本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.0297 新古住宅の数々の不具合

 相談概要 [氏名] O.Kさん
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[住所] 埼玉県春日部市
[職業] 主婦 
[年齢] ?
[構造] 木造(在来工法)
[築何年ですか?] 築 10年以内
[何階建て] 2
[態様] 建売り住宅
[生産者] 中堅建設会社
[確認申請書お持ちですか?] 持っております。
[検査済書は有りますか?] あります。
[お手持ちの図面は何枚?] 2枚
 相談内容 初めて相談します。どうぞよろしくお願いいたします。
建て売り住宅に、建築後1年で入居しました。 入居してすぐに台所の出窓で雨漏りが発生しました。その他にも、

@雨水が床下に流入するので床下に入って調べたところ、床下に束がないことが判明。業者側がプラスチックの束と束石を設置したが、コンクリートの基礎部分と接着していない。束と束石も接着していない。
A1階リビングの床下に基礎がない。(束のみ) リビングはサッシ窓も不具合がある。
B栗石がない。
Cフーチンの幅が狭い。基礎の立ち上がり部分の高さも低い。
D床下・天井裏の電気の配線がしっかり止められておらず、むき出しになっている部分がある。
E排水パイプ・水道管の穴があるのに、わざわざ後から基礎部分に別の穴をあけて管を通している。雑排水ますが穴のあいたまま放置されている。また、トイレの汚水管と水道管を同じ穴から入れており、衛生面の不安が大きい。止水栓が全く意味のない所にある。
F小屋裏から見ると外壁と屋根の間に隙間があいているらしく、光が漏れている。また、2階の4.5畳の部屋のサッシ窓が歪んで開かず、建設業者に調べさせたところ梁が下がっていると言われるなど、2階の構造は大丈夫なのか不安がある。
G軒の長さが図面と異なり、25pと短い。

など、次々に問題が出てきて、現在業者と交渉中です。業者側は「現況有姿」だから図面と実物が違っていても仕方がない、おかしいところは「経年劣化」だと言っておりますが、これらを業者側の「瑕疵」と主張することはできないのでしょうか。また、この家は外壁のひび割れが多く、最近はカビも発生しています。業者との話合の中で外壁に弾性塗料を塗るという案がでたのですが、その外壁の内側、床の間の壁に外からの雨らしき水シミのあとを発見しました。外壁そのものにヒビが入っている可能性がある状態で、弾性塗料を塗り直すだけの処置では不安があるのですが、それだけで壁の処置は大丈夫なのでしょうか?

相談は以上です。業者の話だけでなく、第三者の立場にある方から意見をいただいて参考にしたいと思い、今回相談させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

━━ 解説委員笠原より質問
これは中古で購入したものか?
@「床下に束がない」とは宙に浮いていたのか? 「プラスチックの束と束石を設置したが、コンクリートの基礎部分と接着していない。束と束石も接着していない。」のコンクリートの基礎部分とは何か?いまだに宙ブラリンなのか。
A 矩計図では問題ないように思われるが?
B これは部分的なものなのか?フーチンなのか捨てコンなのか?
CD施工不良と思われる。
E精神的な抵抗はあるかと思うが技術的には問題なしと考える。 止水栓は「間違えて」配管してしまったために止水してあると思うが? (プラグ止のことだと判断しました。)
F小屋伏図で判断する限り、はねだしのベランダ部分の架構が少し変。ヌレエンの上部が下がっているのでは?
G理由不明。


━━ 相談者回答
まず、中古で購入したものかどうかというお話ですが、この住宅は新築で購入したものです。重要事項説明書という書類の中に「新築物件」と明記されております。ただし、図面にあった風呂場ので窓が実際はないことは承知の上で購入しました。現況有姿については、業者側が現況有姿だと主張する根拠に 重要事項説明書の2枚目の5「法第35条第1項第5号 に掲げる事項」の項目が、業者側が完成物件を売る時にはいつもこうしているという理由で 「完成物件につき現況有姿の通りです」 にチェックされているという点をあげているということです。公式書類に現況有姿と書かれていることから、私どもも新築でありながら最近無料相談の弁護士に指摘されるまで現況有姿だと思いこんでいました。

その他の質問についてですが、
@束はコンクリートについているので、宙には浮いていません。コンクリートの基礎部分というのは間違いで、床下にコンクリートが打ってあるのでそのことです。
Aこの矩計図は、実際の建物とは違うものです。
Bこの図では布基礎ですが、より強度の強いベタ基礎に変更したのでそれは捨てコンだと業者側は言っております。しかし、 栗石はないし、フーチンの高さは15p、立ち上がりは40p弱しかなく、地面に潜ってしまっています。ベタ基礎とは違うと思っています。
E止水栓の水栓は動かないのでわからないが、その部分を通って水道管が伸びて台所や風呂に給水されているので変えて欲しいと思っています。
Fベランダについては、私たちは通常のベランダだと思っていた のですが、業者の説明によると「鉄板の屋根の上に鉄の棒を窓とベランダ側との間に渡し、プラスチック板が止められている形」なのだそうです。防水についても詳しい説明は聞いていません。プラスチック板は素人にはとれにくく組まれていて、取ることはできません。普通のベランダにして欲しいと思うのですが、上のプラスチック板の交換しか応じてもらっていません。また、ベランダの手すり下部に穴があいている箇所があるのですが、 それについては問題ないと言われています。質問への回答は以上です。あと、こちらから質問したいことがいくつかあります。

・Fの >ヌレエンの上部が下がっているのでは? のところで 言われている濡れ縁とはどの部分のことでしょうか?
・Eの「プラグ止め」とは何のことでしょうか? 
・我が家には伏図が2枚あります。粕壁1棟と書いてある方が先に渡されたもの、米松と書いてある方が業者が天井裏を覗いた後にこちらが本物だと言って持ってきたものです。
4畳半の窓の隙間について、業者側に「米松の伏図の右から6〜8本目にかけて鉄骨を入れると梁のゆがみが直り、隙間が直る」と言われています。ただし、隙間は程度の差こそあれ2階のはきだし窓全てにあります。それらが直るか、悪化しないかと不安があるのですが、大丈夫なものでしょうか。
・今の床下を調べたところ、鉄筋が入っていたのですが、南北方向はまっすぐだったのですが、一部東西方向の鉄筋が南北とは直角にならずに斜めに入っていました。これは一般的なのでしょうか?強度等に問題はないのでしょうか?以上、よろしくお願いします。



事務局補足:基礎フーチングの状態ほとんど見当たらない。砕石も無い模様。


事務局補足:床下束材補強状態樹脂既製品束と束石。奥が既設束材と思われる。


事務局補足:1階床下断熱材の様子。


事務局補足:屋根裏配線の様子


事務局補足:基礎配管貫通部。砕って穴をあけた様子。
 yorozuの感想
アドバイザー 
笠原 歩 最初に整理いたしますが、今回の相談は「図面と相違があることに納得がいかない」または「現在の状態に不都合がある」ということどちらが主なのでしょう。当然、どちらも半々とは思われますが前者と後者に分けて回答いたします。

まず図面の件ですが、図面は無いのと同じです。矩計図は違う、伏図はあとから本物を持ってくる、ではお話しになりません。(私は本物とは呼びません。現況図(あとから現場を見て作成するもの)と判断します。)ですから、基礎(床ではありません)、水道管の取り回しについては現状で不具合が出ていなければ業者に何らかの要求をすることは難しいと思います。

後者の、不都合について(雨水が流入、サッシが歪んでいる)ですが、これは是正を求めるべきだと思います。ただし、是正工事というのは取り合い(既存部分との接合部)が重要ですので、鉄骨の梁であろうと木の梁であろうと、きちんと施工がされなければ意味がありません。文面からはその点についての判断は出来ません。また是正工事については(施工不良の原因である)業者側が案を作成するのが普通です。雨水の流入を防いだり、サッシの歪みをとる方法は業者側で考えた後、建築主が承認してから、施工する。という流れになります。

ただし、「普通のベランダ」に代えるのは防水上の問題からお薦めいたしません。(ベランダを下屋(げや:1階の屋根)の上に乗せる方法は特殊ではありません。)
基礎の鉄筋は通常直交しています。基礎の強度は鉄筋の太さ、間隔等により決まります。文面からだけでは判断しかねます。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 先ずは先方に現況の図面を求めてください。新築であるのなら必ずある筈です。図面を元に造ったのでしょうから。
現況と違う図面を送って戴いても判断ができません。

基礎も底版方式に変えたのならその図面がある筈です。
束石が無いことから樹脂製束を追加したようですが、樹脂なら束石はいらないのですが。直接底版コンクリートに固定してもらいたいものですが、今としては束樹脂と束石、束石と底版コンクリートを接着させてもらってください。

屋根裏で光が漏れているとの事ですが、通常換気口を設けるので光は漏れるもの特に問題があるとは思えません。

外壁に関しては下地処理(亀裂等の補修)を入念に行い弾性吹付けタイルを吹いておけば問題はないと思います。

基礎の配管を現場では貫通させたようですが、本来は貫通スリーブを予め入れておきますが、特にこの廻りに亀裂等が発生してないのでしたら、様子をみましょう。(当然、良くない事ですが)

断熱材は一部は取替えてもらうよう交渉してください。

尚、ケーブルの接続部はアウトレット・ジョイントボックス使うようにお伝えください。

新築で入居は1年後で現在築10年以下ですね。何故、今いろいろと思い始めたのでしょうか?住んで、この家がいやなのですね?
相談者お礼状 
 相談者お礼状
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107