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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0512 結露.設計通りだから落ち度はない

 相談概要 [氏名] N.Y
[相談内容:] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 愛知県日進市
[職業] 会社員
[年齢] 35
[男性] on
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済書は有りますか?] どういうものか知らない。
[お手持ちの図面は何枚?] 15枚以下
[打ち合わせ何回] 5回
[床面積] 120m2以下
[施工者名] D建託
[販売会社名] D建託
 相談内容 [現象]
現在建築途中の建物。鉄骨平屋事務所。内装は別の業者にやってもらっている。
屋根を支える鉄骨の結露がひどく,内装工事の途中,天井の上に強いた断熱材に水滴が落ち,断熱材が水浸しになった。また,鉄骨に張ってある屋根の下地(ベニヤ板)に大きくシミができている。放置すればあのベニヤ板はすぐに腐るだろうと,それは素人のぼくでもわかる。軒下に換気口はあるが,屋根の両サイドに「ガラン」(という物かどうか,耳で聞いただけでははっきりわからない)と大工さんが呼ぶ換気口はついていない。建物の骨組みと鉄骨,屋根,壁の施工をしたD建託にクレームをだした。すると,「文句を言うなら鍵を返せ。建物は引き渡さない。こちらの仕事にいちゃもんをつけるな」という態度に出た。

[業者の見解]
上記の通り,「こちらの設計通りやっているのだから落ち度はない。そちらもこちらの図面を見てOKをだしたではないか」という対応。しかし素人のぼくに,結露対策ができているかを図面上で確かめ,気がついたら指摘するなどということは初めから無理だと思う。また,内装のやり方が悪いから結露するかのような発言(内装は現在まだ進行中)や,結露は当たり前,水が落ちてもしかたがないといった態度。どうしても「ガラン」をつけたいのなら追加工事で別料金だという。文句があるなら建物は引き渡さないとまでいわれ,開業時期が迫っている今日,どうすればいいかわからない。

[相談内容]
自動車なら,こちらが納得して買ったつもりでもメーカー側で欠陥が見つかればリコールされることがある。結露は気温や日当たりなどの条件に大きく関わる問題なので,実際建ってみなければわからないこともあると思う。しかし,実際に結露している以上,それに対する対策は,建築請負契約の中に含まれているとこちらは思う。それを「最初の図面にないからできない」というのはおかしいのではないか。ぜったいに結露しないような建物は無理だと思うし,そこまで要求するのではなく,せめて天井裏に水が滴るようなことのないように対策をしてもらいたい。それによって納期が遅れたりした場合の賠償についても考えたい。
 yorozuの感想 事務所建築の相談なのでどうかと思いましたが,ほかに相談できるところもなく,困り果ててメールを送ります。なにとぞご回答いただきますようお願い申し上げます。
アドバイザー 
関口 啓介 名古屋の関口と申します。

屋根温度が鉄骨へと伝播され、温かな空気が冷たい鉄骨に接触する事で発生したと思われます。これを未然に防ぐためには、屋根の断熱計画、小屋裏の換気計画、室内天井の断熱計画及び、室内空気の流入阻止が必要であったと思われます。
そう考えますと、建物本体と、内装及び断熱工事は、結露発生に対して密接な因果関係を持つ事になります。

まずは、総合的に判断された設計が必要であったこと。そして、それに基づいた、適切な施工が必要であり、そのための総合的な監理者も必要であったのではと思われます。そうであれば、問題が発生しても、設計監理者、施工者とも責任をもって対処された事でしょう。

分離して発注された事において、責任の所在も分離され、外部を作った施工者、内装業者、そして分離発注の自己責任が存在すると事になります。また、責任の所在も不明瞭になり、責任追求もしにくいのではないでしょうか。

まずは、屋根の断熱計画についてと、小屋裏換気計画について、設計時の見解を求めてみましょう。それが、現在の内装施工を考慮したものかどうかはわかりません。そのあたりも含めて設計依頼と施工がされたのかどうかも確認してみましょう。

内装施工が設計時に前提とされていたならば、その時点での不具合がないのか、確認してみましょう。
内装施工及び、断熱施工が適切に行われているか確認致しましょう。

また、左官壁の工事中などは、壁乾燥に伴い、多量の水分が放出され、結露を起こす事もあります。そして、内装施工途中で、室内空気が小屋裏へ遮るものがなければ、余計発生致します。

これらを検討した結果、発注者にも責任があると思われるならば、一方的に責任を求めるのでなく、双方にて負担する事も必要かと思われます。

速やかに解決され、開業に差し支えなく、事業が順調に進まれる事を願っております。
久保田 英之 よろず解説員の久保田と申します。

相談者の考え方は妥当と考えます。断熱材が水浸しとなれば不安もあるでしょう。

実際の現場を見ていませんが、たぶん屋根工事を終え天井に断熱材を入れたところで発見されたのかと思います。天井裏の換気を良くするために妻面にガラリ換気口を付けるなどして結露を少しでも防止する措置をとり、天井断熱材を正しく据え変えてみてはどうでしょうか。その時には、工事業者との話し合いは必要ですが現状の悲惨な現場に対して訴えるしかないと考えます。

但し、屋根下地の合板にもシミとありますが雨漏りも確認した方が良さそうですね。
 コメンテーター 
善養寺 幸子 屋根の結露は侮れません。雨漏りのように水浸しになり天井が落ちそうになった知人がいます。屋根の外側をしっかり断熱するか、充分な小屋裏換気を設ける必要があります。関口解説員の言うように総合的な設計がなされる必要があったかと思います。

コスト削減の為、分離発注されるケースをこのところよく聞かれますが、問題が起こると責任のなすりあいになり誰も責任を取ってくれないケースもこれまたよく聞かれます。敢えてリスクのある方法を取るのなら、専門的な知識のある設計監理者を右腕にしておく事がリスクを減らす手段だったかと思われます。

いずれにせよ、早急に解決するためには落ち着いた話し合いが必要です。換気口の必要性に素人なので気付かないのは当然と思います。ただ、その必要性を感じ設けようとする場合、契約時の詳細内容に含まれていないのなら追加工事になるでしょう。見積もりに含まれていない場合。(その辺が明確に契約されていない事が多いので困ります。)妥当な金額を払って早急に問題を解決するのも方法かと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 結露なら対策は簡単に対応できると思いますが、業者としては分離発注は面白くない(儲けが減った。)と考えている態度ですね。問題点はちょうど分離発注の弱点、なすりあいになっている点です。この場合は多少、譲歩する必要もあろうかと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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