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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No.0227 床上浸水を起こしました

 相談概要 [氏名] K.Hさん
[住所] 東京都大田区
[職業] 主婦
[年齢] 34才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 築 2年以内
[階数] 2
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地元ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書存在の有無] 無い。
[検査済書は有りますか?] 無い。
[設計図面枚数] 3枚
[着工までの打合せ回数] -
 相談内容 昨年6月に土地付一戸建てを購入しました。同年8月に床上浸水を起こしました。本年8月に2回目の床上浸水を起こしました。(昨年時の雨量50mm/h:本年60mm/h)

売主説明 昨年は10年に1回程度の天災の為売主側には責任がない。
 本年も天災であり責任はない
 一般的な調査は行っている
 通常の平地に建てる同じ建て方である
 雨水が溜まりやすい事についての調査はしていない → 調査範囲外である

仲介業者 重要事項説明の範囲外である との事です。

こちらで調査した結果、過去10年に届け出のあった床上浸水は5回を数えます。(建築地付近)
床下・道路浸水はそれ以上です。土地的にすり鉢上の底面に位置し、水が四方八方から集まってきます。このように土地に特異性がある場合、設計時考慮しなかったのは業者に瑕疵があるのではないでしょうか?

また、建築基準法7条の完了届及び安全確認を受けていない物を販売した事についてはどうなんでしょうか?この7条を行わない場合は使用してはいけない、となっています。また、建築基準法17条の盛り土をしなければならない、については該当するのでしょうか?この土地は前は古い家があり、それを取り壊し今の家を4棟建てたようですので、開発の土地ではありません。今後アスファルトが増え雨水の量がどんどん増えて来ると思います。

毎年床上浸水を起こすと土台の腐食等(現に1階フローリングや柱など変色・変形してきています。)心配です。購入時の契約の目的を達していないと判断しているのですがどうでしょうか?

弁護士の先生に相談したところ
・瑕疵はあると思う(建築基準法17条から)
・裁判でなければ争えないであろう
・事例がないので難しい裁判になるでしょう
・専門の建築家の意見が大事でしょう

建築家の意見
・家についての欠陥等の鑑定はできるが、今回のような土地の特異性と建築方法の鑑定はできない
・専門の人に聞いてほしい と言われました。

現在裁判を起こす費用もありません。どのようにすれば良いでしょうか?
 yorozuの感想
アドバイザー 
松山 達也 最初に申し上げますが、私は1建築家にすぎず、欠陥住宅の調査を専門に行っている者ではありません。以下の解説は、1建築家の私見としてお読み下さい。

個人的には、業者の責任を追求するのは難しいと思います。 建築基準法第17条(特定行政庁等に対する監督責任)の法的主旨は、建築確認を行う市町村の建築主事を行政機関の上位組織が監督する責任がある、ということをうたったものです。弁護士の方がおっしゃる基準法17条による「瑕疵」は、「行政側が必要な監督を怠った。」と言いたいのだと思います。そうすると、相談者の意図と多少ズレがあるのではないでしょうか。

また、建築基準法を根拠として、「浸水対策を施す必要がある」とする法令はありません。そのような天災対策は、個別の建築物で対応するのではなく、もっと巨視的な立場に立った対策が必要であると考えます。御指摘の基準法17条を根拠として浸水対策の盛り土を行政側が指導するようなことは、あり得ません。(そのようなことを許したら、土地の形状を簡単に変更できるので、建築物の高さの規制が無意味になってしまいます。行政側はむしろ、土地の造成を規制する立場にあります。また、盛り土は非常にもろく、技術的に考えても良い対策だとは思いません。)完了届については、確かに取得義務があります。

ただ、既に相談者が建築物を取得し生活している以上、取得は困難だと思います。(基準法7条の完了届は、住宅規模では取得率が低く、問題視されている法令です。)そして、浸水問題とこの完了届未収得の問題は別の問題ですので、完了届未収得を根拠に不法行為があったというのも難しいと思います。

以上より、この浸水問題について業者の責任を追求するのは難しいと考えます。お手持ちの図面が3枚で設計者との打合せもまったくないという、典型的な設計・監理者不在の建築物だと思います。ですが、他の相談と違い、我々建築家が最初から関わっていたとしてもこのような浸水問題を解決できたかどうかは非常に疑問です。残念ですが、購入してしまった以上、事後対策を考えるしかないのではないでしょうか。

消極的な対策ですが、保険等に加入し、改修費用の助成制度などが区役所にないか確認するのがいいと思います。法律全般についての詳しい相談は弁護士に御依頼下さい。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 ご心中お察しします。
重要事項の説明には排水処理施設の整備状況の説明も有りますから、この中に過去の排水能力等の問題は入ることと思いますし、地元の不動屋さんであれば、当然認識していい筈ですが。

設計に瑕疵があるような気がします。と言っても監理者は未定で工事が終わっているでしょうから多分、代願の建築士に依頼しているので碌に敷地も見ず測量図だけで設計してしまったのでしょう。残念な話です。

第7条については当然違反ですが、今回の件とは直接関係ないように思えます。
仰せの趣旨は第17条ではなく第19条の敷地の衛生及び安全ですが、この条文に今回の件が抵触している可能性があります。いずれにしても裁判でその衛生上又は安全上必要な処置を講ずる範囲であるか否かを仰ぐしか最終的な方法は無いと思います。

改修方法としましてはジャッキアップで建物を持上げて基礎をかさ上げするしか方法は無いでしょう。このままの状態では土台や束が腐るでしょうし、床も波打つでしょう。

内容証明で再度、数回依頼し、それでも応じない場合は断固裁判に突き進むべきだと考えます。費用はかかるでしょうが、ここは決心するしかないのではないでしょうか。

確かに鑑定はかなり難しいところですが、他にも4棟あるとのことですので団結して費用を負担しあい、この件に立ち向かってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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