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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0311 マンションの外壁にクラック

 相談概要 [氏名] H.H
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[住所] 兵庫県姫路市
[職業] 会社員
[年齢] 37
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[築何年ですか?] 築 1年以内
[何階建て] 10
[態様] 分譲マンション
[生産者] 中堅建設会社
[マンションの総戸数] 50戸以下
 相談内容 はじめまして、H.Hといいます。

99年4月に竣工の新築マンションを購入したのですが、引渡直後から明らかに欠陥とおもわれる外壁クラックが発生し、施工主の(株)A建設と4回会議を行いましたが、先方の瑕疵担保責任に対する誠意のない対応に業を煮やしています。

いろいろな専門家の人のアドバイスや、情報交換に期待しています。
躯体の資料等はかなり集まってきていると思います。
写真につきましては、後日スキャンしたものをメールさせていただきますが、年末出張のため、早急には処理出来そうにありません。できれば、写真送付前に少しでもコメントいただけると幸いです。

宜しくお願いします。

【経緯】
平成11年4月に竣工の10階建新築マンションに4月末に入居しました。
躯体は一般的なRCで、10階建、48戸です。
外壁はタイル張りです。

平成11年7月ごろから、クレーンでの外壁作業を頻繁に見かけるようになりました。

平成11年8月末に、外壁の漏水について、3回目の漏水修理を行いますというはり紙があり、異常に感じたため、躯体東側面をみに行ったところクラックが多数見つかりました。どうやらこれらから漏水しているようでした。

平成11年9月初に、専有区画の修理対応が非常にお粗末で、レスポンスも悪いため(株)A建設を総会に呼び出しました。
その席で、住人の方々からクラックの漏水の問題提起があり、漏水抑止工事をしても止まらないという内容から、その場で原因の糾弾が始まりました。
その場では、クラックの原因はコンクリートの乾燥収縮によるものであり、漏水抑止工事により100%止まりますという説明がA建設よりなされました。
同業の建設会社に勤める住人から、乾燥収縮クラックで、外壁の縁が切れるのか? 構造クラックだろうという発言がありました。その場は他の対応不備についての糾弾もあり、構造クラックの件については、後日A建設で話し合うこととなりました。

平成11年9月末、A建設で漏水問題についての会議を行いました。
争点は次のとおりでした。
1)施工上の手抜きがあったのではないか?
2)構造上の不具合があったのではないか?
3)構造計算に見積りちがいがあったのではないか?
4)そもそも、竣工1年未満の躯体にクラックが入るのは欠陥ではないのか?
5)乾燥収縮クラックではなくて、構造クラックではないのか?
深夜まで会議は行われ、結果、別の構造物劣化調査業者が、漏水の原因調査と補修を行うこととなりました。欠陥の話しについては、決着はつきませんでした。

平成11年10月末、A建設と構造物劣化調査業者のSエンジニアリングという会社が、漏水箇所の調査を開始しました。シュミットハンマーによる強度試験、配筋レーダーによる調査と一通りの漏水抑止工事を終え、後日結果報告が行われました。
また、クレーンに同乗し、管理組合で、クラックの現場確認を行いました。
ひび割れは、躯体東側の9階から2階の部分に発生し、各階とも右上から左下にかけて走向が認められました。9階−7階まではすべて貫通クラックです。

また、以前の漏水補修後のタイルにも再度クラックが入っていました。さらにこちらで補修の報告のないタイル補修箇所が3階に見られ、これもクラックが入っていました(内覧会前に補修している?写真あり。時期不明)。
躯体西側についても調査したところ、10階から5階までクラックが発生しており、1階の部分にも縦に大きなクラックが新たに3つ確認されました。
調査前には、A建設の部長が、西側については構造が異なっているので大丈夫な自信があると言っていました。後日判ったのですが、西側1階については、ダブル配筋になっているからという意味でした。しかし、貫通クラックは発生しています。

平成11年11月末、Aグループお客様サービス室による報告会が行われました。
当然のことながら、Aグループお客様サービス室の説明では問題なしとの報告でした。欠陥について問いただしましたが、初めて聞きましたとか、今日初めて考えましたとか言われ、欠陥とはどういう意味ですかと聞かれる始末です。

【A建設の説明】
1)コンクリート強度について設計強度240kg/m2のところ平均で260kg/m2程度で問題なし(ちなみに28日目で330-350で、落ちるのがはやすぎ)
2)鉄筋の配筋についても図面通り
3)コンクリート打設時の強度についても設計図面通り
4)構造計算について、計算上は問題ないが、外壁に乾燥収縮のひび割れが発生した場合は下階にまでひび割れが発生する
5)基礎工事・杭工事についても当初の設計図を見直したところ問題はありません(ボーリングはありますがパイルについては日報等の資料が出ていません)
6)外壁について配筋量は0.316で建築学会の基準値0.2%以上はありました

クラックは乾燥収縮クラックです、マンションの躯体は健全ですという結論と、外壁の耐力とクラックの進行を防ぐために、現在の外壁にクロスの鉄板を取りつけ、7cmのコンクリート壁の補強を行わせてくれという話しを持ち出されました。
この時点で激昂した住人も多く、原因をきちんと調査していないのに、どうして対策出来るのか?原因をはっきりいえという発言が相次ぎました。
そもそも、支持力のない外壁に7cmの補強材を打ったところで、荷重が崩れるだけだろうと思い、補強の構造計算を行ったのかというと、計算は行っており、構造計算の担当者は大丈夫であるといっているという説明がありました。

クラックを考慮した構造計算モデルを用いて行ったんでしょうね、と問い詰めると、専門ではないのでよくわからないということです。本人も一級建築士を持っているにもかかわらず(今日資料が届けられましたが、案の定、もとのRCに鉄板はった構造で計算してるだけのようです)。
構造物劣化調査業者のSエンジニアリングの報告書は、報告会に出席した住人には配られませんでしたが、理事長には資料一式ということで手渡されました。
そこには、考察として次のような事が書いてありました。

[原文]
これだけのデータでは全体の評価はできないが、打設後1年で貫通するようなクラックが入るということは通常では考えにくい。コンクリート強度については設計強度が守られているので問題はないと考えられる。
クラックの入っている状況から判断すると東面の壁の北側の窓および台所の上部を下方向に垂直に力がかかったように見受けられが、クラックは7〜9階に多く見受けられるため施工上、設計上の問題が組み合わさったものと考えられる。なお確認のため
全体の不同沈下も測定しておく必要があると思われる。
今回の調査工事は漏水の原因とその止水工事が目的であるため、クラックの発生原因として考えられる事を簡単に述べるに止めた。

さっそく、報告会の席で、不同沈下の測定試験をやったのかどうか問いただしたところ、しばらく黙っておりましたが、後日回答するということでした。
なお席上で、漏水抑止工事のあとも、同箇所から漏水しているという報告が住人からありました。

平成11年12月5日、先の報告会の質問事項の回答がAグループお客様サービス室から配られ、不同沈下に対する測定を行いましたという記述がありました。
一体何時から何時まで計測したのかも不明な変位量が記載されていました。
私は、地質系コンサルで働いていた経験もあり、現在の会社も環境アセスメント部門に属しておりますので、このような馬鹿な報告を相手にしたくはないのですが、素人だと思ってか、マンションの管理組合や住人をなめている様子です。
また、Aグループとしては、瑕疵担保責任に基づき責任の責めを負う事で本件の解件にあたるべきと考えておりますと書いてありました。

【近況】
一階自転車置き場は、西側外壁の貫通クラックが顕著になっているが、あらたに内壁にもクラックがあり、補修されている事が判明した。
この補修については管理組合が全く知らないもので、クラックをU字カットして充填してあったようである。充填材が痩せて、さらにクラックが広がったために、凹溝が顕著になり、確認出来るようになった。
こういった補修が引渡前に行われて、尚且つ管理組合にも報告がないのであれば、原因についてはすでに承知しており、隠匿しているとも考えられる。
東西の端部屋を200-300万値引いて売っていた事実もあり、どうしてもおかしいと考えざる終えない。
さらに、東壁側の端部屋には、初期のパンフでは当初小窓があったが、設計変更となっている。このあたりも十分怪しい。

以上のような悲惨な状況ですが、是非アドバイスをお願い出来ますでしょうか。

【これまでの疑問点】
1)竣工1年未満の躯体に貫通クラックが入るのは欠陥ではないのか?

2)管理組合が知らないクラック補修箇所に再びクラックが発生しているが、このことは、受渡前にすでにクラックの兆候があった事を意味しているのではないか。この場合、瑕疵担保責任となるのか?

3)不同沈下が原因である事が証明された場合、立て替えを含む補償を要求出来るか?

4)瑕疵担保責任というのは10年だけ面倒をみるということか?補修間隔からしても現在もクラックが進行中であることは明白であり、止まらなかった場合、11年めからは、管理組合が補修費を負担するのか?

5)クラックの進行を止めるという表向きの理由で、進行状態を隠蔽する場当たり的な補修を認証してよいのか?裁判がのちのち発生した場合不利にならないのか?

6)補修工事をストップして、補償問題について争った場合、2年が経過したら、瑕疵担保責任自体がなくなってしまうのか?

7)補修工事をストップして、補償問題や他の解決法を検討中の間に、クラックが補修不能な状態にまで進展した場合、管理組合に法的責任があるのか?

8)裁判になった場合、勝てるのか?

【補足】
知り合いの不動産鑑定士の方から、姫路で裁判を起こしても建築士同士や弁護士同士が顔見知りばかりで筒抜けだから、今まで住民が勝ったことはないよと貴重な意見を頂きました。
また、当マンションには、施工主のA建設の社員も3世帯入っており、管理組合理事長に、A建設の補修工事を受け入れるように要求し、データなどいつでも改ざん出来るのだからと言ったようです。

さらに、他の同業建築会社に勤める住人はA建設が設計図書の改ざんを行っているらしいという情報を聞きつけ、管理組合全体も焦っています。
A建設は、厚生省の特別老人ホームの建設請負で、建設費のうち3億円相当を、土地の持ち主に不正に渡した疑いで、来年1月には償還命令がでるらしく、マンションの補償すら怪しくなって来てもおります。
 yorozuの感想
アドバイザー 
津村 泰夫 大変な欠陥マンションですね。
ご質問の内容は、インターネット上の無料相談でお答えできる範囲を超えていると思います。

構造物劣化調査会社はあなた方が依頼したのでしょうか。施工者に依頼されたのであ れば満足な調査結果は得られないのではないでしょうか。

その調査会社(コンサルタント・設計事務所)があなたがた居住者の立場に立って調査をしていただいたのであれば、さらに
・適切な補修設計
・補修費用
・工事監理
を依頼されたら十分でしょう。

【これまでの疑問点】についてもそのコンサルタントが明快に答えてくれるはずです。

コンクリート強度について設計強度240kg/m2のところ平均で260kg/m2程度というのは かなり低いと思います。コンクリートの性質は施工後10〜20年後がコンクリート強度のピーク時と言われており、1年でこんなに下がるはずがありません。必要ならコアボーリング法を採用してみてください。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 先ずは原因を追求することが肝心かと思います。
その為に調査会社が入ったのでしょうからそこと打合せをしてとことん追求してみてください。
もうすでに想像の範囲を越えて現実調査を依頼しているのですから先ずはそこを信頼して原因を追求してみてください。われわれの解説は現実の調査を超えて回答できるものでは有りませんし、想像より現実の調査のが信頼性もあります。

又、原因が確定していない以上、今後の見通しや保証の話も早急です。いろいろな情報が交錯し何が正しいのか分からない
状態になっているようですが、必ずしも情報が多ければ良いというわけでも有りませんので、客観的原因を先ずは追求してください。津村の話の通りコアボーリング調査が必要だと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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