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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.0113 2×4工法で建築中なのですが何点か気なることが

 相談概要 [氏名] H.Kさん
[住所] 東京都小金井市
[年齢] 33才
[構造] 木造(2X4工法)
[築年数] 工事中
[階数] 2 階
[様態] 注文建築
[施工者] ハウスメーカー
[設計者] 知らない
[監理者] 知らない
[確認申請書存在の有無] 無い。
[設計図面枚数] 3枚
[着工までの打合せ回数] 15回
 相談内容 現在、2×4工法で建築中なのですが何点か気なることがありますので、宜しくお願い致します。

1.基礎の防湿コンクリートを打った日(直後)に雨がふり、防湿コンクリートの上に雨が10cmほど溜まってました。水の下のコンクリートを触って見たところ、まだコンクリは柔らかい状態でした。メーカーの話では、このコンクリは強度等は関係ないので問題はないと言っていましたが、実際はこのコンクリの上に根太を押さえるためのジャッキのようなものが取り付けてありましたが、本当に施工上問題無いのでしょうか?

2.一階の床合板が貼られて、一階の壁が何枚か立ったところで雨が二日間くらい降り続け、さらに翌週、二階の壁が何枚か立ちあがったところで、さらに二日間くらい雨がふりました。一応、床合板のところは薄い透明なシートが張ってはり、最初の雨の時にこちらから雨除けの対策をして欲しいと依頼したため、一部に青いシートを張ってくれましたが、殆ど雨ざらしの状態になってます。薄いシートの所もかなり水が合板に染みているのですが、素人としては非常に気になります。使用している合板はJASの特類なので問題ないとメーカーは言ってますが、本当にこの様な状態で問題はないのでしょうか?また、一般的に2×4工法の場合の雨対策はどのようにされるのですか?

3.一階の壁が出来上がったところで、垂直の検査を独自に実施したところ、何個所かで、壁/柱が垂直になっていないところがありました。測定は床から約2mくらいのところに壁から6cm離して糸を垂らし下の所で計ったのですが、多い所で1cmずれていました。この様な場合どのくらいが許容範囲なのでしょうか?また、工事ミスといえるのはどれくらいの範囲なのでしょうか?

4.天端ならしの一部で、丁度、通気用のパッキンがのっている所が割れていて、手で引っ張れば、パッキンの面積の1/3くらいは取れそうな状態ですが、問題ないのでしょうか?

以上、一度に何点も恐縮ですが宜しくお願いいたします。
 yorozuの感想
アドバイザー 
松山 達也 1.通常「基礎」というと土台の下にある地盤から40cm程度立上がったコンクリート部分だけを言います。御相談の「基礎の防湿コンクリート」はその「基礎」によって囲まれる中に水平に打たれたコンクリート部分のことだと思いますが、その部分はメーカーさんがおっしゃるとおりに構造的負担を負うものではありません。地盤から上昇してくる水分を防湿する目的で打設されるコンクリートです。コンクリート打設直後に降雨し、あまり好ましい状況ではありませんが、特別な欠陥になるとは思いませんので御安心下さい。それよりも、その上に1階の床合板が貼られる際、その水たまりは乾燥していたでしょうか?四方を「基礎」に囲まれ、下に「防湿コンクリート」があるため、乾燥しないまま1階床合板でフタをしてしまうと床の木材を腐らせる原因となりますので御注意下さい。

2.建設中に建物が雨ざらしになるのは、さすがにどうしようもありません。特別な雨対策はありません。せいぜい屋根をかける工程を優先して工事をすすめる程度です。お施主さんとしては気にはなるかもしれませんが、問題はないので御安心下さい。それよりも、この件も1と同様にその後の仕上げ工程に移る前に乾燥期間はあったか?が重要です。特に外壁の仕上げを貼る前とか、断熱材が吸水した後には、必ず乾燥期間(状況にもよりますが中1日程度)が必要です。

3.2mで10mmという倒れは、確かにちょっと大きいような気がします。ですが、倒れ寸法よりも材の施工状況の方が重要です。力を正しく伝えるように材が組み立てられていれば、無理に倒れを修正する必要はありません。

4.あまり、好ましくはありませんが重大な欠陥だとは思いません。

建築をよく研究され、お施主さん自らが少しでも自己防衛をしようという意気込みは大変よいことだと思います。ですが、建築は、正しい設計を行い、正しい部材を正しく施工しないとよい家にはなりません。お寄せいただいた御質問は、どちらかというと局所的な内容で、一番重要な「正しい設計を行い、正しい部材を正しく施工しているか」を判断する材料とは言えません。施行中にいただく相談者には再三申しあげておりますが、一番の問題は、お施主さんの質問に答えてくれる信頼できる「監理者」(現場監督でもハウスメーカーの営業でもありません)がいないことだと御自覚下さい。「監理者」がいない現場は、普通ではありません。
 コメンテーター 
 事務局から 
  荻原 幸雄 1)は問題無いと思います。

2)は作業に支障無い範囲で養生シートで少しでも濡れないように努めなければならないでしょうが、ある程度濡れてしまうのは仕方ありません。濡れたら乾かしてから次の工程に進む事が肝心です。

3)はわたしが監理者でしたら直させます。しかし、次の工程が進む前にです。大分進んでしまうと業者は直さないのが一般的です。監理とはその都度のタイミングで検査訂正補修させる訳で、そのまま進んでしまうとどうしようも有りません。それが業者の手でもあります。もしそれが気になる様でしたら業者に訂正を依頼して下さい(多分やらないと思います)。ちゃんと監理していない現場は、このようにどんどん進んでいきます。あなたのように勉強なさっている方は解る範囲で業者に話し、少しは解消されるでしょうけど、それはあなたが認識している範囲でのことです。ほとんどの方は御任せの状態が現状でしょう。知らないところでこのように現場は進んで行きます。それを知らないで済ませるかどうかはクライアントの意識の問題です。

昨今の欠陥住宅の問題も、その辺から意識革命を起こさないとなかなか無くなりそうもありませんね。それでも御不満なら法的な手段に訴える事になりますが、その時は現場は止まります。そうなるともっと現場は雨晒しになります。又、裁判ではその欠陥をあなたが証明しなければなりません。傾きの明確な基準*は特に有りませんが昔から大工さんの言う「一間一分」を目安にすると1.8mで3.03mmですから、2mで3.3mmが限界値となります。10mmは大きすぎますね。目安の3倍は普通じゃ無いと思います。

4)については動くモルタルを取り除き(一部基礎もはつるでしようが)、無収縮モルタルで補修する方法はあります。


*(事務局注)
解説当時はありませんでしたが、H12.4.1施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)と合わせて、建設省告示1653号「住宅紛争処理の参考となるべき技術的規準」が定められました。
これは、新築時の基準ではなく、建築後の「不具合事象の発生と構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性との相関関係」を表したものですが、参考にはなるでしょう。傾きの他にひび割れや欠損等も記載されています。

柱・壁・床:
傾きが3/1000以上の場合は、[構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が]一定程度存する。6/1000以上の場合は、[同上]高い。と記載されています。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 早々にご丁寧なご回答ありがとうございました。ご回答は非常に参考になりました。また、最近は現場監理の重要性をつくづく実感する毎日です。

実は質問のメールには書かなかったのですが、初めに基礎の天端ならしが終わった後で現場をチェックしたら、天端ならしのモルタルが所々にひびが入っており、上から叩くと「ぽこぽこ」音がするような状態でした(完全に基礎とくっついていないような状態。)。その部分はこちらから指摘したのでやり直しになりましたが、もしも見逃していてそのまま工事が継続されていたらと思うと、ぞっとします。

なかなか素人では判断が難しいこの業界で、この様な場をご提供頂きまして誠に感謝しております。また今後とも何かありましたら宜しくお願い致します。
 その後  
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