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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0477 家がシックハウスではないことを祈っております

 相談概要 [氏名] M.Y
[住所] 滋賀県伊香郡
[職業] 主婦
[年齢] 26
[女性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(壁式構造)
[設計者はどなたに依頼しますか?] ハウスメーカーの建築士
[何階建て] 2
[様態] 注文建築
[施工業者はどちらに依頼しますか?] ハウスメーカー
 相談内容 [家づくりの相談内容]

主人がアトピーですし、9カ月の子供もいますので、今の新築中の家がシックハウスではないことを祈っておりますが、お願いしているMホームは社内性能表示としてホルムアルデヒド対策の性能表示等級を4(一番最高)と説明しております。

これが真実ならば、おそらく化学物質過敏症になる確率は低くなるはずですが、万が一シックハウスだった場合の対応として、代金を払う前、引き渡し前の今できることはどんなことがあるでしょうか(書面で万一化学物質過敏症と診断された場合の医療費負担・住み替え費用の保証のようなもの?を交わすなど)。
 yorozuの感想 検査をしてもらう建築士の先生を捜していますが、依頼書(有料)に記入して送信すると、その時点で決定・支払いの義務が生じるのではないかと思って躊躇して記入できませんでした。
アドバイザー 
藤井 修 名古屋の藤井です。

まず、家を建てる事は施主、設計者、施工者がお互いに信頼し協力しあうことがたいせつです。
最悪を想定する事よりも、良い結果を得る事を考えましょう。
まず、シックハウス症候群は、医学用語としては明確には定義されてはいません。
そしてその要因となるものはVOC (ホルムアルテヒド・トルエン・キシレン等の揮発性有機化合物)木材保存剤や防蟻剤などの薬剤、花粉・粉塵、ハウスダスト、換気不良や結露などによるカビ・ダニ、タバコや調理などの排出ガス、などです。

そこでシックハウス対策としてはVOCの発生が少ない材料を使用したり、工事中に充分な換気を行う事、結露などがしにくい構造とする事などです。
そこで、ご質問の”万が一シッツクハウスだった場合の対応”は不確定な事や因果関係を証明するのが難しい事については保証はありません。それよりも今考えられる対策を施工者と共に考え最善を尽くすのが大切だと思います。
善養寺 幸子 Mホームで化学物質がWHO基準を下回ることは、あり得ないと思います。
パネル工法で、合板を全面(壁、床、屋根)に用いていますから。いくらF1,F0合板*を使用していても、計画的な機械換気をしていなければF4と何ら変わらない状況になります。シックハウスの問題は、ホルムアルデヒドだけではありませんし、体調に大きく影響する物質もホルムアルデヒドとは限りません。

寧ろ、化学物質対策としてホルムアルデヒド濃度を低くすることは、さほどの苦労もなく、他の化学物質(例えばトルエン、キシレン)の方が新築時、低くすることは難しいですし、トータルVOCをWHO基準以下にすることは、現在のどんな建築でも不可能に近いと言えます。

過分症の症状も、湿疹とは限らず虚脱感や集中力の欠損、頭痛、視力低下、酷いときは脳卒中など人によっても様々ですし、物質によっても違います。その因果関係を証明できるかと言えばとても難しく、同じ化学物質の濃度下でも反応する人としない人がいるので原因を建築に特定することは大変です。今のところ法律でも強制するものもありませんし、化学物質濃度はガイドライン程度で10年保証などの対象にはなっていません。

せいぜい出来ることは、引き渡し前に室内の化学物質量を調査機関で測定し把握し、メーカーにもその旨を了解させ、自分達の健康のことですから日々の生活で換気を忘れないようにするとか、最初から機械換気を設備するとか、日々の生活の中で化学物質(防虫剤、防腐剤、漂白剤、抗菌剤、抗菌洗剤等々)を使わないよう心がけるとかしかないでしょう。
今の建築基準法の問題なんですが、防蟻防腐処理が規定されています。
それがある限り、日本の住宅の化学物質量は低くならないでしょう。特にこの防蟻処理剤の被害は多いです。

なぜ日本の住宅は化学物質量が多いかと言えば?ユーザーが建築の完成を短期間に要求し、内容を吟味せず安価な価格を支持し、出来上がり時の見た目の綺麗さを望みすぎ、材料の色むら、節、収縮などをクレームにし、フリーメンテナンスを要求しすぎてきた経緯があります。その為、無垢材は使わない、塗り壁も、白木の無塗装も減って、化粧合板、つき板のフローリング、ビニールクロス、ラッカー塗装が主流となり、接着剤と乾燥が早い有機溶剤だらけで、抗菌防ダニ加工と薬物漬けの建築になってしまった訳です。

建築士の中にはシックハウス問題に取り組み出来るだけ、化学物質の少ない家づくりに取り組んでいる人達もいます。化学物質ゼロ住宅は簡単なものではありません。
その取り組みはハウスメーカーとは逆の道を進んでいます。
今さら残念ですが、自分達の体質や必要要件が化学物質が少ない健康住宅にあったのなら、もっと最初の取っ掛かりからそれに拘って、その第一要件を充分満足するものを提供してくれる建築家と家づくりを楽しんだら良かったのにと思います。建築家に頼むと設計費が高いからとよく言われますが、望みを充足し安心して暮らせるノ ウハウに払うわけです。全て建築費に払えば良いものが出来るというのは錯覚です。

Mホームの住宅も安いとは思いません。これから長くローンを払う住宅で、それこそ化学物質過敏症になったら高くついたなんてものではなく、人生そのものが狂ってしまうこともあります。もっと、家族の生活、自分達の健康に拘って、住宅を考えてもらいたかったと思います。


*2003.7.1建築基準法が改正されました。文中の表記は解説当時のものです。(事務局より)
 山口 雅克 御主人のアトピーの原因を理解していますか。化学物質系、食物系、ストレス系など多様なケースがあると聞いています。化学物質系であれば用心しなければなりませんが、そうでなければあまり神経質にならない方がよい場合もあります。

なぜなら、シックハウス症候群にかかる人の比率はとても少ないからです。この症状を心配して家を設計するとなると大変な努力を必要とします。吟味に吟味を重ねて材料を採用しても限界があるからです。M社と相談されて今以上の仕様に変更するのかどうかを相談してみるしかありません。それに、調査をしてみて濃度が低くても症状が出る場合があります。これがシックハウス症候群といわれるものです。

高気密高断熱はやめたほうがいいですよ。化学物質系が抜けにくいので。契約時にシックハウス症候群のことを盛り込んでいれば別ですが、医療費や住み替え費用の保証に関しては求めることは無理と御考えください。
 
 コメンテーター 
宮坂 英司 建物が出来上がる前に『もしこうなったら』と考えるのもどうかと思います。
逆に、今できることは何なのかを見極め、Mホームの工事担当者や設計士と、対策をたてることの方が重要ではないでしょうか。

社内規定があるようですからそれが本当にクリアできているのかどうかをしっかりチェックしてもらいましょう。メーカー側としてもその基準をクリアーする責任があります。それを文書などできちんと表示してもらうのはどうでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 文章で保証してもらうのがいいと思いますが、上記の点からして「保証は当社規定にはないのでできません。」といわれそうですね。
難しい問題です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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