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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0402 マンションの騒音

 相談概要 [ 氏名 ]  M.S
[ 相談内容: ]  分譲マンションの瑕疵
[ 住所 ]  滋賀県
[ 職業 ]  主婦
[ 年齢 ]  33
[ 女性 ]  on
[ 構造 ]  鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[ 築何年ですか? ]  築 2年以内
[ 何階建て ]  31
[ 様態 ]  分譲マンション
[ 施工者 ]  大手建設会社
[ お手持ちの図面は何枚? ]  無い
[ 打ち合わせ何回 ]  打合していない。
[ 床面積 ]  80m2以下
[ マンションの総戸数 ]  400戸以下
 相談内容 [ 現象 ]
昨年4月、分譲マンションを購入した。入居してから真上の住人が歩くたび、こちらの天井と床が振動し1箇所が発生源であっても、トイレ、浴室、発生源の真下ではない部屋どの部屋にいても天井と床が同時に響く。
真下は、電気のかさが揺れ、振動が床からしっかりと伝わってくる。
電気の傘が外れたこともある。
真上の住人が留守のとき(夜、電気がついていないとき)は、全くそういった現象が起こらず、真上からの振動と確定できる。

窓を閉めている状態で奥の部屋で声が聞こえてくることもある。窓際であれば、外からということも考えられるが、声は天井から聞こえてくる。
例えるなら、鉄骨造りのアパートの1階の様である。

スラブ厚170mmでは、考えられないもので、住人の方に確認してもらったし、自分も他のお宅にいくこともあるが、その振動の大きさは他のお宅では全くない。

天井と床が同時に響くということが、短くても、30分長いときは深夜まで連続で続くことがほとんど毎日であり、睡眠不足で夫婦とも何度も体調を崩している。
2月初旬理事会から”T”不動産会社に振動の調査を依頼してもらう。

3月中旬に”T”と建設会社”F”との合同で振動測定を行ったが、測定方法と結果に納得することができない。

 1.1箇所のみでの測定で測定方法
 2.自宅を歩く床の振動と、上から自宅まで伝わる振動とが同じ数値になるということ。
 3.同時に振動している天井の数値はもっと高いはずである。
 4.和室については、真下であるが毎日生活するリビングについては、斜め下の部分のデータであり、ほとんど意味をなさない。
 5.また、浴室、トイレについても、全く同様である。

測定しただけで全く現状は変わらず、毎日苦しんでいる。

[ 業者の見解 ]
3月中旬に”T”不動産会社と建設会社”F”との合同で振動測定を行った。
以下に報告書を転記致します。8から13までの数値が毎日感じる振動です。

1)建物概要
  ※建物名称、場所は省略します。  
  構   造:RC造、S造、地下1階 地上31階、PH1階
  工   期:平成9年4月1日〜平成11年3月31日

2)振動測定の概要
  ※日時、立会いは省略します。
  測定機器:振動計     JEICタイプ2030 (公害型)
       ピックアップ  JEICタイプ2030
       記録計     JEICレベルレコーダJEICタイプ5050 
  測定方法:上階で歩行を基本とした各種振動を発生させコンクリートスラブ上での振動レベルを測定した

3)測定結果
No   振動発生状況            測定値   最大値  備考
1   上階リビングを1人で通常歩行     26    27
2   上階リビングを1人足ふみ       27    31
3   上階リビングを2人で同調歩行     32    35
4   上階リビングを2人で足ふみ       26    28 
5   上階リから廊下を2人で足ふみ     28    30
6   和室 2人で同調歩行         33    36
7   和室 2人で足ふみ          26    30
8   和室−リビング2人で同調歩行     39    43
9   上階リビングを2人でカカト同調歩行  46    48
10  上階リビング−廊下2人でカカト足ふみ 31    33
11  和室−廊下2人でカカト同調歩行    49    53
12  和室−リビング カカト同調歩行    44    45
13  和室−リビング カカト同調歩行    48    50
    (敷居を踏んで強め)
14  自宅のリビング通常歩行        45    48
15  自宅和室−リビング カカト同調歩行  62    66
    (敷居を踏んで強め)

<測定結果に関する考察>

上階の歩行衝撃は一般的なものよりかなり大きい。自宅階への振動の伝達は最大でも53dBでほとんどの人間が振動を感じる数値を下回っている。
天井の共鳴音で、大きく振動しているように感じるだけである。
建物としての不備にはならず、従って、自分達に全く責任はない。
あなた方が照明器具などの音や揺れから大きく振動しているように感じているだけのこと。

測定中は、「これはかなりひどいもの」と自分達も言っていたのに、”照明器具が悪いのではないか。” ”神経質すぎるだけのこと”とも言われた。

[ 相談内容 ]

他のお宅ではない”声がする”、”音がアパートの様に聞こえる” ”足音が天井に響く”ということを考えると建物の不具合でしか考えられない。

1.この測定結果で得た建設会社の結論は本当に正しいものでしょうか?
2.今の振動状況から建物に全く不備がないとはいえないものでしょうか?

もし、不備があった場合認めてもらうにはどうしたらよいか。
毎日、毎日苦しんでいます。よきアドバイスお願いします。
 yorozuの感想 1年間苦しんできました。このホームページを見つけて嬉しかった。
ありがとうございます。
アドバイザー 
久保田 英之 よろず解説委員の久保田です。

相談者の内容を聞く限り、深刻な問題と受け止めます。
これが、真実であれば構造的な欠陥も充分考えられるのではないでしょうか。
正直言いまして、音や振動を専門的に扱った事がなく、今現在、細かなアドバイスが出来ません。(勉強してみます)
しかし、いくつか疑問点があります。
これを、解決するためには管理組合や上階の方の協力が不可欠です。
特に上階の方が調査を渋っておられるようですが、御自分の家が、欠陥住宅かもしれないという認識がないのでしょうね。
下階への振動というよりは、”欠陥”と言うことを主におき、管理組合を通して話をされてはどうでしょう?

それだけ、振動しているということは、人が歩くだけで床がたわんでいる可能性もあります。
天井が二重になっているようなので、天井をめくって床下の状況を確認してはどうでしょう。
何か、解決の糸口が見つかるようにも思います。
相談者の切実な悩みに対して解答になっていないかも知れませんが実際の床のたわみをみることで証明できるかもしれません。
天井の撤去には、多少費用も必要ですが得策かと思います。
木津田 秀雄 木津田です。

 マンションの音の問題について

契約の姿
 まず、このマンションの床の防音性能について、販売時にパンフレットや口頭での説明はありましたか?床間の音の問題は、重量衝撃音LL-○○と軽量衝撃音LH-○○で表示されます。単純にL-○○という表示の場合もあります。
 もしこれらの表示等がなければ、販売会社にどの程度の遮音性のを想定して設計・施工を行なったのかを質問しておく必要があります。(答えてくれるかどうか分かりませんが、あくまで問題ない設計や施工を行なったのであれば、返答するでしょう)公庫の融資が可能な物件であれば、床衝撃音の公庫基準がありますから、それと同じと考えて良いかという聞き方もできます。

設計の姿
 それから、図面ですが管理組合に竣工図面がありますか?矩計図という、断面図を拡大したような図面があるのですが、該当する階の断面があれば、どのような設計になっているか分かります。まず設計がどうなっているかを知る必要があるでしょう。設計が間違っていれば、その通りできていることを確認しても意味がありませんから。床材のメーカーや材質などを図面から見ますが、これも分からなければ、販売者に問い合わせする必要があります。

実際の姿
 これらの準備をした上で、建物を測定するなり、天井がどうなっているかを調査する必要があります。施工者が調査したのは、単に音を測定しただけで、なんら基準がありません。測定し終わってその数値を持って、それ以下に設計したといえば、それでおしまいです。そうさせないためにも、測定するにしてもその前に、どの程度の建物なのかを販売主に確認する必要があります。

管理組合
 できるだけ管理組合に関係してもらうことが大切です。個人のわがままではなく、管理組合としても重大な関心を持って対処してもらう必要があります。今回の場合、単に衝撃音だけでは無いようですので、問題は複雑になる可能性はあります。

天井の話
 一般的にコンクリートの天井にそのままクロスなどを貼る場合と、天井を造った場合は、後者の方が遮音性能が高いと思われていますが、実際には天井が太鼓になって、後者の方が遮音にとってはマイナスになります。

今後の方針
 まず資料収集と、販売会社(建設会社から買ったのではないですから、販売会社の社長宛に手紙を出すべきです)に遮音の性能について連絡を行なうべきと思います。それらの資料が揃ってから、必要があれば測定を行ないます。測定の方法もJISに規格がありますから、それにそって行なわなければ揚げ足取りの材料にされるだけです。本来は測定専門業者に測定させることが望ましいです。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 <測定結果に関する考察>の報告書に「建物としての不備にはならず、従って、自分達に全く責任はない。あなた方が照明器具などの音や揺れから大きく振動しているように感じているだけのこと。」と本当に書いてありましたか?お気持ちはわかりますが、正確な記述なのでしょうか?

♪1.この測定結果で得た建設会社の結論は本当に正しいものでしょうか?

これだけでは残念ながら結論はだせません。

♪2.今の振動状況から建物に全く不備がないとはいえないものでしょうか?

これだけでは結論がだせません。

♪もし、不備があった場合認めてもらうにはどうしたらよいか。

不備があるかどうかこれだけでは判断できませんので、認めてもらう段階まできていません。

いろいろお悩みのことと察します。上記コメントは残念ながら現時点で正確には解説できません。
このような音の問題は総合的な判断が必要ですので、判断は差し控えます。

マンションの音と振動の問題は深刻です。一戸建てと違い住人の生活態度も大きく影響します。
又、管理組合の対応も消極的になりやすく(問題を大きくして資産価値が下がると思い込んでいるので)当事者だけが苦しむ結果となり、大変孤立感を深め深刻です。また、マンションが完全無欠な住戸と考えるのは間違いで、音や生活規則等を販売会社も体験ルームを設けて販売すべきでしょう。これによってマンションの信頼性が高まると思うのですが、これは購入者が求めていかなければなかなか実現は難しいかもしれません。

現実としては上階の居住者の生活態度が本人が普通だと思っている以上、なかなか生活態度はかわらないでしょうから、対策として天井の吊り材を防振仕様にしてもらい天井の揺れを止める。天井内にグラスウールを引き込み音の緩和を狙う。(これも多少効果が上がる程度です。多大な期待はご注意。)以上が現実的な方法です。お住まいの振動を止めるのは膨大な金額がかかり
また、固定荷重も増え、他の住戸の平等性もかんがみ現実的でないでしょう。

上記の方法で対処して貰えないかを事業主にご確認ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 おはようございます!
朝1番でメールを読みました。
お忙しいところを親身にわかりやすく、助言いただけたこと、とても嬉しいです。
とりあえず、お礼がいいたくてメールしました。
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