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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0479 ALCは防湿性が低いので結露が心配です。

 相談概要 [氏名] G,A
[住所] 千葉県印西市
[職業] 会社員
[年齢] 37
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[設計者はどなたに依頼しますか?] 建設会社の建築士
[何階建て] 3
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] 建設会社
 相談内容 [家づくりの相談内容]

注文建築で地震に強い3F建て鉄骨の家を建てようと思っていますが、壁材のALCは防湿性が低いので結露が心配です。地元の工務店から設計図を出してもらいましたが、壁に断熱材が入っていないというので、壁に対する断熱材の施工と結露防止のために
壁内通気を依頼したところ、以下のような提案がありました。それぞれ20〜30万円かかるというので、効果の程をたずねてますが、やらないよりは効果があるということで具体的に進めるべきかどうか迷っています。やるやらないの判断はこちらで決めて欲しいといわれており、アドバイスをいただければ幸いに存じます。

壁外側
タイル+グラスウール目地
モルタル
ALC
(発泡ウレタン)*断熱材を入れる場合
(空気層)*壁内通気をする場合は木枠で床下から天井まで通す。
しなければGL工法で石膏プラスターボード

壁内側
ビニル壁紙
 
ちなみに、天井にはウレタン t=30,1F床はべタ基礎でスタイロフォーム t=25が床下に張られています。

本によると外断熱をしないと、内断熱ではALCが結露し、腐食の原因になるという記述がありました。ALCは防湿性が低いと聞いていますが、タイル・モルタルなどに防湿性があって、湿気は内側にこないような構造なのでしょうか?建築会社はモルタルで防湿できるといっておりましたが。
 yorozuの感想 これまでの相談の記録は大変参考になりました。と同時に将来トラブルが生じたときに気軽にかつ真剣に相談に乗ってくれる窓口があるということは心のもちようが大分違います。これからも頑張ってください。
アドバイザー 
善養寺 幸子 善養寺です。

タイルにグラスウール目地と言うのが解らないんですが、ALCにタイルを張るのですからベースネットかなにか使うのでしょうか。ALCメーカーとしてはタイルを張るのを嫌がりますからね。樹脂モルタルメーカーの保証で張るのでしょうね。

質問の答えですが、普通モルタルには防湿性能はありません。
樹脂モルタルの方が、水の浸透性は悪いです。
樹脂モルタルを使用されると思われますが、施工方法によっては目地から水が染みこむ事はありますが、磁器質のタイルなら表面の水の流れも良く、細い目地からの水の進入では影響が少ないとしているのでしょう。

結露の問題は難しいです。
外断熱は効果的ではありますが、ただそれだけでは結露は防げません。内部の室温環境のバランスや湿度の調整が必要です。極端な話ですが、内部断熱をするより内壁のない無断熱の方が結露の発生は少なかったりします。省エネルギーではないですけど。
基本的には室内の湿気が、外壁から抜けない上に、冷たい素材に触れて空気中の水蒸気が露点になり液化するわけです。湿度というのは空気の温度によって同じ水蒸気の量でも高くなったり低くなったりします。ですから断熱が良くできた建物であっても各部屋単位で水蒸気の発生量、温度の大幅に違う環境を作ってしまえば、結露は生じます。例えば、LDKで石油ストーブなど使って水蒸気と温度を上げます。そこに隣接する納戸などは締め切って低温です。

蒸気は建具の隙間などから冷えた部屋に移動します。水蒸気量はそのままですが、空気温度は下がりますから飽和温度が下がり結露になったりします。露点にまで達しなくとも湿っぽい状態になりカビが発生したりします。気を付けなきゃいけないのは、各室温環境の作り方や蒸気の計画的な排気も断熱と共に計画されなければ結露は発生します。

断熱、空気層の位置、納め方ですが断熱材をALCに接して設けること、室内ボードと断熱材の間に空気層を設けること、断熱材の上にGLボンド貼りで空気層を設けるのも良いのですが、注意したいのは木枠で空気層を設けた場合、木軸をALCに接して立て、その間にウレタンやグラスウールを入れることは木軸がヒートブリッジなり結露が生じることがあります。断熱材の内側に立てるように納まっているか確認下さい。

GLボンドの場合、納まり代が15ミリ〜10ミリ程度です。その場合、外壁部の室内側にインターホン、コンセントやスイッチボックスがあると壁内に設けるためにボックスにより断熱材の欠損をすることが考えられます。そこがヒートブリッジなり結露することがあります。少々、室内側が狭くなりますが断熱材の切れのないようにし、内壁下地(木軸)を立てるようにした方が良いでしょう。そして、梁やALCを支える金物などヒートブリッジになるそうな部分は小さなところでもしっかり断熱材で覆う必要があります。断熱材は切れることなく一定にムラなく入っていることが大切です。

そして室内側に気密層を設けるのが、基本なのですがフィルム貼りもビニールクロスもあまり効果は望めません。生活として、東京電力の電子ちゃんの推薦室温(冬21度)を守って、暖めずぎた室温を作らないことも結露防止対策の一つです。

ただ、このアドバイスはあくまで断熱材と結露の関係の話で、この事によって室内化学物質濃度が上がり、別の問題が発生する事は考慮していません。
 コメンテーター 
宮坂 英司 ALCにモルタル+タイル張りを行うのであれば、防湿という点は問題ないと思われます。
しかし、結露という点についてはしっかり検討して施工していかないといけない部分であると思います。施工方法などについては善養寺解説委員のコメントを参考にしていただきたいと思いますが、施工がしっかりしていなければ元も子もありません。
是非、第三者監理者に入っていただき、工事監理を十分にしていただいて下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 先ずは言葉の意味からお伝えします。
防水性:外壁においては外部の雨を阻止するためのもの。
防湿性:外壁より内部で起こる湿気を阻止するためのもの。
これは似て非なるものです。

ALCにタイルを全面に張るのであれば磁器質タイルが防水・防湿性がありますから心配する必要はないのではないでしょうか?
寧ろ、心配はALCにタイル張りがどうか?ということです。
ALCメーカーではタイル張りは『使用に適している』 とはしていません。『使用に際して注意が必要』と しております。その注意とは
1)磁器質の小口平以下のタイルにする。
2)タイル専用接着剤セメントモルタルを使用(塗厚3mm程度)
3)縦壁工法を採用する
4)エキスパンションジョイント(グラスウール目地のこと)を出隅、横目地、縦目地3m以下に設置
5)下地ののろ掛けを行う等です。

ここで注意すべきはメーカーは適しているとは言っていない点です。使用に際して注意が必要としている点は適切に施工された場合は可能ということであり、例えば、この3mごとの目地(幅が10〜20mm)がデザイン的に見苦しいの ですが、これを隠してタイルを張るとこの部分は剥離する可能性が他より高いといえます。施工がうまければ直ぐには剥離しませんがこの部分はその可能性がある、ということは認識する必要があります。

また、GL工法ですが、内部の間仕切りには『使用に適している』としてますが、個人的には外壁の室内側には余り適していないと思っています。(駄目というわけではありません。)
胴縁工法での間仕切りには『最も適している』とメーカーでも推奨してますが、これは外壁室内側にも適用できます。

尚、タイル張りが一部の場合。また、全面タイルの場合でも長期的に見てタイルの目地やエキスパンションジョイント部等が劣化してそこから漏水・透湿する可能性もあります。

結露については外部からの湿気の進入より内部で発生する湿気(人体・石油ストーブ・水を使う部屋の湿気等)の方が施工が確りしていれば多いと思いますので、ご心配の場合は善養寺解説委員の見解をご参考にして換気設備や窓を気が付いたらなるべく開けて湿気を外部に逃がすように気をつけましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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