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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0221 サッシの縁の結露

 相談概要 [氏名] H.Yさん
[住所] 山形県飽海郡
[職業] 団体職員
[年齢] 36才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 築 2年以内
[階数] 2
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者] 専業の建築士
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者] 知らない
[監理者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[確認申請書存在の有無] 解らない。
[検査済書は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面枚数] 2枚
[着工までの打合せ回数] 10回以下
 相談内容 初めまして、これで良いのか不安になり、相談いたします。相談は「サッシの縁の結露」についてです。

1998年3月に着工し1998年7月に入居いたしました。新築、一戸建て、木造在来工法で構造用合板を張って補強、ガラスウールによる断熱材と気密シートによる気密断熱工事、通気工法集中排気方式(負圧換気)、暖房は1Fに置いてあるFF式石油温風機1台、サッシは新日軽のアルプラ70、もっと詳しく書きたいのですが、何を書いたら良いかわからないので、、、

それに気づいたのは、1998年10月の晴れた朝でした放射冷却現象で外気はかなり寒かった様です。で、いつものようにパノラマ出窓のカーテンを開けるとサッシの下側の縁が結露していました。まだ、この時は暖房器具を購入していませんでしたので一切、暖房しておりません。建築会社に聞いてみたら「ダウン***」かな?窓ガラスで冷えた空気がガラス沿いに降りてきて縁で暖かい空気とぶつかり結露する場合があります、少し様子を見よう、と説明されました。その後も寒い朝発生しました。

12月頃から3月まではほぼ全部の窓で毎日発生しました。(和室の2間は中に障子戸があり結露が発生しません)1999年3月ようやくサッシ会社の方々が来て、現状を見て「こんな事は初めてだ」とか言って帰っていきました。7月に現地のサッシ会社の方が来て、対策として引き違い窓の所には内側にサッシ戸を入れて、滑り出し窓の縁には厚さ3ミリのプラスチックの板をかぶせてみたいと言ってきました。

もう一つ戸が入るなんて野暮ったいし、枠も建材に面を合わせて綺麗になっているのに、でこぼこになるなんてイヤでしたが、それが、建物を傷めないで出来る一番いい方法と言われ、取り敢えずそれでお願いしました。メーカーの都合がついた時連絡をもらう予定ですが現在、まだ連絡待ちです

書いてみると、もう早くも一年が経とうとしているのんびり屋です、でも本当にこれで解決するのか不安だし、根本的に何が悪いのかハッキリしないのもイヤな気持ちです。どうか、専門家のお話を聞かせて下さい。


掃出し部結露


窓上枠結露
 yorozuの感想
アドバイザー 
癸生川 佳司  ようこそ「建築よろず相談所」へいらっしゃいました。ご納得いただけるかは分かりませんが解説いたします。

 まず相談者の地理的位置ですが、山形県でも県北・内陸「おしんのふるさと」あたりと思います。山形県は公庫*の断熱材区分ですとV地域の北端ですが、その中でも相談者の住む町は県北内陸ですからU地域の寒さであると考えた方が良いと思われます。           

 寒冷地で高断熱高気密住宅を選定したことは賢明であったと、まず申し上げます。またサッシも公庫最低規準のペアガラス+アルミサッシではなく1ランク上の新日軽アルプラ(外アルミ内樹脂の断熱サッシ)を採用したことも良い選択です。ただサッシ枠の結露防止となると話は別です。どの程度の結露かよく分かりませんが、全樹脂サッシを使用しても同じV地域南端の栃木県、その中の南部の町でも厳寒期は毎朝うっすらと結露します。

 相談に投稿する位ですから余程の結露と仮定して解説いたします。相談者の家の断熱気密工法ですが、新在来工法といって一番建築費が安いのですが一番施工が難しいと言われています。ただサッシ取付に関してはただ一点、サッシを木枠に取り付ける時、気密パッキンを使用したかどうか、これを施工者に聞いて下さい。このパッキンを使用しないと寒気が僅かですがプラスチック側に流れ込みサッシ内側結露の主原因となります。      

上記のパッキンに問題がないとすると相談者の住まい方と、換気の問題です。結露は暖房温度が大きく影響します。高断熱高気密だからといって20度以上は身体にも良くありません。目安はセーターを着込むぐらいの暖房で押さえて欲しいのですがその点はどうですか?換気の点ですが、相談者の家は第V種(排気のみ)型の計画換気といって一番安い工法ですが、寒冷地には一番適した工法です。冬季に部屋内の水蒸気を壁体内に呼び込まないと言う最大利点があります。これも良い選択です。しかし気密の悪いところ(サッシは一番悪い)から寒気を呼び込むという欠点もあり、上記のパッキンが良くてもサッシ枠あたりは結露が起こりやすいと言うシステム上の問題点を残念ながら持っています。     

施工者が言う「コールドドラフトによるダウンブロー」と部屋内の暖気による結露は、掃出窓のような大型サッシでは起こり得ますが小型サッシでは希です。とりとめのない解説になってしまいましたが、私が結露の主原因と睨んでいるのは、相談者には申し訳ないのですが、相談者の暖房温度かなと思ってます。もし違っていれば私も大変興味ありますので、就寝前の内外温度及び早朝時の内外温度を検温し、サッシメーカーに提示するかもう一度、このよろず相談にご投稿いただければと思います。他の方にも大変参考になる相談、ありがとうございました。

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写真を拝見しましたので追加解説いたします。
かなりの結露で驚きました。サッシの枠(動かない部分)と、障子(動く部分)の両方に結露が起きていますので、原因の判断が出しにくいですね。やはり先に述べましたように就寝前と早朝時の内外温度を面倒でも検温すべきと思います。サッシ枠だけの結露であれば先述のパッキンと暖房温度の上げすぎが主原因です。障子部分の結露だけであれば暖房温度とサッシ自体の性能上の問題です。先述のように、相談者の住む地域は、公庫規準のV地域よりもU地域で考えた方が無難で同じアルプラであってもαシリーズ(発売前?)又は全樹脂サッシの方が結露は少なかったと思います。

ただ、救われるのはアルプラの額縁(サッシ枠の室内側の木目枠)は樹脂ですので水に強いこと、そして排気型換気ですから断熱壁体に水蒸気を含んだ暖気が入りにくいのが助かっています。ですから24時間換気システムは必ず作動させて下さい。

今冬、是非とも検温をお願いいたします。それからでも対策工事は遅くないと思います。その結果をまた報告してくださいね。この「よろず相談」で公表することにより、メーカー(新日軽に限らず)側でも、販売時の検討方法をもっと研究するはずです。

米国ではアルミサッシ禁止の州もあり省エネ・健康の面では行政側も、かなり力を入れて普及を進めています。


*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 追加の写真を見させて戴きました。先ず、換気システムは24時間稼動させていますでしょうか?稼動させていないと高気密の場合は湿気の逃げ場が無くなるので結露が起こりやすくなります。特に負圧換気ですとなお更かもしれません。

又、写真でのサッシ枠上部の内側に結露水が多量に着いていて今にも落ちそうな様子ですが、この部分はプラスチッックなので、この内側にいくらかの隙間(空気層)があり、外壁より冷やされた空気が架け橋となり、間接的にプラスチックの温度を下げて結露にいたったのかもしれません。又、写真の中にサッシかガラスかの温度を計測したものがありますが、これはどちらを計ったものでしょうか?その時の室温と外気温と室内湿度を計測したものを教えていただけると解説に助かります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 お礼の手紙遅れまして、申し訳ありません。ご丁寧な、相談説明、感謝いたします。

>ただサッシ取付に関してはただ一点、サッシを木枠に取り付ける時、気密パッキンを使用したかどうか、これを施工者に聞いて下さい。

建築会社に問い合わせましたところ、「この工法自体気密パッキン無しでは考えられないので、当然しっかり施行しています」との返事でした。また、「施行に問題がないので、サッシ会社の山形?仙台?支店の人が現場まで足を運んで観に来たんだよ」との事でした。

>高断熱高気密だからといって20度以上は身体にも良くありません。目安はセーターを着込むぐらいの暖房で押さえて欲しいのですがその点はどうですか?

暖房機具は前にも書きましたが、リビングのFF式石油温風機一台のみです。設定温度は22度ですが、そのFFの上1.5メート位上にある温度計は20度2F北側の部屋で18度位を示している状態で使用しています。特に初めての冬で暖房と言うことで木が狂うと悪いと思い暖房は控えめにしました。

>換気システムは24時間稼動させていますでしょうか?

はい、サンデンのCEV302Eが使用されていますが、この機械コントローラーには強、中、弱の切り替えのみでブレーカー直結ですので通常止めようが有りません。

>写真の中にサッシかガラスかの温度を計測したものがありますが、これはどちらを計ったものでしょうか?

これは、リビングにある掃き出し窓です。建築会社は引き違い窓を嫌いました(機密性の問題で)が、将来ここにウッドデッキでもと考えた私は引き違い窓を付けてしまいました。
冬の最中(と言っても11月20日です)、ふと見るとなんと結露した水が完全に氷になっていたので思わず写真を撮ったのです。つまり、レールに白い所がありますが、ここは凍っています。一番寒い2月頃は風が強い日は全体的に凍っていました。もちろん、手前側が室内です、とにかくこの引き違い窓は気密性が低いと思います。

このレールの辺に指をかざすと「すーう」空気の流れを感じますし。その隣にFF温風機が設置されているいるのですが点火時などは、この窓の近くにいるとかなり臭いが入ってきます。滑り出し窓もパッキンと窓枠との接地が弱いような気がします。

結露については最初、施工の問題も考えましたが、パノラマ出窓(既製品のボーウィンド)でも同じ様に結露状態なので施工のミスのみではないようです。
ひいては、先に書いたような引き違い窓の気密性の低さを考えますとサッシの選択が悪かったのかなと思えてなりません。

建築会社は普段はYKKの、地区で使えるサッシを使っていたようですが、展示会で室内におけるインテリア性に惚れ建築会社にお願いしたところ「性能は落ちますがLowーEガラスを使いますし良いでしょう!」と新日軽のアルプラ70を使用した次第です。現にガラス面は一切結露しません。

最近、改めて新日軽のアルプラ70のカタログを見てみますと「割増融資 一般型」「割増融資 次世代型」と書いて有ります。また、水密・気密性「快適」の基本は、外気を入れないこと。などとうたっています。
なんか腹が立ちます。形でしか選べなかった自分に対しても、、、。

確かに海からの北風が強い地区ではありますが、10月15日今季初めての結露を確認しました。
この時は無風晴れで放射冷却と寒気団で寒かったです、2F北側の窓際の温度20度、窓外温度15度、1Fリビングパノラマ出窓際の温度16度窓外の温度14度、リビングの温度計20.5度、湿度74パーセントでした。朝の7時の測定なので外気の最低温度はもっと低かったと思います。
ちなみに暖房を焚いたのはこの次の日が今季初めてでした。

取り敢えず改善工事は先に延ばしてもらいたいと建築会社に連絡しました。
建築会社からは改善してすぐに結果が解って良いと思うし、あまり先延ばしにしているとサッシ屋から逃げられると悪いと言われましたが、、、、

これから最低温度を測るのは難しいので気象庁発表の最低気温と外気、内気の温度を少し記録していきたいと思います。

最後に長文になりましたが、改めてこの様に相談にのっていただき誠に感謝いたします。
 その後  
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