりますが、それは確認申請費用と同様に公庫の利用をしなくても払うべきものです。公庫の中間検査を受けるために別途費用がかかるものではありません。公庫の検査(審査と言いますが)も設計時(確認申請時)に1回、現場(棟上げ後断熱材施工時)で1回です。完了時の検査は公庫のものではありません。

 公庫申請時の書類作成など、設計事務所などに設計費用とは別に費用が発生することはあるかと思いますが、公庫に検査費用などは別に払いません。 完了検査を受けない方もおりますが、自分の取得した不動産に対し責任を持っていただきたいと思います。公に認めたれた建物であるという証明ですので完了検査を受けて完了済証を得てください。

 そのおつもりでしたら、公庫の利用に施主として何のリスクもありません。公庫を躊躇う業者さんは信用しない方が良いと思います。このような公庫を使うとまともに建てられない等と施主に言っている業者程、何をしてもまともな物が建てられない業者であることを多く見ています。違法建築をする気がなく、公庫の利用が良いと思うなら、施主にとって何一つリスクはないと思って良いでしょう。それより施工をちゃんとしなくてはならないと言う施工者の緊張感を得て施主としてはメリットがあります。 契約時に図面枚数もなく、仕様書もないような状態でしたら、公庫利用の契約にすれば、最低公庫の仕様書が標準として利用されますので、第三者監理を入れるにしても業者への指導の基準が建築基準法の曖昧なものよりやや具体的に良くなります。

 その面でも、確認代行程度の設計で工事がなされるのなら、公庫利用も一つの安全対策かと思います。 最終的には、ご自分の判断ですが、現場で作っていこうという考え方で施工業者と契約することは危険極まりないやり方だと自覚しておいた方が良いでしょう。 色や仕上げの材を同等に変更するくらいで、公庫の審査に合格しないことはありません。公庫の審査で見られることは、金物など使って構造上正しく作られているかをみたり、断熱材の素材厚さが正しく入っているか等を見る物で、それに問題が生じるような施工は施主としては避けた頂いた方がよろしいのではないでしょうか。
 コメンテーター 
久米 能子 施工業者が施主の提案に対して、いい面も悪い面もあわせて情報を充分に提供し、 説明するのではなく、難色のみをしめすというのであれば、信頼性において問題がある可能性があると思います。
 また、公庫を利用する、しない、にかかわらず、設計内容は充分納得のいくように初めから念入りな打合せを行って、工事が始まってからの変更はやむを得ない場合を除き、基本的にはしないと心積もりされておくべきと思います。工事途中での変更は高い金額の追加が請求されることが多く、設計事務所が代理人となっていない場合は、建築主が自分で追加の請求金額の妥当性を判断するのはまず無理だと考えれば、工事業者のいいなりの金額をはらわなくてはならない状況にもなりかねません。

 さらに、「設計士(『建築士』が正しい言い方です。)+工務店」を本当に望まれているのならば、専業設計事務所に設計と工事監理を依頼されて、工務店は全く別に選択されるという方法をとらなければ、工事が正しく行われるかどうかという点については、工務店にのみ設計施工で発注される場合と同じように不安は残るものと思います。それはこのサイトの多くの相談をご覧になってもお分かりでしょう。 設計事務所はデザインだけをするのではなく、工事監理も行うのです。 尚、工業化されたハウスメーカーを除き、工事はどこもみな、ひとつひとつ「手作り」です。手作りだからこその問題もありますが、真剣に取り組み、信頼できる設計事務所と工務店を選べば、素晴らしいものになります。

よくご検討になって、納得のいく家作りができることを応援しています。
 事務局から 
  荻原 幸雄 解説に多少のばらつきがありますが、現在、公庫の検査は中間現場審査まででしたが、平成13年10月1日より竣工時現場審査が導入されることになりました。

公庫でデメリットといえば基準法では変更が問題ない部位でも公庫の割増融資利用の場合はその融資を受けるために条件となる仕様は変更できないということです。
しかし、この部位でもあらかじめ確り設計段階で考え、工事が始まったら変更しないようにすれば問題はありませんので、確り設計者と打合せしてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 建築よろず相談殿

このたびは大変丁寧なご回答をありがとうございました。
大変分かりやすく、また今後家作りを考えていく上でとても参考になりました。
正直言って、こんな「初歩的な質問」にここまで具体的なアドバイスを頂けるとは思ってもみませんでした。
これで「公庫」に対する疑念が晴れて参りました。

私は「公庫にすると自由なデザインが建たない」と勘違いしてしまっただけ、のようです。
要するに、公庫=ハウスメーカー的な画一的な家になってしまうのかと・・・。
(それだけは避けたかったんです)
実はこの相談の回答を待っている間に、本件の施工業者(予定)の建築士に会い、いろいろと話を聞きました。
公庫を一方的に否定した表現は見当たらなく、ただ、事実のみお聞きしたように思います。

以下、建築士のコメントです。

公庫は申し込み後、2ヶ月以内に着工しなければならない。
延期を申し出てもそれは1ヶ月まで。
だから、慌てて申し込まないで、じっくりプランを練って、もう変更する個所はない、というところまで持っていってから申し込むといいですよ、というものでした。
「申し込む時期」に注意して、プランニングの変更さえなければ公庫だってなんら問題ないですよ、というものでした。

以上、事実でしょうか?

「第三者的な立場」として「公庫」を通す策はいいアイデアかもしれません。
公庫のことで、決定的になにか否定されるのであれば、この業者とは縁が無かったもの、と考えうるいい基準になるような気がします。
一方的な自分の思い入れだけでプラン及び施工を進めないように注意していきます。

**********************************************

ここまで丁寧に回答を頂いて、また質問を蒸し返すようで恐縮なのですが、私の【ある質問】にこちらの建築士はこう答えました。

私「よく建売住宅などは”公庫仕様”とうたわれており、それはあたかも”良い建物”、”正しい建物”という感じを受けるのですが、本当ですか?」

建築士「いいえ、公庫仕様に”欠陥住宅”がない、というのは嘘です。ひとつの基準に過ぎません。」

私「何か、変更したい個所が出てきてしまった場合、公庫から建築再開の許可がおりるのに時間がかかるんですか?」

建築士「地方自治体によって違うと思います。市がチェックしますから。」

本当でしょうか?

例えば、公庫の物件に、建物完成後になんらかの欠陥が見つかった場合、その物件を許可した「公庫」にもなにか責任が生じるのでしょうか?
であるならば、それを逆手にとって、「家」対する保証を確保する意味でも公庫を通すもう一つのメリットになりうる気がするのですが・・・。

それと「公庫」=「地方自治体」なんですか?(もしかして、私の質問の仕方が悪かったのかも知れませんが・・・。建物のチェックは公庫であろうとなかろうと”行政”が行う、と言う事なのかも?)
公庫は国のもの・・・という私の認識に誤りがありますか?

これは自分自身「公庫は何によって運営されているものか」をもっと具体的に知る必要がありますね。

公庫のHPも見ましたが、なんというかこういう単純な疑問に対する答えを見つけられないのです。例えば、建築予定地が「準防火」だったとして、一体誰が建築物に対して「準防火」であるかどうか、チェックするのだろう。
これが「建築申請」なんでしょうか?これが「地方自治体」に向けて行うものなんですか?
ということは「違法建築」でないかどうかを見極めるのも「地方自治体」なんですか?

とにもかくにも「公庫」を通す工夫や技術もないのに「公庫」だけを否定するような業者だけには発注しないように気をつけようと思います。
そして、公庫の「基準=厳しさ」が施主にとってはメリットであり、悪徳業者にとってはそれがデメリットになるんだ、と理解出来たような気がします。(これは一般論であり、特定の業者や私が交渉している業者のことではありません)
だた、【公庫とて万全ではない?】という部分だけがまだ疑問として残ってはいます。
「公庫」を過大に期待しすぎ、と言われてしまいそうです・・・。

皆様、お忙しい中、アドバイスをありがとうございました。
 その後  
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