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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0171 真上のベランダより浸み込んだ雨水

 相談概要 [氏名] K.Yさん
[住所] 京都市上京区
[年齢] 34才
[構造] 木造(在来工法)
[築年数] 2 年
[階数] 3階建
[様態] 建売り住宅
[施工者] 不動産業者
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 解らない。
[設計図面枚数] - 枚
[着工までの打合せ回数] - 回
 相談内容 こんにちは。いきなりのご相談差し上げる無礼をお許し下さい。

さて、2年前に購入したミニ開発の新築一戸建て建売木造3階住宅(前面部はタイル貼り、側面はサイディング、背面と一階ガレージ内部はボンタイル。前面7.2メートル、奥行き5.4メートルの約12坪敷地め一杯に建築。1階はガレージと6畳の和室。2階は12畳のLDKと洗面所・トイレ・浴室と問題のベランダ。3階は6畳洋室2間と、天井収納と、外部にアルミ製物干し)ですが、2階モルタル塗りベランダの防水工事不備で直下の一階ガレージの壁面裾のモルタル部に雨水が浸みだし(流れる)てきました。ガレージは全体にボンタイル塗装が施されているので、真上のベランダより浸み込んだ雨水は、ガレージ天井のボンタイル沿いに伝い、広範囲に浸みていたようです。

皮肉にも天井のボンタイルが内側から防水効果を発揮してしまい、雨水を建物内部に閉じこめてしまっていたのです。当方の西隣りに全く同時期に建てられた同じ形の建売住宅があるのですが、これも全く同じ症状が出ています。建主へクレーム後、まず、隣家から先にガレージ天井・壁面を剥ぎ内部の確認をしたところ、2階LDKの床の部材を兼ねたベランダを支えるアングル部分や、その他周辺部材が真っ黒に変色し、すでに腐敗が進んでいました。

当方は現在のところ手つかずですが、症状からみても、内部は同じ様な状態になっていると思われます。今回のクレーム当初、建主はベランダ接合部のコーキング処理で簡単に処理しようとしたのですが(実際、同じクレームを去年当方が出したときも、その処置だけで終わり、もう一度ちゃんと調べますとの返事を残し、その後なしのつぶてでした。)、隣家の家主(建築関係の職人さん)が「壁や天井を剥がしてでも点検するべし」の強い要望をだされたので 否応無し天井・壁を剥がしての点検で やっとこの事実が判明しました。

もしも、建主のいうまま、またコーキングのみでお茶を濁されていたならと考えると、恐ろしくなります。さて、ここで一つ目のご相談なのです。建主に対して、以下3つの内いずれかの交渉をしようと思うのですが、現実的に妥当でしょうか。出来れば隣家同士2軒足並みは揃えようと思うのですが。

1;新築早々、明らかな施工ミスや クレーム初期段階での手当や対応が不十分だったので、この物件に将来継続して住まいする事が不安であるから、現時点において、購入金額(3千3百万)と売買などにかかった諸費用・税金+慰謝料他による買い戻しを希望。

2;故障個所の完全修繕と慰謝料とこれからの保証(文書)

3;故障個所の完全修繕プラスアルファ(ベランダ面積拡張)と慰謝料とこれからの保証(文書)

要は、故障個所の完全修繕と、今後その補修に伴い当方が被るリスクを、金銭と文書で保証して欲しいということなのですが、これらの条件は言い過ぎなのでしょうか。

現在、当方より先に隣家から交渉に入ってしまいましたので 以下はその隣家のご主人からの情報を記します。

・今のところ建主側は、1の条件も完全に拒否してはいない。(出来れば買い戻しは最後の手段なので避けさせて欲しいというニュアンス。)
・故障個所の完全修繕プラスアルファの施工後、常識的な金額であれば慰謝料の支払いと2年ごとの点検補修、さらに10年間の保証を付けることも了承。

ここで、2つ目のご相談なのですがここで言う、慰謝料とは”建物評価額の査定減額分”と”将来的な保険”と”純粋な慰謝料”と分けるとするなら、それぞれ具体的にいくら位が妥当なのでしょうか?もしも、このような事例が過去に御座いましたら、恐縮ですがよろしくお教え下さい。宜しくお願い申し上げます。
 yorozuの感想
アドバイザー 
木津田 秀雄 木造3階建ての「建て売り」とのことですが、契約書の瑕疵担保期間は2年でしょうか?それなら過ぎているか、近日でしょう。瑕疵についての申し入れは既に行っているので、この漏水の面についてはそれなりの対応がなされると思いますが、ひとつの区切りですので確認してください。特に契約時に期間の限定がなければ瑕疵については瑕疵を発見して1年以内に申し入れを行えばよいので、2年という期間は関係ありません。 

さて質問の事項ですが、契約解除を求めることも視野に入れた方が良さそうですね。漏水だけなら修理すれば良いですが、構造的な問題が発生していないかが心配です。木造3階建ての技術は、これまでの2階建ての技術とは大きく違います。しかしながらそれを理解している職人は少なく、とんでもない構造になっているケースが多いです。しかしこれは見た目ではわかりません。隣家で天井を剥がされたときにでも見れば、少しは分かったかもしれません。 

補修費用を請求するにしても、補修金額を算定する必要があります。その場合は専門家に補修が必要な箇所を調査させて見積もりさせる方法が良いと思います。補修業者だと、言ったところの見積しかしませんので、今回の場合だと防水の見積は作成すると思いますが、構造的な問題点までは調査しないと思います。(依頼者が言わない限り) 施工業者の10年保証ですが、あまり意味をなさないと思います。

バルコニーからシールをうつだけの保証では意味がないと思います。瑕疵担保期間が経過しつつある状況からすると、一度漏水原因をふくめて、建物全体の健康診断(調査)を行い交渉に望む必要があるように思われます。慰謝料ですがあってないような金額だと思います。せいぜい20万円程度でしょう、裁判で認められているものでも100万円が最高額(私が見た中では)ですね。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 損失の判断は構造的な要素まで専門家に調査把握してもらい、算定しなければ出ません。感覚的にはでるものではありませんので、是非お隣さんと足並みを揃えて交渉した方がいいと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早速に お返事いただき 誠にありがとう御座いました。アクシデントで ネットに接続出来ない期間があり今しがた、お返事を確認させていただいた次第です。
その後、友人の紹介で、建売もやっている工務店の一級建築士に(天井などを剥がした状態で)現場を見ていただいたのですが、柱や部材については構造的には、まじめな仕事だと言うことでした。ただ、水まわりの設計や施工については不適切な部分も多い事を指摘してくれました。例えば、サッシ枠と外壁の境目に弾性コーキングが施されていないとか問題のバルコニーの排水口径が細すぎるとか....。

結局、問題部分は完全に解体し、新たに鉄骨で地面より鳥居を組み、バルコニーを作り直すことになりそうです。なおかつ、現在雨ざらしなのを屋根を取り付け、まず、雨に濡れない工夫をし、防水もステンレスのパンを敷くタイプをリクエストするつもりです。あと、頬杖も従来より大型化し 数を増やすつもりです。先日、仲介業者も当方に挨拶に訪れ、今後の誠意ある対処を約束してくれました。ひとまず、相手を信用してここで頂いたアドバイスをもとに交渉を続けようと思います。

「なしのつぶて」の件ですがどうやら 営業の若いヤツが 問題を握りつぶしていたようです。仲介会社の社長と、建主の社長が詫びにきました。その件も含めて”誠意ある対処”をわざわざ強調しにきたのでしょうね。確かに、慰謝料はどうなるか分りませんが、気に入らないところは全て直すか、設備を充実するかの方法で返してくれることになりそうです。

今回は、お忙しい中 的確なアドバイスをありがとう御座いました。このようなご活動にも本当に脱帽です。ご活動の成果が確実に現われる事を信じております。ありがとう御座いました。
 その後  
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