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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0490 床下収納庫の下に水滴が

 相談概要 [氏名] N.T
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[住所] 神奈川県
[職業] 公務員
[年齢] 30
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[築何年ですか?] 築 2年以内
[何階建て] 2
[床面積] 90m2以下
[様態] 建売り住宅
[施工者] リフォーム会社
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済書は有りますか?] −
[お手持ちの図面は何枚?] 1枚
 相談内容 [現象]
床下の防湿について 
住宅に少し詳しい人に見てもらうと、床下の湿気が多いため床下収納庫の下に水滴が付くと指摘され、さらに調べてみると基礎の換気孔のレイアウトの不良による事が解りました。
建物の3方向にしか通気孔が無いのです。床下は土がそのまま剥き出しで基礎パッキンもありません。

[業者の見解]
 建築基準法 第22条によると、壁の長さ5メートル以内に換気孔を設ける事。ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料でおおう等防湿上有効な措置を講じた場合においては、この限りではない。
 このように売主に説明したところ、M商事さんは、

1 建築確認を取ってあるしそれにしたがってやっている
2 基準法にしたがい細かいところまでやるということはありえない。
3 建築基準法すべてを理解し作業する事は不可能だし、ありえない。
 (建築する側として)やらなきゃいけないわけではない事なので、別料金です。とおっしゃいました。  

  ここでK工務店さんは、解りました、私がやりましょう。といってくれました。その時の話ではキッチン下のみやりますということでした。

 次の日にまた友人に相談したところ、『床下すべてにおいて防湿フィルム敷きをしなければ良い対策とは言えない』と指示を受けましたのでそのむねを売主様にご連絡してもらうように不動産会社に連絡しました。

 後日作業をしてもらったのですが床下収納庫の下だけ防湿フィルム敷きをしただけなのです。これはおかしいと思い売主に電話したところK工務店はM商事に言ってくれ、M商事さんに至っては、

1 私はやらなくてもいいと思ったしこれ以上の事はやらない
2 建築確認がとれて作られているから必要無い
3 (基準法を説明すると)私にはあなたの言っている意味がわからない
と言われました。

[相談内容]
このような場合売主の責任を追及し基準法に基づいた処置をしてもらうにはどのようにしたら良いのでしょうか?また私の言っている事は異常な事なのでしょうか?長く家を使う者としては大事にしたいだけなのに売主からは、こんな事を言われるのは初めてだと言われ相手にしたくないような素振りです。そんな態度を受けると訴えようかとも思うようになりました。どうか良きアドバイスをよろしくお願いします。
 yorozuの感想 大変参考になります。これからもたくさんのこひつじを救ってください。
アドバイザー 
小松原 敬 程度の低い売主ですね。でもこんな建売の売主が非常に多いです。
建築に関する知識はほとんど無いものと考えて良いでしょう。
丸投げして、最低限で建てさせて売っぱらっておしまいという典型的なパターンです。

>1 建築確認を取ってあるしそれにしたがってやっている

  建築確認はとりあえずの最低限のチェックでしかなく、それに通っているから欠陥はないという事などありえないです。

>2 基準法にしたがい細かいところまでやるということはありえない。

  それこそありえないです。

>3 建築基準法すべてを理解し作業する事は不可能だし、ありえない。

  問題外です。確かにやたら複雑ですが、それを行うのがプロです。
  まして床下換気口レベルは初歩の初歩です。

床下が土のままだと、土から水蒸気があがります。
土台や床組みは長く湿気ると、腐りやシロアリ被害にあいます。
その為、床下換気口を規定どおり設けて、風通しを良くし床下に湿気がこもらないようにする必要があります。

基礎パッキンは換気口の代わりになるもので、土台と基礎の上端に隙間をつくることにより、換気と土台の乾燥を行います。

床下に防湿シートを敷くことにより、湿気が土から上がる事を ある程度防ぐことができます。
ただ、これは全面を隙間無く覆わなければ意味がありません。
また、これも完全ではありません。

床下換気扇による強制換気もありますが、基準法にはその方法は規定されていません。あくまで補助です。

床下に防湿コンクリートを敷き詰めた場合のみ、換気口の規定をはずす事ができます。
したがって、この家に規定通りの換気口が無ければ欠陥建築であるということが言えます。
これは防湿シートを敷いただけでは、要件を満たしません。(例え、全面に敷いたとしても)

工務店はこうした事を知ってるでしょうが、売主からお金が出ないと何もできないのでしょう。
おそらくは安い金額しかもらってないと思います。

換気口を新たに必要な個所に開けるか(これは基礎を痛めるのであまり良い方法ではありません。開けた場合には相応の補強が必要です) 床下に防湿シートを敷いた上にコンクリートを流す防湿コンクリートを施工するか、どちらかが必要です。

行政の建築課に相談なさったらいかがでしょうか。
欠陥がはっきりしていればそれなりの指導がされると思います。
中川 雅実  現地・契約書・設計図等を見せていただかないと何とも言えませんが、理解できる範囲でお答えします。
 又、建築基準法は、最低限の基準ですので全て守る必要はありますし、竣工時の検査済証を受領をえて合法の建物となります。(確認申請書は、机上で予定建築物を提示するのであり、その通りに出来上がることを担保したものではありませんので、工事監理が職務を全うし役所の検査を受け検査済証を交付して貰います。)

◎建築基準法 施行令第22条は以下です。
第22条 (居室の床の高さ及び防湿方法)
最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料でおおう等防湿上有効な措置を講じた場合においては、この限りでない。

一 床の高さは、直下の地面からその床の上面まで45cm以上とすること。
二 外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300平方センチメートル以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。

 ここで、3方向のみに床下換気口とのことですが、壁の長さ5mは守られておるのでしょうか?

 この建物は、売買契約又は請負契約のどちらで取得されたのでしょうか?
 床下の湿気対策は、第22条に述べられているとおりですが、 売買契約のケースは、瑕疵担保は契約の解除、請負契約のケースは、瑕疵担保による手直しの請求となるのではないでしょうか?契約書の確認をして下さい。

 ここで問題ですが、請負契約の時は防湿工事は別途との事が多いのですので、自費による工事をせざるをえません。但し、上記第22条の不法行為の場合は、この限りではありません。

 売買契約の時は、瑕疵事項を良く読まれ交渉する必要があります。床下の湿気により押し入れ等がかびることがありますが、瑕疵又は債務不履行等で対処する場合もありますので、法律相談することも念頭に置いて下さい。
 コメンテーター 
高尾 正範 儲け一辺倒の 経済優先主義の現れでしょうか。もの造りに依る社会への貢献の報酬であるべきものが、消費者に満足感を与えずして、その利益を受けるので無く、もっと一生懸命の姿勢であって欲しいものです。

床下の高さ等が良くわかりませんが、せめて最低限基準法に適合するだけの事はして欲しいものです。これ以上の直接交渉は文面からは無理と思われますので専門家に依頼し根拠を提示改善要求されてはどうでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 今回は床下収納の結露で現象があらわれましたが、それがない家やたまたま、換気口が近くにあり結露しなかった。見ても「こういうものか」と思って納得してしまう。

一般では気付かないことは多々あります。気が付いたら床が抜ける。なんてことになります。
あなたの行動は正当な行動だと認識いたします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 採用して下さいまして有難うございます。
その後ですが役所の方に立ち会ってもらい、あとはその返事を待っております。解説文を読んでまた勇気が沸いてきました!私も頑張りますので解説委員の方々も多くの人を救ってあげて下さい。
 その後  
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