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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0186 外壁が高さ2m横4m程、剥がれ落ちる

 相談概要 [氏名] N.Tさん
[住所] 東京都町田市
[年齢] 38才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 11 年
[階数] 2階建
[様態] 建売り住宅
[施工者] ハウスメーカー
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] −
[設計図面枚数] - 枚
[着工までの打合せ回数] - 回
 相談内容 先日、自宅一階部分の外壁が途中で横に切れる形で、高さ2m横4m程そっくりひとかたまりのまま剥がれ落ちるという事が有りました。家は築11年の木造で、7年前に中古で購入しました。

落ちた部分は外壁の下地の上にモルタルを塗り煉瓦をはったもので、見ると、雨漏りにより、壁の下地やその内側、柱、窓枠などもぼろぼろに腐って、一部は下地も一緒に剥げ落ち、断熱材が露出してしまっている状況です。落ちた部分は、家の北側で、施工後、外傷を受ける可能性はほとんど無く、腐りの程度からも、施工直後かきわめてそれに近い時期に雨漏りが始まっていたのではないか想像します。従って、施工上の間違いか、少なくとも非常に施工技術が未熟であった可能性が極めて高いと思っています。

取りあえず、K務店のサービスセンターに見てもらったのですが、保証期間が切れている事、又中古で購入した為、そもそも私には何の請求権利も無いとの事で有償修理といわれています。弁護士からは、相手の過失であれば20年まで賠償請求できる(こちらで証明の必要はあるが)と聞きましたが、K工務店はそうした法律上の事実さえ認めず(あいまいな答えのまま)、保証期間一点張りの対応です。
そこで、相談ですが、

0 これは、自然劣化と思ってあきらめたほうが良い問題でしょうか?

1 賠償請求については弁護士さんの話が正しいと思って良いでしょうか?

2 又、これが正しければ、建築士の方に調査の依頼も考えているのですが、このようなケースで相手に法律的に賠償責任を認めさせるような証拠を見つけることは難しいでしょうか?

3 雨漏りの原因としては、どのような事が考えられるでしょうか? 又、考えられるそれぞれの原因について相手の過失といえる(証明できる)可能性は有るでしょうか?尚、近所の工務店のおじさんの話では、モルタルに亀裂が入って雨漏りしたのではないかとの事です。

4 他の部分への影響や修繕の場合の注意点などあれば教えて下さい。
 yorozuの感想
アドバイザー 
田所 雄太郎 >0 これは、自然劣化と思ってあきらめたほうが良い問題でしょうか?

決してそんなことはないと思います。皆そうなら11年で世の中の建物の大半はぼろぼろになってしまいますから。原因は色々考えられますが、ラスモルタルの下地のアスファルトフェルトの張り方不良で雨漏りしたか、土台上部の水切りの雨仕舞いが悪く、それに加え北側で通気も悪く下地板など木部が腐食していったのだと考えられます(外壁より基礎の外面がでているなども雨仕舞いの悪い例です。)。

屋根の雨もり、窓サッシュのシーリングから内壁を伝った可能性もありますね。 許容できる範囲としては煉瓦下地のモルタルの微少なクラックだけです。これはアスファルトフェルトがしっかりしていれば防水していますから原因には なりにくいです。

>1 賠償請求については弁護士さんの話が正しいと思って良いでしょうか?

工事請け負い契約約款によれば瑕疵担保期間は木造は1年、重大な過失の場合は5年に延長できます。
防水材については独自に設計図書で定めていることがありますが基本的に10年までです。*
20年の根拠はわかりませんが弁護士の方からよく説明を受けて下さい。

>2 又、これが正しければ、建築士の方に調査の依頼も考えているのですが、こ のようなケースで相手に法律的に賠償責任を認めさせるような証拠を見つけることは難しいでしょうか?

前述のような指摘事項を調査し、確認し、立証できればよいのですが、雨漏りは 原因を明確にすることはかなり難しいです。方法としては傷んだ部分の写真をとり、そこまでに至った原因を調べることはできます。調査で著しい施工上の不備が見つかればそれなりの対応を求めることは可能でしょう。しかし、柱脚など主要構造部に及ぶ傷みはそのままにしておくわけにはいきませんね。補強、補修を考えたほうがよいかも知れません。

3 雨漏りの原因としては、どのような事が考えられるでしょうか?又、考えられるそれぞれの原因について相手の過失といえる(証明できる) 可能性は有るでしょうか?尚、近所の工務店のおじさんの話では、モルタルに亀裂が入って雨漏りした のではないかとの事です。

既に述べましたがモルタルには亀裂は必ず大なり小なり入ります。それ以外の防水下地や雨仕舞いに原因があると思います。たとえ漏っても水の抜け道があればそうそう腐ったりしないのですが・・・

4 他の部分への影響や修繕の場合の注意点などあれば教えて下さい。

建物の骨格となる構造フレームが傷んでいるかどうかが心配です。それ以外のものは体で言うと肉や皮のようなものですから納まりを是正して改修すればすみます。原因を追求してからでないと表面の化粧だけ(外壁の煉瓦のことです)やり直しても同じ事になってしまうので注意してください。 原因はその下地の防水材か外壁をつたっていく雨の行き場の処理不良が濃厚です。


*(事務局注):解説当時はありませんでしたが、H12.4.1に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行され、「雨漏り」の瑕疵担保期間は10年間になりました。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 弁護士の言ってらっしゃる20年とは不法行為構成がなされた時には知ってから3年、行為の時より20年(民法724条)の事だと思います。これはその事に違法性があるかどうかを調査する事になります。職人の技術の未熟さだけでは問えないかもしれません。この様に監理体制の確りしてない建物は時効が切れる時期くらいで大きい問題が出てきたりします。

以前の持ち主の時は問題が出なかったのでしょうが、その後の中古で手に入れた相談者で問題が発覚したわけですね。残念な事です。運が良かった悪かったで済まされない、本質的な問題が隠されているように思います。不法行為があった場合はなかなか相手は認めないものです。以上の解説を参考にして今後の判断をしてみて下さい。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 親切なご回答有りがとうございました。今回、大手のハウスメーカーだからといって、決して安心はできないという事が良く分かりました。それにしても、安全や品質についてのモラルの低さには腹が立ちます。K工務店には職業的なプライドというものを期待しても無理なのでしょうね(他の建築士の方から、あまり良くない噂も聞きました。)。

ご回答は大変参考になりました。又、少し考えてみたいと思います。有りがとうございました。
 その後  
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