相談概要 | [ 氏名 ] K.H [ 相談内容 ] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵 [ 住所 ] 栃木県宇都宮市 [ 職業 ] 会社員 [ 年齢 ] 29 [ 男性 ] on [ 構造 ] 木造(在来工法) [ 築何年ですか? ] − [ 何階建て ] 2 [ 様態 ] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [ 施工者 ] 中堅ハウスメーカー [ 設計者を選んだのは ] 自分では選んでいない。 [ 監理者を選んだのは ] 自分で選んでいない。 [ 確認申請書は本来建築主が出すと説明を? ] 受けた。 [ 18確認申請の為の委任しましたか? ] した。 [ 確認申請書お持ちですか? ] 有る。 [ 検査済書は有りますか? ] − [ お手持ちの図面は何枚? ] 5枚 [ 打ち合わせ何回 ] 5回 [ 床面積 ] 120m2以下 |
相談内容 | [ 現象 ] 御世話になります。 着工して、屋根、窓などがついた状態です。 1階の和室と玄関の間の横のはりにクラックが入っていました。(多少のは、他にもありましたが) 木材の表層のクラックは強度上問題ないという認識ですが、このはりには両端側から入っていて金具の穴、横からのはりとの繋ぎまで繋がるように2つあるので不安です。 (全体の画像とそれぞれのを送ります) [ 業者の見解 ] 木材に表層のクラックがあってもJASの規格で強度上問題ないとのこと。 家の骨格としては問題のないレベル。 施工時に入ったものでなく、プレカットにて工場から出荷するときからあるもの。 家の基準としてはり、柱のクラックに対する明確な定義がない。 家全体として10年の保証をするから問題ない。 [ 相談内容 ] 1.強度上問題ないでしょうか? 2.柱を入替えるのは後のトラブルを引き起こすのでしょうか?(そのように説明されました) 3.何らかの補強の手段はないのでしょうか? 以上、よろしくお願いします。 |
yorozuの感想 | 大変勉強になります。 過去の事例がキーワード検索できると助かります。 (実際に柱のひびを探すのに苦労しました) 私たち買い手の意識の向上に非常に有益だと思います。 |
アドバイザー | |
星 裕之 | 非乾燥材を使用していることによる割れですね。最近はずいぶん神経質にこの問題が取り上げられているようです。設計上は乾燥による割れが生じても充分な安全性をもつ梁の大きさを指定します。また、プレカット工場や大工さんがその木の状態をみて、設計指定の大きさをさらにワンサイズおおきくすることもあります。ですから、不安であれば監理者・設計者の判断を仰いでみてください。 ただ、施工者と監理者が一緒っていうのが、言葉に信頼性があまり無いところなんでしょうが。割れが表層のみであり一切進行しないのであれば、平常時は充分安全でしょう。進行してしまい材が二つに分離した状態にまでなるようであれば曲げに対する危険も生じるかもしれません。また、引き抜きを防止するための羽子板ボルトの位置に割れが入ってしまってるので、地震時の効果が低減されているかもしれません。 梁をいまから入れ替えるにはずいぶん工程をもどさないとなりませんね。施工者に相当の負担がかかりますから「はい。入れ替えます」とは言えないでしょう。また、工程が進むにつれ構造材は全く見えなくなっ てしまいます。不安であれば、なんらかの対策を今行っておくべきでしょう。対策としては、梁端部引き抜きに対する補強。中央部曲げに対する補強を行えば充分ではないかと思います。補強の具体的な方法は設計者等にお聞きください。 |
山口 雅克 | 木材に表層のクラックがあってもJASの規格で強度上問題ないとのこと。 「JASの規格の材料自体の強度は問題ないでしょうが、梁(2階の床を支える材)としての強度には問題があります」 家の骨格としては問題のないレベル。 「そのクラックのある梁の計算を行えば安全かどうか確認できます」 施工時に入ったものでなく、プレカットにて工場から出荷するときからあるもの。 「出荷するときに点検して交換しておけばよかった話しです」 「誰も大きなクラックを持つ材を頼んだ覚えはないはずですよね」 家の基準としてはり、柱のクラックに対する明確な定義がない。 「定義がないとしても、大きな梁のクラックは注意が必要です」 家全体として10年の保証をするから問題ない。 「保証は10年でも、安心して何十年も住みたいですよね」 全体的に、その場しのぎの説明に思えます。 写真では、柱間隔が狭い部分は現状でも大丈夫と考えますが、 広い部分はどの程度の梁スパン(柱と柱の間隔)があるのか分かりませんし、小梁も架かっているので、計算してみるのが良いでしょう。 梁側面の補強とクラックに樹脂を注入する方法がありますが、梁全体を補強しなくても、長さの中央部分の1/2程度ですむのでは。 |
堀内 啓介 | はじめまして 堀内と申します。 さて、木造の梁の乾燥によるクラックの件ですが、写真をみる限りでは表層だけではないのではと思われます。 まして完成後まだまだクラックが進行する場合が多く、今のうちに対処するほうが良いと思われます。ましてプレカット工場からであれば、その時点で交換すべきだと思います。 そして、上下に二分される可能性があるとすれば、約半分の断面で要求される応力を処理できるかということになり、通常必要断面の倍の断面積にして設計することはありません。 そして、クラックのある梁に別の梁が掛かっていますが、その梁との接合の為の羽子板ボルトがクラック部分にあり、緊結が十分に行われなくなています。 梁を交換することは現実には不可能(交換のためには解体の必要があります)ですので、樹脂等の注入にて梁を一体化し、なおかつ要所に4.5mmくらいの鉄板の両面挟み込み13mmくらいのボルト締め補強が必要と思われます。 建て売り住宅とのことですので第三者の資格者に見てもらって具体的補強の指示をしてもらうことをお勧めします。 10年保証というのは、欠陥がないということではありません。 不安な要素は極力取り除き解決しておくべきです。 木造住宅の梁の乾燥によるクラックは完成後1年以上続いておこることが多くあります。 |
コメンテーター | |
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事務局から | |
荻原 幸雄 | 各解説委員の通りですが、プレカットにて工場からの受け入れチェックが十分なされなかったようですね。 写真からは深いクラックのようですので、次の手順で確認ください。 1.設計者若しくは監理者に現状での体力の低減した状態で計算してもらう。 足らない場合は下記2.の要領の補強をしてもらう。 2.補強が必要な場合は樹脂詰め、通しボルトで上下に補強材を挟み締め付ける。 以上です。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 今回はお世話になりました。 御意見を参考にさせていただき、設計者の方と打合せをしました。 結果、補強をいれることにしました。 (詳細をご連絡したほうがいいでしょうか?) ”見解”は3名の方の意見がそれぞれ述べられていて大変勉強になりました。 複数の方の意見が聞けるというのが非常によいと思います。 これからもHPのほうは参考にさせていただきます。 どうもありがとうございました。 |
その後 |
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