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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0178 OMソーラーのこと

 相談概要 [氏名] M.Kさん
[住所] 香川県高松市
[年齢] 35才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 計画中
[階数] 2 階建
[様態] 注文建築
[施工者] −
[設計者] −
[監理者] −
[確認申請書存在の有無] −
[設計図面枚数] −
[着工までの打合せ回数] −
 相談内容 主人の実家の母屋を二世帯住宅に建て替えようと計画中です。

最近話題の環境共生住宅に関心があり、建て替えるなら是非取り組みたいと思っています。その中でパッシブソーラーシステムについておたずねします。ここ10年ぐらいの間にソーラーシステムというものが100ぐらいできたそうです。それぞれに特徴があると思うのですが、給湯だけのもの、床暖房や換気もできるもの、換気だけのものなど多種多様です。

できましたら給湯と換気や床暖房と三拍子そろったものがあればよいのにと思っています。雑誌などではOMソーラーのことをよく目にします。良さばかりが目について工法自体の問題点、メンテナンスや耐久性、価格の適正さなどがよくわからないのです。アドバイスをお願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
高尾 正範 パッシブソーラーとは太陽光をそのまま熱として直に利用するもので、自然かつ今後主流となってくる省エネ工法ではないでしょうか。但し地域環境、敷地の条件に左右される面もあります。またOMソーラーは太陽熱利用という点では同じですが、集熱器、熱交換コイル、貯湯タンクといった機械設備により暖められた空気が床吹き出し口より出てくるという、空調機からの温風とは異なったソフトな暖房を得られるようです。

熱源はどちらもタダといった面は同じですが、OMソーラーの場合はメーカーによって違うのは当然ながら、設備費も20年程度で償却といったところだそうです。私の意見としては、パッシブソーラーの方が今後自分たちの研究課題だと思います。パッシブソーラーは構造や設計手法によりなされるもので省エネ化を家づくりに盛り込むべき今後の必須条件とおもわれます。パッシブソーラーをベースにアクティブソーラー(OMソーラー)でそれを補うといった手法が良いのではと思います。

例えば雨天曇天の時、OMソーラーだったとしても能力が十分発揮出来ない場合を考えて、補助熱源としてガス、又は石油給油器との接続といった考慮が必要だと思います。ダクト内の清掃、ファンコイルのメンテナンスといった面の経費はメーカー次第ということもあり、ローコストでとの施主の趣旨からするとパッシブソーラーが良いのではと思います。

私個人の意見として、年中一定の温度を保つ温室のような居住空間でなく、多少自然なりの空間で四季折々の変化を感じられる空間であっても良いのではないかと思います。ほとんど無菌状態の今日、人の抵抗力も限りなく弱くなってきているようです。自然の恩恵を工夫により最大限取り入れた住まいを造る、といったことも又良いのではないでしょうか。
癸生川 佳司  詳細は高尾建築士の解説を参考になさって下さい。 

相談者の望むソーラー住宅にはご質問の通りたくさんのシステムがあります。しかし共通点は一つで、又これが一番重要なことなのです。それは住宅を高断熱高気密にするということです。私の得意分野でもあるので注意すべき点を下記に纏めます。

1.どのソーラーシステムも高断熱高気密が条件です。
2.高断熱高気密化しないとソーラー導入効果が出ない。
3.「高・高」の費用の目安 50坪で130〜180万円。
4.この「高・高」の施工方法もたくさんある。
5.費用にばらつきあるのは施工方法により違うため。
6.施工が難しい、間違うと結露大量発生の危険あり。
7.施工経験の十分ある工事(住宅)会社が望ましい。
8.各建材会社の「高・高」規格品は間違いないが高い。
9.東大鎌田博士の「新在来工法」は安いが熟練要す。
10.ソーラー住宅は上記費用+システム機械設置費。
11.最低限のシステム 「高・高」+第3種換気
12.第3種とは排気のみの換気。+30万円かかる。
13.上記11の投資回収年数 理論8年、実質13年。
14.上記11が環境共生省エネでは一番安く回収早い。
15.温水器より「高・高」の方が回収年が1.5倍早い。
16.注意点 木材は全て集成材を使用。乾燥材も準良。
17.さもないと木材が歪む。(とにかく室内が乾燥する)
18.OMは一番乾燥する。和室の材料選定要注意。
19.OMこそ施工実績が出来映えを左右する。
20.OMの投資回収年数 理論値より意外に長い。
21.OMは回収より「夢」に重きを置いて購入する。
22.OMのあの暖かさ、私個人としては好きです。
23.OMは機能上、総2階のデザインになりやすい。
24.参考書籍 ニューハウス出版ー省エネ住宅
25.上記の本は一般の方にもわかりやすい。

いずれにしろ相談者も建てる場合は十分に勉強して納得の上選択して下さい。
ポイントは「高・高」+ソーラーであることをよく理解してくださいね。
では又のご相談をお待ちしております。 
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 太陽熱を利用するのは省エネの点で良いことですね。勿論、この熱を最大限保持し熱損失を少なくする為には高断熱高気密は外せません。当然窓を少なく小さくした方がいいのでしょうが、あまり小さく少なくは程度があります。太陽が当然出ない日もあるでしょう。その時、特に夏の場合は窓を開けて風通しが良く抜けるような窓の配置として下さい。これは当たり前のようですが、ソーラーシステムを導入すると過信から忘れがちです。窓の配置と数と大きさは、OMソーラーを導入しながら自然の風通しも考慮する、その両者の観点から設計者とよく詰めてくださいね。 太陽熱と自然の風のコンビで楽しい家づくり楽しんでくださいね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早速のお返事ありがとうございました。
建築の契約をする前に、この「よろず相談」に出会えたことが、わたしたちにとっての幸運の始まりのように思われます。明快かつ丁寧なお返事はとても勇気を与えてくださったと同時に、施主自らが学んでいく姿勢を忘れてはならないことを教えてくださったように思います。

ソーラーについては最近環境問題が叫ばれてきて関心のある方も多いと思いますが、きちんとした基準の確立していない今の時期に取り組んでみることはとても勇気のいることです。

この相談に対するお返事が、私たちと同じ悩みを持つ方を勇気づけてくれることを願ってやみません。本当にありがとうございました。
 その後  
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