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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0403 地下に雨水が流入し停電に

 相談概要 [ 氏名 ]  O.K
[ 相談内容 ]  分譲マンションの瑕疵
[ 住所 ]  兵庫県西宮市
[ 職業 ]  会社員
[ 年齢 ]  31
[ 男性 ]  on
[ 構造 ]  わからない
[ 築何年ですか? ]  築 2年以内
[ 何階建て ]  11
[ 様態 ]  分譲マンション
[ 施工者 ]  中堅建設会社
[ 床面積 ]  70m2以下
[ マンションの総戸数 ]  100戸以下
 相談内容 [ 現象 ]
1999年4月に竣工した全62世帯の新築分譲マンションです。
私が購入した2日後(当然未入居です)の昨年6月末頃、ちょっとした雨(事業主が言うには過去10年で2番目の大雨)が降り、建物地下にある電気室が、雨水ではなく地下水により水没しました。この事故により幸い、けが人は出ませんでしたが、大量の地下水が発生し続けたため、ほぼ1日マンションが停電しました。

事故発生約1ヶ月後に、事業主による事故の説明がありました。
内容は大雨による天災であることの主旨説明のみであったのですが、

・住民側がマンション引き渡しの際に頂いた「竣工図」に記載されていない地下スペースが施工されている事
・その床が割れて地下水が発生している事
・その地下スペース部の排水を行うために電気室の排水用ピットに、同じく「竣工図」に記載されていない配管(消火器ほどの太さ)を施工されている事
・排水用ピットからポンプで排水しているが、売買契約時にその存在を説明されておらず、ポンプ維持費はマンション側が負担している事

などを指摘すると、原因は天災であるとしながらも、「今回のことは費用を幾らかけてもキチンとします」という話になりました。
ところが後日事業主側は、なぜ地下湧水(事業主の見解では地下水が毎分600リットル以上)が発生したのかと言う根本的な事は不明として説明せず、

・地下スペースの現在割れている床の上に新たに床を施工する
・その床が動かないように躯体に125mm間隔でアンカーを打設する事
・しみ出した湧水は、別の場所に新たに設けたピット(貯水量約120リットル)に集めて、毎分600リットル排水できるポンプで自動排水する
・維持管理はマンション側で負担する

という案を提示してきました。
これを皮切りに、マンション理事会と事業主側との交渉がスタートするのですが、事業主側は当初、保証や賠償はしない。対策設備の維持管理はマンション側がする。工事案は変更しない。という姿勢を崩そうとせず、何の交渉なのか解らぬまま時間だけがすぎ、理事会の中に「とりあえず工事してしまえばいいじゃない。」という半ばあきらめの案が出てきました。

しかしながら、昨年末の時点でアフターメンテナンス2年間しか事業主側より勝ち取れていなかったので、マンション側としても対応部署として湧水対策特別委員会を発足するに至りました。
湧水対策特別委員会が発足するに合わせたかのように、事業主側も窓口を施工業者に変更しましたので、実質的にはマンション側と施工業者との交渉がスタートしました。

交渉は、当初施工主側の主張は何ら変わらない状況でしたが、施工上の明らかなミス(事故当初認めていなかった、工事期間中に湧水が発生していた事)や対策工事における無理な設備の設置(会所のサイズに比べ、異常に大きなポンプ)など言い逃れの出来ない部分については非を認め、柔軟な対応を示しながら本質は何ら変わらないため、交渉は難航しました。

マンション側の要求として、

・この件に関する工事に対して、工事後発生する維持管理費用は一切支払わない
・マンション自体に手を加えない工事をする(特に今回の事故は地下部分であるため)
・賠償責任(今回の事故でマンション価値が下がると考えている)

を掲げ今年2月頃から交渉に臨みました。

[ 業者の見解 ]
今年3月の段階で、

・建物存続期間中の湧水対応保証
・1階床下の防水シートの施工
・必要に応じたポンプの設置
・新設ポンプの維持費負担:15年間分(15万円)
・事故当日の賠償(1世帯あたり3万円)
・メンテナンス期間2年

という具体案が提示されましたが、基本的な工事方法(躯体に孔をあける)や、本質的な賠償(物件価値の下落の賠償)については耳を貸さず、価値の査定はしても下落分は支払いしないとしています。

また今年5月になって事業主側から、「これ以上の要求があれば、弁護士を介して話し合いをしましょう。」と、交渉を一方的に切られたので、現在の提示案でどうするかの話を4月中頃より、住民説明会を重ねて意見を集約している中、5/18に予告無く事業主側より、担当窓口を工事担当者から、経緯を一切知らない総務へ変更されました。

この、約1ヶ月間の我々の動き(意見の集約をしている事)は事業主側にも連絡をしているにもかかわらず、“今後一切の交渉はしない。早急に可否を示せ。”といった内容の督促状まで送られてきました。
5/10〜5/18日までの間は、こちらから毎日担当者に連絡を入れているにもかかわらず、不在として無視し続けた結果が督促状でした。

これに対して翌日抗議したところ、抗議の内容には耳を貸さず「本日の御用向きは、当社の提示に対するご返事では無いのですか?早急に返答下さい。」としか返答しないため、「現状提示内容では納得できないので、本来の交渉相手である売り主との協議をさせてもらっても良いのか」と質問すると、嬉々として「そうですか、当社としても非常に残念ですが、そう仰られるなら仕方がないです。いや、非常に残念です。」と言って話を終わらせてしまったのです。

[ 相談内容 ]
マンション側としても当初から交渉の進め方を考えており、さあこれからと言う時に事業主側が態度を変更してきた為、現在交渉が止まっています。こちらとしても現在の状況を打開し、交渉を開始しようと考えてますが、対策案やこれからの交渉の進め方を考えるに当たり以下の点で悩んでおります。

・地下湧水を完全に止める方法はありますか
・将来にわたり当マンションで安全に住めるかをどうすれば判断できますか
・価値評価の査定ができる場合にどこにすればいいのでしょうか
・査定や工事方法を専門家に相談した時どれくらい費用をみればいいのでしょうか
・この一連の事件に関して事業主側には全く責任はないんでしょうか

以上よろしくお願いします。

雨水が床に溜まっている状態時


湿気で天井材に水滴
 yorozuの感想 このH.P.はいつも参考にさせて頂いております。建築関係で悩んでいる人たちはたくさんいてると思いますのでこれからも困っている人たちの助けになって頂ける様にがんばって運営してください。
アドバイザー 
小谷野 和広 120リットルの排水槽に毎分600リットルの湧水が入るということは12秒で一杯になるということですが間違いないでしょうか?
地下鉄の駅並みの排水量なんですけど。
排水ポンプもそこそこ大きなものをつけなくては排水し切れません。
排水槽に対しての容量とするとほとんど回りっぱなしの状態ではないのでしょうか?確認してください。
最近は、雨水浸透が当たり前になってきて、地下水位が上がりつつあるのが事実です。
ボーリングをして地下水位が耐圧板より下にあってもGL以下であれば、排水ポンプの設置場所を考えましょう。

毎分600リットルの水が出るというのは、給水管では40から65mmのものが折れて噴出したような状態です。
湧水だとすると1日800トンの噴出ということになります。

止水するのであれば、青函トンネルでも行った、セメントミルク注入しかないのではと思いますが、湧水だとすれば、水脈の下流への影響が考えられますね。

ゼネコン(土木)と地質調査会社が入らないと解決は難しそうです。
津村 泰夫 大阪の津村です

現地を見て詳しく伺わないとよくわかりませんが、大変な事態ですね。

> ・地下湧水を完全に止める方法はありますか

調査をしないとわかりませんが、施工者は十分に対応できる能力のあるゼネコンです。

> ・将来にわたり当マンションで安全に住めるかをどうすれば判断できますか

第3者のコンサルタントに調査、改修設計、工事監理を依頼することでしょう。
土木構造物の設計をおこなう会社を「建設コンサルタント」といい、橋梁やトンネルなど世界最高水準のコンサルタント会社があります。

> ・価値評価の査定ができる場合にどこにすればいいのでしょうか

価値評価については不動産鑑定所がおこなっています。また、補償については補償コンサルタントでおこなっています。補償コンサルタントの中には不動産鑑定部門を持ったところも多くあります。

> ・査定や工事方法を専門家に相談した時どれくらい費用をみればいいのでしょうか

見積もりを取ってみてください。

> ・この一連の事件に関して事業主側には全く責任はないんでしょう か

調査の中で明らかになると思います。

大きな問題ですので、コンサルタントの調査をふまえて弁護士を入れ交渉することになるでしょう。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 竣工図に無いものが地下に存在するという点はどの時点で施工変更され(途中の設計変更があったものと思われます。)その理由が何故なのか?を確認することも大切です。
「工事中も湧水の存在が認められた」は程度があると思われますが、水脈を遮断してしまったことで、この水脈が大雨の際、地下の川となり構造体弱点部に圧力をかけ湧水が噴出したとも考えられます。
又、近隣の公共下水等を調べその雨水排水能力を当時越え、地下水の異常な上昇が生じその圧力が今回の事態を引き起したとも考えられます。これらはあくまでも想定の域を出ていませんので、第三者の調査が必要かもしれません。

今回の湧水は止められると思います。しかし、一度では難しいかもしれません。一次、二次とスラブ増設とその間の排水層を設け排水すれば600t/分のポンプは必要ないと思われます。しかし、この工事で構造的な検討も必要になるでしょうから総合的な判断が必要です。地下天井高さは当然今回工事で低くはなります。

この工事が無事に済めば資産価値の下落は無いものと思います。(ランニングコストの下落分は落ちますが資産からしたら影響の無い範囲だと思われます)
他の点はわかりませんが、工事が無事済めば安全な暮らしを取り戻せると思われます。

売買契約の点から事業主が購入者にその責を負うと思いますが、事業者と施工者は請負契約を結んでいるでしょうから、施工者は事業者に責を負うという関係になります。補修施工するのは施工者ですので直接の方が話が早いとは思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 お忙しいところご回答ありがとうございます。
 その後  
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