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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.0160 買い取りは絶対に出来ない

 相談概要 [氏名] Y.Nさん
[住所] 大阪府大阪市
[年齢] 29才
[構造] 鉄筋鉄骨コンクリート造
[築年数] 2 年
[階数] 15 階建
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 無い。
[設計図面枚数] 1枚
[着工までの打合せ回数] ?回
 相談内容 5月 1日 洗面所入り口前の廊下より水漏れが起こる。フローリングの下より水が出てくる。
5月 6日 K組より責任者と工事の下請け業者が状態を見に来る。
5月 9日 大工が来て洗面所の下をくり抜き原因を調べる。排水管のパイプのつなぎ目より少しずつ水漏れが起こっていたと判明。修理箇所についてもめる K組の責任者の対応(態度)がいい加減すぎる。その後連絡が無いので何度かこちらから電話を入れる。
5月30日 K組の責任者とK(Rのマンションの管理会社)の担当者が来る。こちらからは 買い取りを希望する。
6月 5日 (株)Rの担当者が来る。第一希望を聞かれ買い取りを要求する。買い取りは絶対に出来ないと言い張る。
6月13日 (株)Rの担当者が 30万円を迷惑料だと言って持ってくる。受け取らない。購入した部屋の点検より不良個所を何点かあげて苦情を言う。押入の閉まりが悪い。玄関の下駄箱のカウンターに壁紙の糊が付いている(白く浮き出ている)。窓(ドアサッシ)が歪んでいてわずかに隙間がある。閉まりも悪い。リビング・トイレ・洗面所に点検口が付いていて購入時に何の説明も無かった(契約書にも書いて無かった)。トイレ・廊下の壁に釘が出ている。和室の戸の襖紙に糊が浮き出ている。ベランダにヒビが入っている(寄せ植え1つに水をやるだけで階下の部屋に水が落ちて来ている)。階下の人から一度部屋(水漏れ箇所・ベランダ)を見せて欲しいと言われている。
6月20日 (株)R・K・K組・工事の担当者4人が今回の原因と修理箇所の説明に来る。現象は、ユニットバスの排水管接続不良(接着剤で接続する部分の加工ミス)。原因は、接続作業の確認もれ(K組からの報告)。K組では、確認もれは、手抜き作業ではない。欠陥住宅ではないと言い張る。       

また、同一確認もれの可能性を主張し、他の排水管の調査を要求したが、K組からは、必要ない。他の排水管にミスはない。と根拠のない事をいう。排水管の接続方法についても、念のため 他の排水管の工事の業者に問い合わせたところ最悪の排水管のつなぎかたをしていると言われる。ただ嵌め込んでいるだけの接続(パッキン等は無い・コストの一番かからない最低ラインの商品を使っていた)。K組は この排水管が主流で 決してコストを下げたものではないと言い張る。修理箇所(水漏れにより剥がれてきている壁紙の張り替え等)は未だにもめている。木材の部分は水を吸っていると思われるが、K組は「水を吸うはずがない」と主張。こちら側としては一度水漏れのあった住宅は値が下がるので買い取りを希望する。

修理期間中はホテルに泊まらなくてはいけないのですが、もうすぐ1歳になる子と幼稚園に通う子があり、非常に不便である(ユニットバスは困る)。
車で毎日寝たきりの母に食事を運んでいて あまり遠くでは困る(妻)
何度も今回の関係者に会わなくてはならないので、せっかくの休みがつぶれてしまい精神的にもかなり疲れる(ストレスがたまる)。

こういうケースではどのような事が要求出来るのか、今後どのような事(水漏れの波紋)が起こりうるのか、3月頃にも3階の部屋でキッチンより水漏れが起こりまだ解決していないらしい。

今現在フローリングは波打っていて歩くのが気持ち悪い。壁紙がはがれてきている(水漏れのあった廊下)。洗面所の床に穴が空いている。カビが非常に気になる。

以上です。プロ(建築)の意見が知りたいです。法律上の事も詳しく知りたいです。よろしくお願いします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
氏原 毅士 洗面所入り口前廊下より漏水とありますので、廊下や居間の床はフローリング直貼り、洗面便所などの水廻りは床組の上フローリングか塩ビシート貼りの工法と推定します。(床が一段高くなっている) 

洗面の排水が漏れだし、廊下部分へでてきたのだろうと思いますが、後述する縦排水管の床貫通部から下階に漏水していた可能性もあります。これはパイプスペース内のため発見できずにいたものと思います。洗面で使用する水量は、浴室の排水量とは比べものにならないほど少量のため気づくのが遅れたのでしょう。 

先ず排水管ですが、接着とのことなので塩ビ管(VP管)を使用しているようですが、この選択は特に間違っているとは思いません。ただし給湯の方式にもよりますが洗面所の蛇口がサーモスタット付きのものでなく、単に湯水の混合栓(温度調節を2バルブで行うタイプ)では、給湯器の温度設定にもよりますが高温のまま排水管に流入する場合もあり、長期的な視点で見ると塩ビ管に悪い影響を与えることがあります。塩ビは温度変化には比較的弱い材質であり、特に湯水の温度変化による膨張収縮が継ぎ手部に応力集中し外れてしまうことがあるようです。

台所でも、高温の排水をそのまま捨ててしまうことは避けた方が賢明です。しかし、接着の手法を正しく守っておれば、管母材より継ぎ手部の方が丈夫になるようです。一般的には、高温排水の可能性のある部分には耐熱型塩ビ管(グレーの一般管とは違って焦げ茶色)を使います。一度確認してください。 

本件では、配管接続部のエルボ継ぎ手の接着法が悪かったようですが、正しく修理すれば問題は無いと思います。下階への漏水は現場を見ないと判りませんが、バルコニーでなく居室に漏水しているのでしょうか?降雨時はどうなんでしょうか?寄せ植えの水を洗面所で汲んでいませんか?そのときのあまり水が配管の継ぎ手から漏れ出し、下階へ漏水しているのであれば、下階への損害賠償も起こってきます。 

施工者や、販売業者の言い分は常に本件指摘の通りが多いようですが、誠意を持って対処すれば法的な問題にまで発展することは無いと思います。点検口の件ですが、共用の排水縦管が、便所汚水・台所雑排水・浴室排水の3種類が通っているものと推定できます。点検口は縦管の掃除口などがあると思いますが、集合住宅では仕方ないことと思います。 

本来ならこういった共用管は廊下等の共用部に設けるべきですが、各階同一間取りのマンションではしばしばこのような例が見られます。これは欠点ばかりではなく、排水勾配が確保し安いなどの利点もあるのです。 トイレや廊下の釘はよく分かりませんが、自分の設計したマンションで考えてみると、将来手摺りを取り付ける為に下地を石膏ボードでなく合板にしたところに固定用の釘の頭がクロス上に型を作ってしまうことがありました。充分下地処理をすれば起こらない現象ですが、業者とよく相談をしてみてください。 

床材は水を吸って下地が軟化している可能性は充分あります。気になるほど柔らかいのであれば張り替えてもらうべきでしょう。 

ただし慰謝料などの話は可能性としては充分あると確信しますが、我々建築士では対応出来かねます。 必要であるなら当所ネットワークの弁護士をご紹介します。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 かなりもめてしまっているようですね。
先ず、管理組合に図面が置いてあると思いますので、図面を確認し排水管の材料等の仕様を確認ください。1ヶ所だけの施工のケアレスミスであるのか、接続部全体の問題であるのかを把握する必要が有りそうです。

バルコニーに関してはこの躯体は共有部分ですので、管理組合を通して交渉するべきだろうと思います。買い取りに期待はあまり持たない方が良いかと思います。

全体として管理組合を通して交渉なさっては如何でしょうか。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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