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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0131 基礎工事について基本的なこと

 相談概要 [氏名] O.Tさん
[住所] 大阪府高槻市
[年齢] 39才
[構造] 鉄骨造(ブレース構造)
[築年数]  ?年
[階数] ?階
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 解らない。
[設計図面枚数] ?枚
[着工までの打合せ回数] ?回
 相談内容 はじめましてO.Tと言います。基礎工事について基本的なことをお伺いします。

コンクリートを打ってからの養生期間は通常どのくらいですか。季節によって違うのですか。コンクリート流し込み時、養生期間中に雨は降っても構わないのですか。通常、型枠をはずしてから化粧コンクリートを塗るようですが化粧をしないやり方もあるのですか。型枠には良く木を使っているのを見ますが、今回の場合鉄板です。宜しくお願いします。 

(状況) 基礎工事は天候に左右されやすいと聞いており、素人考えでは雨の日は作業をしないと思っていました。ところが生コンを発注した途端、雨の日でも問題ないとのことで本日(5/24)予定通りコンクリートを流し込みました。 大阪地方 朝から雨 台風みたいに大雨でないにしてもかなり降っていました(小雨とは言えない)。今回のような雨ではコンクリートの濃度にも影響もないし、この時期、養生期間も予定通り3日間で型枠をはずすとのことです。 

@雨でもコンクリートを流しても問題ないのですか。何を基準にこの程度の雨では問題ないと判断するのでしょうか。 

A雨降りにコンクリートを流し込むと気泡が入りやすいように思うのですが。 

B今回のようなケースで強度等問題はないのでしょうか。

ご意見宜しくお願い申し上げます。

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追加で疑問が生じましたのでお願いいたします。普通の場合、1週強度、4週強度(設計強度)とがあるようで、その数値を調べて報告するので安心してくださいとAは言っています。

@1週強度、4週強度の一般的な数値(最低基準値)はどのくらいですか。

A基礎打設後、約1週間〜10日間で躯体工事に入るようですが、早くはないですか。 1週強度を測ってOKなら工事にはいるようですが。 また、4週強度を測って基準値以下であっても躯体工事が始まっていれば 基礎のやり直しは出来ないと思うのですが。

B荻原様のコメントにありました各種検査(超音波探傷検査等)は具体的にはどのようなものですか。 ハウスメーカー(施工業者)はしてくれるのですか。以上、誠に勝手ながら宜しくお願いします。 
 yorozuの感想
アドバイザー 
我伊野 威之 一番目の質問の養生期間ですが、 コンクリートは現場で硬化成形する材料なので初期養生はとても重要です。硬化初期に振動を与えると、正規の強度の発現が損なわれる場合がありますし、暑中にきちんと湿潤養生を行わないと露出面のみが急速に乾燥し亀裂が発生します。

養生期間として

1)振動や荷重をかけてはいけない期間
2)型枠の存置期間
3)湿潤養生期間(急激な表面硬化を防ぐ等の為撒水する)

があります。

1)少なくとも1日、できれば3日位は上を歩いたり重量物を載せることは避ける。
2)コンクリート打設から3日間。(大阪の近日の気温を見ると平均気温約20°C 以上の様なので。)
3)5日間。以上は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 1997」を参考。コンクリートの硬化(乾燥)時間に関係がありますので、季節によって異なります、上記仕様書では型枠の存置期間が平均気温によって定められています。

1)については、木造の基礎ではあまり問題にはならない項目ですが、鉄骨造で1F 床がコンクリートスラブの場合には注意が必要です。

2)型枠の存置期間ですが、JASS5では4日ですが建設省告示では3日でOKになっていますので3日でも良いかと思います。実際3日での強度で前回解説のように十分満足するようです(前記JASS5は1997年に改定され東京都では現在1997年版JASS5 による施工監理を標準としています。)。

3)は、型枠解体後も行うことになります。 

二番目の質問の降雨時の打設と養生中の降雨について。
降雨中の打設は好ましくありません。コンクリートを錬り混ぜる時に加える水の量は体積比で18%程度ですが、高さ60cmのコンクリートに対して打設時間中の雨量10mmとすると18%は20%程度に上昇してしまい、強度、乾燥時収縮に悪影響を及ぼします。ですが、住宅の基礎の場合、全体の施工時間は2時間くらいかかっていても、部分部分の打設でバイブレーター(振動を与えて細部までコンクリートを送り込む機械)をかける時間は長くて数分間、この時間内に混入する水量はよほどの大雨でないと影響は与えないでしょう。

養生中の降雨ですが、打設直後の降雨は露出面を叩き表面の仕上りが悪化しますので注意が必要(打設6時間程度後にコテで押さえておけば大丈夫)です。上記のように翌日くらいからの降雨は「恵みの雨」湿潤養生をかってにやってくれるので全く問題ありません。 

三番目の質問の化粧コンクリート
通常基礎コンクリートは型枠を外したままの状態です。打放しコンクリートの建物も外したままです。(綺麗に打ち上がる型枠を使います)「化粧コンクリート」とは「モルタル仕上げ」の事だと思うのですが仕上げ方法の一種です。 

四番目の質問の鉄板の型枠鋼製型枠
 問題ありません。規格化されたハウスメーカーの住宅の場合、転用回数が木製型枠に対して格段に多い鋼製型枠を用いて材料費を削減することがあります(注文住宅などでは建物ひとつひとつ形が違うので規格化された寸法の鋼製型枠では施工できないので裁断が容易な木製型枠を使っています。)。コンクリート二次製品、例えば道路の脇の側溝や側溝の蓋などは鋼製型枠で大量生産しています。

1) コンクリート設計強度
低層建築の一般的な強度は180kg/cm2〜240kg/cm2(18N/mm2〜24N/mm2)です。
コンクリートの強度を監理する方法にはいくつかの方法があるのですが、一般的なのは円筒形のテストピースをコンクリート打設時に作成し、気温により温度変化のある水槽に試験まで養生する「現場水中養生」による圧縮試験と20°Cに保たれた水槽内で養生する「標準養生」による圧縮試験があります。実際に施工されたコンクリートに近い状態である「現場水中養生」による試験結果を東京都では行政に提出しています(第三者機関による試験)が、大阪ではどうなっているかすいませんが不明です。(JASS5では「標準養生」の場合設計強度Fo+3N/mm2「現場水中養生」の場合設計強度Foを確認することになっています。これも大阪で運用されているかどうか?)

ただ、試験を行って強度が足らない場合、大変なことになってしまうので通常のコンクリートは設計強度+3N〜5Nくらい高めの配合になっています。JIS認定の生コンプラントなら問題ないでしょう。1週強度ですが設計180kg/cm2の場合110kg/cm2、設計210kg/cm2では130kg/cm2くらいです。

2)鉄骨工事までの期間 1週後位なら大丈夫(強度的には十分)と思いますが、ハウスメーカーの仕様書を確認して下さい。きちんとした施工マニュアルがあるはずです。4週強度は季節はずれの降雪とかなければ上記のように問題ないと思います。

3)鉄骨造といってもこのハウスメーカーのは2階建てなら軽量鉄骨だと思いますし、コスト削減のためハウスメーカーの鉄骨造の溶接部位は超音波探傷検査の対象外になるようにしていたと思います。そのほかにも検査方法は多数あって(書ききれません)、どの方法によって品質監理を行っているのかこれも施工マニュアルを確認して下さい。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 さすがの構造家の解説にわたしのコメントを挟む余地はなさそうです。もし重量鉄骨造という事でしたら各種検査(超音波探傷検査等)の報告書もらって下さいね。これをやらない鉄骨造は心配ですから。
軽量鉄骨だと超音波探傷検査はやらないようです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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