相談概要 | [ 氏名 ]M.K. [ 相談内容]注文住宅の瑕疵 [ 住所 ]香川県高松市 [ 職業 ] 会社員 [ 年齢 ] 33 [ 女性 ] on [ 構造 ]混構造 [ 築何年ですか? ]工事中 [ 何階建て ]2 [ 様態 ]注文建築 [ 施工者 ]中堅ハウスメーカー [ 設計者を選んだのは ]自分では選んでいない。 [ 監理者を選んだのは ]自分で選んでいない。 [ 確認申請書は本来建築主が出すと説明を? ]受けていない。 [ 確認申請の為の委任しましたか? ]した。 [ 確認申請書お持ちですか? ]有る。 [ 検査済書は有りますか? ]無い。 [ お手持ちの図面は何枚? ]2枚 [ 打ち合わせ何回 ]2回 [ 床面積 ]350m2以下 |
相談内容 | [ 現象 ] 立て替えにて、住宅(母屋)と車庫兼納屋を注文建築にて中堅ハウスメーカーA社に依頼しました。現在納屋を建築中です。(母屋は納屋の完成後着工予定)。 私たちがメーカー選定にあたりいろいろ勉強するうちに一番重視したのは、基礎・構造・施工管理等であり、契約前には各メーカーにその話をし、A社からの説明において信頼できると思い契約しました。 A社は在来工法木造メーカーですが、納屋は開放部等の問題から、契約前の打ち合わせ途中に、構造部分だけ鉄骨に変更になりました。鉄骨部分だけ外注するがその他はすべてA社がするとのことでした。 納屋については、内装等は必要ないが構造等は住宅同様重視しており、基本的なものはすべて住宅で聞いた説明と同じものと思っておりました。 しかし契約後の打ち合わせ等は住宅の話ばかりで、納屋については間取りと外観の図面をもらっただけでした。こちらより、部材等の寸法や仕様を要求してもなかなか出てきません。だいぶしてからもらいましたが説明等は一切なく、見てもよくわかりませんでした。またその時、設計がA社外の人によるもので、A社では地元の支店には一級建築士がいない(この時初めて知りました)ので、確認申請の関係で外部へ発注したとの説明(木造ではいなくても問題ないとのこと)に、とても驚きました。 そして納屋の着工。ところが地盤調査をしておらず、布基礎でするとのことです。ちなみに契約前には、ベタ基礎標準だが地盤調査もするとの説明を受けており、納屋も同様と思っておりました。 また、納屋の基礎も鉄骨業者まかせの外注であることを知り、A社は鉄骨業者にほとんど丸投げをしているようでした。 この時A社に対し、『A社は納屋を軽視しているように感じる。私たちにとっては納屋といえども一生に一度の大切な家の一部であり、母屋と同様希望を伝え同時契約した。契約前の説明通りA社がもっと充分管理すべきではないか』と訴えました。 同時期、別件で契約時の約束が守られていない事項が発覚し、A社からは一連のお詫びとして、調査とベタ基礎はA社にてやらしてもらうとの説明を受けました。(当方は、当然元々母屋同様契約に入っていると思っていましたが) そして地盤調査の結果の解説では、『古い宅地基盤で建物跡地である。既存建物解体後、新しくさらに少し盛土を施している。調査の結果、深度約1.0m以浅にやや軟弱な層が分布していたが、それ以深は良好であった。対策工法としては、重機にて充分転圧後標準ベタ基礎が妥当と思われる』とのことでした。 再び工事が再開し、基礎と骨組みまで進みました。 しかし、トラブルはまだ続きました。 既存の建物の内、残す棟があるのですが、納屋の棟上げ当日の朝現場監督より、残す建物の屋根とぶつかるので切らせて下さい、と言われました。こちらが有無を言える状況でなく、仕方なく切りました。 その件についても、なぜそうなったのかの説明は、こちらから聞くまではありませんでした。 他にも工事や監理のトラブルが続き、次第に不信感が募り、再度A社に申し入れました。 その後今度は、実は基礎がベタ基礎のやり方になっていないことに気づきました。 現状では、(10.5m×5.5m)角の4隅と長辺の真ん中2ヶ所の計6ヶ所に独立基礎を施工、しかし基礎と基礎の間は後からコンクリートを流しており、つながっておりません。 ※別途、FAXにて事務局宛、次の資料を送ります。 @地盤調査の結果 A納屋の設計図(設計図通りの建築がされているのかどうかはよくわかりません) [ 業者の見解 ] 説明を求めると最初は、後からスジキンでつなげるとのことでしたが、それではベタ基礎のように面で支えてはいないのではと思い聞きました。その後の説明で、手違いでベタ基礎になっていなかったので、基礎を一部(逆T字の縦の部分)壊し、再度コンクリートを流し壁の下の部分のコンクリートと繋げ、ベタ基礎を作るとのことでした。しかしもう骨組みができあがっており、上とのバランスやうまくつながるのかの不安や工期等にも問題は残ります。 しかしよく考えると、壁の下のコンクリートと繋げても、元々基礎とつながっていないのだから面にはならないのではと思い聞いてみました。するとその通りでした(先方は言われてやっと気づいたのか?気休めの工事だったか?)。 結局、だいぶ工事が進んでいる現状では、全てを壊してやり直すしか、ベタ基礎(と対等)への修復は不可能のように思われます。 その時のA社の説明は、 ・普通は納屋には布基礎で充分 ・どこのメーカーも地盤調査まではしない ・設計時の構造計算上も布基礎で充分であり、確認申請も布基礎で通っている →私としては、『地盤→基礎→建物の構造計算』となるべきで、順番が逆だと思うのですが。 ・鉄骨の経験がなく(A社の営業も監督も)、様々な行き違いが起こった ・母屋の方は木造なのでご心配なく 等の言い訳ばかりです。 結局のところ、ベタ基礎に変更になった時に設計図が書き直されておらずそのまま工事が進んだようです。本当はどうなのか、どうしてこちらから指摘するまで気づかなかったのか非常に疑問ですが。 そしてA社からは、 ・工事はこのまま進める(しか方法がない)。 ・基礎の差額とお詫び代として30万を返す。 差額算出の根拠として、次の通り説明された。 (ベタ基礎と布基礎の差額)+(取り壊す費用)+(当初説明を受けていたスジキンで補強する費用)との提示を受けました。 しかしその後、公庫の本「マイホーム新築チェックシート」を読んで、現在施工されている布基礎と説明をうけていた基礎は、実は独立基礎ではないかと思え、地盤調査の結果も含め、強度的にますます不安になりました。 また同じ本では、独立基礎は1個5,000円、布基礎は1m17,000円との例が載っており、布基礎すら満たしていない現状と本来すべきのベタ基礎との差額にその他の提示された項目を足したものが30万円では、あまりにも安すぎるのでは思います。 また、どのようにしてもベタ基礎に(類したもの)はならないのだから、A社説明の差額の算定方法だと、全てを壊して基礎をやり直す費用を根拠にすべきだとも思います。 なお、話し合いの途中で初めて、納屋には一切保証がないと聞かされました。どこのメーカーもないはず、法律等でも決められていないとのことでした。驚くとともにさらなる不安が募りました。 [ 相談内容 ] 度重なる『手違い』やその後の対応に非常に不信・不満が残りますが、ここまで工事の進んだ今となっては、基礎からやり直すことは現実的には不可能だと思います(工期の問題や壊すという行為にも抵抗があります)。そこで、 @このまま工事を進めても強度的な問題は大丈夫でしょうか。 (納屋ですが、2階にはタンス類や道具等思いものも置く予定です) A工事の進んだ現段階では、基礎を補強する方法等はないのでしょうか。 (今は屋根工事に取りかかっています) BA社提示金額30万円の妥当性 C納屋の保証がないことに対してのとるべき対策はありますか。 (確認済証の主要用途には『08010 一戸建ての住宅』とありました) 以上、たいへん長文になり誠に恐縮ですが、どうかよろしくお願いいたします。 私としては、この後母屋の建設も控えており、A社との関係を悪化させず、(しかし『いい家を建てるためには、お互い不安や疑問等は言うことが大切とは思っていますが』)早急に自分としても納得・解決できることを望んでいます。 |
yorozuの感想 | 家の建築が具体的になったときからいろいろ勉強し、第三者の監督やアドバイス等に非常に関心がありました。雑誌等でそれらを見たり問い合わせもしましたが、地方ということで難しく非常に残念に思っていました。 その後実際に(まさか)自分がトラブルに合い、楽しかったはずの計画が、いつの間にか不安・不満の毎日に変わっていました。 その時このホームページに出会いました。過去の相談も全て拝見させていただきました。とても救われた思いでメールしております。自分自身でもできるだけのことはしなくてはと思いました。 何卒よろしくお願いします。それから、事務局はじめ先生方に非常に感謝しております。ありがとうございます。 |
アドバイザー | |
遠藤 知世吉 | 遠方ですが答えさせていただきます。 提示金額30万円の妥当性については判断しかねます。・・・というのは、工事担当者が本工事の構造に正しい認識がないと思われるからです。 本工事は鉄骨造2階建て約35坪の倉庫ですが、図面を見ますと布基礎部分は外壁を立ち上げるだけの物であり,建物全体の構造には直接関係しません。また、独立基礎ではありますが本でご覧になったものは木造のもので鉄骨造のものとは、その規模においてまったく違います。 また、本構造でのベタ基礎はあまり意味がありません。(この場合ベタ基礎ではなく床スラブと言った方が適切でしょう) そんなことから、まずは設計者に直接会い、地質調査データ−から本設計のままで大丈夫かどうかの判断を聞くことが必要ではないでしょうか。 もし、補強が必要であれば設計者と協議し決定すべきです。 また最初に言ったように、担当者が理解していないための問題と考えますので、工事の監理を本設計者または第三者の建築士に依頼する事はぜひすべきことではないでしょうか。 また保証については、全国規模の会社でまったく無いとは考えにくいので、A社の本社工事部に直接連絡をして確認してはどうでしょう。 蛇足ですが本設計は二級建築士でも設計可能な建築物であります。 |
中川 雅実 | この建物は、鉄骨造・2階建て・延べ面115.5u 独立基礎でしょうか? 屋根を軽くしても、総重量(DL+LL) ≒600s/u×115.5≒69.3t 基礎根入れ1m・地耐力5t/uであれば、有効地耐力3t/u 独立基礎6箇所ならば、 ≒69.3/6/3≒3.85t/1箇所→≒2m×2mの独立基礎 僕は、このケースの設計をするとすれば、敷地が広ければ独立基礎も設計するが、布基礎にする事が多い。 又、布基礎部分とあるが、独立と布基礎の併用なのでしょうか?独立基礎であれば、つなぎの地中梁の事になる。 上記の荷重は、1階は土間コンと仮定したが、床スラブとすれば構造体となり、荷重が加算され、独立基礎は更に大きくなる。 Nハウスには、鉄骨造の判る技術者はおられるのでしょうか? |
コメンテーター | |
木津田 秀雄 | 工事が相当進んでいるようですので、施工者も早くけりをつけたいのでしょう。 ここで妥協することは一切ありません。あまりきちんと話を聞いてもらえないようでしたら、弁護士に依頼して話し合いの立ち会いをしてもらうのも一手だと思います。各都道府県に弁護士会がありますので、一度相談してみてください。 いづれにしても、何らかの書面で補修内容などを明確化して取り交わすというところまで持ち込む必要があると思います。 あと請負契約書の内容にもよりますが、建物は引き渡すまでは施工者の持ち物です。トラブルで引き渡さないということになれば、最悪引っ越しできないという事態もおこり得ます。(そこまでA社が考えているかどうかは分かりませんが)その当たりにも気をつけておいてください。 |
事務局から | |
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相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | たいへんお世話になっております。 「解説」どうもありがとうございました。とても参考になります。 問題の重大さを再認識致しました。 第三者の専門家に相談する等、自分自身納得した上で進めていきたいと思っております。 今後ともよろしくお願い致します。 取り急ぎお礼まで。 |
その後 |
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