相談概要 | [氏名] MK [相談内容:] - [住所] 熊本県玉名市 [職業] 会社員 [年齢] 40 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [築何年ですか?] 工事中 [何階建て] 2 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済書は有りますか?] どういうものか知らない。 [お手持ちの図面は何枚?] 5枚 [打ち合わせ何回] 5回 [床面積] 150m2以下 |
相談内容 | [現象] I不動産屋より仲介で宅地にできることを条件に畑を本年5月に購入。購入時、農地転用許可済。 工務店が建築確認申請を提出したところ、教育委員会より、遺跡確認発掘の承諾依頼が届いた。そこで初めて埋蔵文化財包蔵地であることを教育委員会より知らされる。教育委員会より敷地の道路の向かい側の畑は平成3年から5年まで学術発掘調査をしたと聞かされる。 先週、同一地主および不動産屋が売却した隣地が試掘され、約30cmの深さに昔の瓦が発見され、損傷を与えないように基礎工事のための掘削を浅くし、かつ、盛り土をして建築工事を再開したことを知る。このための追加費用、および、将来の売却になったとき売れないなどの損失を被ることになる。 周知の埋蔵文化財包蔵地であることが、不動産売買契約書に記載されず、地主および不動産業者よりの説明も一切なかった。ちなみに、両者は地元でこの土地のことを長年知っている。引っ越してくる私は知らなかった。教育委員会は、遺跡地図を発行し周知に勤めたとしているが、周知の埋蔵文化財包蔵地であることを知ることが一般のものにとっては容易でないと思うが、専門家の不動産業者が知らなかったで済まされるのか? 万が一、本発掘になった場合の損失、埋蔵文化財の損傷を避けて工事する為の盛り土、擁壁工事など追加費用、および、将来の売却に対する損失に対してどう対処したら良いかわからず困惑している。 [業者の見解] 不動産業者;周知の埋蔵文化財包蔵地であることは知らなかった。 教育委員会;周知の埋蔵文化財包蔵地であることは遺跡地図を発行したことで周知に努めたことになるとしている。この地区は平成9年ころより発掘調査を本格対応始めており、不動産業者もしらないのもうなづけないわけではない.(正式には認識の妥当性にはコメントできないとのこと。) 文化財保護法により工事の申請書を提出を指示し、受領後,試掘を指示した。 [相談内容] 万が一、本発掘調査になったりしたときの損失、または、埋蔵文化財の損傷を避けて工事する為の盛り土、擁壁工事など追加費用、および、将来の売却になったとき売れないなどの損失を不動産業者および地主に損害賠償できるのか、また、どのようにしたらよいのか、相談する機関がないのか、アドバイス頂ければたいへんありがたく思います。 |
yorozuの感想 | 一般消費者にとっては、不動産および建築関連はブラックボックスでわかりにくいと思っております。普通では見落としやすい注意点を列挙してあり、どうしてよいかわからない消費者の強い味方と感じてます。 |
アドバイザー | |
田所 雄太郎 | 田所と申します。宜しくお願い致します。 東京のものですが開発行為で埋蔵文化財がらみをよくやりますのでコメントいたします。 今回の事例は文化財保護法という法律に触れてきます。 宅地建物取引業法 第35条1項2号にはこうあります。「建築基準法、都市計画法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定められるものに関する事項の概要・・・について契約までの間に説明しなければならない。」 以上により宅建業者は購入者に対して重要事項説明をするときに埋蔵文化財調査の有無の説明を怠ったことになります。弁護士に相談したほうが良いでしょう。 建築士の立場から言いますと土地購入を検討するときに建築士に相談し、どのくらいの建物が建築できるのか検討してもらうべきなのです。最終的には建物を建てる事が目的でしょうから。 |
山口 雅克 | 建設地にもよるのでしょうが一般的なことをお話します。 注文住宅ということなので不動産屋と施工者の間は直接的な関係はないと思いますが、農地転用の手続きはどなたがされましたか。(貴方が委任をされたのですか?)このときに文化財包蔵地であることは判ったと思うのですが。 そうでなくても設計者は設計に着手する前に関係官庁に出向いて敷地の諸条件を調査するのが一般的です。今回の場所であれば市や土木事務所に行って調査しておけば教育委員会にも行くように言われていたと思います。 多分、その手間を省いて間取りなどの打合せをしてさっさと申請図面を作成して提出したのが今回の事態を招いたものと推察します。不動産屋は重要事項の説明義務に落ち度があったような気がします。設計者は事前の調査不足の責任があるでしょう。どちらにも自分の仕事に対する誠実さに欠けています。(貴方は文化財包蔵地であったらこの土地は購入しなかったのですか、また設計着手前に文化財包蔵地であることの説明を受けていたら予算の変更や規模の変更を考えていたでしょうか) 文化財包蔵地に建てる時はそれを保護する形で設計をしますので、そのための費用は建主負担となります。着工時にたまたま見つかった時の工事遅延も建主負担が一般的です。ただ、今回は関係者それぞれに落ち度が考えられますので、将来の損失などや今回の追加工事費に関しては貴方を含めて歩みよりが必要でしょう。 旨くいかなければ弁護士に相談することになると思います。 |
コメンテーター | |
堀住 勝雄 | 山口解説委員の解説の( )の質問についてご自身の意志をはっきり決めてから行動を起こして下さい。不動産の取引には「重要事項説明書」が提示されているはずです、お手持ちの書類を調べてみて下さい。全国宅地建物取引業保証協会(一例)等がこの書類に記載されていると思います。売買契約についてはそちらにご相談下さい。 K様が時間的に延期が不可能な事情があり、この土地に住まいを建設せざるを得ないとすると対策のため工事費の増額分を誰が持つかという問題になります。そうなりますと両解説委員の解説どおり弁護士を入れての交渉しか道は無いように思います。将来の売却の時の問題の補償は望めないものと思われます。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 業者の建築士の事前調査不足が原因ですね。 基本的な部分が抜けるとは設計以前の問題だと思われます。 心を入れるという意味を失う社会は哀しいものがありますね。 一軒一軒誠実に真剣にこころを注入してもらいたいと考えます。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 早速、専門的見地からのアドバイスありがとうございます。 特記事項に農地法に関わることのみ記載された売買契約書に基づき、土地の売買は完了しており、何ら不動産屋に過失がなく、埋蔵文化財包蔵地であることを知らなかった私が馬鹿だった。 遺跡に関わる費用は全て建て主負担で不動産屋に何も請求できず、多大な費用がかかり建築できなくなるのでは? という心配をしておりました。 農地転用は地主が知り合いの行政書士に依頼し、名義変更の登記費用は私が支払いました。不動産屋と共に購入した土地の前の市道の下水道工事予定を確認するために土木事務所を訪問したこともありましたが、埋蔵文化財包蔵地に関しては気づきませんでした。埋蔵文化財包蔵地であった場合は建築可能か事前に調査してもらい、問題無ければ購入していたと思います。 但し、事実を知った上での価格交渉、および、遺跡に関わる損失補填の確認をし、納得できなければ、購入していなかったと思います。 ざっと、文化財保護法および埋蔵文化財包蔵地に関わる法律を読みましたが、個人木造住宅の場合、本発掘は国の補助金が使われるのが一般的だが、建て主の都合で待てない場合、全て建て主負担であると解釈しました。 (実際は、認可されるのに1〜2年かかることが多い。と教育委員会から聞きました。)また、不動産屋に関しては何ら記載はありませんでした。 埋蔵文化財包蔵地であることを告げずに売却した不動産屋、地主に対して、何ら責任がないというのは、どうも腑に落ちないとも感じておりました。 幸い30cm程度は、掘削できるようで盛り土は10cm程度で、建築には殆ど影響なさそうです。但し、何らかの損失が生じた場合、不動産屋にも責任があり、話し合い次第であることがわかって安心しました。 ありがとうございました。 工務店の対応に不安をやや感じはじめましたが、工事請け負いの契約を済ましてますので、かつ、完成を急ぐ事情(借入れ申し込み、税金控除、補助金申込など)もありますますので、後戻りはできない状況です。 このサイトにて勉強して、トラブルにならないように事前に対処していきたいと思います。 素人に専門的な見地からの貴重なアドバイスありがとうございました。 |
その後 |
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