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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0162 「建築条件付」物件の「建築プランを外す」という条件

 相談概要 [氏名] T.Mさん
[住所] 東京都世田谷区
[年齢] 37才
[構造] 木造(2X4工法)
[築年数] 検討中
[階数] 3階建
[様態] 条件付き建売り住宅(売り建て住宅)
[施工者] 大工(工務店)
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 無い。
[設計図面枚数] ? 枚
[着工までの打合せ回数] 12回
 相談内容 こんにちは。非常にややこしい話なのですがどうかお聞きください。
相談したいのは請負契約についてです。

私たちはM不動産屋からHホームが売り主である「建築条件付き」の物件の「建築プランを外す」という条件で土地のみ購入しました。私たちの自由プランで建ててくれるT工務店をM不動産から紹介してもらい、請負契約をしたのですが、その際、売り主のHホームがあくまで「土地+家」で販売したという形にするため(税金逃れ?)、まずHホームと私たちが請負契約をし、HホームとT工務店が請負契約をする、という2重構造となっていました。

また、建築確認申請は、「プランの基本は変わらないし、構造計算もきちんとするので心配ない」とT工務店に言われ、私たちはHホームの建築確認申請を買わされました(今から考えると本当に馬鹿でした。建築確認申請というのはお役所が近隣に対する迷惑建築でないかどうかを確認するためのものだ、と言われ信じていました・・・お恥ずかしいです。)。

そのままうまくいけば問題はなかったのですが、基礎工事の不備を発見した私たちは、工務店に対して工事ストップをかけ、第三者監理の調査や地盤の再調査をした結果、工務店側の不誠実な実状が発覚し(構造計算通りの基礎仕様にしていなかった、地盤は超軟弱で地盤補強が必要なレベルだった、等々)、契約解除の方向で話し合っています(更地に戻して、前払い金を返してもらえるよう交渉中)。

私どもも自分たちの勉強不足を反省し、今度はゼロから建築家の方を探して工務店も厳しく選んで行くつもりです。ただ問題なのは、今度の契約でもHホームを通した2重契約にしなければならない、という点です(あくまで建築条件付きの土地を購入したことになっているため)。前の工務店はM不動産の紹介だったわけであり、事情に通じていたというか、不正も平気な業者だったのだと思いますが、今度の新しい工務店がこの契約形態に納得してくれるのだろうか、と不安です。その点に関し、何かアドバイスがありましたら宜しくお願いいたします。

このようなケースは非常にまれなケースだと思いますが・・・。それとも、建売業界にとってこのようなことは日常茶飯事なのでしょうか・・・。
 yorozuの感想
アドバイザー 
松山 達也 相当の出費と精神的苦痛を強いられ、たいへんお気の毒に思います。
ですが、このようなケ−スは稀ではありません。建売業界の発注システムに疎い一般消費者は注意が必要です。

お気づきのように、はじめのうちこそ「建築プランを外す」という条件がついていたものの、結果的には「建築条件付き」の売建てとなんら変わらないように思います。通常は「建築条件付き」を外して販売することを不動産屋が拒否したり、拒否しない場合でも土地の価格がアップしたりします。そのようなことがまったくなかったとしたら、前述したように、契約上は売建ての場合と何ら変わりませんので、契約を解除した後に不動産屋が土地のみの販売をのむかどうかが問題だと思います。

契約については正式に弁護士へ相談されることをお勧めいたします。

さて、問題解決後はどのような方法があるでしょうか。今回の事件の一番の問題は、「購入者が購入先の不動産屋から工務店を紹介してもらった」ことにあります。土地だけの取得を要求し続け、不動産屋がそれを受入れれば、建物本体の建築の契約では「Hホーム」を通す必要はまったくありません。「建築条件を外す=建物本体の建築にHホームはまったく関わらない」と御考え下さい。

次回は、設計・監理業を「専業」で行う建築家(設計事務所)を選ばれるよう御注意下さい。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 この2つの請負契約の存在は、Hホームが請負者であり尚且つ発注者と言う2つの顔を持っていると言う事ですが、このようなやりかたは大変違法性(独占禁止法)が高いと言えます。最近下記のようなケースが大変多いのでご注意ください。

1.チラシは土地売りなのに行って見ると「建築条件付き」で「工務店はここを使ってください」
2.「建築条件付き」の物件を交渉で「建築条件付きを外すけど工務店はここを使ってください」

どちらも同じような事ですがでは何故このような方法を取るのでしょうか?それは土地だけの売買では買主は相場で適正な価格(路線価方式等や不動産情報で)を知る事が出来る為、土地にはそれ以上の利益を乗せるのは難しく、ブラックボックスの多い建物に乗せようと考えるわけです。仕事が欲しい工務店と結託し請負の金額に土地で乗せられない分を上乗せしているのです。所謂、売り主が工務店からキックバックを頂戴する分けです。これは大変多くなっており、特に例外では無いと思います。

工務店のこのような体質が何れ信用を失い、衰退する事を胆に銘じ健全性を取り戻して貰いたいものです。ご自分で捜した工務店であっても、このような形態の請負契約を結ぶ限り結果は見えています。もともと「建築条件付き」は発注者が請負者を選べない独禁法に違反している恐れのあるものです。

今回施工者をご自分で選べるのでしたら「建築条件付き」はもう意味が無い筈ですので、土地の売買契約だけにしてもらえるよう交渉してみては如何でしょうか?

しかし、「建築条件付き」に固執しているようだとすると、それは「建築条件付き」では無く「キックバック条件付き」と言う事です。悪しき知恵は力を合わせて葬り去りましょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早速お返事をいただきまして本当にありがとうございます。

ご指摘の通り、Hホームが請負者であり、発注者である、という点が非常に問題なのですが、契約書には、「Hホームは施主が指定した工務店と、その請負工事代金と同額で施主と契約すること」と明記されており、キックバックはない、と考えられます。目的はあくまで「取得税を70数万円安くすること」だと聞いています。

今回、土地を購入する際、「土地と請負契約は不可分」であり、「どちらかが不備に終わった場合は白紙解約」という契約内容になっています。また、土地だけではローンはおりないので、土地+家の総額でローン審査を通し、現在は土地の分のみ返済中、家のローン分は家の完成時から、という取り決めになっています。このような土地+請負契約自体が違法ということなら土地の取得のみを強く要求できるのですけど、一度弁護士の方に相談してみます。

今後の建築事務所、工務店決定プロセスにはHホームは一切、関わらず、工務店との請負契約を結ぶ際にのみ、Hホームを形だけ通した契約にして欲しい、と言われています(M不動産の方からも、工務店が決定し、工期等が見えたら銀行に家分のローンの延期を申し出るので教えて欲しい、と言われています)。ですから自分たちで選んだ工務店ならば問題はないのかな、と思っています。

建築家の方と自分たち自身で見積もりを検討し、請負金額を交渉するわけですので(まだ甘い、というか、分かってないのでしょうか???)

長〜いPSです:
調査等に費やしたコストは馬鹿になりませんが、数千万、土地と合わせると1億近い欠陥住宅に住むことになるのを防げたことだけでもよかったと思っております。インターネットのおかげですね(監理会社を検索しました)。

荻原さんのHPも、もし事前に見ていたらどんなに役立ったことか(軟弱地盤のこと、揺れる3階建てのこと、等々)。たくさんある質問を読んでいくと、必ず自分が「?」と思っていた内容とそれに対する答えを見つけられます。

家を建てようとしている施主の一人でも多くの人が「建築よろず相談室」を訪れ「開眼!」してくださること、そして、建売りを買う人が絶滅すること!(ちょっと過激ですが・・・)を祈ってやみません。ほんと、建売りは「爆弾を購入するようなもの」だと思います。業者の意識が低すぎます。お話になりません・・・。本当に悲しいです。あのような人たちと同じ人間であるかと思うと・・・。)またご相談させていただきます。

早く家自体の相談等ができるように問題解決に向けて頑張ります。
最後に、「建築よろず相談室」のHPとお二人にもう1度、ありがとうございます!
 その後  
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