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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0469 バルコニーから水が溢れる!

 相談概要 [氏名] F.N
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[住所] 東京都新宿区
[職業] 会社員
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[築何年ですか?] 築 5年以内
[何階建て] 5
[床面積] 70m2以下
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 50戸以下
 相談内容 [現象]
マンション建設業者とアフターサービス会社(管理会社)に対する話合い(改善要求)の相談について書面によるやり取りの結果の相談です。本格的な話合いはこれからなのですが・・・。

私は平成7年にマンションを購入し、平成8年5月に入居致しました。
マンションは5階建(44戸)で、私は1階に住んでおります。ファミリータイプ(2LDK〜3LDK)中心のマンションです。実は、購入時より毎年夏季の集中豪雨に、バルコニーへ屋上からの排水管が設置されているため、1階では屋上の降雨があふれてきます。バルコニーから部屋に入らないようにするため、バケツで人的に排水をするのですが、毎年のことなので、改善依頼の要求をしました。設計上のミスと考えられるいうことで、瑕疵責任の範疇による改善工事の要求をしたつもりです。
バルコニー内側の写真を別途メール致します。

[業者の見解]
業者の回答は、当方よりレターを8/10に出した結果、10/3に出てきました。
その間も集中豪雨等があり、催促したのですが色々な組織間の調整があるといったことで遅延していました。結果的に得られた回答は、通常の建築物が50mm/hの降雨量に耐える設計をしており、集中豪雨は考慮していないという見解を示し、施工上の問題はないという結論を出してきました。

また、改善工事についても、やるのであれば部屋のサッシにつく水切りより下の部分にバルコニーのオーバーフロー管をつけることを薦めています。1階住戸のバルコニーは、集中豪雨の際は、水切り位置くらいまで常に水が溜まり、池のような状態になることは容認しろということです。

さらに業者の見解は、瑕疵責任ではないので、費用も当方の負担といったスタンスです。
業者からは、専門的な用語を文面にして説明をしております。
(例えば、<区の条例により「雨水に対して敷地内処理を基本とする。」という規準を満たすために一定の基準を満たしています。>といった判ったような解らないような・・・一定の基準てデジタルな数値データでもあるのですか?何かあまり意味のない言語の羅列とも受け止められます。)

[相談内容]
素人では太刀打ちできそうにありません。現実には非常に困っています。
何か良い方策はございませんか?
非常に納得できない思いです。突然に不躾な相談で恐縮ですがいかがなものでしょう。

バルコニー排水溝


バルコニー排水口

 yorozuの感想 色々な相談内容を拝見致しました。すべて丁寧に回答が記載されており、関心致しました。
私のケースは、まだ恒常的なものでない分救われているのかもしれませんが・・・・。
でも、本人にとっては深刻なんですけどね。
アドバイザー 
田所 雄太郎 はじめまして田所と申します。よろしく。

相談の内容は設計上のミスか施工上のミスだとは思いますが、いずれにせよこのままで良いはずはありませんね。通常ではありえないことがたびたび起こること自体“ミス”といえるのではないでしょうか。

 考えられる要因として1番可能性が高いものとしては竪樋の1階床以降の排水ルートが異物で詰まっていることです。確認する方法はないでしょうか。

 次に、区開発指導の雨水抑制からくる浸透桝、浸透管が適切な許容量施工されなかったので雨水がはけ切れないという理由も可能性としては考えられます。
しかし、1階のバルコニーがプール状になるほどとは考えずらいものがあります。開発許可を取った図面と現場を確認すれば一目瞭然です。
これらに基準はあります。それに基づいて都市計画法第29条開発許可を取った図面に計算書が着いています。簡単に説明しますと敷地内の舗装の種類で浸透係数が決まっていてそれに応じた雨水を砕石で作った井戸、配管、溝(トレンチ)に一時溜めておくというものです。定められた容量を超えたものは敷地外に出しても良いというものです。

1.対策は私もオーバーフローをつけるのは良い手だと思います。でも比較的低めに抜き穴を設定したほうが良いですね。バルコニーの水勾配は外方向へ取っているでしょうからそんなに水は溜まらないのではないでしょうか。でもこれは2次的解決法で非常時用です。常時この状態では当然まずいです。

2.後は竪樋のルートを付け替える方法です。

3.また、心配なのはサッシュの水切りの下端です。この部分はRC造のウィークポイントです。コンクリートをサッシュ際まで打ことは不可能ですから通常モルタルを後から詰めます。この裏込めのモルタルの詰め方が甘かったり、継ぎ目から部屋内に浸水ということも心配です。通常の状態では今回の相談のように水切りまで水が溜まるということは想定されて施工していませんから注意してください。相談者のコメントにはそのことは触れられていませんが。

納得はしないで施工者、監理者に是正を求めてください。
技術的な裏付けなどは建築士にご相談ください。
大雨の日に確認できれば一番わかりやすいのでしょうけれど。
善養寺 幸子 善養寺です。

設計ミス、施工ミスと言いたいところですが、業者の言い分も多少はしかりなんですよね。下水の設計の基準としているものの数字に信頼性や絶対的な根拠がないんですよね。このところ、毎年起こる集中豪雨は、設計の基準とする数字を2倍以上上回っているのが現実です。ですから、何か物が詰まっていなくても溢れ出るのが当然なのです。それは現実の数字として、必ず毎年起こる事はわかっています。

一昨年の集中豪雨の際には、雨水の排水管が密閉されていたために、2階のバルコニーへ吹きあがったと言う事態もありました。新宿区では下水が排水できずに低地に集中して、地下でお亡くなりになった悲しい事故もありました。
ただ、このようになることはマスコミでも報じていますし、設計者として今の数字を追っているだけじゃ、現実として不備があるという事は意識しなくてはならないと思います。その上で語るならこの件は道義上ミスがあると言わざる負えません。毎年、水があふれ出す状態のバルコニーであるという説明を受けたら、その物件を買ったかどうかと言う問題かとも思います。それを購入者に改善させると言うことは、やはり道義に反すると思うのです。

もし、数字を根拠に設計をしたとして、現実の環境がそれについづい出来ていない。それが現実なのだから、デベロッパーとして道義的責任をとり、設計者と施工者と話し合って対処して貰った方が良いかと思います。
 コメンテーター 
久保田 英之  住まわれてから4年、毎年のように起こるバルコニー雨水の災害は業者のいうような”基準”だとか”瑕疵責任は無い”とか言う問題ではなく業者側の道義的責任を感じて改善すべきでは無いでしょうか。
設計が終わったらおしまい、工事が終わったら無関係ではなくあきらかに住む方が生活する為に不具合(災害・危険等)を生じているならば納得のいく調査や修繕を行うべきです。

 解決方法は、田所解説員が述べられていますように竪樋のルートを変えたり排水先でのつまりが考えられます。
それ以外では、排水先の管径が細くて吐けないなどが考えられますが分譲マンションですと管理組合があると思いますで、共有の財産を皆さんで守るように一致団結して交渉して下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 通常バルコニーにはオーバーフロー管を設け、排水枡が葉やゴミで詰まった場合にそなえて予備にそなえるものです。写真からはこれも見当たりませんね。残念ながら販売会社・施工者・監理者・管理会社にこころは無いようです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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