相談概要 | [ 氏名 ] S.S [ 住所 ] 三重県伊勢市 [ 職業 ] 医師 [ 年齢 ] 36 [ 男性 ] on [ 構造 ] 鉄筋コンクリート造(壁式構造) [ 設計者はどなたに依頼しますか? ] 専業の建築設計事務所 [ 何階建て ] 3 [ 様態 ] 注文建築 [ 施工業者はどちらに依頼しますか? ] 特に決めていない。 |
相談内容 | [ 家づくりの相談内容 ] 建築家に依頼する際、なるべく早く接触し、土地選びも相談した方がよいというのは、よく言われていることです。今回は、そのように段取りを運んだにも関わらず、土地の瑕疵物件をつかまされた件で、ご相談にあがりました。 私は、高台に3階建てRCの住宅を建築しようと思い、3月に日本建築協会の名簿を頼りにまず建築家を探し、運良く信頼できる腕の良さそうな建築家Aに巡り会うことができました。E-mailでやりとりを繰り返しながら、4月に一緒に土地を探し、候補地がひとつ見つかりました。そこは平成9年に宅建業者Bが宅地造成をした土地の販売で、平成10年に業者Bから今取引している業者Cに所有権が移り、そこから私が買うことになりました。 眺望は抜群で住環境もいいのですが、盛り土で地上から5m強の擁壁で覆われており、購入を検討している時、「この土地に3 階建てRCを建設したいが地盤は大丈夫ですか?」という旨を再三伝えましたが、「大丈夫です」という口約束のみでした。この土地で、希望する物件が建つかどうか、建築家Aに一任することにし、5月1日、不動産屋Bは、建築家Aの設計事務所を訪れ、造成時の写真など100点ほど資料(この中に擁壁設計図面はなかった事を後に知りました)を持っていき、建築家Aはそのうち必要部分をコピーしていったそうです。 次に、建築家Aから返事があり、「準大手のゼネコンDが造成し、ある程度信用できると思われる。業者Bも建築できないとは言っていない。間取りのスケッチもできたので、ボーリングをして基礎の費用を算出したい」との事で、許可をだしました。5月9日にボーリング調査が2カ所に行われ、地下6mに安定地盤が確認され、そこへ杭打ちすることで建設可能という結果となり、取得の方向で動くことにしました。その間、私は、融資計画などに追われ、建築家Aも間取りを次々と出し、E-mailのやりとりの中、まずまずの形となっ たので、5月30日に不動産業者Cと土地売買契約を締結しました。 この時擁壁については一切説明がありませんでした。ところが、6月1日に知人のハウスメーカーの建築家Eから一般的な擁壁のL字構造の基礎部分に杭が建たないことを聞き、不安に思った私が、建築家Aに質問をしました。建築家Aは、3mは擁壁の基礎コンクリートが入っているため、その部分は摩擦杭を大量に使い、内側は、安定地盤に深く杭を打ち、荷重を確保する予定だといい、構造計算上必要な擁壁構造図面を不動産屋Cに、本日請求していることも言いました。この時、正式に設計監理契約を結びました。 ところが、6月7日になり業者Cから連絡があり、業者Bが副本のコピーをさせてくれないので手元に図面がなく図面は市役所でしか閲覧できない旨を伝えてきて、建築家Aが構造エンジニアFとともに市役所に行き閲覧すると、想像以上に地盤が弱く5m以上の幅でL字型擁壁基礎部分が出ており、これではRCどころか、擁壁基礎をくり抜いて鉄骨にしても、希望の物件は建たないことが判明しました。 この時点で、売買契約も建築設計監理契約も終わり、手付け金や着手金も支払っており、地質調査費用も私が支払っていました。関係者と調整した結果、売買契約と建築設計監理契約は白紙になり、この部分のお金は返還されることになりました。問題は地質調査費用ですが、私は当然返還を要求したいのですが、この場合これは誰の責任で(あるいは連帯責任か?)、誰に賠償請求をするのが妥当でしょうか?擁壁設計図面があれば、建築不可能というのはすぐ判明し、地質調査をするまでもありませんでした。したがって、業者Bが、かかる重要事項について、説明がなく図面提出義務を怠ったのが悪いのか、建築家Aが、図面請求を怠り、地質調査ですべて判ると速断したのが悪いのか?どう考えるべきでしょうか? やや込み入っておりますが、全ては、擁壁設計図面が無かったばかりに起こった事例です。建築家Aとのやりとりは、沢山のE-mailで詳細が明らかですが、業者Bとのやりとりは口頭で行われ、重要説明書意外外にはほとんど文章に残っておりません。よ ろしく、ご教示ください。 |
yorozuの感想 | ー |
アドバイザー | |
大内 彰 | 責任問題には触れませんが、鉄骨3Fでも建たないというのは本当でしょうか? 普通に設計された擁壁であれば費用は幾分かかるでしょうが十分可能だと思います。 擁壁の構造計算書の内容なども検討したのでしょうか? |
関口 啓介 | 関口と申します。 賠償責任の所在がどこにあるかは弁護士に譲りたいと思います。 敷地形状、広さ、計画建物がわかりませんので、その点をご理解頂きたいと思います。 建築家A 高さ5m強の擁壁の底盤が巾3mとの推測は浅はかではないでしょうか。 また、施工されている擁壁を確認するのは、必要業務のように思われます。 今回、行ってはいますが、地質調査前に確認すべきと思われます。 ただし、企画や調査の契約をされてない時点での事ですから、責めに帰すべき事になるのかは、わかりません。 宅建業者B 不動産業者Cに販売するにあたり、重要事項説明で、擁壁の構造についての説明が欠如していた事は問題ではないでしょうか。 不動産業者C 土地の体をなすためにある、構造物(擁壁)について確認をせずに販売をするところにも問題があるのではないでしょうか。 相談者 業者選定の自己責任がある一定存在するのかもしれません。 費用負担についての明確な回答ができませんが、ご参考下さい。 |
コメンテーター | |
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事務局から | |
荻原 幸雄 | 責任の所在はなんともいえません。 一般論として記述します。 基礎構造の計画として杭を支持杭と摩擦杭を併用するのは原則として採用すべきではありません。支持方法や挙動が違うので建物に負荷を掛ける可能性が有るからです。 擁壁と建物の関係ですが、擁壁がどのような条件で設計されているのかを確認しなければ何も計画できません。少なくとも擁壁を調べないで計画する場合は擁壁から適切な距離を逃げて擁壁に負荷を一切掛けないように設計しなければならないでしょう。 宅建業者それぞれも擁壁のある土地の売買に擁壁の計算書と構造図を重要事項説明書に添付するようにして欲しいものです。安全な土地であるかどうかの重要な要件だと思うのですが。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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