相談概要 | [氏名] T.Hさん [相談内容] 分譲マンションの瑕疵 [住所] 大阪府高槻市 [当該建設地住所] 同上 [職業] 会社員 [年齢] 38 [構造] わからない [築何年ですか?] 築 10年以内 [何階建て] 14 [様態] 分譲マンション [生産者] 中堅建設会社 [設計者を選んだのは] − [監理者を選んだのは] − [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] - [確認申請の為の委任しましたか?] - [確認申請書お持ちですか?] - [検査済書は有りますか?] − [お手持ちの図面は何枚?] − [打ち合わせ何回] − [床面積] − [マンションの総戸数] 400戸以下 |
相談内容 | 大阪府高槻市にありますEの管理組合のTと申します。 今回は当マンションでこの半年で3件の漏水事故があり、その原因解明の件でご相談させて下さい。簡単に事故の内容を報告させていただきます。 マンション:14階建て、住戸数307、1990年完成 給水方式:1階貯水タンクから、ポンプで圧送(水圧5Kg) 漏水事故1 99年5月発生、1階給水本管の床スラブコンクリート埋め込み部分(共有部分:パイプスペース内)より漏水(配管割れ) 材質:120mm径硬質塩化ビニル管(その他の部分は鋼管を使用し、床スラブ貫通部分のみが塩化ビニル管になっており、上下の給水本管の位置がずれているために約35mmほど偏芯させてある。) 施工会社の説明:偏芯させてあることで、劣化が早いことも一因であるが、95年の震災の影響があったのでは。材料的にも問題はない。(震災のとき当マンション地域は震度5ありました。) 漏水事故2 99年7月発生、1階給水本管のコンクリート埋め込み部分より漏水; 別の個所、上記漏水事故1と同様の原因? 漏水事故3 99年11月発生、1階住戸内専有部分床下から漏水(約1、2ヶ月前からの模様) 材質:45mm塩ビ給水管エルボー部分 施工会社の説明:各戸に設置してある減圧弁が作動せず、原水圧(5kg)がそのまま専有部分にかかっていたので漏れが生じたのでは? 減圧弁は寿命があり10年で交換する必要がある。最近このマンションでウオターハンマー現象の苦情が多いのも、減圧弁が劣化しているからだ。 管理組合の対策 給水本管が偏芯してある部分を改修(全13本の給水管のうち5本)予定 減圧弁は全戸交換予定 質問は、 ・給水本管として1階床スラブ貫通部分に硬質塩ビパイプを使用しても良いのか? ・偏芯(曲げて施工)させたことが手抜き工事ではないのか?(上下のパイプをまっすぐつなぐのが本当ではないのか?) ・各戸にある減圧弁交換だけで専有部分の漏水は防げるのか? ・費用は負担のは全部管理組合がもつのか? ・漏水事故3の場合の修理費、事故損害はすべて個人負担になるのか?(専有部分) ・施工会社の責任は全くないのか? 等々です。 あまりにも、漏水事故が多発しており、住人の間でも施工不良であるとの意見が多くなっております。 ただ、震災があったためにそれが断言できないのが残念です。 以上、長々となりましたが、私も専門外なのでご回答の程宜しくお願いいたします。 記憶で書いておりますので若干パイプ径などの数値は目安としてご考慮ください。 以上 |
yorozuの感想 | ー |
アドバイザー | |
小谷野 和広 | 技術的な部分だけですが回答します。 1.給水管が塩ビ管というのはよほどの工事予算不足でない限りやらないと思います。手抜き工事では無いのでそのあたりは御察し下さい。 2.給水管が偏芯しているとのことですが、施工時に配管の立ち上がりの位置を間違えて施工したのが原因ではないかと思います。35MMの偏芯を塩ビ管でつなぐのは無理があるように思います、偏芯部分はフレキシブル(変位吸収)継手で施工すべきです。 3.1階の給水管貫通部分がと、ありますが1階の下に地階が無ければ法的には問題ありません。(ただし最近では消防署の見解で、地下の床下ピットも防火区画といわれることが時々あります) 4.減圧弁の設定圧力は、住戸側で通常2kg/cm2です、これ以上の圧力になると間違い無くウォーターハンマーが発生します。現状でもウォーターハンマーが発生しているとのことですが、住戸内が塩ビ管で給水を行っているために発生しているものと思われます。 減圧弁ではウォーターハンマーは押さえられません。水撃防止装置を減圧弁以降の住戸側に設置する必要があります。(場所はシングルレバーの給水栓の付け根の部分) 5.減圧弁が壊れた?のでしょうか。減圧弁の中にストレーナー(すなこし)が有りそれが詰まっているのではないでしょうか? メーカーの銘版(シール)が張ってあるはずですので、問い合わせをされてはいかがでしょうか。 6.工事用の設計図面が有れば、一度現状の配管材質を見てください、塩ビ管の仕様が明記されていれば追及はできませんが、鋼管で施工する様に書いてあれば、販売条件と異なっている可能性があります。 7.給水管補修後に、水圧検査を必ずしてください。7.5kg/cm2を60分で圧力が低下しなければ合格です。 |
コメンテーター | |
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事務局から | |
荻原 幸雄 | 小谷野の解説の通り管理組合に保管されている設計図書と現実の仕様が同じかどうかが鍵です。 同じならば難しいでしょう。マンション購入にはほとんどの方が自分の住戸しか気にしませんが、構造や設備の大切さもご認識ください。これらは住み始めてから問題が起こります。 設備の仕様の場合は大体10年以降に問題が出てきますが、その時は通常保証期間が過ぎているのが実情です。 大規模修繕積立金もここまで含んでいたらすぐに問題になりますので、起きないことを想定して金額を決めていますが、後々設備での配管更新時には取替えが不可能だったりして、管理組合がとんでもない支払いをする羽目になり各戸の一時金の負担が数十万から数百万を徴収することになります。 管理組合が発足したら、直ちに設計図書と現実の建物との違いが有るか確認してください(建築士に依頼するのもいいでしょう) 図面を見て戴きたいのですが、45mmだと他の住戸にも供給されていませんか? されていれば共用部分で、メーターから住戸内が専有部分です。ご確認ください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | お世話になります。先日は早速のご回答ありがとうございます。 給水本管の設計図面の材質はやはり塩ビ管となっておりました。 設計図は、線図になっており、偏芯の件は不明でした。 ただし、施工中に明らかに上下の給水管の位置がずれたために無理やり偏芯されています。これは手抜きにはならないのでしょうか。 そのような工法は一般的に行われても良いのでしょうか?(検査に合格するのでしょうか?) 漏水3の件は、もう少し細い専有部分の給水管です。問題は減圧弁が全く機能しておらず、6kgの圧(相談時は5kgでしたが実際は6kg)が専有部分の塩ビ管にかかっていたと言うことです。 試験の結果2kgでは漏水はしませんが、3kg以上になった場合、接着部分のあちこちから漏水が始まりました。 減圧弁(弁慶)は、共有部分であり、管理会社によれば、16年目に交換する予定でありました。いずれにしろ、共有部分の減圧弁の機能低下により、専有部分の漏水があったわけですから、管理組合が漏水の修繕補償をするべきでしょうか?(実際はそのつもりです。) 減圧弁の耐久性にも問題はないのでしょうか?管理会社が減圧弁に関しての交換時期の目測を誤ったとは言いきれないのでしょうか? 全く素人で申し訳ありませんが、追加のご返答宜しくお願いいたします。 --------- 小谷野 和広 手抜きではなく、施工ミスです。偏芯には変位吸収型の継ぎ手を使わないといけません。 民間ベースでは、水漏れがなければ、「合格」とされることが有ります。 3kg以上の圧力で水漏れがあるということは、水圧検査をしていないことが考えられます。7.5kgでなくても、使用圧力の2倍の4kgは水圧検査の最低圧力です。 これは明らかに「手抜き工事による施工ミス」です。時間がたっても、しっかり接着されていれば水漏れは起きません。まして、震災の影響で水漏れなんていうことはまったく考えられません。 建築当時の施工状況の資料(施工写真、水圧検査データ等)が残っていればもっとはっきりしたことが言えますが、今は上記以外には解答できません。 管理上、メーターボックス内の縦管以降でメーターより先は専用部分と捕らえるのが一般的ですが、減圧弁についてもメーターと同等で「共用物」としてかまわないと思います。 減圧弁以降に直圧が掛ったことによる水漏れですが、施工ミスを考えると、管理組合だけの話しではないような気もします。施工会社に対して、何等かの方策を打診した方が良いと思います。 減圧弁の耐久性は問題ないと思います。ただし、疑問がある場合にはメーカー側に調査を依頼した方が良いと思います。 |
その後 |
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