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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0253 天井の大きなクラック

 相談概要 [氏名] I.Tさん
[住所] 兵庫県西宮市
[職業] 会社員
[年齢] 38才
[構造] 鉄筋鉄骨コンクリート造
[築年数] 築 2年以内
[階数] 12
[様態] 分譲マンション
[生産者] 建設会社
 相談内容 平成10年3月完成の新築マンションに平成11年5月29日に転居しましたが、転居当日に天井の大きなクラックを発見しその後各居室の天井に細かいクラックを発見しました。

即座に管理人に連絡し、施工業者のFに来てもらうよう手配してもらいました。約2週間後に現場を見て補修が必要だということで業者を手配してもらい7月中旬に補修に入ったのですが、原因の究明もおこなわず素人目にも場当たり的ないいかげんな補修だったので不安を感じていました。その時の補修はクラックのある部分のクロスをはがして樹脂をクラックに注入するだけで、その後約2ヶ月間補修部分がむき出しのまま放置されていました。

その後9月20日過ぎの台風で和室の天井から雨漏りが出てきて基礎的な構造上の欠陥があるのではないかと不安になり、施工業者ではなく販売会社のT不動産に連絡を入れすぐに来てもらい、今後の対応について話し合いを進めているところです。T不動産は物件を検査した上で完全に修復します、検査補修に関わる経費は一切当社で負担します、と言っております。

そこで
@業者と交渉するに当たっての留意点
A どのようなケースの場合物件の買い戻しを販売会社にしてもらえるのか
Bクラック等を完全に修復することは可能なのか
C 修復するだけで強度等に問題は残らないのかどうか
D信頼のおける非破壊検査機関に調査を依頼したいのですが(調査会社は当方で決定しても良いと確認を取っております。ただし、T不動産の確認が必要。)、そちらでお願いをしたいのですが。
E検査内容について詳しく教えてください。まとまりの無い文章で申し訳ありません。

写真・その他資料等は別途郵送させていただきます。何卒よろしくお願い申し上げます。
 yorozuの感想
アドバイザー 
久保田 英之 Iさん、はじめまして。解説者の久保田です。

築2年とまだ新しい建物なのに、トラブル続きで不安も大きい事と思います。
分譲マンションは、建売り住宅と一緒で建主不在の内に工事が進みやすく、施工の内容や方法・チェックがあいまいになりやすい傾向があります。よって、引き渡し後の施工者、設計者の対応もしかりです。Iさんも、そこに不満を感じていることでしょう。相談の文面からしか内容把握が出来なかったので御了承下さい。これから業者と交渉する為に下記の事に注意したら如何でしょうか。

1.”根本的問題の解明にお互いが合意する事”
構造的欠陥なのか、はたまた偶然に重なったトラブルなのか見極める作業が必要ですし、お互いが問題究明に真剣でなければなりません。

2.”設計図・現場写真・建築確認申請書類等を入手して下さい”
建物を建てる時には建築確認申請書を行政に提出して審査を受けなければなりません。そこに、設計者・工事監理者の名前が記入されています。その方々と実際の工事現場責任者に現場調査に立ち会ってもらったら如何でしょう。現場では定期的に工事写真を撮っているはずです。それも確認して下さい。

3.”売買契約書や設計図の中に品質保証明示の内容があれば確認して下さい”
現在のトラブルに関しては、一般の契約内容であれば当然無料で手直しできるものと思います。検査・補修に関わる費用は不動産会社の負担と言うよりは施工会社の負担と言った方が正解かもしれませんが、基本的には表面をきれいにすることは(防水やクロスの補修等)いくらでもできますので、何が原因で起きたのかを探る事が大切です。

4.”文章や写真による記録”
現状や補修状況の写真を順次撮影して下さい。そして、打ち合わせ議事録を残しておくとか経過を解るようにしておいて下さい。

5.”第3者の専門家に立ち会ってもらう”
Iさんのマンションに建築関係者がいれば、今後管理組合の助言者として積極的に入ってもらう事はできないでしょうか?

6.”検査の方法をどうとるべきなのか”
現場を見ていないとはっきりした事はいえないと思いますが、文面で見る限りシュミットハンマー試験と超音波探傷試験を行ったらどうでしょう。検査目的や方法については後の方に書き添えておきます。物件の買い戻しの件ですが、今までに私が聞いた経験がないのでお答えできません。
まあ〜ここまでいくケースであれば、裁判により損害賠償金という形で支払う事はあるとは思いますが。

クラックについてですが、構造上重大な欠陥でなければ文面通り樹脂注入してサンダー掛けをする様な方法が多いかも知れません。(但し、施工会社のやり方次第で丁寧さが違うと思いますが・・・・・) コンクリートは水とセメントが反応しあい硬化していきます。クラックが入って良いことはありませんが、起こらない保証もありません。その為に、現場サイドでは天候・気温・湿度・鉄筋の配置・混和剤・水セメント比等、大変気を使っているのです。

ですので、クラックの大きさや入り方など総合的に判断しないと、すぐには欠陥住宅とは言い切れません。私の私見ですが、クラックが目視で1mm以上の幅で入っていたり、コンクリートが膨らんできたものは注意が必要かと思います。いずれにしても専門家の調査が必要です。 調査の方法ですが、破壊検査と非破壊検査とがあります。破壊検査はコンクリート部分のコア抜きをして検査場に持ち込みコンクリートの圧縮試験を行うものです。それに対してIさんが書かれている非破壊検査は、現状の建物に対して器具・機材を用いて検査するもので、この2種類の内容の事だと思います。

1.”シュミットハンマー試験” 
固まったコンクリートの強さを、構築物を破壊しないで計る機械。中に装着された重錘をばねの力によってコンクリート面に打当て重錘の跳ね返りの距離を読み取ってコンクリートの強度を推定するものです。

2”超音波探傷試験”
一般には鉄骨の溶接部分を検査する時に用いるものですが、コンクリートのクラックの深さ等を調査するときにも使われます。Iさんの件ではシュミットハンマー試験と超音波探傷試験によりクラックの入り方や分布図を描いて、原因を予測する必要があります。調査機関としては日本品質保証機構等があります。

実際、調査される時には建築の専門家(構造家)にも加わってもらって下さい。築年数やトラブルの内容から考えると、早急の調査が望まれます。
確かなる原因究明を心からお祈り致します。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 コンクリートのクラックが写真の郵送が届きませんでしたのでどの程度かわかりません。相談者の住戸だけに見られる現象でしょうか?他の住戸にもでていますでしょうか?いずれにしても管理組合で対応すべきことですが、「よろず」にもマンションのこのような問題の相談が結構きますが、残念ながら管理組合の消極的姿勢が目につきます。

もし、構造的に大きな欠陥が存在する場合、それがある住戸の範囲に現れる部分的現象であっても、その棟全体に影響する問題である可能性があると言えます。その旨を管理組合に伝えてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早々に回答を送っていただきありがとうございます大変参考になりました。不安感も少し軽減されました。今後の対処についてもアドバイスいただいたことを参考にしていきたいと思います。

写真等を郵送しようと思ったのですが、不鮮明ですのでまずはご紹介いただいた調査機関に調査を依頼するように考えております。調査結果を踏まえた上でまた何かとご相談させていただくと思いますので、何卒今後ともよろしくお願い申し上げます。
 その後  
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