相談概要 | [氏名] O.T [相談内容:] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 埼玉県三郷市 [職業] 会社員 [年齢] 43 [男性] on [構造] 木造(その他) [築何年ですか?] 築 1年以内 [何階建て] 2 [延べ面積m2] 106.81 [延べ面積坪] 32.25 [工事請負金額] 3690 [様態] 建売り住宅 [施工者] ハウスメーカー [お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下 [床面積] 110m2以下 [施工者名] Pテック [販売会社名] 海住宅 [設計者名] C開発 |
相談内容 | [現象] 新築の高耐久性木造住宅なのに、交通振動で悩んでいます。 江戸川の堤防の西側、大場川との間の地に問題の家があります。 大場川の幅は約30mでしょうか。その大場川の西側に沿って片側1車線の県道が走っており、ここを走る大型車によってもたらされる振動が大場川を越えて我が家に伝わるのです。入居時はまさか川を越えて大きな振動が伝わるとは思いもよりませんでしたので、建物の頑健さを見て選んだわけですが、毎日2階に頻繁に起こる震度2相当の振動のために、いかなる頑健な家であろうとも徐々に疲労損壊していくであろうことは明白であろうと思われます。 十年保証がついていますが、その後のことは全く不安であるし、現在も早朝の交通量の多さで睡眠を妨げられることもしばしばです。 地盤と建物とが共振現象を起こしていると思われ、耐震性についても非常に不安を感じています。 [業者の見解] 入居当初は震度3相当の揺れもよく起こっていましたので、業者は鋼材で補強をしました。家は平面的にはやや南北に長い長方形で振動の方向は主に東西です。補強は南側の壁面に沿って門型の鋼材を立て、柱や梁に締結することで行われました。それなりの効果はあり、振動の変位振幅が3割程度減り、短時間で減衰するようになった感じです。しかし振動の加速度は依然強く感じられます。 補強後に業者が実施した振動計測の結果です。測定は2階の南側の2部屋(東側のBと西側のC)の床で行われました。早朝わずか5分程度(無作為)の計測で次のようなデータが得られました。 最大加速度 ; B 2.70gal C 1.23gal 最大片側変位 ; B 30.9μm C 28.0μm 加速度固有振動数; B 5.78Hz、5.53Hz C 5.8Hz、5.15Hz 変位固有振動数 ; B 0.27Hz、2.58Hz C 0.23Hz、5.03Hz 地盤の固有振動数については補強前に業者が測定し、東西方向について最も卓越したのは42Hz付近、ただし3Hz弱のところにもピークがあったようです。業者は固有振動数を加速度で判断すべきとしてますが、あまりにも変位のそれと異なるため、速度等別の値で判断すべきだと私は思います。その場合、地盤の固有振動数と一致し、共振しているのではないでしょうか。 補強を行うに際して業者が言ったことは、交通振動は業者の責にあらず、今回の補強はあくまでサービスであり、瑕疵を認めたわけではないということと、補強の成否を問わず対策は今回限りにしてほしいということでした。しかし、重要事項確認書にも振動に関する記載は一切なく、土地を含めての分譲ですから常時振動する家を提供した業者の責は免れないのではないでしょうか。現在も毎分のように震度2相当の振動が続いており、とてもこの状況を放置する気になれません。 [相談内容] ご相談したいことは大きく3つです。 ・この振動状況を改善する技術的に有効な対策について ・瑕疵という言葉が妥当かどうかわかりませんが、振動する家を提供した業者の法的責任と損害賠償請求の可否について ・県道から発生する大きな振動に対して県に対して申し立てできることについて 以上よろしくお願いします。 |
yorozuの感想 | このような善意のHPを作成されたことに敬意を表したいと存じます。 |
アドバイザー | |
遠藤 知世吉 | 振動を止めることは難しいと考えます。ただ建物全体を持ち上げ、免振のための機器を設置することは技術的には可能と思いますが、大変大掛かりな工事となります。 もし、建物がしっかりとした構造となっていて尚且つ振動が起こるのであれば,施工業者への責任は問えないのではないか・・と思います。また販売時の重要事項内にその説明が必要かも疑問です。 県に対する申し立てについては、公害対策室のような所があると思いますので、相談すべきです。道路の小さな段差をなくすことにより、改善することもあるかと思います。 気になるのは、「補強することにより振動が少なくなった」ということです。もともと建物の耐力壁が少なく、振動が大きくなっている可能性があります。設計図及び現建物を第三者の建築士に調査していただくことをお勧めします。 |
津村 泰夫 | 「道路公害」という観点から回答してみます。 建築とは別に道路公害に関する市民団体に属しております大阪の津村と申します。 道路公害という観点から見ますと、環境基準から振動の基準がどうかということは手もとに資料がございませんのでご勘弁願います。たとえばNOXは0.034ppmから0.036ppmが環境基準の範囲でして、振動についても基準があり、明らかに環境基準を越えているものと想像されます。特に42Hz付近で最大ということは低周波振動であり、健康に対してきわめて有害といわれています。 まず県土木に振動測定を依頼して、環境基準に合致しているかどうかを調査請求してください。その結果環境基準を越えているようであれば道路構造の改善を要求してください。 要求に応じない場合は行政訴訟を起こさなくてはならないかもしれません。 道路構造の改善には時間と金がかかりますので県から補償を受けることが現実的かもしれません。補償策として免震構造による家への建て替え費用を要求する事になるでしょう。 道路公害反対運動全国連絡会 にも相談コーナーがあります。 |
氏原 毅士 | 私自身の経験ですが、現在の奈良に引越しするまで住んでいた自宅の状況ですが、自宅から約70メートル離れた高架橋の継ぎ手を大型車が通過するたびに揺れを感じていました。 原因は地域の地盤にあるのですが、東大阪市を含む大阪平野の大半は平均25メートル近い軟弱な沖積層が存在します。 この地耐力は表層こそN値3から5ですが以下支持層までは0から1が続きます。ベタ基礎の上の木造2階でしたが、前記のほか突風でも揺れを感じていました。 自分で設計し(あたりまえか)建築したものですからカミサンにはずいぶん嫌味を言われました。 N値1とは平均体重相当の人(63.5kg)が75cm(机程度の高さ)から飛び降りたら1回で30cm沈下するということです。 東京での地盤状況がわかりませんが、通常河川付近は砂地と東大阪と同様な粘土質が交じり合っていることが多く、ご相談のような問題を起こすようです。 はっきり言って、解決法は無いかもしれません 地盤改良(薬液注入)をしてもその周辺は改善が出来ないからです。 |
久米 能子 | 道路などからの建物への振動の伝播の低減について、私自身はまだ使ったことはありませんが、以下のような工法がありますので、ご紹介のみいたします。 建物の周辺からの振動を回避する工法として、岩水開発株式会社というところがWIB(ウイブ)工法という特許をとっています。 これは、波動を遮断するブロック等を地中に埋設する工法で、波動の発生源の下に埋設したり、振動を受ける側の建築物の下や、周辺に埋設することで振動を低減する工法です。主に道路や鉄道などの振動を対象としています。 建物の周辺の地盤に埋設しても効果があるので、既設の建物に対しても施工できます。ただし、重機が搬入できるだけのスペースが無いと施工できないそうです。(おおよそ、2.5M×4M程度) 実際の施工に先立って振動の調査を行い、最も効果的な場所に埋設していくようです。 岩水開発株式会社 本社 岡山市福吉町18−18 |
コメンテーター | |
三浦 惠翁 | 軟弱地盤に造られた建売住宅と思われますが、交通振動で地震並みの振動を感じるのは、基礎構造、木造構造に起因していると考えられますので販売会社に建築確認申請書、検査済書の提示を求め貰ってください。その上で書類添付図面、お手持図面、建物現状を、構造に強い建築士に調査依頼、判断して貰って下さい。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 地域的には江戸川と中川(古利根川)の堆積物でつくられた平地で沖積層が40m前後に及びます。 昔は河川の氾濫を繰り返して来た場所で都心に近い割には開発が遅れた場所でもあります。 考えられる事は、 1.建物そのものに問題がある。 2.車道の沈下による段差が大きくある。 3.両者による共振の可能性 でしょうが、 1.は調査すれば判るでしょう。 2.は県土木事務所に補修を依頼する。 3.が大変難しいと思います。 1と2の複合でしたら、両者を補修すれば可能ですが、1と2も問題はなくただの固有周期の共振でしたら a.今以上鉄骨等で補強し建物の固有周期を変える。(地盤の固有周期は変えれないので・・。) b.基礎と建物の間に免震の為の積層ゴムを入れ振動を吸収する。(これは相当費用が発生します。) |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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