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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0209 木造のボルトが緩むのは仕方が無い事?

 相談概要 [氏名] H.Yさん
[住所] 奈良県奈良市
[職業] 会社員
[年齢] 37才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 工事中
[階数] 2
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 大工(工務店)
[設計者] 専業の建築士
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者] 知らない
[監理者を選んだのは] -
[確認申請書存在の有無] 有る。
[検査済書は有りますか?] 有る。
[設計図面枚数] -
[着工までの打合せ回数] 10回以下
 相談内容 このすばらしいホームページを運営されている方々の誠意と熱意に感銘しております。(このページをもっと早く発見すべきでした!)

6月27日に棟上げし、9月下旬に完成予定の建築条件付建売住宅について相談させて下さい。

現在、外壁(サイディング)もほとんど貼り終え、天井・内壁も一部を除いてほぼ終了という状況です。実はコスト圧縮のため、屋根裏収納部屋の床貼りを施主である私が日曜大工しております。2階の屋根裏に登って、作業しているときに、ある火打梁がぐらつくので、変だなと思って調べるとその留め具のボルトが手で簡単に回るほどゆるんでいるのです。大変心配になり、他も調べると、火打梁はすべてが、また羽子板もあるものはやはりボルトが手で回るほどゆるんでいました。

工務店の普段折衝している担当者(現場に普段いるので、おそらく監理者?)に相談すると、「上棟後2−3カ月もすると特に夏場の2階部分はよく乾燥するのでゆるんでくるのは当たり前。それに1−2年もするとどんな家でもボルトがゆるむのも当然。上棟時に組み上げるときに必要なだけで、材木が落ち着いてくると、緩んでも全く問題はない」という。「ただし、今チェックできるところは増し締めさせる」とし、2階天井裏の一部を目の前で増し締めしてもらいました。

大工さんは「雨の降る中で上棟したから(雨水で膨張した材木が乾燥して収縮し、ボルト緩む)」といいますが、それならそれで、なぜ増し締めをちゃんとやらないのかと思います。心配なのは、すでに床を貼ったり、天井を貼ったりしている1階床下部分や、1階と2階との間の部分です。おそらく同様に緩んでいる部分(というより、中途で増し締めをするのを忘れている?)があるに違いないと思います。

それで、教えて頂きたいのは、そういうボルトの極度のゆるみは、上棟後2ヶ月で普通の状態なのか、また、それを増し締めする必要がないものなのか?
上記のような場合、すでに床や天井を張った部分も開けてチェックをするよう当然要求できるものなのか?
最悪の場合、その他の部分のチェックを履行しない場合、それを理由に建物引き渡し拒否を争えるのか?

という部分です。今までにも大小さまざまな行き違いがあり(依頼したことをちゃんとやっていない)、後手後手でも結局修正してもらってましたが、今回は工事が進み終盤にさしかかっているため、非常に悩んでいます。

以上、アドバイスよろしくお願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
癸生川 佳司 私からは乾燥収縮とボルト締めの現状を解説します。

まず木材の乾燥収縮ですが含水率30%から15%へ下がる時、収縮が発生し狂いや隙間が起こります。
現代の材木は、切り出しから製材まで十分な乾燥時間がありません。市場に出回る一般材木は含水率30%以上のものが大部分です。人工乾燥材は平均15%で収縮は起きません。木材は約15%になると含水率は平衡状態になり安定します。多少雨に濡れても梅雨時でも含水率は変らなくなります。つまりそれ以上は乾燥収縮がないということです。

相談者の材木は含水率30%以上のものだと思われます。上棟時の天候は関係ありませんが夏場の小屋裏は乾燥が進みます。特に横架材(梁等の水平材)は容積もあり乾燥収縮が大きいのです。ボルト緩みの原因の一つです。乾燥材は増し締めは不要ですが坪1〜2万位、高くなります。断定は出来ませんが、一般材である程度乾燥した後、増し締めすれば大丈夫と思います。 

一部の増し締めが終わっていると言うことですが、小屋裏は暗いので判定が難しそうですね。又、ボルトが緩んでいても大丈夫という施工者の説明は理論的には正しいのですが、微妙な振動でさらに緩みます。全てのボルトが外れるとは思いませんが念の為増し締めした方が無難です。絶対に緩んではいけないというボルトも中にはあります。

施主自ら大工道具を持ち出し家造りに参加しているとのこと、欠陥住宅追放には有効的だなと思いました。肉体も精神も疲れると思いますが頑張って下さい。後手でも対応してくれるのはまだ誠意があると信じて下さい。今回の相談。我々解説員も大変勉強になりました。全てを理解しているわけではなく私のように慌てふためいて調べる始末ですが、それが品質向上に繋がるのだと思います。他の解説員にメールで相談したりで時間が掛かりました。遅れて済みませんでした。これからもどうぞこの相談所にお越し下さい。
津村 泰夫  木造の場合、金物類があとで乾燥してゆるんでくることは良くあることです。そしてゆるんだままでよいのかと聞かれたら、それはゆるんでもかまわないと考えます。木造の場合、本来はホゾで止めていますので、ホゾが抜けるほどゆるむといけませんが、約3p程度までは許容範囲と見ています。まぁめったにそこまでゆるむことはありません。ふつうは出来るだけゆるまないように努めるべきです。出来るだけ乾燥した木材を使用し、雨にかからないように養生することです。

また内装工事の前には締め直すように努める。といった注意が必要でしょう。もっとも木が乾燥しきる(痩せる)まで5年ぐらいはかかると言われており、そのころに締め直すのも不可能だと思います。でもゆるんだところで気づいたところはしめなおしておいたほうがいいでしょう。木材の加工にプレカット(工場にてホゾ加工)を使っている場合は、固めにホゾが組まれていることが多いのでそう心配はないと思います。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 乾燥材を使う場合はそれほどの緩みは起こらないと思いますが、それでも乾燥しますので多少は緩みます。しかし、建売りや建築条件付きの場合はほとんど乾燥材は使っていないのでは無いかと考えています。木材の単価も2、3割り増しになります。指定しない限り使わないでしょう。そうなると上棟後にボルトが廻るようになってしまいます。ボルトが外れ無ければ問題無いとも考えられますが、ボルトのみならず仕口も隙間が出来て緩む事でしょう。

緩むことで地震・強風時など振動が起こりやすい傾向にはあるとは思いますが、安全かどうかと聞かれれば、特にそれだけで問題が起こるとは考えにくいと思います。乾燥させるのが木材の宿命なら、なるべく小さくなるよう努力する必要があり、それには設計や施工時の監理の重要性が非常に大切になります。しかし、この点、建売りや建築条件付き建物にそれを望むべきもありません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 業者と話し合いした結果、すでに床・天井を貼った1階と2階の間の部分については、任意の箇所をめくって、施主立ち会いのもと点検することになりました。事前に大工さんに尋ねてみたところ「天井をしまいする前に一度増し締めしてある」とのこと。9月9日に点検した結果、その言葉通り、ボルトはよく締まっていました。まだ点検可能な2階の天井裏は、すべて増し締めしてもらって、本件は無事一件落着となりました。

めくって点検したところが緩んでなくて、ほっとしました。 また、皆様から頂いた解説によって、多少のボルトの緩みが即安全性に問題が出てくるものでもないということがわかり、安心しました。どうもありがとうございました。
 その後  
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