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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0185 外壁にいくつも穴を開けて見苦しくした

 相談概要 [氏名] K.Hさん
[住所] 長野県塩尻市
[年齢] 32才
[構造] 鉄筋コンクリート造(壁式構造)
[築年数] 半年
[階数] 2階建
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者] 兼業の建築設計事務所(建設会社の建築士)
[監理者] 兼業の建築設計事務所(建設会社の建築士)
[確認申請書存在の有無] 有る。
[設計図面枚数] 12枚程度
[着工までの打合せ回数] 5〜10回
 相談内容 No.89でお世話になりましたKです。またお世話になります。宜しくお願い致します。

先日クーラーを購入して販売店の取付工事の人が来たのですが、コンクリート住宅で鉄筋が入っているため穴をうまく開けられないと言われ、仕方なく現在の家の設備を担当した設備屋さんにお願いしました。ところがこれが大失敗で、無理矢理取り付けたためにクーラー本体を一部破損してしまい、更に開けた穴の位置が悪かったらしく、室内機内部に水がたまってしまい、部屋の中に水が漏れて畳を汚してしまいました。

後日その設備屋さんに取り付けをやり直してもらったのですが、原因は「通常今回開けた穴と反対側に穴を開けるべき所を無理矢理今の位置に開けたために、クーラー内部で配管が折り畳まれて水が排出されにくくなっていた」との事でした。

設備屋さんは外見が良くなるようにと今の位置に穴を開けたそうですが、結局クーラー本体をはさんで前回開けた穴と反対側の低い位置に排水管専用の穴を開けられ、さらに外壁にも排水管を固定するために10カ所ほどネジ止めの穴を開けられたためにかえって見苦しくなってしまいました。この事を指摘した所、「文句があるなら最初から工事に立ち会え」「俺は本当はやりたくなかったのにどうしてもと頼まれたから仕方なくやったんだ」と怒鳴られてしまいました。

更に工事の終了後クーラーを運転してみると、ガスが抜けてしまっており全く冷えず、メーカーに聞くとガスチャージに2万円かかると言う事でした。私としてはこちらから無理を言って頼んだからと言って、引き受けたからにはきちんとした仕事をするべきであると思うし、自分でミスをした事を認めていながら客に対して怒鳴るというのは納得できません。

この設備屋に対して、畳の交換費用及び外壁にいくつも穴を開けて見苦しくした損害賠償及びクーラーのガスチャージ費用の請求が出来るのでしょうか。現在住んでいる家の配管も全てこの設備屋が行っているため、あまり文句を言って今後来てもらえなくなってしまっても困るのですが。宜しくお願いいたします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
私たちは技術者であり、プロでもあります。技術的に困難であろうとも、発注者の要求にはできうる限り答えようと努力はします。さらに、建築において、100%不可能ということは有りません。やってできないことは無いという意味では。しかし、それが適切な方法ではない場合も多々あります。本来ならできないと突っぱねるべき点も発注者の強固な要求があるならば、してしまうこともあるでしょう。事実わたしもこれはおかしいと思いアドバイスしても、発注者にききいれてもらえず「それでいいから」ということで後々のトラブルを誘発することもあります。そのようなとき仲間内では、「それでいい」っていうなら「いいんじゃない」というあきらめに似た脱力感の漂う会話もしがちです。もちろん、それは法律条例に触れない範囲でですが。

今回の取り付けではどうでしたでしょうか。設備屋さんの意見も最大限聞いてから取りつけ個所をきめたでしょうか。「ここにとりつけてくれればいいから」という形での指示を行っていないでしょうか?もしそうであれば、技術者としてはおおきな侮辱を受けていることになります。たいへん失礼ですが建築設計及工事には、一般の方が書物などでよんだわずかな知識では図りきれないたくさんの「約束事」があります。

まずは、職人さんを含む技術者の方としっかり打合せをし、よく意見を聞くこと、そして納得してから施工を開始してください。職人さんの顔が曇るときは、なにか納得のいかない点があるときです。また、Kさんはハウスメーカーと設計施工契約を結んだのですから、後々設備などがこわれたとしても、ハウスメーカーが窓口になるはずです。ですから、その設備屋さんへの直接発注するわけでもなく、今後付き合わなくてはならないわけでもありません。メーカーと相談し他の設備やさんに担当してもらえばよいだけですから。また、賠償請求に関してですがコメントは差し控えさせていただきます。その点に関して不満があるのでしたら、弁護士をたて裁判をされることをお勧めします。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 前回の教訓が生かされていないようです。
われわれだったら展開図を書き、決めたエアコンの形状を描き、構造的な事を確認しスリーブ位置を決定して依頼者の確認を取ってから、尚且つ現場でも寸法や位置を確認して最終決定します。しかし、ハウスメーカーのシステムはそこまでフォローしてくれないシステムです。展開図なんて無いですよね!そうなんです。そう言うシステムですので、依頼者の自己責任がかなり大切な要素となります。

第三者の監理者の人件費を削る訳ですから、その分の自己責任は当然重くなってしかるべきです。相談者は何故構造的な裏付けも無いままに新しく穴を開けようとしたのでしょうか?自分が住まわれている構造を理解していますか?このメーカーの構造はPC版ですよ。PC版と言うのはそのパネルの廻りや中央はリブが付いていてパネルの強度を高めています。そこを外す必要が有ります。何処でも開けられるものでは有りません。何故その位置で問題がないか、設計者に確認しないでご自分でお決めになったのでしょうか?前の穴の位置では気に入らなかったのでしょうが勝手に決めてはいけません。

職人さんもそこを避けて開けたので多分無理があったのでしょうが、開けてしまったので無理に取付けたのでしょう。勘違いしてはいけません。あなたが選んだ信頼すべき設計者や監理者はいないのです。あなたが選んだのはハウスメーカーです。そこに付随してきた設計者と監理者です。ですので自己責任が相当に伴ってしまうのです。残念ですが最後も弁護士に依頼し自己責任で解決して下さい。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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