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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No.0222 費用をかけて改修するに値するものなのか?

 相談概要 [氏名] H.Kさん
[住所] 東京都足立区
[職業] 会社員
[年齢] 37才
[構造] 鉄骨造
[築年数] 築 20年以内
[階数] 3
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者] 専業の建築士
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者] 知らない
[監理者を選んだのは] 会った事がない
[確認申請書存在の有無] 無い。
[検査済書は有りますか?] 無い。
[設計図面枚数] 20枚以下
[着工までの打合せ回数] 10回以下
 相談内容 昭和62年2月(築12年半)に親が建てた家について相談します。3階建て・重量鉄骨造(壁はへーベル板使用)、1階部分は空洞で倉庫(車庫兼物置)。
 床面積1F42.64u、2F43.88u、3F45.17u、設計者は、父の知人(この人も設計士とのこと)の紹介で、その図面を地元の工務店に渡して建築を依頼。建築確認申請書等は見あたりませんが、建築時住宅金融公庫*や防火地域内で、区の補助金を利用しており、現地調査もなされたようです。

結婚し2世帯となり、家族も増えたので1階部分を居住スペースにする希望がありますが、その前に現在の住宅の状態を専門家の方に客観的に判断して頂きたいと考えています。

・雨の翌日、1階内壁(下方)に水たまりができることがある。
・雨の翌日、1階の外にでている柱の足元(コンクリート)が直径10〜30センチの大きさで濡れている。
・トラックなどが通ると振動がものすごい。地盤の強さに見合った基礎がなされているのか?
・1階・2階・3階の殆どの柱・およそ1/3くらいずつの位置に、ひび割れを発見した。
・壁の内側に結露が多く、劣化が心配。
・天窓の結露がひどく、壁の劣化が心配。 ・・・などにより、建物の「余命」がどれくらいなのか?

また、費用をかけて改修するに値するものなのか、まったく分かりません。 そのため、建築業者と利害関係のない第3者に見てもらいアドバイスをもらいたいのです。そのような調査は、どこに依頼すれば良いのでしょうか?工事は親世帯との兼ね合いもあり、建築業者の工務店に依頼することになりそうです。
この事についても何かアドバイスが頂けると幸いです。

*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
 yorozuの感想
アドバイザー 
松山 達也 建物の寿命は、どんな(例え欠陥があるような)建物でも相当長いものです.どのような専門家でも(人間と同じで)建物の「余命」を診断することは不可能です。ですが、純粋な構造体自体の寿命は、お孫さんが生まれるくらいまでは優にもつと思われます。

さて、心配されている項目は、ALC版のシール切れによる漏水、もしくは御指摘のように結露が原因による問題だと思います。また、一般的に鉄骨造は他の構造に比べ、振動は大きいものです。振動の程度は分かりませんが、おそらく工事の欠陥によるものではないと思います。一番気になるのは、柱に発見されたヒビ割れです。鉄骨柱に目視によってヒビ割れが分かるようであれば建物が倒壊する危険があります。しかし、近年大きな地震もないことと鉄骨柱にそう簡単にヒビ割れが生じるものではありませんので、あまり心配はないと思われます。鉄骨柱の周囲の「仕上げ材」に「ヒビ割れ」が生じているのではないですか?

さて、このような場合の調査の依頼先についてですが、「スジ」から言ったら当然その建物を設計した本人が一番いいと思います。(お父様の知人の紹介の建築士には、適切な設計・監理をしなかったという意味で相当の責任があると思います。)工務店が別の建築士に依頼していたらその方がいいと思います。(決して、工務店ではありません。念の為。)文面から察する限りでは、(失礼ながら)あまり上等な建物だとは思いませんので、全ての不備を改善するには、相当の出費を覚悟する必要があると思います。

当ホームページを御覧いただければ、そのような建物が完成してしまった理由は容易に想像できると思いますが、原因は、「責任をもって建物を設計・監理した設計者が不在だった」ためです。まず、「知合いの工務店なら大丈夫だろう。」という根拠のない甘い幻想を捨てて下さい。そして、建築物について技術的コメントができるのは、建築士だけということを御理解下さい。最終的にその工務店に依頼するにしても、設計・現場監理者(=建築家)は消費者の責任でつけるべきだと思います。
 中川 雅実 こんにちは、Fさん。
昭和62年新築と言うことですが、リフォームは何回行いましたか?
実際に建物を見せていただき、判断した方が良いと考えます。
確認申請書が見あたら無いようですが、設計図書はありますか?
関係書類をそろえ、現地調査をなさって下さい。
よろずでも調査を行っておりますので、お申し込み下さい。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 どちらにしても一部仕上げ等を剥がし、どの程度構造体が痛んでいるかを調べる必要があります。しかし、振動が補強等で止まるかは断言できません。構造計算書がないのなら実測して材を確認する必要も出てきます。そして再度計算してみる必要があります。

もし振動を除いて問題が無いとしたら、外装補修や内装のやり替えにした方がコストは安いです。その外の問題は特に支障は無いと思います(どちらにしても対策は考えるのですが)。先ずは、実態の調査からはじめ診断し、処置する方法を考えるという筋道になると思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 先日は、質問に対する回答を頂き、ありがとうございました。
今回、専門家の方にご意見を伺う貴重な機会に恵まれ大変助かっております。
 その後  
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