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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0497 外断熱と内断熱のコンビネーションの是非

 相談概要 [氏名] H.M
[居住住所] 山梨県山梨市
[相談建物予定地] 長野県南安曇郡穂高町
[職業] 主婦
[年齢] 43
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 専業の建築設計事務所
[何階建て] 2
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] ハウスメーカー
 相談内容 [家づくりの相談内容]
前略、外断熱と内断熱の断熱工法コンビネーションの是非についてご相談いたします。

 年末年始に外壁の色と屋根の色を決めておいて下さいと建築家に言われ、このコンビネーションに不安をもっていましたが、それ以前に建築家とうまくコミュニケーションが取れずに今日に至ってしまい、今さら手遅れかもしれませんが、専門家の方のご意見をお伺いしたいと思います。

 契約直前、私どもは建築家の説明により外断熱工法を希望。契約時、建築家の提案は、ドライピットの塗り壁だけでは、デザイン上よくないので、1部アルキャンのサイディングにするというもの。しかし、釘が打てないのでその部分については内断熱工法をとるというのです。このようなコンビネーションに問題はないのでしょうか?
よくあることでしょうか?継ぎ目のところが気になります。また、外断熱工法の利点が半減するのではないかと心配です。

 デザインは、2x4、総二階、切り妻、45坪、東側が道路に面し、東側の二階を縦貼りアルキャン(内断熱)、南側1階キッチン前をやはりアルキャン(内断熱)、その他はドライピット塗り壁(外断熱)タイル等は貼らない。
 東北の1階が和室のため、内断熱と外断熱の継ぎ目の影響が気になります。また、キッチンは熱、湿気を持つところですから、デザイン重視の内断熱はどうかと思うのですが、これらの質問をEMAIL、FAX、TELでしておりますが、建築家が明確な解答を送ってきません。それどころか、先日は電話で言い争いになってしまい、気まずくなってしまいました。

 実は、契約時のあいまいな図面しかないので、実施設計図を要求したところ、何週間かたってフレーミングが完了してから、FAXで窓の位置がわかる1階の図面だけ送ってきました。契約図面と違う位置に窓がついていたので何回もFAX、EMAILで質問。ようやく建築家本人と話ができ、直してもらえることになりましたが、このことから不信感がつのっています。トラブルと呼ぶような事態が発生してからでは遅いので、事前に対処したいのですが、心配しすぎでしょうか?

 どうぞ年末までにご解答くださいますようお願い申し上げます。
 yorozuの感想 このサイトの存在を知っていたら今の建築家には決して依頼していなかったでしょう。私のように精神的にも参っている人の助けになって下さい。
尚、今後トラブルになった場合ご相談いたします。
アドバイザー 
山口 雅克 解説員の山口です。

相談内容の断熱材に関してからは的が外れますが感じたところをお話します。

 設計は完了したのですか?途中ですか。外壁の色を決めておいて下さい、の内容もありますが、建築家からの提案色があってからの話でしょうか。お互いに信頼が於けなくなっているような気がします。信頼できないまま仕事を依頼し続けることは果たして正解なのでしょうか。

 設計監理を専門に仕事をしている建築士にもいろいろなタイプの人がいます。全てが建築家と呼べるわけではありませんし、建築家でも依頼をしないほうがいい場合もあります。今までの経緯を推察すると、断熱材に関してのアドバイスを差し上げたところで、その内容をどうやってその建築家に伝えますか。伝えた結果、ますます信頼関係が崩れてしまうことになりませんか。貴方はずっとその家に住み続けるのですよ。

 この建築家の対応は誠実でない部分があるようにも思えますが、設計監理契約の内容や契約までの経緯(お互いの信頼関係)が不明なのでお話しにくいところでもあります。どの程度の設計監理業務内容と報酬で契約をされたのでしょうか。例えば、報酬が2百万を超えているようであれば誠実さが欠けていると思いますが、百万以下であるようなら業務に過大な期待があるような気がします。

 それに、基本計画時と実施計画時に窓の位置などが変わることはよくあります。設計期間中(工事中も含めて)にも建築家はできるだけ使いやすくて美しい建物を造って行こうと努めるからです。

 ごめんなさいね、きついことをお話してしまい。今、設計監理契約を途中解除することも選択できますし、建築家と再度信頼関係を回復するチャンスをつくることもできます。この断熱材のことをきっかけに考えてみたら如何ですか。信頼回復を望むところです。

 本題の断熱材に関してです。
 外断熱と内断熱の境界はそれ相当の気配りを行って設計をすれば大丈夫です。その詳細は設計者に納得がいくまで説明を聞いてください。
善養寺 幸子 細かいディテールが解らないので、通気層の取り方、断熱材、気密層の位置などによって多少答えが違うかと思いますが。

2×4なら内断熱にした方が納まりがシンプルだったんじゃないですかね。
木造の場合、蓄熱層がありませんので鉄筋コンクリート造とは違い、必ずしも内断熱イコール悪いと言うことではありません。充填断熱(内断熱)か外貼断熱(外断熱)の違いです。外貼断熱の方が木軸によって断熱性能の違いが起こることがなく、気密施工のしやすさから利点はありますが、内断熱との関係として極端に性能が違うわけではありません。結露を心配して外断熱と騒がれていますが、断熱材内結露を防ぐために、内断熱でも外断熱でも室内側に気密層を設ける事が重要です。

その気密施工が有効に行われれば、基本的には内部結露は防げると言われています。
室内側気密層が設けられていなければ、外断熱に置いても冬季に断熱材内結露が生じる恐れはあります。冬季に置いては蒸気は室内側から屋外側に流れます。気密層がなければ蒸気は断熱材を抜け、外装材に接した時点で結露を起こします。

外装材が通気性が非常に良いか冷たくなければ別ですが、大概の場合雨を防ぐための物ですから通気性通水性は悪く、冬冷たく、夏熱い物が殆どかと思います。(木は別ですが。)
外装材と断熱材の間に通気層が設けられていれば結露水はそこを通り排水されるか、蒸気のうちに排気されるのでしょうが、そこがなく室内側気密が悪いと結露は外断熱の断熱材内に残ることになってしまいます。内断熱と同じ状況です。

今回の場合、2×4と言うことで、多分外断熱の部分は構造合板によって気密層(気密テープを用いて目張りをするとして)を作るのだと想像されますが、同じように内 断熱部分も内側に気密層をしっかり設けると考えたらいかがでしょうか。断熱材も連続するよう、気密層も連続するように施工します。半端に断絶されないよう怪しい重なりは両方施工することにしたらいかがでしょうか。

ただ、サイディングだから外断熱が出来ないと言うのは疑問です。断熱材には釘がききませんが、通気層を設けるために縦胴縁を入れますから、サイディングを利用しての外断熱工法は作りやすいのですが。寧ろ塗り壁の方が複雑です。もしかして、断熱材の上に直接塗ってしまうのでは?と思うとその方が気になります。

どちらにしろ、良好に施工されなければ断熱気密工法は、無断熱スカスカ工法より結露やカビの問題を起こします。室温の作り方にも問題を発生させる可能性があります。
夏は寒いくらい涼しく、冬は熱いくらい暖かく、乾燥しないように加湿して贅沢な環境を人工的に作る故に弊害は起こってしまいます。どんなにか上手く高気密高断熱、外断熱を作れても、生活環境の中で極端に暖かい部屋と寒い部屋が生じた場合、室内水蒸気は暖かい部屋では蒸気ですが寒い部屋では露点に達し結露となってしまうことがあります。それが家具の裏などに出来るカビだったり、納戸のカビ臭さだったりします。建物の作りは基本ですが、生活環境まで考慮した計画を設計者も施主も心得て置かないと、建築の性能が良くてもトラブルは発生することがあります。

「室内」内壁-気密層-断熱層-(防水層)-通気層-外装材 「屋外」が気密断熱工法の基本です。その他、素材の性能を検討して納まりが考慮されます。熱せられた外装材を直接断熱材に接触させないのも効果を有効に得るためのポイントです。

今回、いっそ内断熱でキッチリ作るか、サイディング部分も外断熱にするとか、統一する気になればできると思うのですが・・・設計者の判断です。

何はともかく、あまり悪く想像しすぎない方が良いでしょう。人間関係ですので、嫌いになったらお互い様です。解らないことは解らないで、聞くのは当然です。
ただ、なるべく喧嘩越しにならないようにしてください。せっかく楽しい家づくりが嫌な思い出から始まってしまいます。苦労も良い笑い話になるような家づくりにしてください。設計者は伴侶みたいなものですから、疑うばかりじゃやりにくいかと思います。
 コメンテーター 
中川 雅実  H.Mさん、自宅の新築にかける熱意を十分に発揮され、よく勉強されていることが目に浮かびます。僕も住宅の設計・監理で、クライアントと目線が違うことがありましたが、相手の目線にあわせる努力をし、何を聞こうとしているのか考えたことが多々ありました。

 建築士と称する技術屋は、対話が苦手であり言ってることも専門的になり、意志疎通を欠いてしまうことが多くありますし、クライアントに理解されない事柄が解らない状況になったりしています。是非、解らないことは何処までも説明をして貰って下さい。僕の場合は、クライアントに十二分に信頼されることが非常に弱いです。

 外断熱・内断熱には、どちらも長所・短所がありますので、外断熱が優れていると言う風潮に惑わされないで下さい。それよりもヒートブリッジが出来ることを心配しています。
 ヒートブリッジとは、外壁と間仕切り内壁部分においては、外断熱ならばカバーできるが内断熱では間仕切り壁厚分が断熱できませんし、外壁とバルコニーや庇等の外に突き出ている部分については、内断熱ではカバーできますが、外断熱ではやっかいな部分です。

 どちらにしても、内断熱の部分と外断熱部分の境は、内断熱を延ばしてでも両者の重ねを多くし、ヒートブリッジが出来ないようにした方が良いのでは無いでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 外断熱と内断熱の併用はその能力を把握している設計者であれば特に心配はいらないと思います。外断熱は実績が日本ではまだ浅いですから、過信も禁物です。

設計者とはお互いいいものを造ろうという姿勢があれば、多少は本音で言い合う場合もあるかと思いますが、それは本音で話そうとする姿勢があるからでもあります。
営業のようにその場しのぎのイエスマンよりはいいと思いますよ。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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