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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

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No.0211 土台と柱の”ズレ”は問題ないか?

 相談概要 [氏名] Y.Tさん
[住所] 静岡県沼津市
[職業] 会社員
[年齢] 34才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 工事中
[階数] 3
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者] 兼業の建築士
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者] 兼業の建築士
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書存在の有無] -
[検査済書は有りますか?] -
[設計図面枚数] 50枚以下
[着工までの打合せ回数] 15回以下
 相談内容 はじめまして。新築中の住宅の施工内容について疑問に思うことが有りますので質問させて下さい。
建築中の家を説明する前に、今回の質問内容を簡単に述べますと、土台と柱の”ズレ”は問題ないか?ということです。

現在、46.39坪の土地に在来工法で木造3階建て52.2坪の家を建築中です。1階は21.9坪で、リビング・ダイニング・和室・キッチン・バス・脱衣室・トイレ・玄関・階段があります。2階は18.8坪で、寝室・子供部屋・予備室・納戸・トイレ・階段があります。小屋裏3階は11.5坪で、特にしきられてはいませんが、書斎+納戸にする予定です。

今回質問している所は、1階リビング入り口の柱なので、1階を詳細に説明します。建築中の家は東面に玄関が有り、南面に東側から和室・リビング・ダイニングの順で並んでいます。玄関から家に上がると左に折れて正面にリビングの入り口が有ります。和室は室内でリビングとつながっていますが、リビング入り口手前左側に短い通路を設け、リビングを通らずに行けるようになっています。今回の質問事項である土台とずれている柱はリビングの入り口の両脇に位置することになる柱(2本)+もう1本だと思われます。”ズレている”とはどういうことを言っているのかを以下に説明します。

基礎立ち上がり部分の幅(厚み?)が約150mm、その上に4寸角(約120mm)の土台が東西方向にしかれていて、そこに4寸角(約120mm)の柱が立っています。柱と土台の幅は同じであるにも関わらず、柱は南側に寄って立っているため、約30mm程宙に浮いた状態になっています。つたない文章でうまく説明できませんが、ここまで御想像頂けましたでしょうか?

上記の点について、現場の管理/監督も行っていて、工務店(設計事務所かも)の代表者でもある設計士(建築士?このあたりの区別が良く判りませんが我が家を設計してくれた方です)さんに尋ねたところ、以下のような回答が返ってきました。以下は2回にわたり質問して得た回答を私の言葉として要約したものです。

「ずれているのは通路の幅に関する公庫の基準を満たすため。当初、3.5寸の柱を使用するつもりでいたが、4寸を使用することにしたため、約30mm程ずらさないと基準の通路幅を満たすことが出来ないのでずらすことにした。この程度のズレならば地震が起きても問題ない。」ということでした。しかしこの説明はおかしいと思っています。設計もしくは基礎の施工段階でのミスではないかと考えています。柱の位置が変わるのならば基礎を打設する時点でそれに合わせて施工するのが本当ではないでしょうか?それがされていないと言う事はやはりミスではないでしょうか。それとも、良い家を造ってあげたいという親切心というか親心みたいなものが勢い余って起きたことと解釈するべきなのでしょうか?

誤解の無いようにことわっておきたいのですが、前述の設計士さんは仕事に対する姿勢はとても真面目で、何回も我が家に足を運び、辛抱強く話を聞いてくれて、私と家内が納得するまで設計し直してくれました。また、私や家内が要望しても、家を建てる上で良くないことは、はっきりと「できない」と言い、理由を説明してくれました。これらのことから私共は設計士さんを信頼してきましたし、とても良い関係を築けてきたと思っています。この事に関しては現在でもまったく変わりありません。私共は、ミスを責めるつもりはまったく有りません。

ただ、事実を知りたい。また、どうしたらミスを補い、かつ自分達の気持ちの上で最大限に満足できる家にできるかその方法を知りたいと思っています。話が逸れましたが、私共としましては柱がずれていることに関して以下のことを知りたいと思っています。

1.影響
− 当然のことながら、柱は構造体の一部であるため、ずれた状態で4寸柱として機能するのか。3.5寸柱としてなら機能するのか。
− 強い地震が来た場合にも柱としての役割を果たすか。土台からはずれ安いと言う事はないか。
− 10年、20年、30年後に家が傾いたり、床がたわんだり、ドアが閉まらなくなることはないか。
− その他、不具合が出るとしたらどんな事が考えられますか?

2.修正または補修
− 今から柱の位置または土台の位置を変え、柱が土台の真上に乗るようにすることは可能か?工事の状況は、8月22日に棟上げを終えているため、現在は柱・梁・スジカイを全て組み終わり、屋根や壁外側に構造合板もはり終わろうとしています。
− 柱と土台の位置は変えずに補修するとしたらどんな方法があるでしょうか?例えば、柱がはみだしている部分の下に束を立てるというのはどうでしょうか。
− 最善の方法はどんな方法ですか。

3.癒し
例えば、第3者の専門家の方の目から見てもたいして問題はないと言われた場合でも、今のままでは私と家内の持っている不安な気持ちは晴れず、なんとなくどこかもやもやしたものを持ち続けてしまうと思います。完成したあかつきでも、手放しで喜び合えないような気がしています。そこで、このままでも問題はないとお考えの場合には、やらなくても良いけど、ここまでやれば絶対に大丈夫という補修の方法を御教え頂きたいと思います。

今ならまだ間に合うのではないでしょうか。何か方法が有るのではないでしょうか。よろしくお願いします。




 yorozuの感想
アドバイザー 
堀住 勝雄 公庫*基準のバリアフリー仕様の通路幅を確保するため柱をずらしたと思われます(その前提で解説させていただきます)。

お説の通り、柱をずらすのであれば基礎の段階からそのようにすべきだったでしょう。4寸の柱に変更したのは何時の時点でどなたの判断から変更されたのでしょうか。3.5寸柱ならそのままで通路幅を確保できたと思いますし部分的に3.5寸柱でも強度が不足する事はなかったと思います。

柱の有効断面積を較べてみると10.5cm角(3.5寸)=110.5平方センチ、対して12cmX9cm=108平方センチとなりますが取り立てて構造強度が問題になる数値とも思えません。その点より写真では筋交いの金物が見えませんが現在は付いているのでしょうか。

1.影響

→床や建具も含めこの柱の影響でトラブルが起こることは考えにくいと思います。何らかの問題が起こっても他の原因によるでしょう。

2.修正または補修

→修正することは不可能ではありませんが、かえって悪い影響が考えられます。

3.癒し −やらなくても良いけど、ここまでやれば絶対に大丈夫という補修の方法を御教え頂きたいと思います。何か方法が有るのではないでしょうか。

→1.邪魔にならない位置に添柱(今の柱にもう1本木材を添わせる) 
2.柱の浮いている部分の下に土台を付け足す(添えてボルト止め) 
3.この柱の所の壁に構造用合板を張って耐力を上げる 
4.基礎をハツって(一部を削って)打ち増しする 

等が考えられますが4のような今の状態を壊してやりなおす事はおすすめできません。付け足す方法で考えた方が良いと思います。

「木造住宅工事共通仕様書」という冊子が確認済み証に付いています。また建築主用という同じ内容の解説付き冊子も(業者の手元に?)あるはずです、目を通してみて下さい。面倒ですが心配されているよりは精神衛生上良いのではありませんか。


*事務局注:住宅金融公庫は、2007.4.1に独立行政法人 住宅金融支援機構に移行しました。
   
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 3.5寸をわざわざ4寸に変え30mmずらした説明は力不足な感じはします。構造的に実質として3.5寸の能力はあるでしょうが、ならば4寸に変更する意味がみあたりません。推測ですが施工で間違って4寸で拾いそのまま納まるように30mmずらしたのではないでしょうか。それを監理者が追認したという感じです。追認したが故の無理ある説明なのかもしれません。

今から取替えるのは難しいので添え柱でボルトで縫い、上下に金物で緊結してください。ところで木造3階建てなのに金物が仕口に使われていないようですがこの後付けたのでしょうか?

事実が知りたいと言う冷静な態度には共感がもてます。公庫仕様の「建築主用」を是非読んでください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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