本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0559 建物完成後、建売の契約に変更と言われた

 相談概要 [氏名] YK
[居住住所]     神奈川県相模原市
[相談建物予定地] 神奈川県相模原市
[職業] 会社員   
[年齢] 32   
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 建設会社の建築士
[何階建て] 2   
[延べ面積m2]    
[延べ面積坪] 25
[工事請負金額] 1480
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 建設会社
[お名前] M産業
 相談内容 家作りの相談と言えるかどうかわからないのですが、ここにて相談させていただいております。契約の形態についてです。
まず、当方の状況についてご説明します。

条件付土地を購入しました。土地については重要事項の説明も受け、手付金を売主へ支払い、仲介業者に土地分の仲介料も支払い済です。売主が建築会社で、建築の請負をその会社で行う条件付きです。

 土地の重要事項説明時に、3ヶ月で着工しなければ土地の売買契約を白紙にする特約もついているのを書面上で確認しています。土地については、2・3不満はあれども契約を解除したいとまでは思っていません。

 ところが、建物については、建坪と「業者指定の標準仕様(詳細がほとんど不明)」と金額だけが決まっていて、他は「標準仕様内でのフリープラン」ということになっていました。(口頭です)

土地の契約時にも、「建物の詳細説明は建物の契約時に行います」といわれています。
間取りの設計も終わり、内装や外壁についての打合せを行っています。色々勉強して図面を要求したり、仕様書を再チェックしたりと、付け焼刃ながらもなんとかやっているところです。

仲介業者から建物の契約をせかされる側面もあるのですが、図面や仕様書、工事費の明細書等がなければ契約しようにもできませんと言ってありますし、性能評価を頼むことにしたのですが、その図面上の審査等も通らないようでは困りますので、「図面上の検査が終わり図面がすべて揃わなければ建物の契約はできないし、契約が済むまで着工しないで欲しい」と仲介業者に強力に申し入れてあります。

よって、まだ建物については手付も払っていませんし、契約もしておりません。土地の契約から3ヶ月たっておりますが、着工もしておりません。

以上が、当方の現状です。

ここで質問させていただきたいのですが、よく仲介業者から「建物が建った後、建売の契約に改めて変更します」と言われています。つまり、条件付土地の契約と建物の契約の2本だてだったものを、建物の竣工後、建売住宅のように土地付き建物として各種契約をやり直す、ということらしいです。このため、手付の領収書等にもとくに印紙もはらず(印はおしてありますが)、すべて一種の「仮契約」のような形になっているようです。

これは一体どういうことなんでしょうか?
条件付土地の契約上、こういう形態はよくあることなんでしょうか?

もし、皆様のご体験でなんらか思い当たることがございましたらお教え願えればと思い、筆をとらせていただいております。
他の質問へのご回答を拝見いたしまして、不動産の取引等についての質問はあまり受け付けていただけない模様ということは承知の上で質問させていただいておりますので、ご回答いただけなくとも結構です。突然でまことに申し訳ありませんし、主旨に沿わない相談かもしれませんが、もしなにかお教えいただけましたら幸いに思います。

よろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 素晴らしいHPだと思います。消費者にとっての一種の駆け込み寺というか、施主の助け舟というか…
特に、「今までの相談内容」の充実が、非常に素晴らしいと思いました。これだけの相談内容の蓄積は、類似のHPの中でも群を抜いているのではないでしょうか。ひとつだけ言わせていただければ、ページの最下端にも、最上端と同様のリンク(矢印のやつです)を設けていただければ、総舐めで読もうとする私のような利用者にとって、より使いやすいものとなると思います。

今後のご活躍をお祈りいたします。
アドバイザー 
小松原 敬 土地を取得したものが短期に転売すると(5年以内)短期譲渡という税金が売主に課せられます。
これはバブルの頃、土地転がしをして値段を吊り上げる会社が多かったのでそれに対抗する措置です。
土地を仕入れて5年以内に転売すると価格の40%+地方税の譲渡所得を掛けられます。

基本的には、良いんですがこの法律が売り建て(土地を売ってから建てるので建売を逆にしてこのように言います)の場合は足枷になります。
ただ土地を売って3ヶ月以内に着工した場合は、建物も一緒という事で短期譲渡から逃れられます。
それで3ヶ月以内に着工という事を契約にするのです。

しかし、実際にちゃんとした家を設計して建てようと思ったらどだい無理な話ですが・・・

すでに3ヶ月が経っているということですから、この業者としては売り建てではなく建売であるという形にもっていきたいのでしょう。
このこと自体は理解できる事ですが、建築条件付の土地販売は独占禁止法に抵触するんではないかという議論もあります。

買う方にとっては不利益なやり方なのでやめてもらいたいですね。
清水 煬二  このタイプのケースは、間に入って何度も経験しています。
簡単に述べますと、

地元不動産屋において、この建築条件付から建て売りへの変更はよくあるというか、常套手段です。
建て売りでは、不動産屋のリスクが大きいからです。
また、建築条件付のほうが、客の成約率が大きくなるからです。
建築条件付は、土地の売買と建物の建築請負契約となります。
建て売りは一括の売買契約となります。

契約形態が異なりますので、そのことによる、メリットとデメリットがありますし、業者はもっともらしい理由を述べますので注意が必要です。すべてが順調にいけば、いずれも気にすることはないのですが。

但し、必ず気をつけることは、仲介の手数料が建築条件付の場合は土地の価格の3%+6万円ですが、建て売りとなると建物をあわせた金額の3%+6万円と請求する業者がいることです。この場合は、あなたが建物の3%を損します。2000万円の建築費なら60万円をあなたが余分な仲介料を支払うことになります。ほとんどの人は知らないので請求されると払ってしまいます。

 不動産屋の勝手で、契約を変えるので、この分は負担しないと言っても本来は通用します。業者が拒否すれば、宅建業法にひっかっかる可能性が高くなります。契約前に確認しましょう。支払うにしても納得して支払って下さい。

建築条件付の場合は、土地を気に入っている方が多く、プランはだいたい思いどおりになり、割安感がありますから、継続すべきいい方法だとは思います。
しかし、素人が宅建業者や建て売り専門の工務店とやり合うのは、無理があるのが現状です。お話では、事前に仕様がハッキリ提示されていないようですが、今までの経験では、そういう業者はかなりいい加減で、強引です。
地元不動産やの建築条件付やフリープランの建て売りでも、比較的しっかりしている所ほど、仕様が細かく出ています。また、そういうところは客の要望に耳を傾けてくれます。

 もう1つ、気をつけて頂きたいのは、仕様というと一般の方は、仕上げと勘違いしていることです。良質な家に必要なものは、仕上げより、本当の仕様の確認が必要ですが、これはやはりいくら勉強しても一般の方では、無理だと思います。
仕上げは、安い建て売りでもそれなりに見映えよくできます。問題は中味です。

以上から、契約はあせらず、仕様や仕上げをしっかり確認して、理解し、契約前にも契約書のコピーを事前にもらい、よくチェックして特約などの停止条件なども確認や要望を出して契約することが大切です。契約書は、トラブルがなければほとんど必要のないものですが、トラブルがあったときにはその契約書にもとづきますから、知らなかったでは済まないのです。念書や覚書があっても無効のケースもありますから、先々万一、何かあれば、書類に書いてあっても、おかしいと感じれば、泣き寝入りせず役所に相談してみるとよいでしょう。

このトラブルや、不満が地元不動産屋には多く、かなり有名だと思っていた会社でさえ平気で宅建業法違反を行っていますので気をつけて下い。 
 コメンテーター 
山口 雅克 図面や仕様書、明細を要求されているのはよいことです。納得した上で家づくりは進めないと、大きな後悔をすることになります。
業者は土地と建物を売りたいのですから、3か月たっても白紙にしないのかもしれません。

自分の要望を適格に伝えて、お望みの家をつくるようにしましょう。第三者の専門家にアドバイスを受けながら進めるのもひとつの方法です。

注)領収書や契約書に印紙が貼ってなくても、書類の有効性にはなんら問題はありません。貼ってないものは、単に印紙税法に違反しているだけのことです。
 事務局から 
  荻原 幸雄 違法性の高いやり方ですが、残念ながらこのような方法が一般的になりつつあるのは法律に無理があるのだと思われます。土地投機を抑えるためとはいえ、3ヶ月で請負契約まで結ぶのは困難だと思われ、できれば6ヶ月くらいで、第三者の監理者を入れるような方策を国のほうでも考えてもらいたいものですね。

ご希望のとおり「図面や仕様書、工事費の明細書等」の提出要望は解約も辞さない覚悟で、求めてみてください。その程度が出せないのでは先が思いやられますからね。

頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 建築よろず相談に質問させていただいたYと申します。
丁寧な御解説をいただき、本当に感謝しております。
おかげさまで、売建による売る側のメリット(というかカラクリ)が理解できました。

種々のHPを参照し、自分なりにも勉強をすすめながらなので、第三者監理の必要性を強く感じております。
幸い、縁がありましてとある監理専門の業者さんに依頼することになりました。

住宅評価制度の方も建築会社を通して利用することとしました。
これら合計しますと70万近くの費用を見こまなければいけないのは、正直いってぎりぎりの予算で建築を考えている私たちにはキツイですが、各種保証がないことには話をすすめることすら不能な現状では、必要経費と割り切ることにしました。
この決断には、貴ページの主張にも大きく影響を受けています。

売建の場合、「建ってない建物に関しての仲介料は不要」という話は知人からも聞きました。
ただ、この話は土地の契約時から聞かされていることでもあり、土地の契約後にも(種々不満はあれど)、割と仲介屋さんをこきつかっておりますので(笑)、建物の仲介料は「無事竣工」となる暁には支払ってあげようと思っています。
もちろん、満足のいくお仕事を仲介屋さんがしてくれたら…の話なんですが…

とにかく、契約が済んだり、仲介料を払った途端に態度が豹変する、というケースもよく聞いていますので、皆様のアドバイスとおり、気をつけます。
実のところ、監理を頼んだ費用とほぼ同額以上の金額を支払うのですから、仲介屋さんにもしっかり働いてもらわなくっちゃ…と思う
のは、主婦の感覚なんでしょうか(笑)

解説員、コメンテーターの皆様のご助言と、事務局のおぎはら様の「解約も辞さない覚悟で」という力強い言葉に勇気がわきました。
まさにその覚悟で今後ものぞんでいきたいと思います。

本当にありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107