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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0167 車庫に入れると門扉が閉められません

 相談概要 [氏名] N.Sさん
[住所] 大阪市城東区
[年齢] 42才
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[築年数] 0 年
[階数] 2 階建
[様態] 注文建築
[施工者] リフォーム会社
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 無い。
[設計図面枚数] 10 枚
[着工までの打合せ回数] 多数
 相談内容 ハウスメーカーに注文し、本体完成引渡し直前です。

車庫の全長方向の寸法が門扉を閉めると4300ミリしかない事が今になって判明しました。前後の余裕を考えると4150ミリ以下の車しかこの車庫を利用できず、かなり小さな車になります。今私の乗っている車の全長は4385ミリでこの車庫に入れると門扉が閉められません。

メーカーに言っても車を出した時だけ閉めればよいとか、門扉だけ塀より飛び出させて設置すればよいが危ないですよ、とかいうだけで本体の位置を決めたときの過誤については認めません。

このような使い物にならない車庫を作られて、このまますんなりと残金を支払って引渡しに応じてよいものなのでしょうか?
これも欠陥住宅の部類なのでしょうか?

専門家の意見を戴けると有りがたいのでよろしくお願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
氏原 毅士 欠陥かどうかの判断の前にいくつかの確認が必要です。

まず、鉄筋コンクリート造の注文住宅とのことですが、打ち合わせ回数「多数」のわりに設計者や担当者の氏名不詳、確認申請無し、また受け取った図面10枚は少なすぎる様に思います。

 駐車場の大きさなどは簡単な配置図や1階平面図でも明示あるはずです。建築主によくあるパターンに、「我々は素人だから図面では判らない」と言う人がいます。設計や工事を担当する立場の者から言わせれば、もっとも難しいタイプの施主といえます。先に記したように図面や資料が少なかったとしても「施主も勉強」していただきたいと思います。何しろ安い買い物では無いのですから。 

また、設計や工事の側から見ると、敷地形状や大きさ、さらに建築基準法の規制などを考慮し、建築主の要望を最大限取り入れようと努力をするのは当然のことです。住宅のプランは住む人が中心であり自動車ではないのは当然です。ただ、昨今の傾向から無理をしてでも2台分の駐車を確保する事例は非常に多くなっています。また、駐車場は特に指示がない限り巾2.5b奥行き5bとするのが大半ですが、当然の事ながら敷地形状や面積の制約を受ける事になります。 

相談の件では、図面などの資料がないので想像する以外にないのですが、計画スタート時点から奥行きのない駐車場だったのでしょうか?、
打ち合わせで間取りを変更した結果、狭くなっていったのではありませんか?。 

よくあるケースに、建築主が自ら方眼紙に間取りを書いて業者に示される場合、物の大きさを無視したプランを書かれる事が有ります。例として建て売り住宅の間取り広告の車のように、わずか畳1枚の大きさで書かれたモノのように。設計者としてはこのプランを実現するための技術的解決のみを行う人も多いのも現実です(寂しいことですが・・・)。もちろん駐車場が小さくなった事や車両サイズに制限が有る事を、設計者などは説明を尽くす義務は当然有ると思います。

設計を業とする我々から見れば、4.35bの駐車場を設計しなければならないケースとは、間取りを優先し、単なる空地(庭)の一部に車を置いただけの様な気がします。事後の対応(車庫から出したときだけ門扉を閉める)等の発言を同業者として恥ずかしい事とは思いますが、これは建物が完成間近になってから判明するような問題ではない様に思います。ご相談の敷地に、工事中の建物と奥行き5bの駐車場が建物をずらして収まるのでしょうか(入れば設計ミスといえるかもしれませんが)?施主と設計者のコミニュケーション不足が原因であると思います。しかしながら、説明義務不足をもって欠陥とは言い難い様です。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 ハウスメーカーの規格ものの建物は(たとえ自由設計と謳った設計でも)私たちからみたら本当の設計では無いように思います。
家を売ると言う感覚で設計する事と、家を造る感覚で設計する事との違いなのです。ですからハウスメーカー等の外構のトラブルは後を立たないのでしょうね。

ハウスメーカーの担当者の発言はあまりにプロ意識の無い、又、ハートの無い発言だと思います。商品的な販売に心を入れる事は難しいのでしょうか?そう言うものと考えるべきなのでしょうか?どちらにしても我々から見たら設計をしている様には写りません。

ハートのある設計は次のように対応します。
もし建物を優先する場合は「ここの場所にはお持ちの車は入らなくなりますよ。車を買い替えます?それとも建物を縮めましょうか?」これは設計の段階で必ず出る話です。ハートのある設計とは依頼者にメリット、デメリットを明確に伝える事にあります。これが本当のプロの設計であると思います。メーカーの設計はデメリットは伝えない傾向にあります(当然ですね。家を売るわけですから。メーカーも商売です。)。メーカーの建物によっては建物を優先してしまう傾向にあり、外構は別途と考えて設計時点では考慮しなかったか、知っていて家の契約を優先したかは分かりません。

欠陥で有るかどうかはその両者の認識によって違うでしょうし、文章の範囲ではわかりません。ハートのある設計とは何かをもう少し考えてから家づくりに入れば良かったですね。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 アドバイスありがとうございました。残念ながら、すでに建物が完成してしまっている事もあり、今後は現実的に対応していくしかないと考えています。解説していただいた諸先生方の今後のご活躍をお祈りいたします。
 その後  
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