本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0507 雪による被害について

 相談概要 [氏名] K.H
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 千葉県四街道市
[職業] 会社員
[年齢] 37
[男性] on
[構造] 木造(その他)
[築何年ですか?] 竣工後半年以内
[何階建て] 2
[床面積] 110m2以下
[様態] 建売り住宅
[施工者] ハウスメーカー
[お手持ちの図面は何枚?] 1枚
[打ち合わせ何回] 1回
[施工者名] K住宅株式会社
[販売会社名] K住宅株式会社
[設計者名] わかりません
[監理者名] わかりません
 相談内容 [現象]
今回初めての相談になります。先日土曜日からの雪による被害について施工業者は本当に責任が無い物なのかをお聞きしたくメールしました。
9月に四街道市内に、全16棟の内の一棟の建て売り住宅を購入して今回の雪に遭遇しました。私が購入した住宅は屋根が45度と急勾配のもので当初の説明では北海道が発祥になっているとのことでした。それなのに今回の雪で雨樋が雪の重さに耐えきれず破損してしまいました。

そして屋根に積もった雪が一気に落下したせいで、隣接する公園の植木を数本折ってしまいました。落下した時間が午後4:30頃だったためもし子供が遊んでいたら雪の下敷きになってしまう可能性もありました。とにかく大量の雪が落下しました。雪の大きさは数十pで3〜5s位あり、厚みは5〜10pの物も一気に落下しました。

施工業者に連絡したところ当初は自己責任で雪下ろしをしないのがいけないとのことで実費にて修理をと言われました。でも他の棟でも同じ様な苦情が施工業者に連絡されたためか、施工業者から再度連絡があり、今回に限っては施工業者が修理代を出して壊れた雨樋のみを補修するとの内容が返ってきました。

しかし、今回は雨樋の修理だけではとうてい収まりきれない問題だと思っています。もし子供がいたら怪我をするのは必至であるため施工業者に構造上の問題点を見直して欲しいと言ったところ構造的にはなんら問題は無いと言いきられてしまいました。

その後夜になって他の棟でも再び被害が続出しています。隣の庭に雪が落下してしまったもの。雨樋が割れてしまったもの。駐車中の車の屋根に落下して屋根が破損してしまったもの。窓に当たって網戸などが破損した等々。確認したものだけでも上記の内容があります。

同じ施工業者が行った物件で一度にこれだけ被害が出ているのに構造的な欠陥が無いと言い切るだけの根拠は何処にあるのか到底理解できません。この業者が四街道市内に数ケ所良屋根の急勾配の家を建てていますが他の物件では被害が報告されていないとのことでした。

[業者の見解]
30日に業者が確認に来ました。その結果は施工業者が行う上記対策と個々が有料にて費用を負担して追加工事を行ってはどうかの内容を紙に書いて連絡すると言ってきました。そしてこの対策は本来やらなくても良い物を実施するのだから施工業者の誠意を示した物であると言われました。

[相談内容]
同業者が建てた急勾配の屋根の仕様の他の物件では被害が発生していないのに私たちの物件に同様の被害が出ているのは建物の構造的な欠陥ではないか?
構造的に問題があるとすれば業者負担で根本的に欠陥の修正を実施して貰えるか?
被害にあった植木や車等の保証は業者がしてくれないか?
今後再び同様の被害が起こったら業者の責任はどうなるか?
屋根が急傾斜の時の雪対策で有効な手段はどうすればよいか?

これらの件に付きまして良いアドバイスをしていただければ幸いです。何とぞ宜しくお願い申し上げます。

 yorozuの感想 当初よろず相談のルールを知らずにメールしたところ、数日で返信があったのでとてもありがたく思いました。現実に今困ってのメールなだけに素早い対応に感謝しています。ルールにのっとって再度メールしますのでお忙しいとは思いますが何とぞ御返事頂きたく宜しくお願い致します。
アドバイザー 
三浦 惠翁 北海道が発祥の地、格好がいい建売を買われた気持ちはわかります。
建物下見の際に建築士など建物に詳しいかたに同行してもらえば良かったですね。

敷地に充分な余裕があり雪が滑り落ちても支障の無い場合、雪国では雪下ろしの労苦を省く為に屋根勾配を急に造って居るのです、しかし市街地や、雪が滑り落ちて危険な屋根には滑り止め金具を取り付けて、滑落を防いでいます。
昼間気温の高い関東地方で湿った重い雪を、足場を掛けなければ登れない様な急勾配の屋根の雪下ろしは危険です、業者の「自己責任で雪下ろしをしないのがいけない」などもってのほかです。
千葉は雪が少ないとはいえ、年に2−3回は積もります。
写真では良く解りませんが、急勾配の屋根でありながら滑り止め金具が取り付けられて居ないのではないでしょうか、大きな事故に為らない内に、業者の責任で滑り止め金具を取り付けてもらって下さい。また雨樋のアンコウ部分(縦樋取り付部)に樋受け金物が無いように見受けられます。

>同業者が建てた急勾配の屋根の仕様の他の物件では被害が発生していないのに
>私たちの物件に同様の被害が出ているのは建物の構造的な欠陥ではないか?

構造的な欠陥では無いと思います、コロニアルの表面が磨耗し滑り難くなっていたのでしょう。

>被害にあった植木や車等の保証は業者がしてくれないか?

専門では有りませんのでお答えできません。業者と話会って見るか弁護士に相談して見てください。
畔上 廣司 こんにちは、野田市の畔上です。

今冬は関東平野部でも積雪で何処も大変なようです。
屋根が果たす一番大きな役割は、雨風(雪も当然含む)を防ぐ事です。その次に断熱や防音などの機能が要求され、また、地方地域によって屋根の形状そのものが建築デザインに大きな影響を与えています。
さて、5枚の被害状況写真だけでは判断が難しく、さらには屋根全体の形状及び隣接する建物景観がわかる写真が必要ですが、取り合えずご質問にお答えします。
また、実際の建物と契約書類の設計図と相違の有無について内容をもう一度確認することをお勧めします。

〜「他の物件では被害が発生していない」のは建売住宅の区割りの関係や立地条件が全く異なるか、或いは業者の方便であるかは判りません。仕様や条件が同様で有るか否か実際に現地を御覧になったら如何でしょうか。
 屋根材の性能と施工法をはじめ、建築基準法令上の構造規準が遵守された設計で、建築確認申請適合通知が成されている以上、また、屋根形状を含めた外観デザインや平面計画、立地条件等を気に入って購入したわけで、構造的欠陥が無いものを業者負担で屋根勾配の修正を要求することは難しいと思います。
 北海道仕様に依存したことは考え物ですね。設計は地域性の考慮が必要なのです。
 但し、建築物の環境衛生、安全生活上の設計責任、または、購入時の契約時説明不足等について双方協議の余地が有るかも知れず、業者とよく話し合う事が必要と考えます。

〜参考写真から屋根葺き材はセメント系スレート材であり、この材料の屋根勾配は最低25/100(2.5寸)勾配以上取ることが一般的な標準仕様となっていますので問題有りません。ただし、雪止めが設置されているかどうか確認できません。正しく配置されていれば被害は最小限で防げた可能性があります。
 屋根勾配が急で有れば水仕舞いについては有効ですが、反面、積雪時は屋根葺き材の動摩擦係数が小となり、加速度が増して急落下することになります。従って、本件の場合は設計時点で通常、一段或いは計算式によって二段雪止め設置が必要だったのではないでしょうか。因みに一定の雪の塊の長さが0.25mで屋根勾配が30〜45度の場合、雪の水平飛距離は約2.1mになります。しかし、法律上では雪止め設置義務は無かったと思います。また、スレート系の軽い屋根材使用の場合は雪止め材取付用下地材の補強が必要となる場合が多いので注意を要します。

〜参考までに屋根葺き材は重ねの大小、逆流防止の有無、工法等に差異が有り、それぞれの材料に適した勾配が外観上の計画も含めて設計されます。積雪荷重はその地方における垂直最深積雪量×積雪単位重量(多雪区域を除いて積雪量1cm毎に2kg/m2)によって計算され、勾配によって積雪荷重に乗ずべき係数が基準法施工令で定義されています。

〜雪止め対策は無論、各種の保険などの保証が可能なのかどうか調査しておく必要性、或いは地震時での雪害、雪凍害の同時災害も有り得ますので最悪事の対策も必要でしょうか。
 特に雪の影響少ない千葉県南部などで急な大雪になると、積雪時対策について考えさせられますね。
 コメンテーター 
田所 雄太郎 2人の解説委員の意見を参考にしてください。
屋根には雪止め金物をつけ、樋の支持金物にも補強が必要と思われます。
けが人が出ては大変ですから安全対策をよく施工者と話し合ってください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 家の工法が北海道や北米仕様でも建つ土地の風土を考えないと何にもならないのが家です。今回のは北海道仕様ですが、北海道のような広い土地の豪雪地帯ではなるべく雪を自然に地面に落とすように考えます。そのためすべり止めも樋もありません。都市部では敷地もせまいので、民法上も樋が必要になります。

また、雪は通行に危険な場所に落ちることも考えられ、雪止めは必要なものだと考えていいと思います。樋の破損についてはどの程度の雪に耐えるように考えられているかという基準は特に有りませんが今回は業者が対応すると言っているので、受け金物を多めに取り付けてもらいましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107