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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0470 床の合板の接着と隙間

 相談概要 [氏名]  K.H
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[住所] 北海道室蘭市
[職業] 会社員
[年齢] 43
[男性] on
[構造] 木造(その他)
[築何年ですか?] 築 4年以内
[何階建て] 2
[床面積] 150m2以下
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済書は有りますか?] 有る。
[お手持ちの図面は何枚?] 5枚
[打ち合わせ何回] 2回
 相談内容 [現象]
木質パネル接着工法の住宅でパネル同士が隙間無く接合されていると思っていましたが、実際には隙間だらけでした。
1階和室しか調べていませんが、パネル接合面13mに対し8mが接着剤無しでした。

調査方法は接合面にカッターナイフを差込み、刃が入らなければ接着部、刃が数cmはいれば非接着部として認識しました。
(床パネルは45mm厚)
パネル間の隙間は最大2mm程度の場所もあり、床下から冷気が吹き上げていました。
また1枚のパネルに直径2cmの貫通穴が1個ありました。
そもそもパネル接着不良に気づいたのは畳が湿気やすいことであり、4年目にして初めて畳を上げて床パネルを見たのがきっかけです。
状況の写真はJPGファイルで別送します。

[業者の見解]
・直径2cmの貫通穴はパネル施行時にはめ合わせが悪いとき用いる金具を入れるもので塞ぎ忘れたとの見解。
・パネルの隙間、および接着不良については見解なし。
・貫通穴は接着剤の充填とテープで塞ぐ処置。
・パネル隙間が2mm程度の接合面には接着剤の充填とテープで塞ぐ処置。(延べ3m程度)
・パネル接着がこれで良いのかと問合せているが応答なし。

[相談内容]
1.果たしてこれは欠陥と主張できるのか判断できません
 私は木質パネル接着とは接合面全体に接着剤を塗っているものだと思いこんでいますが、パネル接着の基準がどうなっているか判りません。
接合面の何パーセントが接着されていれば「基準合格」なのか?

2.構造体としての強度、断熱能力が不安
「木質パネル接着工法でモノコック構造となり高気密、高断熱」がセールスポイントなのですが、パネル接着がこの程度(接着率は半分以下)で大丈夫なのでしょうか?
一応10年の保証書がありますが...

3.家全体のパネルが同じ状況ではないかと不安
 和室は畳をはがすだけでパネルが直接見えますが、床面積の大半を占めるフローリングを剥がして検査という大掛かりなものになります。

もしこの接着状況が構造体の強度に問題ありと判断されるならば、その検査は業者に請求できるのか否かを教えていただければ幸いです。





 yorozuの感想 自分では判断できないことなどを相談するには大変助かります。
アドバイザー 
今井 優子 こんにちは、札幌の今井です。

床パネルの接着面の隙間についてですがMホームの“木質パネル接着工法” は接着とありますが構造的にはスクリュー釘で接合することで構造認定(建築基準法の第38条認定)をとってあります。
ですから、床パネルがスクリュー釘でしっかりと固定されていればパネル同士の接着面の隙間が直接構造強度に及ぼす影響はさほど心配ないと思われます。
ただし写真ではスクリュー釘の状態がわからないのでなんともいえません。接着面については所詮接着剤なので、経年変化で多少のスキは発生しますが、4年で2mmはチョットひどいですね。
それが当初の施工不良によるものか、建設地の特異な環境又は居住者の使用状況によるものかは調べてみないと解りませんが、パネルの隙間だけをとって、欠陥と主張できるかというと難しい気がします。

しかし、気になるのが“畳が湿気る”“冷気が吹き上げている“ということです。
北海道では基礎立ち上がりの外周に断熱材を打ち込み、床下をシートやコンクリートなどで防湿をして、床下通気はとらない工法が一般的です。
そうすることで床下は熱環境的に室内となります。
(但し一般的であるというだけで、そうしなければならないといったものではないのですが、積雪寒冷地特有の床下結露による木材の腐敗防止には、現時点で最も有効とされています。)
お手持ちの図面を確認してみてください。そのような仕様になってるとすればたたみが湿気ったり冷気が上がるということは無いはずで、基礎か床下の防湿処理に何らかの問題がある若しくは図面どうりに施工されてないということが疑えます。

先々のことを考えると、床下環境をこのままにしてパネルの隙間を埋めるのは得策ではないと思われます。
信頼できる第3者の建築士(専業の)に調査をしてもらい、最善策を講じられるのが良いのではないでしょうか。
その上で10年保証の内容と照らして瑕疵担保責任が問えるものについては、請求されるのが良いと思います。
中川 雅実  接着基準の文献をひもときましたら、5年前Mホームの資料「Mホーム住宅百科」には以下のことが記載されておりました。
箇条書きで。
1)昭和38年業界初の38条認定取得
2)昭和62年3月、「木質パネル工法3階建(Eシステム)」の実大構造耐力実験
立ち会い者:理科大・東大名誉教授 杉山英雄氏
        東大教授         坂本 巧氏
 この時に、予期以上の耐力を得て「木質パネル工法3階建(Eシステム)」は昭和62年11月に、「現場接着工法」についても強度・耐久性能及び防火性能(1820/4=455に水平に桟で区切られている)などが評価され認定に加えられた。
S37年平屋建て(業界第1号) 38条認定。
S38年2階建て(業界初)38条認定。
S62年11月に認定されるまでは、接着工法は国の基準がないため、Mホーム独自として行ってきた様です。 

◆ 以下は、今井さんのアドバイスに、僕の経験を書き込みましたので参考にして下さい。◆

・認定の件
 相談の建物は2階建てですので、釘の認定でOKと思います。

・隙間の件
 Mホームは、含水率18%以下になるまで人工乾燥しており、乾燥による収縮は考えにくく、基礎天端の水平度(±0が要求される)により隙間が起きます。(施工によると考えたい)

・冷気・湿気の件
 Mホームの床パネルは、下面(土に面する)にも並ベニアが張ってあり湿気に弱いです。
アフターで潜ってみると、ベニアが剥がれていることが多かったですので、確認が必要かな?
 コメンテーター 
久保田 英之  床下からの冷気が気になります。
今井解説員の解説でありますように、原因の究明をされてから隙間処置をして下さい。
相談者の心配事である隙間=構造的欠陥とはならないようなので御安心下さい。
ただし、施工性など全ての状況から判断されていきますので構造工法に精通している建築士に調査などを依頼しては如何でしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 業者側では丁重に対応しているようですね。
しかし、ご質問に明快に回答していないところは「何かあるのでは?」と思ってしまうのが普通ですが、この点明確な態度が欲しいものです。隙間2mmは建設時の時からかもしれませんね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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